ダマスカス郊外県では、ドゥラル・シャーミーヤ(4月7日付)などによると、イスラーム軍が退去を拒否する東グータ地方のドゥーマー市に対してロシア・シリア両軍の戦闘機が様々な兵器で爆撃・砲撃した。
複数の現地筋によると、両軍は、ドゥーマー市の住宅街に100回以上の爆撃を実施、50発以上の「樽爆弾」を投下、地対地ミサイルを撃ち込み、少なくとも住民7人が死亡、数十人が負傷したという。
攻撃ではまた、白リン弾も用いられたという。
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こうしたなか、ホワイト・ヘルメット・ダマスカス郊外が現地時間の午後5時頃、フェイスブックのアラビア語のアカウント(https://www.facebook.com/SCDrifdimashq)を通じて、住宅街に対して戦闘機が塩素ガスを用いて爆撃を行い、子供複数を含む住民が呼吸困難の症状を訴えたと発表した。
ホワイト・ヘルメットは約5時間後、ロシア・シリア両軍戦闘機が、塩素ガスによる爆撃を含めて400回以上の爆撃が実施、ヘリコプターが「樽爆弾」70発を投下、このほかミサイル800発以上、クラスター弾40発以上が使用され、550人以上が負傷、うち300人あまりが塩素ガスによって呼吸困難を訴えており、死者数を把握できないと発表した。
ホワイト・ヘルメットはさらにその後、呼吸困難を訴えた住民の数が、1,000人以上に達したと続報を発表、映像や写真多数を公開した。
ホワイト・ヘルメットのフェイスブックの英語版アカウント(https://www.facebook.com/SyriaCivilDef/)でも同様の情報を発信した。
反体制系のDCRN(ダマスカス郊外特派員ネットワーク)もフェイスブックのアカウント(https://www.facebook.com/DCRNNEWS/posts/1225535204248674)を通じて、同様の写真を公開した。
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また、イスラーム軍が運営するクマイト通信(4月7日付)は、テレグラムのアカウントを通じて「ドゥーマー市が化学兵器によって狙われ、市民75人の死亡が確認された」と発表した。
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なお、シリア人権監視団によると、死者は11人、中毒症状を訴えたのは70人、シリア米医療協会(SAMS)よると、二度にわたる塩素ガスでの攻撃での死者数は41人だという。
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なお、RT(4月7日付)は、シリア政府治安筋の話として、「虎」の愛称で知られるスハイル・ハサン准将の指揮のもと、シリア軍がドゥーマー市に対して大規模な作戦を開始したと伝えていた。
これに関して、ドゥラル・シャーミーヤは、スハイル・ハサン准将が「あらゆる種類の武器をもってドゥーマ市を砲撃・爆撃し、焼き討え」と無線で指示しているとされる音声をユーチューブを通じて公開した。
AFP, April 7, 2018、ANHA, April 7, 2018、AP, April 7, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 7, 2018、al-Hayat, April 8, 2018、Kumait Agency, April 7, 2018、Reuters, April 7, 2018、SANA, April 7, 2018、UPI, April 7, 2018などをもとに作成。
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