シリア反体制勢力の動き(2014年5月20日)

シャームの民のヌスラ戦線は声明を出し、アジュナード・シャーム・イスラーム連合、シャーム軍団、ムジャーヒディーン軍、フルカーン旅団、イスラーム戦線が17日に共同発表した「名誉憲章」(http://syriaarabspring.info/wp/?p=8332)を拒否するとの意思を示した。

ヌスラ戦線は声明で、「名誉憲章」が外国の圧力のもとに作成・発表され、「正統カリフ」への回帰の阻止を狙う勢力がその背後にいると批判、「自由、公正、安全の実現」という目標についても、「明確なイスラーム的言葉と案をもって修正」するよう求めた。

さらに外国人戦闘員(ムハージリーン)を排除する姿勢を示した点についても「シャームの門戸は、救済(ヌスラ)を望むすべての者に開かれている」と主張し、批判した。

このほか「復讐に依らない幹部らの公正な裁判」を求めた点については、「復讐は合法」と却下した。

またヌスラ戦線のサーミー・ウライディー氏は、イスラーム戦線のハッサーン・アッブード政治委員長とのツイッターでのやりとりのなかで「名誉憲章」を「アッラーの法に反する憲章が…シャリーアに沿うものでないことは明白だ」と述べ、拒否した。

ウライディー氏は、アブー・マーリヤー・カフターニー氏に次ぐヌスラ戦線のシャリーア法学者と目されている、という。

クッルナー・シュラカー(5月20日付)が伝えた。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、アジュナード・シャーム・イスラーム連合、シャーム軍団、ムジャーヒディーン軍、フルカーン旅団、イスラーム戦線が共同発表した「名誉憲章」を受諾するようすべての反体制武装勢力に呼びかけ、支持を表明した。

なお「名誉憲章」を発表したイスラーム戦線などの武装集団は、いわゆる連立および欧米諸国が支援するとしている「穏健な反体制派」には含まれない。

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シリア国民評議会は声明を出し、事務局メンバーのジョルジュ・サブラー事務局長とフサイン・サイイド氏を罷免し、アナス・アルヌート氏とムティーア・バティーン氏を後任に任命したと発表した。

マサール・プレス(5月20日付)によると、サブラー氏は事務局長職も解任される見込みだという。

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シリア革命反体制勢力国民連立のハイサム・マーリフ法務委員長は、カイロでアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長と会談し、連盟の代表ポスト獲得などについて協議した。

マーリフ法務委員長は会談後、「問題は終わった。連盟本部で来月、特別会合が開かれ、代表ポストの引き渡しが協議されるだろう」と述べた。

『ハヤート』(5月21日付)が伝えた。

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ARA News(5月20日付)によると、ハサカ県ダイリーク市の対トルコ国境で、トルコ国境警備隊によるクルド人女性と子供2人射殺(18日)に抗議するデモが行われ、多数の住民が参加した。

AFP, May 20, 2014、AP, May 20, 2014、ARA News, May 20, 2014、Champress, May 20, 2014、al-Hayat, May 21, 2014、Kull-na Shuraka’, May 20, 2014、al-Mada Press, May 20, 2014、Masar Press Agency, May 20, 2014、Naharnet, May 20, 2014、NNA, May 20, 2014、Reuters, May 20, 2014、SANA, May 20, 2014、UPI, May 20, 2014などをもとに作成。

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