大統領選挙をめぐる動き(2014年5月6日)

6月3日に投票が予定されている大統領選挙に立候補を届け出ていたというムハンマド・ハサン・カナアーン大佐を名乗る人物が、ダルアー県で活動すると思われる反体制武装集団がアップしたビデオ映像(http://www.youtube.com/watch?v=jwGurNWdqI4)を通じて、立候補に至る経緯を証言した。

このビデオ映像はユーチューブを通じて公開され、冒頭、軍服を着た3人が登場、うち1人が「タバールク・ラフマーン旅団がシリア・アラブ大統領立候補者の一人を逮捕した」と述べ、カナアーン大佐を名乗る人物に証言を求めた。

カナアーン大佐を名乗る人物は、自身の氏名、階級を述べたうえで、ダマスカス・ダルアー国際幹線道路で「自由シリア軍」のパトロール隊に逮捕されたと明らし、「脅迫され、立候補を強要された」と証言した

カナアーン大佐は、最高憲法裁判所に立候補届を提出した24人の立候補者のなかには含まれていない。

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シリア民族社会党インティファーダ派党首のアリー・ハイダル国民和解問題担当国務大臣はダマスカスで記者会見を開き、6月3日に投票が予定されている大統領選挙に関して、「立候補者を精査した結果、党はアサド大統領を支持する(ことを決定した)…。アサド大統領の立候補はシリア国民としての義務、そして権利であり、いかなる外国勢力も、誰に立候補の資格があり、誰にないのかといったことに介入することは許されない」と述べた。

そのうえで、ハイダル国務大臣は「大統領信任投票をめぐる立場をめぐる相違、さらにはこの問題をめぐる解釈の違い」ゆえ、変革解放人民戦線からの脱退を宣言した。

SANA(5月6日付)が伝えた。

なお、シリア民族社会党インティファーダ派が属していた与党連合の一つである変革解放人民戦線からは、人民意思党(カドリー・ジャミール前経済問題担当副首相、現在モスクワで事実上亡命生活)メンバーを「自称」するマーヒル・アブドゥルハフィーズ・ハッジャール人民議会議員(無所属)が立候補を表明していた。

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ウムラーン・ズウビー情報大臣は、殉教者記念日およびアラブ報道記念日に合わせて、戦死者および取材中に死亡した記者の遺族を招き、慰霊祝典を行った。

祝典でズウビー情報大臣は、6月3日に投票が予定されている大統領選挙について触れ、「大統領選挙はシリア国内で憲法に基づき行われる愛国的な選挙であり、シリア国境の外にいる誰にも関係がない。外国の誰かがこの問題、ないしは純粋に国内的国民的な問題に介入することは受け入れられない」と述べた。

慰霊祝典には、ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官、ヒラール・ヒラール・バアス党シリア地域指導部副書記長、イリヤース・ムラード記者連合総裁らも参列した。

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クッルナー・シュラカー(5月6日付)は、ハサカ県カーミシュリー市で、国民和解委員会が住民にゴミ袋、掃除用具などを無料で配給し、6月3日に投票が予定されている大統領選挙でアサド大統領を支持するよう求めていると報じた。

AFP, May 6, 2014、AP, May 6, 2014、ARA News, May 6, 2014、Champress, May 6, 2014、al-Hayat, May 7, 2014、Iraqinews.com, May 6, 2014、Kull-na Shuraka’, May 6, 2014、Naharnet, May 6, 2014、NNA, May 6, 2014、Reuters, May 6, 2014、SANA, May 6, 2014、UPI, May 6, 2014などをもとに作成。

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