国連安保理は沿岸地域での暫定政権の国防省部隊と内務省総合治安局によるアラウィー派住民らへの殺戮を非難する米ロ提案の議長声明を前回一致で採択(2025年3月14日)

国連安保理は、沿岸地域での暫定政権の国防省部隊と内務省総合治安局によるアラウィー派住民らへの殺戮を非難する議長声明(S/PRST/2025/4)を全会一致採択した。

議長声明はロシアと米国が共同提出したもので、民間インフラを標的とした攻撃を非難した。

また、すべての当事者に対し、あらゆる暴力および扇動行為を直ちに停止し、すべての民間人およびインフラ、さらには人道活動の保護を確保するよう求めた。

さらに、すべての当事者および国家に対して、被害を受けた人々への完全かつ安全で妨げのない人道的アクセスを確保し、すべての人々の人道的処遇を保証するよう求めるとともに、シリア全土における人道支援の迅速な増強を促した。

声明では、国連安保理決議第2254号に言及し、すべての国家に対し、シリアの主権、独立、統一および領土保全を尊重し、同国をさらに不安定化させるような行動や干渉を控えるよう求めた。

そのうえで、シリアに対し、外国人テロ戦闘員による脅威に対処するための断固たる措置を講じるよう促し、対テロ関連の理事会決議に基づく義務を強調した。

そのうえで、シリアにおける包摂的で透明性のある正義と和解の緊急性を訴え、迅速、透明、独立、公正かつ包括的な調査を実施し、民間人に対する暴力の加害者を裁くことで責任を追及するよう求めた。

これに関連して、アフマド・シャルア暫定大統領が指導するシリアの暫定政権が暴力を調査し、責任者を特定するための独立委員会を設立すると発表、同政権が市民和平のための委員会を設立する決定を下したことにも言及した。

さらに、シリア人主導による包括的な政治プロセスの必要性を改めて強調し、国連の仲介のもと、安保理決議第2254号で示された原則に基づいてこれを推し進め、民族や宗教にかかわらず、すべてのシリア国民の権利を保護し、正当な願望に応え、平和的かつ独立的で民主的な方法で将来を決定するよう求めた。

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