ロシアが支援する第5軍団の教練修了式で戦闘員らが体制打倒、「イランの民兵」排斥を訴える(2020年7月29日)

HFL(7月29日付)は、シリア軍第5軍団の兵士数百人が、ダルアー県ブスラー・シャーム市で行われた教練修了式後の祝典で、体制打倒、「イランの民兵」排除、逮捕者釈放を連呼したと伝え、その映像を公開した。

教練修了式は、ロシアの支援を受けるシリア軍第8師団の監督のもとに教練を終えた約1,000人が参加した。

第5軍団は、ロシアの支援のもとにシリア政府と和解した元反体制武装集団の戦闘員を動員して結成された部隊。

AFP, July 29, 2020、ANHA, July 29, 2020、AP, July 29, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 29, 2020、HFL, July 29, 2020、Reuters, July 29, 2020、SANA, July 29, 2020、SOHR, July 29, 2020、UPI, July 29, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米国はシーザー・シリア市民保護法の一環として「ハマー・マアッラト・ヌウマーン制裁」と銘打って、アサド大統領の長男ら14の個人・団体を新たに制裁対象に(2020年7月29日)

マイク・ポンペオ米国務長官は記者会見を開き、シーザー・シリア市民保護法にかかるシリア制裁の一環として、「ハマー・マアッラト・ヌウマーン制裁」と銘打って14の個人・団体を新たに制裁対象としたと発表した(https://home.treasury.gov/news/press-releases/sm1072)。

新たな制裁にハマー市とマアッラト・ヌウマーン市(イドリブ県)というシリアの都市名をつけたのは、「2011年と2019年に発生した、アサド体制によるもっとも悪名高い2件の残虐行為を記憶に留める」ためだという。

ポンペオ国務長官は「9年前、バッシャール・アサドの軍隊は、ハマー市に対する野蛮な包囲を実行し、その後に起きることをおぞましくも予兆するかのように、平和的に抗議を行っていた数十人もの人々を殺害した。1年前、アサド体制とその同盟者はマアッラト・ヌウマーン市のにぎやかな市場を爆撃し、無垢のシリア人42人を殺害した」と述べ、シリア軍を「蛮行、抑圧、腐敗のシンボル」と非難、以下の個人・団体を制裁対象とすると表明した。

大統領令第13894号2(a)(i)(A)に基づく制裁

ズハイル・タウフィーク・アサド(シリア軍第1師団司令官)
シリア軍第1師団

大統領令第13984号2(a)(ii)に基づく制裁

カラーム・アサド(ズハイル・タウフィーク・アサドの息子)
ハーフィズ・アサド(アサド大統領の長男)

なお、ポンペオ国務長官は、アサド大統領も引き続き制裁対象となったことを強調した。

 

**

米財務省(https://home.treasury.gov/news/press-releases/sm1072)によると、新たに制裁対象となった14の個人・団体は以下の通り。

個人

1. ハーフィズ・アサド(アサド大統領の長男)
2. ズハイル・タウフィーク・アサド(第1師団司令官)
3. カラーム・アサド(ズハイル・タウフィーク・アサドの息子)
4. ワスィーム・アンワール・カッターン(ビジネスマン)

団体

5. シリア軍第1師団
6. アーダム通商投資LLC(カッターンが経営に関与)
7. ジャラー・ホテル(カッターンが経営に関与)
8. インターセクションLLC(カッターンが経営に関与)
9. ラールーサー家具(カッターンが経営に関与)
10. マーサ・プラザ・モールl(カッターンが経営に関与)
11. ムルージュ・シャーム投資観光グループ(カッターンが経営に関与)
12. カシオン・モール(カッターンが経営に関与)
13. ワスィーム・カッターンLLC(カッターンが経営に関与)
14. ヤルバガー・コンプレクス(カッターンが経営に関与)

なお、サミーヤ・サービル・ハムシューは制裁リストから削除された。

AFP, July 29, 2020、ANHA, July 29, 2020、AP, July 29, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 29, 2020、Reuters, July 29, 2020、SANA, July 29, 2020、SOHR, July 29, 2020、UPI, July 29, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イラン国会はイラン、イラク、そしてラタキア市を結ぶ鉄道建設プロジェクトを承認(2020年7月29日)

