ダーイシュ(イスラーム国)がハサカ県南西部(シリア政府支配地域)に侵攻し占拠(2015年6月25日)

ハサカ県では、ダーイシュ(イスラーム国)バラカ州が声明を出し、ハサカ市内南西部に位置するヌシューワ地区、西ヌシューワ地区、サカン・シャバービー地区など市内のシリア政府支配地域に侵攻、同地を制圧したと発表した。

クッルナー・シュラカー(6月25日付)によると、ダーイシュは早朝、西ヌシューワ地区にあるシリア軍の検問所を爆弾を積んだ自動車で攻撃し、同地区に突入、迫撃砲で攻撃し、ヌシューワ地区、西ヌシューワ地区(刑事保安局一帯など)、サカン・シャバービー地区を制圧したという。

一方、ARA News(6月25日付)は、ダーイシュが東ヌシューワ地区内のユーフラテス大学教育学部、文学部、小児病院を制圧した、と伝えた。

クッルナー・シュラカーによると、この侵攻を受け、これらの地区に住むアラブ系住民数百人が避難する一方、クルド人地区の住民数十世帯も攻撃を恐れて、避難したという。

またこれを受け、同地に駐留していたシリア軍、国防隊は同地から撤退する一方、シリア軍戦闘機がダーイシュによって支配された地域を空爆した。

しかし、SANA(6月25日付)は、イスラーム国が深夜にハサカ市西ヌシューワ地区に潜入、シリア軍と国防隊がこれと激しく交戦しているとしたうえで、ダーイシュが同地区を制圧したとの報道は「事実無根」だと伝えた。

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ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(6月26日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)ダマスカス州が、対立するジハード主義武装集団の捕虜戦闘員12人を斬首処刑する映像をインターネット上にアップした。

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アレッポ県では、SANA(6月25日付)によると、アレッポ市東部の航空士官学校一帯で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またクッルナー・シュラカー(6月26日付)によると、シリア軍戦闘機がダーイシュ(イスラーム国)支配下のハサージャク村内のトラックや燃料輸送車輌を」空爆、運転手ら民間人15人が死亡した。

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ラッカ県では、SANA(6月25日付)によると、シリア軍がラッカ市内のダーイシュ(イスラーム国)拠点を空爆し、数十人を殺傷した。

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米中央軍(CENTCOM)は、6月25日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して28回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は14回におよび、ラッカ市近郊(1回)、ダイル・ザウル市近郊(1回)、アイン・アラブ市近郊(10回)、タッル・アブヤド市近郊(2回)のダーイシュに対して攻撃が行われたという。

AFP, June 25, 2015、AP, June 25, 2015、ARA News, June 25, 2015、Champress, June 25, 2015、al-Hayat, June 26, 2015、Iraqi News, June 25, 2015、Kull-na Shuraka’, June 25, 2015、June 26, 2015、al-Mada Press, June 25, 2015、Naharnet, June 25, 2015、NNA, June 25, 2015、Reuters, June 25, 2015、SANA, June 25, 2015、UPI, June 25, 2015などをもとに作成。

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