2014年2月16日のシリア情勢:国内の暴力

PLOのアンワル・アブドゥルハーディー政治局長はAFP(2月16日付)に「パレスチナ諸派の代表50人以上からなる人民代表団が昨日(14日)、武装集団の退去を確認するためにキャンプに入った…。複数の証拠がほとんどの武装集団がキャンプから撤退したことを示している」と述べ、反体制武装集団がダマスカス県ヤルムーク区のパレスチナ難民キャンプから撤退したことを明らかにした。

代表団はまた、近くヤルムーク区東部でも武装集団退去の確認作業を行うほか、技術チームが24時間以内に入り、爆発物などの処理を行うという。

アブドゥルハーティー政治局長はまた「パレスチナ人武装部隊がキャンプ周辺に展開し、外部の武装集団の侵入を阻止している」と述べる一方、武装集団がタダームン区やダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市方面に移動したことを明らかにした。

またこの作業とシリアの国家機関の復旧が完了次第、人道支援が再開される見込みだと付言した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団などによると、ヤブルード市周辺、リーマー農場、ジャリージール村などが軍の激しい砲撃を受けるとともに、シャームの民のヌスラ戦線、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が軍と交戦した。

またタッル市では、アラブ社会主義連合党民主党の幹部バッサーム・アブドゥルカリーム・バスラ氏が「武装した何者か」に暗殺された。

Kull-na Shuraka', February 16, 2014

Kull-na Shuraka’, February 16, 2014

一方、SANA(2月16日付)によると、ダーライヤー市、ハーン・シャイフ・キャンプ、ドゥーマー市郊外、ハラスター市、アルバイン市、ヤブルード市、リーマー農場、サルハ市、ムシュリファ村南部、アーリヤ農場で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

また軍は、レバノンのアルサール村(ベカーア県)方面から武器弾薬を積んでシリア領内に潜入しようとした反体制武装集団の車輌6輌を破壊した。

これに対し、反体制武装集団はドゥーマー市郊外で、シリア赤新月社の女性職員に発砲、殺害した。

このほか、バイト・サフム市、ヤルダー市、バービッラー市、アクラバー村で、市民数十人が同地での「人民和解」に従い、釈放されるとともに、インフラなどの復興の準備が始まった。

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ヒムス県では、シャーム・ネットワーク(2月16日付)によると、軍がカルアト・ヒスン市、ザーラ村を空爆する一方、ザーラ村で軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、ヒムス県のタラール・バラーズィー県知事は声明を出し、16日に予定されていたヒムス県旧市街からの住民の退避作業に関して、「武装集団」の攻撃によって中止になったと発表した。

これに関して、シリア人権監視団は、ヒムス市バーブ・フード地区、バーブ・トゥルクマーン地区、サフサーファ地区などで軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えたと発表した。

他方、SANA(2月16日付)によると、ヒムス市ワルシャ地区、サフサーファ地区、バーブ・フード地区、マサービグ地区、ワアル地区郊外、ハーリディーヤ村、ダール・カビーラ村、ラスタン市郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ラッカ市でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の車輌に仕掛けられた爆弾が爆発し、ダーイシュ戦闘員2人が死亡した。

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アレッポ県では、シャーム・ネットワーク(2月16日付)によると、アレッポ市旧市街で、軍と反体制武装集団が交戦し、イスラーム戦線がハサル学校一帯を制圧した。

またシリア人権監視団によると、シャイフ・ナッジャール市で軍と反体制武装集団が交戦、軍が「樽爆弾」を投下し、同市の大部分を制圧した。

さらにアレッポ市マサーキン・ハナーヌー地区評議会の救済局長が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の襲撃を受け、死亡した。

このほか、バールーザ村で、ダーイシュがジハード主義反体制武装集団と交戦の末、同村を制圧した。

またアフタリーン市周辺でも、両者が交戦し、ダーイシュの戦闘員1人が死亡したという。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ヒルバト・アームーダー市、ザルズール村、ザンバキー村、ジュマイリーヤ村で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とそれ以外のジハード主義武装集団が交戦した。

またハーミディーヤ航空基地南部、バスィーダー村検問所周辺では軍とジハード主義武装集団が交戦した。

一方、SANA(2月16日付)によると、アラー村、イドリブ中央刑務所街道などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(2月16日付)によると、「人民和解中央委員会」を通じて72人の反体制活動家が投降、祖国と国民の安全に抵触しないことを宣誓後、釈放された。

72人のうち37人がジャッバー村、23人がジャバーター・ハシャブ村、8人がハーン・アルナバ市、2人がマスハラ村、2人がバイト・ジン村で投降したという。

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ダルアー県では、SANA(2月16日付)によると、ダルアー市旧税関地区など、アトマーン村、アブ・カートゥーラ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県ではSANA(2月16日付)によると、ダイル・ザウル市ラシュディーヤ地区、工業地区、ハウィーカ地区、旧空港地区、ウルフィー地区、労働者住宅地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またダイル・ザウル市ムワッザフィーン地区では、反体制武装集団が市民1人を射殺した。

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ハサカ県では、SANA(2月16日付)によると、タッル・ハミース市のサイロから小麦を略奪しようとした反体制武装集団を軍が撃退した。

AFP, February 16, 2014、AP, February 16, 2014、Champress, February 16, 2014、al-Hayat, February 17, 2014、Iraqinews.com, February 16, 2014、Kull-na Shuraka’, February 16, 2014、Naharnet, February 16, 2014、NNA, February 16, 2014、Reuters, February 16, 2014、Rihab News, February 17, 2014、SANA, February 16, 2014、UPI, February 16, 2014などをもとに作成。

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