イランのファルス通信(7月29日付)は、イランの国会(イラン・イスラーム議会)の建設委員会は、イラクを経由してイラン西部とシリアのラタキア県ラタキア市を結ぶ鉄道建設プロジェクトを承認したと伝えた。

イランのモジュタビー・ヨセフィー議員によると、承認されたプロジェクトは、イランのサルジャマ市(場所不明)、イラクのバスラ市、シリアのラタキア市を結ぶものだという。

AFP, July 29, 2020、ANHA, July 29, 2020、AP, July 29, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 29, 2020、FARS, July 29, 2020、Reuters, July 29, 2020、SANA, July 29, 2020、SOHR, July 29, 2020、UPI, July 29, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イドリブ県の反体制派がトルコの計画に従いアゼルバイジャンに向かう準備を開始する一方、シャーム解放機構はリビア行きを拒否したフッラース・ディーン機構の外国人戦闘員を逮捕(2020年7月29日)

ANHA(7月29日付)は、複数の独自筋の話として、シャーム解放機構が軍事・治安権限を握るイドリブ県で活動する反体制派戦闘員が、トルコの計画に従って、アゼルバイジャンに向かう準備を開始したと伝えた。

同独自筋によると、この動きは、トルコのフルシ・アカル国防大臣が、7月13日から続くアルメニアとアゼルバイジャンの軍事的緊張に関して、アゼルバイジャンを支持すると表明したのに伴うもの。

戦闘員数十人からなる第1陣は、犠牲祭(イード・アドハー)明けにトルコ領内に入り、そこからアゼルバイジャンに向かうという。

派遣される戦闘員には5,000米ドルの報酬が支払われるという。

**

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構が、フッラース・ディーン機構に所属する「沿岸軍」のファドル・リービーを名乗る司令官と、外国人戦闘員5人を逮捕した。

逮捕された6人は、トルコからリビアに転戦することを指示されたが、これを拒否していたという。

AFP, July 29, 2020、ANHA, July 29, 2020、AP, July 29, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 29, 2020、Reuters, July 29, 2020、SANA, July 29, 2020、SOHR, July 29, 2020、UPI, July 29, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米軍がマーリキーヤ市(ハサカ県)近郊の街道に検問所を設置(2020年7月29日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、シリア領内に違法に基地を設置し、駐留を続ける米軍がマーリキーヤ(ダイリーク)市近郊の街道に検問所を設置した。

ロシア軍部隊の通行を阻止するのが目的。

一方、ANHA(7月29日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がタッル・タムル町近郊のタウィーラ村を砲撃した。

AFP, July 29, 2020、ANHA, July 29, 2020、AP, July 29, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 29, 2020、Reuters, July 29, 2020、SANA, July 29, 2020、SOHR, July 29, 2020、UPI, July 29, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

北・東シリア自治局は新型コロナウイルス感染症対策としてジャズィーラ地域で再び外出禁止令を発出(2020年7月29日)

北・東シリア自治局の執行評議会は決定第86号を施行し、新型コロナウイルス感染拡大に対処するため、7月30日から10日間、ジャズィーラ地域で外出禁止令を発出した。

この間、ジャズィーラ地域内外への移動は、商業目的を除いて禁止されるとともに、スポーツ施設、式場、カフェの営業、市内の旅客バスでの移動が禁止される。

**

また、北・東シリア自治局ジャズィーラ地域の危機対策チームは域内での新型コロナウイルス感染者が8人に増加、数十人に感染の疑いがあることを明らかにしたうえで、7月30日から外出禁止令を発出することを決定した。

さらに、北・東シリア自治局ユーフラテス地域の宗教機構は声明を出し、犠牲祭、金曜日の集団礼拝、モスク内での集会を中止すると発表した。

AFP, July 29, 2020、ANHA, July 29, 2020、AP, July 29, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 29, 2020、Reuters, July 29, 2020、SANA, July 29, 2020、SOHR, July 29, 2020、UPI, July 29, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシアのラヴレンティフ大統領特使とヴェルシニン外務副大臣がシリアを訪問し、アサド大統領と会談(2020年7月29日)

ロシアのアレクサンドル・ラヴレンティフ・シリア問題担当大統領特使とロシアのセルゲイ・ヴェルシニン外務副大臣がシリアを訪問し、アサド大統領と会談した。

SANA(7月29日付)では、シリア情勢の進捗、とりわけ、一部諸外国による政治、経済面でのシリアに対する敵対的な政策、これらの諸国による「テロ組織」支援、そしてこれらがもたらすシリア人の生活および地域全体への脅威への対応について意見が交わされた。

