インターネット・サイト「インターセプト」:アサド大統領の「右腕」暗殺(2008年)はイスラエル軍特殊部隊の犯行(2015年7月16日)

インターネット・サイト「インターセプト」(7月15日付)は、米国家安全保障局(NSA)の極秘情報をもとに、2008年8月にタルトゥース市の海岸で発生したムハンマド・サルマーン准将暗殺がイスラエル軍特殊部隊の犯行だったと報じた(https://firstlook.org/theintercept/2015/07/15/israeli-special-forces-assassinated-senior-syrian-official/)。

サルマーン准将は、シリア内政の分析において一度もその名が言及されることがない「謎の人物」だったが、暗殺を受け、アサド大統領の「右腕」、「影」と紹介され、大統領の実弟のマーヒル・アサド准将、義兄のアースィフ・シャウカト少将が葬儀に参列するなど、その「大物」ぶりが伝えられた。

また、その任務については、①治安担当大統領顧問としてヒズブッラーとの連絡や武器供与を担当していた、②北朝鮮との核開発協力を統括していた、③イランとの連絡を担当していた、④国内の治安担当、軍令担当として、参謀本部、国防省に命令を発信していた、といった憶測が報じられて、事件をめぐっては、外国(イスラエル)の機関の犯行とともに、シャウカト少将の関与などが噂された。

インターセプトは、NSAの極秘インターネット・ファイル(通称インテリペディア(https://www.documentcloud.org/documents/2165140-manhunting-redacted.html#document/p1)からの情報として、イスラエル海軍の特殊部隊が地中海からタルトゥース市に潜入し、海岸の邸宅で食事中だったスライマーン准将の頭と首を撃ち、殺害したと伝えた。

AFP, July 16, 2015、AP, July 16, 2015、ARA News, July 16, 2015、Champress, July 16, 2015、al-Hayat, July 17, 2015、Intercept, July 15, 2015、Iraqi News, July 16, 2015、Kull-na Shuraka’, July 16, 2015、al-Mada Press, July 16, 2015、Naharnet, July 16, 2015、NNA, July 16, 2015、Reuters, July 16, 2015、SANA, July 16, 2015、UPI, July 16, 2015、青山弘之「アースィフ・シャウカト少将は失脚したのか?:シリアをめぐる地域情勢の変化のなかで」『国際情勢紀要』第79号、2009年2月、pp. 333-351などをもとに作成。

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