BBC:反体制派支配地域で警察活動を行う「自由シリア警察」がアル=カーイダ系のシャーム解放委員会に資金、戦闘員を融通、蛮行に加担(2017年12月4日)

BBCのドキュメンタリー番組「パノラマ」は特集「Jihadis You Pay for」(http://www.bbc.co.uk/programmes/b09j0fql)を放映し、納税者の税金がシリア国内に過激派のために流用されていることを明らかにした。

「パノラマ」によると、英国の支援を受けてシリア国内で活動している「自由シリア警察」(FSP)が、アル=カーイダ系組織などの過激派への資金の横流、戦闘員のリクルート、住民らに対する蛮行に関与しているという。

BBC, December 4, 2017

「自由シリア警察」は、アレッポ県、イドリブ県、ダルアー県における反体制派支配地域での警察治安活動を担う組織の一つで、英国のアダム・スミス・インターナショナル社(ASI)が、2014年10月から支援を行っている。

また、英国以外にも5カ国が「自由シリア警察」を支援している。

アダム・スミス・インターナショナル社はこうした事実はないと強く否定している。

「自由シリア警察」は当初、過激派に協力しない非武装の文民警察部隊として組織されることがめざされていた。

だが、「パノラマ」が入手したアダム・スミス・インターナショナル社の文書などから、以下のような実態が明らかになったという:

アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線(現シャーム解放委員会)が運営する法廷に協力し、住民らに対して残忍な刑の執行を行い、「石打の刑」によって女性を死亡させた。

現金を受け取った自由シリア警察の隊員が、活動地域を支配する過激派に資金を提供、2016年7月には、自由シリア警察の隊員に支払われた給与の20%が、ヌールッディーン・ザンキー運動に支払われた。なお、ヌールッディーン・ザンキー運動は、当時米国が支援し、その後アル=カーイダ系のシャームの民のヌスラ戦線と合併し、シャーム解放委員会を結成した(その後、シャーム解放委員会から離反)。

自由シリア警察の隊員がヌスラ戦線にリクルートされた。

死亡者や架空の人物に自由シリア警察の給与が支払われていた。

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なお、英国政府は、この番組の放映と前後して、対外支援プロジェクトを中止したという。

BBC(12月4日付)が伝えた。

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一方、アレッポ県の自由警察のアディーブ・シャッラーフ所長は、ドゥラル・シャーミーヤ(12月4日付)に対して、「英国による自由警察への支援は完全に停止されたのではなく、一時的に停止されただけだ…。自由警察以外のいかなる軍事組織にも資金は流れていない…。自由警察は4年にわたり、ドナーからの条件を守っている」と反論した。

al-Durar al-Shamiya, December 4, 2017

AFP, December 4, 2017、ANHA, December 4, 2017、AP, December 4, 2017、ARA News, December 4, 2017、BBC, December 4, 2017、Champress, December 4, 2017、al-Durar al-Shamiya, December 4, 2017、al-Hayat, December 5, 2017、al-Mada Press, December 4, 2017、Naharnet, December 4, 2017、NNA, December 4, 2017、Reuters, December 4, 2017、SANA, December 4, 2017、UPI, December 4, 2017などをもとに作成。

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