会合ではまた、8月にスイスのジュネーブで予定されている制憲委員会会合の準備について話し合われた。

両国は、二国間関係の維持・強化、一部諸外国による制裁に伴うシリア国民への負担軽減に向けた努力を行うことなどを確認した。

会合には、アリー・マムルーク国民安全保障会議議長、アイマン・スーサーン外務在外居住者省次官、ラウナ・シブル大統領府政治報道局長、アレクサンドル・エフィモフ駐シリア・ロシア大使が同席した。

**

オマーンのスルターン・ハイサム・ビン・ターリク国王は、イスラーム教の犠牲祭(イード・アドハー)に合わせて、アサド大統領に祝辞を送り、両国間関係を継続する意思を示した。

AFP, July 29, 2020、ANHA, July 29, 2020、AP, July 29, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 29, 2020、Reuters, July 29, 2020、SANA, July 29, 2020、SOHR, July 29, 2020、UPI, July 29, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米占領下のタンフ国境通行所から潜入した革命特殊任務軍メンバー2人を当局が逮捕(2020年7月29日)

ヒムス県では、SANA(7月29日付)によると、関係当局が米主導の有志連合の占領下にあるタンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)からカルヤタイン市に潜入しようとしたオートバイに乗った2人組を逮捕、所持していた武器、装備を押収した。

逮捕されたのは、ムハンマド・ドゥフール氏とアブドゥッラー・フーヤーン・シャーリーシュ氏。

いずれも米軍の支援を受ける革命特殊任務軍のメンバー。

AFP, July 29, 2020、ANHA, July 29, 2020、AP, July 29, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 29, 2020、Reuters, July 29, 2020、SANA, July 29, 2020、SOHR, July 29, 2020、UPI, July 29, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

保健省は政府支配地域で新たに23人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者9人が完治したと発表(2020年7月29日)

保健省は政府支配地域で新たに23人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者9人が完治したと発表した。

これにより、7月29日現在の同地での感染者数は計717人、うち死亡したのは40人、回復したのは229人となった。

SANA(7月29日付)が伝えた。

AFP, July 29, 2020、ANHA, July 29, 2020、AP, July 29, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 29, 2020、Reuters, July 29, 2020、SANA, July 29, 2020、SOHR, July 29, 2020、UPI, July 29, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イドリブ県M4高速道路でのロシア・トルコ軍の合同パトロールが2日連続で中止に(2020年7月29日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから146日目を迎えた。

**

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市とラタキア市を結ぶM4高速道路で予定されていたロシア軍とトルコ軍による合同パトロールが中止された。

パトロールは28日にも中止されていた。

中止の理由は不明だが、28日は沿線一帯にトルコ軍が展開し、安全確保に努めていた。

一方、シリア軍は「決戦」作戦司令室支配下のザーウィヤ山地方のカンスフラ村、アイン・ラールーズ村、バーラ村、マウザラ村、バルユーン村、ウライニバ村、マアーッラト・ナアサーン村、ファッティーラ村、スフーフン村、カフル・ウワイド村を砲撃、バルユーン村で住民4人が負傷した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

シリア軍が撃った砲弾は200発以上に及んだ。

これに対して、「決戦」作戦司令室はシリア政府支配下のカフルナブル市を砲撃した。

**

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、サフム・ジャウラーン村で軍事情報局の士官(少尉)が武装集団の襲撃を受けて死亡した。

**

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を3件(イドリブ県2件、ラタキア県0件、アレッポ県1件、ハマー県0件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を確認しなかった。

AFP, July 29, 2020、ANHA, July 29, 2020、AP, July 29, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 29, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, July 29, 2020、Reuters, July 29, 2020、SANA, July 29, 2020、SOHR, July 29, 2020、UPI, July 29, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア難民受入移送居住センター:難民97人が新たに帰還、2018年半ば以降帰還した難民は582,951人に(2020年7月29日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(7月29日付)を公開し、7月28日に難民97人(うち女性29人、子供50人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民97人(うち女性29人、子供50人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は582,951人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者187,703人(うち女性56,451人、子ども95,456人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,703,660人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は812,231人(うち女性243,727人、子供413,947人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, July 29, 2020をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.