OPCW執行理事会は2017年3月のハマー県ラターミナ町でシリア軍が行ったとされる化学兵器攻撃を非難(2020年7月9日)

化学兵器禁止機関(OPCW)はオランダのハーグで9日に開催された執行理事会で、2017年3月にハマー県ラターミナ町でシリア軍が行ったとされる化学兵器攻撃を非難し、化学兵器の即時使用停止を要求する決議(EC-94/DEC.2)を採択した。

決議は、OPCWが4月8日に公開した調査識別チーム(IIT)の第1回報告書(技術事務局覚書(S/1867/2020))が、2017年3月24、25、30日にハマー県ラターミナ町で発生した事件に関して、シリア軍の攻撃によるものと特定したことを踏まえたもの。

決議ではまた、シリア政府に対して、90日以内に保有するすべての化学兵器、およびその製造・格納場所を申告するよう求めることを決定。

従わない場合、11月末に始まる締約国会議に対応を決めるよう勧告するとした。

執行理事会は193カ国・地域の締約国のうち41カ国で構成。

決議ではロシア、中国、イランが反対票を投じ、9カ国が棄権した。

AFP, July 10, 2020、ANHA, July 10, 2020、AP, July 10, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 10, 2020、Reuters, July 10, 2020、SANA, July 10, 2020、SOHR, July 10, 2020、UPI, July 10, 2020などをもとに作成。

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『シャルク・アウサト』:マーヒル・アサド少将に近い士官7人が相次いで死亡(2020年7月9日)

『シャルク・アウサト』(7月9日付)は、マーヒル・アサド少将に近い士官の暗殺が相次いでいる、と伝えた。

同紙によると、この2週間で准将5人、大佐2人が相次いで死亡していると伝えた。

暗殺された士官は以下の通り:

アリー・ジュムブラート大佐:アサド少将の護衛。7月4日、ダマスカス郊外県ヤアフール町の自宅前で射殺される。

ジハード・ザアル准将:空軍情報部東部地区(ダイル・ザウル県、ハサカ県)支部長。イラン・イスラーム革命防衛隊に近いとされる。7月4日深夜から7月5日未明にかけて、護衛複数人とともに殺害される。

サーイル・ハイル・ビーク准将:空軍情報部。7月5日、ダマスカス県ザーヒラ地区の自宅前で射殺。

ニザール・ザイダーン大佐:7月6日、ダマスカス郊外県バラダー渓谷で、乗っていた車が爆弾の爆発に巻き込まれて死亡。

マアン・イドリース准将:アサド少将に近いとされる。7月1日、ダマスカス県マシュルーウ・ドゥンマル地区の自宅前で射殺される。

スーマル・ディーブ准将:サイドナーヤー刑務所の捜査官。6月29日、ダマスカス県ティジャーラ地区の自宅前で射殺される。

なお、このほかに、7月2日、軍事工科アカデミーのハイサム・ウスマーン准将が、新型コロナウイルスに感染後に死亡したとされる。

AFP, July 9, 2020、ANHA, July 9, 2020、AP, July 9, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 9, 2020、Reuters, July 9, 2020、SANA, July 9, 2020、SOHR, July 9, 2020、UPI, July 9, 2020などをもとに作成。

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アサド大統領のいとこでビジネスマンのマフルーフ氏はフェイスブックで社員の家族(女性たち)が不当に逮捕されていると不満を表明(2020年7月9日)

アサド大統領のいとこでビジネスマンのラーミー・マフルーフ氏は、自身のフェイスブックの公式アカウント(https://www.facebook.com/RamiMakhloufSY/)にメッセージを投稿し、社員の家族(女性たち)が不当に逮捕されていると不満を表明した。

マフルーフ氏がメッセージを投稿するのは1ヶ月半ぶり。

https://www.facebook.com/RamiMakhloufSY/posts/2659700770798827?__xts__%5B0%5D=68.ARAKfmdiwSH8atxR1A5nc8AZpW0MFYxW5ZGntudC5o5q4w89XUCD8VJHIUTdfM33aR7bsGM-rsBAE1-as8paCEooLtyRhCScSmDj8MdFG6ic2Wpa-MvGMc3NTkGWPaqxky3aLXsJ7iLZ4bWiLtW8fJ7ssJg2y1N_jU66dvqc1Wwmkf4a2rkXsNLRv2pgDRR6PKmKwSZYhJA98s1nhvD2TkKk4iQ2b90yXdJ8YBLBCNvaG5tW2h3ztDxCSYrM-g7HM-5k-HMVBn_YCzOBzHtMj85Lafy94OAJGic34MZxWo1KiJrtXmJolizOSLM1cM5jHPPAMOXUSoNS_0j7vP5gUw&__tn__=-R

