シリア反体制勢力の動き:アイン・アラブへのトルコからの派兵の是非をめぐって「自由シリア軍」混乱(2014年10月24日)

アレッポ革命軍事評議会前議長のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐は声明を出し、戦闘員1,300人をアイン・アラブ市に派遣し、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とともにダーイシュ(イスラーム国)と戦うと発表した。

アカイディー大佐によると、アイン・アラブ市に派遣予定の武装集団は、シリア革命家戦線、イスラーム軍、シャーム軍団、ハズム運動、ムジャーヒディーン軍、第5軍団。

これに関して、ジャズィーラ(10月24日付)は、アカイディー大佐がトルコ当局と米国など有志連合側に書簡で、36時間以内に部隊を派遣する旨通知し、兵站支援を求めたと報じた。

Kull-na Shuraka', October 24, 2014

Kull-na Shuraka’, October 24, 2014

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、アレッポ革命軍事評議会前議長のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐が、戦闘員1,300人の西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊に派遣し、ダーイシュ(イスラーム国)と戦うと発表したことに関して、「民主統一党は自由シリア軍戦闘員1,300人を受け入れた。彼らは自分たちの進む道を選ぶために話を進めている」と述べた。

またイラク・クルディスタン地方からのペシュメルガ派遣に関して、「クルド人戦闘員150人のみがトルコ領内を経由してコバネ(アイン・アラブ)市に向かう」と付言した。

またエルドアン大統領は、「バラク・オバマ米大統領との会談では、自由シリア軍(の派遣)を第1の選択肢、ペシュメルガを第2の選択肢とすることで合意した」と述べた。

訪問先のタリン(エストニア)でトーマス・イルヴェス大統領との会談後の記者会見で明らかにした。

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しかし、ムジャーヒディーン軍のサクル・アブー・クタイバ副司令官、シリア革命家戦線、アレッポ革命軍事評議会前議長のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐が、戦闘員1,300人の西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊に派遣し、ダーイシュ(イスラーム国)と戦うと発表したことに関して、これを否定、部隊派遣は行わないと発表した。

また、アレッポ県革命軍事評議会のザーヒル・サーキト准将は「アイン・アラブに戦闘員を派遣するほど我々が頭が悪いのか?」と批判した。

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一方、民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首は、アレッポ革命軍事評議会前議長のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐が、戦闘員1,300人の西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊に派遣し、ダーイシュ(イスラーム国)と戦うと発表したことに関して、ロイター通信(10月24日付)に、「自由シリア軍と連絡をとっているが、エルドアンが言っているような合意はなされてない」と反論した。

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さらに、トルコで活動する自由シリア軍参謀委員会のクルド人司令官マーリク・クルディー大佐は、米国による西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊への支援に関して、「体制(アサド政権)支持者への武器供与によってアサド政権を支援している」と批判した。

AFP, October 24, 2014、Aljazeera, October 24, 2014、AP, October 24, 2014、ARA News, October 24, 2014、Champress, October 24, 2014、al-Hayat, October 25, 2014、Kull-na Shuraka’, October 24, 2014、al-Mada Press, October 24, 2014、Naharnet, October 24, 2014、NNA, October 24, 2014、Reuters, October 24, 2014、SANA, October 24, 2014、UPI, October 24, 2014などをもとに作成。

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