イスラエル軍はスワイダー県でベドウィン系武装勢力とシャルア移行期政権の国防省傘下の部隊の集結地点や車輌を爆撃(2025年7月29日)

クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、軍用車輛4台からなるイスラエル軍部隊がハミーディーヤ村に新設された医療拠点に向かって侵入した。

また、これと前後して、イスラエル軍戦闘機がクナイトラ県南部からダルアー県西部のヤルムーク渓谷の上空に複数回にわたって飛来、旋回した。

シリア人権監視団によると、イスラエル軍はその後、無人航空機でスワイダー県西部のサアラ村一帯の複数の建物の破壊作業を行っていたベドウィン系武装勢力とアフマド・シャルア移行期政権の国防省傘下の部隊の集結地点と車輌を爆撃した。

これと前後して、イスラエルの軍用ヘリコプター、偵察機、無人航空機がシリア南部の各所上空に飛来、旋回した。

2025年に入ってからのイスラエルによるシリア領内への攻撃は、これにより87回となった。

内訳は爆撃77回、地上攻撃10回で、これにより、武器庫、軍事拠点、車両など131の標的が破壊、あるいは損傷を受けた。

人的被害は以下の通り:
・国防省および軍事作戦部門関係者:24人死亡、51人負傷
・身元不明者(うちレバノン人2名):5人死亡
・民間人:16人死亡、3人負傷
・武装した民間人:9人死亡

爆撃の県別内訳と主な人的被害は以下の通り:
・アレッポ県:7回
・ダマスカス県、ダマスカス郊外県:24回(民間人3人死亡、レバノン人含む身元不明者5人、軍人2人死亡)
・スワイダー県:17回(国防省関係者15人死亡)
・ヒムス県:8回(うち2回はシリア・レバノン国境付近の非正規ルートを攻撃)
・クナイトラ県:6回(民間人1人、軍人2人死亡、1人負傷)
・ダルアー県:17回(民間人4人、軍人1人死亡、他数名負傷)
・タルトゥース県:2回
・ラタキア県:4回(民間人1人死亡、3人負傷)
・ハマー県:2回(軍人4人死亡)

地上攻撃の県別内訳と主な人的被害は以下の通り:
・ダルアー県:5回(武装民間人16人死亡)
・ダマスカス県:1回
・クナイトラ県:4回

なお、2024年末のアサド政権崩壊以降、イスラエルはシリア軍施設に対しておよそ500回の爆撃を実施し、旧体制の武器・弾薬庫の大半を破壊している。

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