メッセージの内容(全訳)は以下の通り:

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「過去6ヶ月間、我々の社員たち一人一人への治安当局による逮捕が止まらない。第一線で活躍する男たちのほとんどを逮捕した。私のもとには女性しか残っていない。奴らは欲しかったものが手に入れられなかった末、すなわち我々が服従せず、彼らに譲歩しなかったことを受けた行動だ。彼らが我々に対してあらゆる措置を講じ、我々のすべての会社、我々のすべての口座、我々のすべての財産を差し押さえても、それに飽き足らず、恣意的な決定によって多くの会社を閉鎖し、社員数百人を解雇し、残された会社が、通常の法律に沿って事業を行うのを阻止した。解散を決定した会社のなかには、ヌール・マイクロファイナンス社も含まれている。同社は、低所得者の生活を楽にするため、ソフトローンを通じた支援を行ってきた。支援を必要とする人々に対する我々のあらゆる支援を禁止し、現物ないしは現金による支援を行うすべての道を閉ざしたうえで、(ヌール・マイクロファイナンス社は)逮捕の苦しみに晒された。これら一連の違法で異常な措置を講じても、治安機関はこれに飽き足らず、我々の組織に所属する女性たちを一人ずつ逮捕し、圧力をかけ始めた。男たちは脅迫を受けて、捏ち上げの証言によって、不正な通貨取引を行ったという嫌疑をかけられている。その狙いは、我々の評判を貶めることにある。一方、女性たちに対しては、さまざまな方法を命じて、要求を呑ませようとしている…。これこそ最上のハラームなのではないか?! 法はどこにあるのか?! 制度はどこにあるのか?! 無垢な人々を守る憲法はどこにあるのか?! テロリストになったから、こんな風に振る舞い、不当に何週間も拘束されているとでも言うのか。彼らは皆、評判が良く、高い道徳と秀でた愛国心を持っている。何のためにこうしたことをしているのか?! 我々に圧力をかけて、貧しい人々や支援を必要とする人々のために確保してきた我々の財産を譲渡させるためか。

我々は彼らにこう言いたい。「あなた方は僕たちに不義を行うのを恐れていないのか?」

「僕たちの主を恐れていないのか? アッラーの言葉が聞こえないのか。

『汝らの主は、自らの僕たちに不義を行うことはない』。

正しきアッラーの僕たちに、よくも不義を行っているものだ?!

あなた方の不義は大それてはいるが、アッラーの方が偉大だ。

崇高にして偉大なるアッラーの他に全能なる力はない」。

 

注:この書き込みにコメントしないで欲しい。治安当局がコメントをする人を追跡し、圧力を受けるか、逮捕されることになる。」

AFP, July 9, 2020、ANHA, July 9, 2020、AP, July 9, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 9, 2020、Reuters, July 9, 2020、SANA, July 9, 2020、SOHR, July 9, 2020、UPI, July 9, 2020などをもとに作成。

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シャーム解放機構支配下のイドリブ県で初の新型コロナウイルス感染者が確認される(2020年7月9日)

イドリブ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(7月9日付)やシリア人権監視団によると、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握るバーブ・ハワー国境通行所に設置されているバーブ・ハワー病院の事務局は、勤務する医師1人の新型コロナウイルスの感染が確認され、病院を閉鎖、患者、医師、職員らを隔離したと発表した。

感染が確認された医師の氏名はマフムード・サーイフ氏。

1週間ほど前にトルコからイドリブ県に入り、5日前から発症、検査の結果9日に感染が確認され、この間、院内で数十人と濃厚接触していたという。

シャーム解放機構支配下の「解放区」で感染者が確認されたのは今回が初めて。

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自由イドリブ保健局は、バーブ・ハワー国境通行所の病院で新型コロナウイルス感染者が確認されたことを受けて声明を出し、「解放区」内のすべての病院、医療センターでの外科手術と外来診察を1週間休止することを決定、職員に対して予防対策の徹底を要請した。

AFP, July 9, 2020、ANHA, July 9, 2020、AP, July 9, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 9, 2020、July 10, 2020、Reuters, July 9, 2020、SANA, July 9, 2020、SOHR, July 9, 2020、UPI, July 9, 2020などをもとに作成。

