シリア国内の暴力(2014年8月16日)

スワイダー県では、シリア人権監視団によると、ダーマー村の人民諸委員会(自警団)が、ダーマー村周辺のベドウィン、ジハード主義武装集団と交戦し、ドゥルーズ派のシャイフ2人と同村の人民諸委員会(自警団)メンバー6人の計8人が死亡、ドゥルーズ派のシャイフ2人と人民諸委員会メンバー3人を含む20人が負傷した(その後SANA(8月17日付)は、この戦闘で、市民9人が死亡、20人が負傷したと報じ、シリア人権監視団は、戦闘で15人が死亡したと発表した)。

また、レバノン・タウヒード潮流(ウィアーム・ワッハーブ代表(ドゥルーズ派)は、スワイダー県ダーマー村での戦闘で、シリア人党員のナージー・アブー・シャクラー氏が死亡したと発表した。

この衝突を受け、SMO(8月16日付)は、スワイダー市でドゥルーズ派のシャイフと住民数百人が県庁前でデモを行い、アサド政権を非難した、と報じた。

スワイダー県のドゥルーズ派住民とベドウィンの衝突は2000年以来、14年ぶり。

このときは、ムスタファー・トゥラース国防大臣(当時)が現地に向かい、両者の仲裁を行った。

これに対して、シリアのドゥルーズ派シャイフ・アクル府は、SANA(8月16日付)を通じて、住人に煽動に乗らないよう呼びかけ、自制を促した。

また、シリア軍は、クライヤー町周辺を2度にわたり空爆した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がハッターブ町各所、アルザ村を空爆する一方、アルザ村を制圧したシャームの民のヌスラ戦線、ジュンド・アクサーなどからなるジハード主義武装集団と交戦し、ヌスラ戦線らは、シーハ村から撤退した。

またスマート・ニュース(8月16日付)によると、マアッルシュフール村の「シャッビーハ」拠点を「自由シリア軍」(ヌスラ戦線などのジハード主義武装集団)がGRADミサイルで攻撃する一方、シーハ村でTOW対戦車ミサイルを使用し、シリア軍戦車を撃破、シャルアーヤー村では爆弾で、軍車輌を破壊したという。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市でシリア軍とジハード主義武装集団が交戦、同日にダマスカス県で予定されていたダーライヤー市の「正常化」(戦闘終結)をめぐる当局と反体制武装集団の交渉が中止された。

一方、SANA(8月16日付)によると、シャイフーニーヤ農場、ザバディーン市郊外、フタイタト・ジャラス農場、ジスリーン町郊外、カラムーン地方無人地帯(マシュラファ市、ラアス・マアッラ町方面)、ザバダーニー市郊外、ダイル・マーキル村、ハーン・シャイフ・キャンプ郊外で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(8月16日付)によると、ジャウバル区で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(8月16日付)によると、ダルアー市Syriatelビル南部、ヨルダン通り周辺、カルク地区、ミスリー交差点周辺、ビラール・ハバシー・モスク周辺、カタキート工場東部、ナワー市、インヒル市、フラーク市、タスィール町、ダイル・アダス村、カフル・ナースィジュ村、ジュムーア丘、アトマーン村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(8月16日付)によると、西ズバイダ村、ムムティナ村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, August 16, 2014、AP, August 16, 2014、ARA News, August 16, 2014、Champress, August 16, 2014、al-Hayat, August 17, 2014、Kull-na Shuraka’, August 16, 2014、al-Mada Press, August 16, 2014、Naharnet, August 16, 2014、NNA, August 16, 2014、Reuters, August 16, 2014、SANA, August 16, 2014、SMART News, August 16, 2014、SMO, August 16, 2014、UPI, August 16, 2014などをもとに作成。

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