ハイダル国民和解担当国務大臣「流血を避けるため東グータ地方からのシャーム解放機構を受け入れたい」(2017年12月18日)

アリー・ハイダル国民和解担当国務大臣(シリア民族社会党インティファーダ派)は報道無形声明を出し、そのなかで、ダマスカス郊外県東グータ地方で活動を続けているシャーム解放機構の戦闘員のイドリブ県への退去に関して、「流血を認めるため受け入れたい」との意向を示した。

シャーム解放機構の退去は、12月上旬に、ロシアがラフマーン軍団やイスラーム軍との間で合意していたもの。

だが、組織内で退去の是非をめぐる対立が続いており、合意は履行されていない。

東グータ地方は、ラフマーン軍団、イスラーム軍、シャーム自由人イスラーム運動などが有力だが、シャーム解放機構の戦闘員500人ほどがこれらの武装集団と連携して、活動を続けていた。

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イスラーム軍は声明を出し、シャーム解放機構がダマスカス郊外県東グータ地方で戦闘員多数をイスラーム軍によって殺害されたと主張し、その写真を公開したことに反論、公開された写真は、ホワイト・ヘルメットが依然に撮影した遺体の写真の使い回しで、シャーム解放機構戦闘員の殺害を否定した。

そのうえで、こうした「嘘」を通じて、シャーム解放機構が東グータ地方からの退去を回避しようとしていると批判した。

これに関して、ドゥラル・シャーミーヤ(12月19日付)は、複数の消息筋の話として、イスラーム軍の民間人からなる交渉委員会が、シャーム解放機構と戦闘員の退去についての会合を行ったと伝えた。

この会合で、シャーム解放機構は、イスラーム軍が拘置しているメンバーの釈放を条件に、東グータ地方からの退去に応じる姿勢を示しているが、シャーム解放機構が釈放を求めているメンバーのリストに名を連ねている多くの戦闘員が、イスラーム軍との戦闘ですでに死亡していることに疑念を抱き、戦闘ではなく拘置中に殺害されたと非難、交渉が難航しているという。

AFP, December 18, 2017、ANHA, December 18, 2017、AP, December 18, 2017、ARA News, December 18, 2017、Champress, December 18, 2017、al-Durar al-Shamiya, December 18, 2017、December 19, 2017、al-Hayat, December 18, 2017、al-Mada Press, December 18, 2017、Naharnet, December 18, 2017、NNA, December 18, 2017、Reuters, December 18, 2017、SANA, December 18, 2017、UPI, December 18, 2017などをもとに作成。

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