トルコのエルドアン大統領「安全保障地帯を設置することで、シリア人避難民が帰還できるようになるだろう」、オランド仏大統領「目的を混同しないよう注意すべきだ」(2015年7月28日)

NATO(北大西洋条約機構)は、トルコ政府の要請に基づき、ブリュッセルで緊急の大使級理事会を開き、シリア、イラクにおけるトルコの軍事作戦について協議した。

イェンス・ストルテンベルグ事務総長は記者会見で、「(理事会では)すべての加盟国がトルコへの強力な支援を表明した。我々はみな、トルコと連帯し、一体となっている。すべての加盟国があらゆるテロに反対を表明した」と述べたが、シリア、イラク領内での空爆について言及することはなかった。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、中国、インドネシア訪問に先立って、首都アンカラで記者会見を開き、そのなかで、シリアでのダーイシュ(イスラーム国)空爆とイラクでのクルディスタン労働者党(PKK)空爆に関して「後退はない。この作戦は断固たる決意のもとに継続される」と述べた。

エルドアン大統領はまた、シリア北部に「安全地帯」を設置することで米国と基本合意に達したことについて、ダーイシュをこの地域から「浄化し、安全地帯を設置することで、シリア人避難民が帰還できるようになるだろう」と述べた。

なお、エルドアン大統領は、イラク北部のPKKに対する空爆については、「クルド人との和平プロセスは、PKKが政府軍に対して攻撃を続ける限りは不可能だ」と述べた。

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『ハヤート』(7月29日付)は、フランスのフランソワ・オランド大統領が、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と電話会談を行い、そのなかで「目的を混同しないよう注意すべきだ」と進言したと伝えた。

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イスタンブールを拠点とするシリア革命反体制勢力国民連立に参加するシリア・クルド国民評議会は声明を出し、トルコ政府に対してイラク北部でのクルディスタン労働者党(PKK)拠点への空爆を停止するよう求めるとともに、PKKに対してはトルコ政府との和平プロセスを継続するよう呼びかけた。

シリア・クルド国民評議会はまた声明を出し、「クルド人民」に対して平和的活動を通じて、西クルディスタン移行期民政局を主導する民主統一党による「武装集団のテロ」に抵抗し、その支配を退けるよう呼びかけた。

AFP, July 28, 2015、AP, July 28, 2015、ARA News, July 28, 2015、Champress, July 28, 2015、al-Hayat, July 29, 2015、Iraqi News, July 28, 2015、Kull-na Shuraka’, July 28, 2015、July 29, 2015、al-Mada Press, July 28, 2015、Naharnet, July 28, 2015、NNA, July 28, 2015、Reuters, July 28, 2015、SANA, July 28, 2015、UPI, July 28, 2015などをもとに作成。

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