ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、カラムーン地方の無人地帯(対レバノン国境地帯)で、シリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員が、ダーイシュ(イスラーム国)、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。
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ハサカ県では、シリア人権監視団、ARA News(8月5日付)によると、ハサカ市各所にダーイシュ(イスラーム国)が同市南部郊外から発射したと思われる迫撃砲弾複数発が着弾、またグワイラーン地区で西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊と「グワイラーン自由人大隊」を名乗る武装集団が交戦した。
一方、ダーイシュ(イスラーム国)のバラカ州(ハサカ県のこと)ワーリーが声明を出し、「PKK(西クルディスタン移行期民政局を主導する民主統一党のこと)にハサカ市を明け渡そうとする政権の軍の退去」と「改悛」を求め、ハサカ市を制圧する意思を示した。
他方、SANA(8月5日付)によると、対イラク国境に面するヤアルビーヤ村のパン工場が迫撃砲の攻撃(4日)を受け全焼した。
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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がブサイル市で4日午後11時から5日早朝までの間、外出禁止令を発した。
またダーイシュ所轄の法廷が、ムハージリーン旅団司令官のシュジャーア・ヌワイジー氏とその兄弟の裁判を行い、ダイル・ザウル県(ダーイシュが言うところの「ハイル県」)からの追放処分を下した。
一方、ダーイシュ戦闘員は、ダイル・ザウル市内で、シャームの民のヌスラ戦線などの武器庫4カ所を発見した。
さらに未明には、ダイル・ザウル市内の政治治安部ビル前で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、建物が損壊、ダーイシュの戦闘員複数名が死傷した。
他方、シリア軍はシュハイル市近郊を空爆した。
またシュアイタート部族民兵との交戦の末にダーイシュが制圧したジャルズィー村では、男性2人が狙撃され、死亡した。
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ラッカ県では、ラッカ報道局(8月5日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が住民に対して県外への渡航を禁止する決定を下し、ラッカ市のラサーファ検問所で、多数の旅客バス(ボールマーン)が市内に引き返すことを余儀なくされた。
ダーイシュ広報局はツイッターを通じて声明を出し、シュアイタート地方を「軍管区」に指定、非戦闘員に対して24時間以内に同地方から退去するよう要請した。
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アレッポ県では、ARA News(8月5日付)によると、アイン・アラブ市で民主統一党がイラクのスィンジャール郡との連帯を訴えるデモを組織し、住民らが参加した。
一方、ダーイシュは5月29日に拉致したアイン・アラブ市のクルド人学生5人を釈放した。
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シリア革命反体制勢力国民連立のハーディ・バフラ議長は声明を出し、レバノンのベカーア県バアルベック郡アルサール村への武装集団(シャームの民のヌスラ戦線)の襲撃に関して、国連に同村一帯で避難生活を送るシリア人を保護するよう求めた。
アルサール村は人口が約4万人で、約12万人のシリア人が避難民として同村一帯で避難生活を送っているという。
AFP, August 5, 2014、AP, August 5, 2014、ARA News, August 5, 2014、Champress, August 5, 2014、al-Hayat, August 6, 2014、Kull-na Shuraka’, August 5, 2014、al-Mada Press, August 5, 2014、Maktab al-Raqqa al-I’lami, August 5, 2014、,Naharnet, August 5, 2014、NNA, August 5, 2014、Reuters, August 5, 2014、SANA, August 5, 2014、UPI, August 5, 2014などをもとに作成。
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