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シリア国内の動き
ラッカ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がラッカ市内にあるダーイシュ(イスラーム国)の拠点複数カ所にこれまで最大規模となる空爆を行い、ダーイシュの司令官、戦闘員ら31人以上が死亡した。
空爆は、ラッカ市内の軍事法廷、検閲査察局、政治治安部、「アレッポ大使館」発着場、県庁舎一帯、現代医学病院一帯、国立病院一帯、旅客バス発着場などに対し26回にわたって行われ、市民ら少なくとも18人も死傷した。
ラッカ市空爆に関して、マーヒル・アスアドを名乗るラッカ市の活動家は、アナトリア通信(8月17日付)に対し、空爆の精度が高く、シリア軍の旧式戦闘機の攻撃とは思えないとしたうえで、「空爆は米軍によるものだろう」と主張した。
シリア軍はまた、タブカ市およびその周辺に対しても11回にわたり空爆を行った。
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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)によって占拠されているウマル油田一帯を5回にわたり空爆した。
これに対し、ダーイシュは、ダイル・ザウル市ジュバイラ地区で、シリア軍の車輌を襲撃し、将兵を殺害、またシリア軍もハウィーカ地区各所を砲撃した。
一方、SANA(8月17日付)によると、ダイル・ザウル市ハウィーカ地区、ジュバイラ地区、ウルフィー地区、スィヤーサ橋付近、フジャイジャト・カーディア付近で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備、地下トンネルを破壊した。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が、ハミーディーヤ村、サーリヒーヤ村、アスバンル村、ウユーン村、アルシャーフ村の住民を「身の安全を守る」という理由で、追放した。
ダーイシュは、これらの村の住民に対して、「覚醒評議会」(ダーイシュと対立するジハード主義武装集団)の拠点や本部が「ムジャーヒディーンの正当な標的」であるため近づかないよう求める布告を出していたという。
またスマート・ニュース(8月17日付)によると、ダーイシュによって占拠されたトゥルクマーン・バーリフ村で、爆弾が仕掛けられた車が爆発し、ダーイシュ戦闘員4人が死亡した。
一方、アフタリーン市入り口のウンム・クラー・モスク近郊で、ジハード主義武装集団、クルド人戦線旅団などが、ダーイシュと交戦した。
他方、シリア軍は、ダーイシュによって占拠されているアアザーズ市、バンーン・フッス村、バーブ市、バーブ市・ラーイー村街道、アフタリーン市を10数回にわたり空爆した。
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シリア人権監視団は、シリア軍が各地でダーイシュ(イスラーム国)の拠点などに対して1日だけで122回にわたって空爆を行ったと発表した。
同監視団によると、うち43回が北東部、41回が北部・南部に対する空爆で、このほかにも38発の「樽爆弾」が投下されたという。
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ARA News(8月17日付)は、ハサカ県フール村の住民の話として、ダーイシュ(イスラーム国)がイラクのニナワ県スィンジャール郡で拉致したと思われるクルド人(ヤズィード教徒)女性数百人を、ハサカ県タッル・ハミース市、フール村に連行し、2万5,000~5万シリア・リラで人身売買している、と報じた。
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MTV(8月17日付)は、ダーイシュ(イスラーム国)の武装闘争に外国人女性戦闘員が参加しているとしたうえで、もっとも著名な6人の身元を紹介した。
この6人の女性のうち、2人は英国籍を持つソマリア人の双子姉妹(サルマー町、ザフラ)で、戦闘員と結婚するためにシリアに潜入、その後、軍事教練を受け、戦闘に参加するようになり、「テロリスト双子姉妹」などと呼ばれているという。
またこのほかにも、「ダーイシュの女たちのアミール」を呼ばれるサウジ人女性(ウンム・ミクダード)、ラッカ県のハンサー大隊(女性部隊)を指揮するチュニジア人女性(ウンム・ムハージル)、欧州諸国で女性戦闘員のリクルートを統括するとされる英国人女性(ウンム・ライス)らがいるという。
イラク国内の動き
キルクーク県では、トゥーズ・フールマートゥー郡知事によると、イラク・クルディスタン地域ペシュメルガが、ダーイシュ(イスラーム国)との3日にわたる戦闘の末、ダーイシュ戦闘員75人を殲滅、70人を負傷させた。
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モスル県では、イラク・クルディスタン地域ペシュメルガ筋によると、ペシュメルガが米空軍の支援のもと、モスル市東部のブアシーカ地方、タッルカイフ郡の複数の町、モスル・ダム周辺の村々を奪還した。
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ディヤラ県では、マダー・プレス(8月17日付)によると、ヤアクーバ市北部のカラ・タバ村(トルクメン人の村)に設置されたイラク・クルディスタン地域ペシュメルガ・アサーイシュ合同検問所を襲撃しようとしたダーイシュ(イスラーム国)戦闘員3人が殺害された。
また合同部隊は、女性の服を着て、カラ・タバ村に潜入しようとしたダーイシュ司令官を逮捕した。
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バービル県では、バービル作戦司令室によると、ジュルフ・サフル地方へのイラク軍の空爆でダーイシュ(イスラーム国)戦闘員25人が死亡した。
またイラク軍部隊は、ダーイシュ戦闘員20人を逮捕した。
一方、ダーイシュはアーミリーヤト・ファッルージャ地方とジュルフ・サフル地方を結ぶファーディリーヤ橋を破壊した。
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アンバール県では、アンバール作戦司令室筋によると、ハディーサ郡周辺、ラーワ郡入り口で、イラク軍と警察の合同部隊が、ダーイシュ(イスラーム国)を掃討し、ダーイシュ戦闘員16人(うち外国人戦闘員は7人)を殲滅した。
AFP, August 17, 2014、AP, August 17, 2014、ARA News, August 17, 2014、Champress, August 17, 2014、al-Hayat, August 18, 2014、Kull-na Shuraka’, August 17, 2014、al-Mada Press, August 17, 2014、MTV, August 17, 2014、Naharnet, August 17, 2014、NNA, August 17, 2014、Reuters, August 17, 2014、SANA, August 17, 2014、SMART News, August 17, 2014、UPI, August 17, 2014などをもとに作成。
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