イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年8月20日)

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シリア国内の動き

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、同県におけるシリア軍最後の一大拠点のタブカ航空基地に対して、19日深夜からダーイシュ(イスラーム国)が重火器などを使用して攻撃を行い、飛行場周辺でシリア軍、国防隊と交戦した。

これに対して、シリア軍は20日、13回にわたり飛行場周辺およびタブカ市のダーイシュ拠点を空爆した。

この戦闘で、ダーイシュ戦闘員少なくとも5人が死亡した。

シリア軍はまたタブカ市近郊のサフサーフ村を空爆、砲撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が占拠するアフタリーン市、バーブ市各所をシリア軍が空爆した。

またイスラーム戦線タウヒード旅団の拠点であるマーリア市入り口では、ダーイシュとジハード主義武装集団が交戦した。

『ハヤート』(8月21日付)によると、ダーイシュは、タブカ航空基地に対する重火器での攻撃に先立ち、ウマル・シーシャーニー司令官の指揮のもと、同飛行場入り口で自爆攻撃を開始し、

一方、SANA(8月20日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が占拠するマンビジュ市、サーリヒーンで、シリア軍が追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

このほか、ARA News(8月21日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がマンビジュ市で、クルド人医師のアーザード・ワーリー氏を拉致した。

イラク国内の動き

ニナワ県では、モスル市住民によると、イラク軍戦闘機が、住民に対してダーイシュ(イスラーム国)掃討のための協力を呼びかけるビラを散布した。

またイラク軍は、同市北部にあるダーイシュ拠点を空爆した。

マダー・プレス(8月20日付)が伝えた。

almadapress, August 20, 2014

almadapress, August 20, 2014

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アンバール県では、アンバール作戦司令室筋によると、米軍戦闘機がラマーディー市西部のハディーサ郡にあるダーイシュ(イスラーム国)の拠点複数カ所に対して空爆を行った。

またハディーサ郡知事によると、イラク軍、警察、部族民兵の合同部隊がバラーウィナ郡入り口にあるダーイシュ拠点を攻撃し、ダーイシュ戦闘員17人を殲滅した。

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サラーフッディーン県では、サラーフッディーン作戦司令室筋によると、イラク軍戦闘機がティクリート市内にあるダーイシュ(イスラーム国)の拠点複数カ所を空爆した。

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ディヤラ県では、県警察によると、ヤアクーバ市北東部のジャズィーラ地区で、警察部隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦し、ダーイシュのミクダーディーヤ郡のアミールを名乗るカイラーン・ミクダーディー氏が殺害された。

またイラク軍はカラ・ティバ村一帯を空爆し、ダーイシュ戦闘員4人を殺害した。

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バービル県では、県治安筋によると、ジュルフ・サフル地方に対するイラク軍の空爆で、ダーイシュ(イスラーム国)戦闘員10人が死亡した。

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キルクーク県では、フワイジャ郡の覚醒評議会筋によると、フワイジャ郡サフラ村近郊でダーイシュ(イスラーム国)の幹部の一人ターリク・アブドゥッラー氏の車に仕掛けられた爆弾が爆発し、アブドゥッラー氏が負傷した。

諸外国の動き

ダーイシュ(イスラーム国)による米国人ジャーナリストのジェームズ・フォーリー氏処刑を撮した映像に関して、米国家安全保障会議(NSC)のケイトリン・ヘイデン報道官は、米情報機関による分析の結果、映像が本物であるとの結論に達したとの声明を出した。

AFP, August 20, 2014、AP, August 20, 2014、ARA News, August 20, 2014、August 22, 2014、Champress, August 20, 2014、al-Hayat, August 21, 2014、Kull-na Shuraka’, August 20, 2014、al-Mada Press, August 20, 2014、Naharnet, August 20, 2014、NNA, August 20, 2014、Reuters, August 20, 2014、SANA, August 20, 2014、UPI, August 20, 2014などをもとに作成。

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