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イドリブ市、サルキーン市で反体制デモ(2020年7月9日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ市で8日深夜、体制打倒、「革命」継続、シリア政府の刑務所に拘置されている逮捕者の釈放を求めるデモが行われた。

また、サルキーン市で避難生活を送るハマー県からの国内避難民(IDPs)がデモを行い、周辺国からシリアへの越境人道支援の期間を延長するための国連安保理決議案に対するロシアの拒否権発動に抗議するとともに、逮捕者の釈放を訴えた。

AFP, July 9, 2020、ANHA, July 9, 2020、AP, July 9, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 9, 2020、Reuters, July 9, 2020、SANA, July 9, 2020、SOHR, July 9, 2020、UPI, July 9, 2020などをもとに作成。

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ロシア軍とトルコ軍がアイン・アラブ(コバネ)市近郊の国境地帯で合同パトロール(2020年7月9日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍とトルコ軍がアイン・アラブ(コバネ)市近郊の国境地帯で合同パトロールを実施した。

AFP, July 9, 2020、ANHA, July 9, 2020、AP, July 9, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 9, 2020、Reuters, July 9, 2020、SANA, July 9, 2020、SOHR, July 9, 2020、UPI, July 9, 2020などをもとに作成。

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国連ジュネーブ事務局シリア常駐代表は米国、イスラエル、トルコが、ドローンによる軍事攻撃や国家テロを激化させていると非難(2020年7月9日)

国連ジュネーブ事務局シリア常駐代表のフサームッディーン・アーラーン大使は、ジュネーブで開催された人権理事会での会合で、米国、イスラエル、トルコが、無人航空機(ドローン)による軍事攻撃や国家テロを激化させていると非難した。


SANA(7月9日付)が伝えた。

AFP, July 9, 2020、ANHA, July 9, 2020、AP, July 9, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 9, 2020、Reuters, July 9, 2020、SANA, July 9, 2020、SOHR, July 9, 2020、UPI, July 9, 2020などをもとに作成。

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シリアへの越境人道支援をバーブ・ハワー国境通行所に限定するとしたロシアの安保理決議案が米英仏独、ベルギーなどの反対で廃案に(2020年7月9日)

国連安保理は、周辺国からシリアへの越境人道支援をイドリブ県のバーブ・ハワー国境通行所経由に限定して、1年間延長するとしたロシアの決議案が、米国、英国、フランス、ドイツ、ベルギー、エストニア、ドミニカ共和国の7カ国が反対で、廃案となった。

ロシア、中国、ベトナム、南アフリカの4カ国は賛成、チュニジア、ニジェール、インドネシア、セントビンセント・グレナディーンの4カ国は棄権した。

なお、7日に決議案をロシアと中国の拒否権発動によって否決されたドイツとベルギーは、国境通行所を2カ所に維持したままで、延長期間を6ヶ月とする新たな決議案を提出する予定。

AFP, July 9, 2020、ANHA, July 9, 2020、AP, July 9, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 9, 2020、Reuters, July 9, 2020、SANA, July 9, 2020、SOHR, July 9, 2020、UPI, July 9, 2020などをもとに作成。

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イドリブ県でシリア軍と「決戦」作戦司令室が交戦(2020年7月9日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから126日目を迎えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のカンスフラ村、バーラ村、スフーフン村、ファッティーラ村、バイニーン村、ダイル・サンバル村、ルワイハ村、マンタフ村、サルジャ村を砲撃し、ファッティーラ村などで交戦した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

一方、トルコ軍は、兵站物資を積んだ車輌約70輌をカフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に新たに進入させた。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、麻薬密輸業者1人がダルアー市のダム街道地区の路上に仕掛けられていた爆弾の爆発に巻き込まれて、死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を7件(イドリブ県1件、ラタキア県3件、アレッポ県3件、ハマー県0件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を1件(イドリブ県0件、ラタキア県1件、アレッポ県0件、ハマー県0件)確認した。

AFP, July 9, 2020、ANHA, July 9, 2020、AP, July 9, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 9, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, July 9, 2020、Reuters, July 9, 2020、SANA, July 9, 2020、SOHR, July 9, 2020、UPI, July 9, 2020などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民34人が新たに帰還、2018年半ば以降帰還した難民は581,545人に(2020年7月9日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(7月9日付)を公開し、7月8日に難民34人(うち女性10人、子供17人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民34人(うち女性10人、子供17人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は581,545人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者186,297人(うち女性56,029人、子ども94,739人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,701,661人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は810,825人(うち女性243,305人、子供413,230人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, July 9, 2020をもとに作成。

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