ダーイシュ(イスラーム国)がYPGの進軍に備えラッカ市から第17師団基地に増援部隊を派遣(2015年6月24日)

ラッカ県では、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊のライドゥール・ハリール報道官によるアイン・イーサー市制圧を受け、ダーイシュ(イスラーム国)がラッカ市から第17師団基地に増援部隊を派遣する一方、同市近郊に塹壕を整備するなどして防衛態勢強化を開始した。

ロイター通信(6月24日付)が伝えた。

これに関して、シリア人権監視団は、軍用車両など約100台からなるダーイシュの車列がラッカ市内で目撃され、第17師団基地方面に向かった模様だ、と発表した。

またダーイシュはラッカ市内のクルド系住民に市外への移動を控えるよう通達したという。

一方、アレッポ県東部一帯で活動するという反体制武装集団がラッカ県タッル・アブヤド市で共同声明を出し、「イスラーム軍」の名で統合したと発表した。

「イスラーム軍」に参加した武装集団は、アッラーのためのジハード旅団、ウマナー・ラッカ旅団、タバカ自由人旅団、ハールーン・ラシード旅団、ジュンド・ハラマイン旅団、タッル・アブヤド革命家戦線、タフリール旅団など、いずれも「自由シリア軍」所属組織だという。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍、国防隊がジャズル・ガス採掘所一帯、ジュッブ・ジャッラーフ村、ワルド化、マクサル・ヒサーン村でダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、ダーイシュ戦闘員20人あまりが死亡した。

また、SANA(6月23日付)によると、シリア軍とレバノンのレジスタンス(ヒズブッラー戦闘員)が、ジャラージール町無人地帯のカルナ、ワーディー・マガーラで、ダーイシュ(イスラーム国)の最後の拠点を破壊、同地を制圧した。

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ヒムス県では、SANA(6月23日付)によると、シリア軍と国防隊はジャズル・ガス採掘所一帯でダーイシュ(イスラーム国)への反転攻勢を続け、同地の一部を制圧した。

シリア軍と国防隊はまた、ジュッブ・ジャッラーフ村、マクサル・ヒサーン村、ハワー丘一帯でダーイシュを撃退した。

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ハサカ県では、SANA(6月23日付)によると、フール町郊外のダーイシュ(イスラーム国)の教練キャンプなどをシリア軍が攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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スワイダー県では、SANA(6月23日付)によると、カスル村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(6月23日付)によると、ハッラーブ・シャフム村、タッル・シハーブ町、ヤードゥーダ村、ムザイリーブ町、ヌアイマ村、アトマーン村、フルバト・ガザーラ郊外、イズラア市、ダルアー市各所で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(6月23日付)によると、マリーイーヤ村をシリア軍が空爆し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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米中央軍(CENTCOM)は、6月24日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して16回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は3回におよび、ハサカ市近郊(1回)、アレッポ市近郊(1回)、タッル・アブヤド市近郊(1回)のダーイシュに対して攻撃が行われたという。

AFP, June 24, 2015、AP, June 24, 2015、ARA News, June 24, 2015、Champress, June 24, 2015、al-Hayat, June 25, 2015、Iraqi News, June 24, 2015、Kull-na Shuraka’, June 24, 2015、al-Mada Press, June 24, 2015、Naharnet, June 24, 2015、NNA, June 24, 2015、Reuters, June 24, 2015、SANA, June 24, 2015、UPI, June 24, 2015などをもとに作成。

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