ハサカ市一帯で、シリア軍、有志連合、YPGがダーイシュ(イスラーム国)に対して事実上連携するかたちで攻勢(2015年7月16日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ハサカ市南部郊外一帯で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦を続け、人民防衛隊とサナーディード軍からなる合同部隊は、同市南西部のワトワーティーヤ村、ウンム・ハイル村を制圧、シリア軍とダーイシュの戦闘が続くアフダース刑務所、変電所一帯に接近した。

人民防衛隊の戦闘と合わせて、戦闘機(所属不明)が同地一帯を空爆した。

一方、シリア軍もハサカ市内でダーイシュとの戦闘を続け、オートストラード・ヌシューワ沿いの刑事保安局一帯(西ヌシューワ地区)を制圧、また同地を空爆した。

また、オートストラード・ヌシューワ北部の観光訓練学校一帯に対してもシリア軍は砲撃を加え、有志連合も同地を空爆したという。

このほか、スマート・ニュース(7月16日付)によると、有志連合がシャッダーディー市一帯を空爆し、ダーイシュ戦闘員20人が死亡したという。

他方、SANA(7月16日付)によると、ハサカ市南部郊外のSADCOP地区一帯、バースィル交差点・パノラマ交差点間の一帯、ヴィーラート・フムル地区、文化局一帯、マディーナ・リヤーディーヤ地区で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)の主要拠点の一つバーブ市を5回にわたり「樽爆弾」で空爆し、子供3人を含む11人が死亡した。

同監視団によると、シリア軍は11日以降、バーブ市への空爆を繰り返しており、これまでに68人が犠牲となったという。

また、『ハヤート』(7月17日付)によると、有志連合と思われる戦闘機が、ダーイシュ(イスラーム国)支配下のダービク村、ヒワール村、タッル・マーリド村一帯を空爆した。

一方、SANA(7月16日付)によると、アレッポ市東部の航空士官学校一帯で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、ザマーン・ワスル(7月16日付)などによると、ダーイシュ(イスラーム国)がタドムル市西部のシリア軍拠点の一つタイフール航空基地の外壁にまで進軍を遂げた。

クッルナー・シュラカー(7月16日付)などによると、タイフール航空基地一帯での戦闘でシリア軍第11戦車師団のムフスィン・マフルーフ少将が戦死した。

一方、SANA(7月16日付)によると、タドムル市南東部の採石場のシリア軍検問所一帯で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

シリア軍はまた、柑橘農園一帯で、ダーイシュと交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

さらに、SANA(7月17日付)によると、シリア軍は西ヒール城を制圧した。<br>

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ラッカ県では、『ハヤート』(7月17日付)によると、有志連合と思われる戦闘機が、ダーイシュ(イスラーム国)の最大拠点ラッカ市を空爆した。

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ダルアー県では、『ハヤート』(7月17日付)によると、アイン・ザカル村一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓うヤルムーク殉教者旅団が、アル=カーイダ系のシャームの民のヌスラ戦線などと交戦した。

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米中央軍(CENTCOM)は、7月12日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して26回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は14回におよび、ハサカ市近郊(9回)、ラッカ市近郊(3回)、タッル・アブヤド市近郊(2回)のダーイシュに対して攻撃が行われたという。

AFP, July 16, 2015、AP, July 16, 2015、ARA News, July 16, 2015、Champress, July 16, 2015、al-Hayat, July 17, 2015、Iraqi News, July 16, 2015、Kull-na Shuraka’, July 16, 2015、al-Mada Press, July 16, 2015、Naharnet, July 16, 2015、NNA, July 16, 2015、Reuters, July 16, 2015、SANA, July 16, 2015、July 17, 2015、SMART News, July 16, 2015、UPI, July 16, 2015、Zaman al-Wasl, July 16, 2015などをもとに作成。

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