イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月22日)

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シリア国内の動き

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が対トルコ国境のアアザーズ市近郊に位置するアクサール村とマアラーン村で、シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦し、両村を制圧した。

これに対して、軍はフライターン市、ジャバル・アッザーン村、バラース村、アッサーン村、アブティーン村・ハーディル村分岐点、バヤーヌーン町を「樽爆弾」などで空爆した。

なお同監視団によると、この戦闘で、米国製のハンヴィー(HMMWV:High Mobility Multipurpose Wheeled Viechle、高機動多用途装備輪車両)が初めて使用されたという。

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ハサカ県では、ARA News(6月22日付)によると、シリア軍が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)によって占拠されているカーミシュリー南部のタッル・ハミース村、タッル・ブラーク町などを砲撃した。

またこれを受け、カーミシュリー市ハラーリーヤ地区に何者かが撃った迫撃砲弾2発が着弾した。

これに関して、SANA(6月22日付)は、カーミシュリー市郊外のタッル・サティーフ村、タッル・ハミース村にある「テロリスト」の拠点を軍が攻撃し、武器庫を破壊したと報じた。

また、シリア人権監視団によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がカッリー・バッリー村近郊で交戦した。

またハブーワ村、カッリー・マルキー村一帯に展開していたダーイシュは、人民防衛隊の攻勢を受け撤退、さらにムハンマド・ズィヤーブ村では、人民防衛隊がダーイシュの車列を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がダイル・ザウル市とハトラ村を結ぶユーフラテス川の中州ハウィージャト・サクルの通行所を閉鎖した。

イラク国内の戦況

アンバール県では、マダー・プレス(6月22日付)が報じたところによると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がヨルダン国境に近いラトバ郡、カーイム市のリン酸塩工場を制圧した。

制圧に際して、イラク軍との戦闘はなかったという。

一方、ラマーディー市北東部のマーヒディーヤ地方で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と治安部隊が交戦、ダーイシュ戦闘員6人が死亡した。

またイラク内務省によると、ファッルージャ市のサクラーウィーヤ橋でイラク軍第8師団がダーイシュの司令官ハーミド・イスマーイール・スバイヒー氏を含む4人を殺害することに成功した。

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サラーフッディーン県では、マダー・プレス(6月22日付)が報じたところによると、ティクリート市東部に対するイラク軍ヘリコプターの空爆で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員32人が死亡した。

また、ドゥジャイル郡南部のナバーイー地方で、部族(スンナ派)民兵がダーイシュと交戦し、ダーイシュ戦闘員4人を殺害した。

さらに、アラム地区では、イラク軍と部族民兵の合同部隊がダーイシュと交戦し、ダーイシュ戦闘員2人を殺害、3人を逮捕した。

なおこの戦闘で、サラーフッディーン県女性問題担当顧問のナージー・ジャッバーラ氏も死亡した。

このほか、サーマッラー市・バラド市を結ぶ街道で、ダーイシュとの戦闘によって殺害された治安部隊および義勇兵の遺体17体が発見された。

一方、トウズ・フールマートゥー郡のシャッラール・アブドゥール首長は、同郡でのイラク・クルディスタン地域ペシュメルガとダーイシュの戦闘で、ペシュメルガ戦闘員2人、ダーイシュ戦闘員14人を含む21人が死亡した、と発表した。

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バービル県では、マダー・プレス(6月22日付)が報じたところによると、県北部のイスカンダリーヤ地区で治安部隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦し、ダーイシュ戦闘員9人を殺害した。

またジュルフ・サフル地区各所での戦闘でもダーイシュ戦闘員25人が死亡したという。

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イラク内務省は、サラーフッディーン県アズィーム村郊外で、対空兵器を搭載したサウジ・ナンバーの車輌複数台をイラク軍第5機械化師団の部隊が攻撃、破壊したと発表した。

AFP, June 22, 2014、AP, June 22, 2014、ARA News, June 22, 2014、Champress, June 22, 2014、al-Hayat, June 23, 2014、Kull-na Shuraka’, June 22, 2014、al-Mada Press, June 22, 2014、Naharnet, June 22, 2014、NNA, June 22, 2014、Reuters, June 22, 2014、SANA, June 22, 2014、UPI, June 22, 2014などをもとに作成。

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