西クルディスタン移行期民政局を主導するムスリム民主統一党党首「シリアの安定回復には中央集権的な独裁体制の廃止と分権制が不可欠」(2015年6月24日)

西クルディスタン移行期民政局を主導する民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首は『ハヤート』(6月25日付)の電話取材に応え、シリアの安定回復には「中央集権的な独裁体制を廃し、民主的で分権的な体制を樹立」する必要があると述べる一方、シリアの分割(クルドの独立)について強く反対した。

ムスリム共同党首は「我々の戦略は、クルド人の民主的な権利を要求することに力点を置いている。我々は民主的で多元的なシリアを望んでおり、分権主義と民主主義を主唱している。シリアは中央集権的な独裁体制を変革することなくして、安定を回復しないだろう。シリアにはマイノリティ、すなわちイスマーイーリー派、アラウィー派、ドゥルーズ派、シーア派、スンナ派がおり、クルド人、アラブ人、トルクメン人がいる。それゆえ、国に安定をもたらす解決策は、分権主義に基づいていなければならない。クルド人に権利を与え、その権利を承認することなくして、シリアに安定はもたらされない。分権主義は、我々が依拠すべき不可欠な解決策であり、シリア全体に広めねばならない。我々の目的は分権的、民主的、多元的な体制に基づくシリア民主共和国の実現である」と述べた。

またトルコのシリア北部への直接介入可能性については「国際情勢、地域情勢にその準備ができていない」と述べる一方、トルコ政府などが主張する西クルディスタン移行期民政局支配地域での住民の強制移住についても否定した。

AFP, June 24, 2015、AP, June 24, 2015、ARA News, June 24, 2015、Champress, June 24, 2015、al-Hayat, June 25, 2015、Iraqi News, June 24, 2015、Kull-na Shuraka’, June 24, 2015、al-Mada Press, June 24, 2015、Naharnet, June 24, 2015、NNA, June 24, 2015、Reuters, June 24, 2015、SANA, June 24, 2015、UPI, June 24, 2015などをもとに作成。

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