トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣、フルシ・アカル国防大臣、ハカン・フィダン国家諜報機構(MİT)長官がロシアを訪問し、モスクワでヴラジミール・プーチン大統領、セルゲイ・ラブロフ外務大臣、セルゲイ・ショイグ国防大臣らと会談し、シリア情勢、とりわけイドリブ県の処遇について意見を交わした。
**
チャヴシュオール外務大臣はラブロフ外務大臣との会談後の共同記者会見で、「シリア北部のイドリブ県での軍事的解決は災難をもたらす…。民間人とテロリストを区別しなければならない…。アスタナ会議での決定を遵守し、停戦しなければならない」と主張した。
チャヴシュオール外務大臣は「イドリブ県で過激なテロ集団を無力化することは、トルコ、ロシア、そして地域全体にとって非常に重要だ。これらの組織がトルコ、そしてシリアに駐留するロシアの脅威となってはならない…。ロシアの懸念を払拭し、シリアにおけるロシアの基地への脅威をなくすことが重要だ」とする一方、「過激なテロ手段を根絶するためにイドリブ県全域を攻撃することは、数百万の人々を殺害し、300万ものシリア人を避難民とし、新たな人道災難をもたらすことになる…。イドリブ県を攻撃するのではなく、懸念を払拭し、地域の安定を守るために共に行動すべきだ」と述べた。
これに対する、ラブロフ外務大臣は「我々はシリアでの安定回復と政治プロセスに向けて共に努力をしている…。我々はシリアでテロを撲滅し、和平を実現するために行動する」と強調した。
また、近くロシア、トルコ、そしてイランの首脳会議を開催することを明らかにした。
ドゥラル・シャーミーヤ(8月24日付)、『ハヤート』(8月25日付)などが伝えた。
**
一方、インターファクス(8月24日付)は、ショイグ国防大臣がアカル国防大臣との会談で、イドリブ県の処遇に関してトルコ側に「複数の提案」を行ったと伝えた。
提案の中味については明らかにしなかった。
**
スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表は、9月11~12日にスイスのジュネーブで、シリア国民対話大会で設置合意された制憲委員会について協議するための会合を開くと発表、ロシア、イラン、トルコに参加を呼びかけた。
ロイター通信(8月24日付)が伝えた。
AFP, August 24, 2018、ANHA, August 24, 2018、AP, August 24, 2018、al-Durar al-Shamiya, August 24, 2018、al-Hayat, August 25, 2018、Interfax, August 24, 2018、Reuters, August 24, 2018、SANA, August 24, 2018、UPI, August 24, 2018などをもとに作成。
(C)青山弘之 All rights reserved.