イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き:ダーイシュが米国人記者を斬首(2014年9月2日)

ダーイシュ(イスラーム国)が、2013年に8月にシリア国内で拉致され消息を絶っていた米国人ジャーナリストのスティーブン・ソトロフ氏(31歳)を斬首し、殺害したとみられる映像がインターネット上で公開された。

斬首を執行した黒覆面の男は、映像のなかで、「オバマよ、私は戻ってきた。米国がダーイシュ(イスラーム国)に対する傲慢な外交政策をとり、我々の真剣な警告にかかわらずモスル・ダムなどへの攻撃を続けているからだ。米国が我々にミサイル攻撃を継続すれば、我々のナイフも米国人の首を斬り続けることになる」と述べた。

またこの男性は、英国人の人質についても脅迫し、各国に「イスラーム国に対抗する米という悪の連合」に参加しないよう警告した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ムジャーヒディーン軍とヌールッディーン・ザンキー運動が、アレッポ市カッラーサ地区でアンサールッディーン戦線に所属するイスラームの光大隊と交戦の末、同大隊メンバーを「ダーイシュ(イスラーム国)への内通」罪で逮捕した。

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ハサカ県では、ARA News(9月2日付)によると、ハサカ市グワイラーン地区に籠城する武装集団(グワイラーン自由人大隊)がハサカ市内に迫撃砲を発射し、県庁近くなどに着弾、女性1人を含む住民2人が死亡した。

また、ARA News(9月1日付)によると、ハサカ県グワイラーン地区周辺でシリア軍、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊が、グワイラーン自由人大隊と交戦、またシリア軍が同地区を砲撃した。

一方、ARA News(9月2日付)によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊は、ダーイシュ(イスラーム国)との戦闘の末、イラク国境に近いジャズア村を制圧したと発表した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シリア軍はまた、ダイル・ザウル航空基地近郊のムーハサン市、マリーイーヤ村、ブー・ウマル村を空爆、また同飛行場制圧をねらうダーイシュ(イスラーム国)の集結もあいまって、多数の住民が避難を本格化させた。

また、ARA News(9月2日付)によると、シリア軍は、ダイル・ザイル市シャイフ・ヤースィーン地区、ラシュディーヤ地区、ジュバイラ地区、ハウィーカ地区、ムハイミーダ村に対して、激しい空爆、砲撃を行った。

さらに、ダーイシュはムーハサン市で青年3人を背教の罪で公開処刑した。

一方、SANA(9月2日付)によると、ダイル・ザウル市ハウィーカ地区、ラシュディーヤ地区、ジュバイラ地区、工業地区で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

他方、ARA News(9月4日付)によると、ジャアファル航空旅団司令官のサリーム・ハーリド・アブー・ムハンマド・アカイディー氏が、マヤーディーン市にあるCONOCO油田に設けられたダーイシュ(イスラーム国)の拘置所から17人の逮捕者とともに脱獄することに成功した。

アカイディー氏は9月20日にハサカ県シャッダーディー市一帯での戦闘で捕捉され、同拘置所に収監されていた。

AFP, September 2, 2014、AP, September 2, 2014、ARA News, September 2, 2014、September 4, 2014、Champress, September 2, 2014、al-Hayat, September 3, 2014、Kull-na Shuraka’, September 2, 2014、al-Mada Press, September 2, 2014、Naharnet, September 2, 2014、NNA, September 2, 2014、Reuters, September 2, 2014、SANA, September 2, 2014、UPI, September 2, 2014などをもとに作成。

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