ダルアー市でシリア・ロシア軍がアル=カーイダ系のシャーム解放機構などからなる反体制武装集団への攻撃を再開(2017年6月20日)

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍部隊が、ダルアー市西部・北西部と同氏東部・北東部の反体制武装集団(アル=カーイダ系組織のシャーム解放機構などからなる反体制武装集団)支配地域を分断するべく、ダルアー市西部郊外のサイーリーヤ丘、防空大隊基地一帯に進軍し、反体制武装集団と激しく交戦、同地を制圧した。

しかし、「堅固な建造物」作戦司令室はこれを撃退、同地を再制圧したという。

シリア軍はまた、ダルアー市内各所(マンシヤ地区など)で、シャーム解放機構が主導する「堅固な建造物」作戦司令室と交戦、同地に「樽爆弾」55発を投下、地対地ミサイルと思われる砲弾17発を発射した。

また戦闘機が20回以上にわたり空爆を実施した。

ダルアー市一帯での戦闘激化に関して、クッルナー・シュラカー(6月20日付)は、ロシア軍戦闘機が「堅固な建造物」作戦司令室の支配下にあるマンシヤ地区、ガザル刑務所一帯への空爆を再開し、反体制武装集団戦闘員1人とその妻が死亡したと伝えた。

また、ロシア軍の空爆再開を受けるかたちで、シリア軍ヘリコプターもダルアー市内各所に対して「樽爆弾」8発を投下したと付言した。

一方、県北部のラジャート高原(ナジーフ村・ハーミル村間)の街道では、シャーム解放機構のアブー・ムサンナー・マジャーリーシュ司令官が乗った車の近くで爆弾が爆発し、同氏が死亡した。

ダルアー市では、17日にロシア、米国、ヨルダンの仲介によりシリア軍と南部戦線の停戦が発効し、南部戦線と連携する「堅固な建造物」作戦司令室もこれに同調、「国民和解」に向けたプロセスが加速するかに見えていた。

Kull-na Shuraka’, June 20, 2017

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ダマスカス県では、クッルナー・シュラカー(6月20日付)によると、ジャウバル区でシリア軍が反体制武装集団(ラフマーン軍団など)と交戦した。

一方、SANA(6月20日付)によると、ダマスカス郊外県東グータ地方で活動する反体制武装集団がアッバースィーイーン地区、カフルスーサ地区の住宅街を砲撃し、4人が負傷した。

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ダマスカス郊外県では、クッルナー・シュラカー(6月20日付)によると、アイン・タルマー村一帯でシリア軍が反体制武装集団(ラフマーン軍団など)と交戦した。

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ハマー県では、SANA(6月20日付)によると、反体制武装集団がムハルダ発電所を砲撃した。

AFP, June 20, 2017、AP, June 20, 2017、ARA News, June 20, 2017、Champress, June 20, 2017、al-Hayat, June 21, 2017、Kull-na Shuraka’, June 20, 2017、al-Mada Press, June 20, 2017、Naharnet, June 20, 2017、NNA, June 20, 2017、Reuters, June 20, 2017、SANA, June 20, 2017、UPI, June 20, 2017などをもとに作成。

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