諸外国の動き:警視庁がダーイシュ戦闘員志望の日本人男性に事情聴取(2014年10月6日)

時事通信(10月6日付)、『読売新聞』(10月7日朝刊)などによると、警視庁公安部は、ダーイシュ(イスラーム国)のシリアやイラクでの戦闘に参加するため、シリアへの渡航を企てたとして、刑法第93条の「私戦予備および陰謀」の容疑で、北海道大学大学院生の男(26際、休学中で住所不定)らから任意で事情聴取するとともに、東京都内の関係先数カ所(元大学教授、フリージャーナリスト宅など)を家宅捜索した。

公安部によると、この男性は10月7日に出国し、シリアに渡航する予定だったという。

任意の聴取に対してこの男性は「シリアに入ってイスラーム国に加わり、戦闘員として働く目的だった」と話している。

公安部はこの男性の旅券を既に差し押さえており、都内で寝泊まりしていた杉並区内の関係先も捜索した。

この男性は東京都千代田区(秋葉原)にある古書店に張り出されていた「勤務地シリア」と書かれた求人広告を見て、店員を通じて、募集主の日本人男性と連絡を取ったという。

この求人広告は4月に貼られ、この男性を含めこれまでに数人から問い合わせがあったという。

またこの男性は8月にも、トルコ経由でフリージャーナリストとシリアに潜入しようとしていたが、直前に中止になったが、このときこの男性だけが片道の航空券だったという。

警視庁公安部は、ほかに日本人男性の複数が関与している可能性があるとみて、関係などを調べているという。

刑法第93条(私戦予備および陰謀)は、外国に対し私的に戦闘行為をする目的で準備や計画をした場合、3カ月以上5年以下の禁錮刑にすると定めている。

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NATOのイェンス・ストルテンベルグ新事務総長は、記者会見でダーイシュ(イスラーム国)のアイン・アラブ市突入に関して、「トルコはNATO加盟国であり、我々の主たる責務とはその国境の防衛である…。シリアでの暴力の結果としてトルコに攻撃がなされたとしても、NATOがいることをトルコは知らねばならない」と述べた。

AFP, October 6, 2014、AP, October 6, 2014、ARA News, October 6, 2014、Champress, October 6, 2014、al-Hayat, October 7, 2014、Kull-na Shuraka’, October 6, 2014、al-Mada Press, October 6, 2014、Naharnet, October 6, 2014、NNA, October 6, 2014、Reuters, October 6, 2014、SANA, October 6, 2014、UPI, October 6, 2014などをもとに作成。

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