シリア人権監視団:紛争による死者数が23万人を越えるも、民間人の犠牲者は3万人減少?!(2015年6月9日)

シリア人権監視団は、2011年3月半ばに「アラブの春」が波及するかたちで発生した紛争による死者数(推計)が23万人を超えたと発表した。

シリア人権監視団はこれまで、シリア人ジハード主義武装集団戦闘員を民間人として計算していたが、今回の発表では、戦闘員を民間人と分かち、「ジハード主義武装集団を含む反体制武装集団に参加した民間人」に分類、クルド人戦闘員(西クルディスタン移行期民政局人民保護部隊隊員など)とともに「反体制武装集団戦闘員」として算出している。

これにより、民間人の死者数は前回のデータ(青山弘之「シリア・アサド政権はどのように必要とされているのか?」Synodo、2015年3月19日(http://synodos.jp/international/13439)を参照)に比べて、約3万人減少した。

同監視団によると、最初の犠牲者が出た2011年3月18日から2015年5月8日までの紛争による死者総数は23万618人で、その内訳は以下の通り:

民間人:6万9,494人(うち1万1,493人が18才以下の子供、7,371人が18才以上の女性)

シリア人反体制武装集団戦闘員およびクルド人戦闘員:4万1,116人(うち3万8,592人は武器を持ってジハード主義武装集団を含む反体制武装集団に参加した民間人、2,524人が離反兵)

外国人戦闘員(そのほとんどがジハード主義者):3万1,247人

シリア軍兵士:4万9,106人

親政権民兵:3万6,464人(うち838人がヒズブッラー戦闘員、3,093人がレバノン人以外のシーア派戦闘員、3万2,533人が国防隊、人民諸委員会、バアス大隊などのシリア人民兵組織)

身元不明:3,191人

なおシリア人権監視団によると、2015年5月の1ヶ月間だけで6,657人が死亡したが、そのほとんどがシリア軍兵士、ジハード主義者だったという。image image2

AFP, June 9, 2015、AP, June 9, 2015、ARA News, June 9, 2015、Champress, June 9, 2015、al-Hayat, June 10, 2015、Iraqi News, June 9, 2015、Kull-na Shuraka’, June 9, 2015、al-Mada Press, June 9, 2015、Naharnet, June 9, 2015、NNA, June 9, 2015、Reuters, June 9, 2015、SANA, June 9, 2015、UPI, June 9, 2015などをもとに作成。

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