2014年4月7日のシリア情勢:国内の暴力

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市内の「(軍によって)包囲されているブスターン・ディーワーン地区」(反体制勢力支配地域)の修道院でイエズス会のオランダ人修道士、フランス・ヴァン・デル・ルフト(Frans van der Lugt)氏(75歳)が武装集団によって銃殺された。

ARA News, April 7, 2014

ARA News, April 7, 2014

オランダにあるイエズス会修道院は、AFP(4月7日付)に対して、フランス氏は自宅前で頭に2発の銃弾を受けて死亡したことを明らかにした。

フランス氏殺害に関して、SANA(4月7日付)は「武装テロ集団」がフランス氏を「暗殺」したと伝えた。

またシリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、「アサド政権がシリア国民に同情的なすべての人を粛正してきた」としてアサド政権の関与を推定し、「この犯罪の背後にいる者を処罰」すべきだと主張した。

一方、SANA(4月7日付)によると、ヒムス市グータ地区で、関係当局が住民の協力のもと反体制武装集団のアジトを強制捜査し、複数の戦闘員を逮捕、大量の武器弾薬を押収した。

またラスタン市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、カイイム大隊の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

さらにヒムス市旧市街に籠城していた反体制武装集団28人が当局に投降した。

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ラタキア県では、『ハヤート』(4月8日付)によると、複数の反体制活動家が、タシャールマー地方、第45監視塔周辺で反体制武装集団が軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員を要撃し、兵士35人を殺害したと発表した。

シリア人権監視団によると、タシャールマー山周辺で軍、国防隊、アレキサンドレッタ地方解放シリア抵抗運動が、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

また複数の活動家によると、ラタキア市の治安関連集合施設地区、ダーヒヤト・ブーカーの海軍司令部、ジャブラー市周辺、カルサーナ村に反体制武装集団が撃ったグラード・ロケット弾複数発が着弾した。

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クナイトラ県では、スーリヤー・ムバーシル(SLN、4月7日付)によると、4作戦司令室による「アンファール救済タウヒードの暁作戦」開始発表を受けるかたちで、反体制武装集団が、フール村、ヤルザ村の中隊基地入り口で軍と交戦した。

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アレッポ県では、ハラブ・ニュース(4月7日付)によると、シャームの民の合同作戦司令室が、イウティサーム・ビッラー作戦の開始を宣言した。

同作戦は、イラク人民兵が拠点とするアレッポ市ラームーサ地区に近いスーク・ジャバス、ヒクマ学校一帯の制圧を目的とし、すでにムジャーヒディーン軍が同地の多くの建物を制圧したという。

これに対して、軍はヒクマ学校周辺を「樽爆弾」で空爆したという。

またシリア人権監視団によると、アレッポ市ラーシディーン地区で、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が軍、国防隊との戦闘の末、アクラブ地区を制圧したという。

この戦闘で、軍兵士7人、ジハード主義武装集団戦闘員2人が死亡したという。

さらにサフィーラ市近郊のタッラト・スブヒーヤ地方で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と軍が交戦、アイン・アラブ市近郊のカルヒーダ村ではダーイシュと民主統一党人民防衛隊が交戦した。

一方、SANA(4月7日付)によると、アレッポ市ラーシディーン地区、ジャンドゥール地区、ライラムーン地区、ハンダラート・キャンプ、ハーン・トゥーマーン村、シャイフ・ナッジャール市工業団地地区、アフリーン市、アターリブ市、アナダーン市、タームーラ村、カフルジューム村、ジュバイラ村、マアーッラト・アルティーク村、ハーン・アサル村、アウラム・クブラー町、カフルハラブ村、フライターン市、ザバディーヤ村、マンスーラ村、ダーラト・イッザ市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、サラーキブ市各所、ハーミディーヤ航空基地・ヒーシュ村間の国際幹線道路沿いを、軍が「樽爆弾」などで空爆し、ジハード主義武装集団と交戦した。

またハーリム村で未明から、反体制武装集団どうしが燃料の密輸をめぐって武力衝突した。

一方、SANA(4月7日付)によると、カフルタハーリーム町近郊、カフルハーバー村、ラーミー村、マアッリー村、カフルナジド村、ハーミディーヤ村、カフルサフナ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャーム軍団の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ヒヤーリーン町に軍が突入した。

一方、SANA(4月7日付)によると、サラミーヤ市・アフリヤー市回廊で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ジャルマーナー市に迫撃砲弾複数発が着弾し、複数名が死傷する一方、軍がフライラ村、ムライハ市、ドゥマイル市・マイダアー町間、サルハ市、ラアス・アイン市郊外を軍が砲撃・空爆し、反体制武装集団と交戦し、過去2日で民間人12人、反体制武装集団40人以上、軍兵士30人以上が死亡した。

一方、SANA(4月7日付)によると、アドラー市郊外の工業地帯で反体制武装集団を要撃し、イスラーム戦線の戦闘員20人を殲滅、多数を逮捕した。

またムライハ市郊外、アイン・タルマー村、アーリヤ農場、アドラー市ウンマーリーヤ地区、ダーライヤー市、ハーン・シャイフ・キャンプ、ザーキヤ町郊外、フサイニーヤ町郊外、サルハ市郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、ラフマーン軍団、イスラーム軍、ドゥーマ殉教者大隊の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

さらにムウダミーヤト・シャーム市、マダーヤー町では、反体制武装集団戦闘員182人が当局に投降した。

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ダルアー県ではシリア人権監視団によると、ブスラー・シャーム市、ナスィーブ村、ヌアイマ村、サイダー町・ヌアイマ村間を軍が空爆した。

一方、SANA(4月7日付)によると、ワルダート地方、ジーザ町、タイバ町、アトマーン村、ダルアー市ミスリー交差点南部で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(4月7日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, April 7, 2014、AP, April 7, 2014、ARA News, April 7, 2014、Champress, April 7, 2014、Halabnews.com, April 7, 2014、al-Hayat, April 8, 2014、Iraqinews.com, April 7, 2014、Kull-na Shuraka’, April 7, 2014、Naharnet, April 7, 2014、NNA, April 7, 2014、Reuters, April 7, 2014、SANA, April 7, 2014、UPI, April 7, 2014などをもとに作成。

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