ダーイシュ(イスラーム国)がトルコ領内から「自由シリア軍」を装ってアイン・アラブ市を奇襲(2015年6月25日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がアイン・アラブ市内北部の国境通行所近くなどで車を自爆させ、市内を奇襲、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊と交戦の末、市内中心部のビル複数棟を制圧した。

クッルナー・シュラカー(6月25日付)によると、ダーイシュの戦闘員の乗った車複数台のうち、先頭を走る1台がトルコ側のミュルシトプナル国境通行所で自爆し、また2台目の車がアイン・アラブ国境通行所で自爆して、残りの車輌の通路を確保し、市内に侵入、その後市内での戦闘で少なくとも3台が自爆したという。

シリア人権監視団、人民防衛隊のダイドゥール・ハリール報道官によると、ダーイシュ戦闘員は「自由シリア軍」が使用する「シリア革命」の旗(フランス委任統治時代の旗)を掲げ、人民防衛隊の軍服などを着て、5台の車で市内に入り、またロイター通信(6月25日付)によると、武装集団は無差別に発砲を行ったという。

これに関して、BBC(6月25日付)やシリア・アラブ・テレビ(6月25日付)も、ダーイシュ戦闘員はトルコ領内からアイン・アラブ市に侵入したと伝えたが、トルコ外務省報道官はこれを否定、またトルコのシャンウルファ県知事事務所は、彼らがトルコ領からではなく、シリア領内のジャラーブルス市方面から侵入したと主張した。

この戦闘で、35人が死亡(ルダウ・チャンネル(6月25日付)によると、住民45人が死亡)、クッルナー・シュラカー(6月25日付)などによると、そのほとんどが民間人でダーイシュによって処刑されたという。

一方、人民防衛隊広報局によると、人民防衛隊はこの戦闘でダーイシュ戦闘員30人を殲滅したという。

また、アイン・アラブ市の医師によると、ダーイシュの侵攻により15人が死亡、70人以上が負傷、また複数の目撃者によると、住民約50人がトルコ領内に避難したという。

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クッルナー・シュラカー(6月25日付)によると、ダーイシュはまた、アイン・アラブ市南部のバルヒブターン村も襲撃した。

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シリア人権監視団によると、ダーイシュはさらに、アイン・アラブ市南部のバルフ・ブーターン村でダーイシュは子供、女性、老人を含む23人を処刑した。

シリア人権監視団によると、ダーイシュは早朝にバルフ・ブーターン村への攻撃を開始し、抵抗した住民を処刑したのだという。

ダーイシュの侵攻を受け、有志連合はバルフ・ブーターン村一帯のダーイシュ拠点を空爆した。

AFP, June 25, 2015、AP, June 25, 2015、ARA News, June 25, 2015、BBC, June 25, 2015、Champress, June 25, 2015、al-Hayat, June 26, 2015、Iraqi News, June 25, 2015、Kull-na Shuraka’, June 25, 2015、al-Mada Press, June 25, 2015、Naharnet, June 25, 2015、NNA, June 25, 2015、Reuters, June 25, 2015、Rudau, June 25, 2015、SANA, June 25, 2015、UPI, June 25, 2015などをもとに作成。

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