イスラーム国による日本人拉致事件(続報、2015年1月24日)

ダーイシュ(イスラーム国)の人質となった湯川遥菜氏と見られる写真を持ち、同氏が殺害されたと話す後藤健二氏の静止画像がインターネット上に投稿された。

『読売新聞』(1月25日付朝刊)によると、画像は日本時間24日23時過ぎに公開された。

動画で後藤氏が持たされている写真には、後ろでに縛られ跪かされている湯川氏の写真、そして斬首されたあとの遺体が映っている。

動画に映っている後藤氏は英語で以下のように読み上げさせられている。

「私は後藤健二です…。安倍(首相)、あなたが遙菜(湯川氏)を殺した。あなたは私がとらえられているという脅しを真剣に受け止めず、72時間以内に行動しなかった…。彼らはもう金銭を要求しない…。テロリストに資金を与えることを心配しなくていい…。彼らはただ、投獄中のサージダ・リーシャーウィーの釈放を要求しているだけだ…。あなたが彼らにサジーダを渡せば、私はただちに釈放される…。サージダはヨルダンによって投獄されている…。私の命を救うことがどれだけ簡単かを強調したい…。(妻に対して)この言葉を私の最後にしないでください。安倍(首相)に私を殺させないで下さい」。

サージダ・リーシャーウィーはイラク人で、2005年にヨルダンの首都アンマンで発生したラディソン・ホテル爆破事件に関与したことで、ヨルダン政府に拘束されている人物。

アーラム・ヤウム(1月25日付)は、これに関連して、ヨルダン当局が2014年12月にラッカ市で墜落しダーイシュに拘束されたヨルダン軍戦闘機パイロットのマアーッズ・サーフィー・カサースィバ空軍中尉釈放のため、リーシャーウィーとの「捕虜交換」を検討していると複数メディアが24日に報じたと伝えた。

なお、これを受け、安倍晋三首相は記者団に対して「このようなテロ行為は言語道断であり、許しがたい暴挙だ。強い憤りを覚える。断固として非難する。改めて後藤健二さんに危害を加えないよう、そしてただちに解放するよう強く要求する」と述べるとともに、「日本政府としては引き続き、テロに屈することなく、国際社会とともに世界の平和と安定に積極的に貢献していく。今後も邦人の解放に向けて、政府を挙げて取り組んでいく」と強調した。

al-‘Alam al-Yawm, January 25, 2015、読売新聞などをもとに作成。

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