2014年1月24日のシリア情勢:諸外国の動き

アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表は、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長と個別に会談し、24日にジュネーブの国連本部で予定されていた直接会談を25日午前に行うと発表した。

シリア革命反体制勢力国民連立代表団が政府代表団との同席を拒否したのが延期の理由。

ブラーヒーミー特別代表の駐ダマスカス代表を務め、現在ジュネーブに滞在中のムフタール・ラマーニー氏は『ハヤート』(1月25日付)に対して、連立の代表団が同じ部屋で席をともにすることを拒否している旨、シリア政府代表団に伝えたことを明らかにした。

またラマーニー氏によると、連立の代表団は「和平締結」を望んでいないとしたうえで、「彼らはジュネーブ合意にまったく合致しない前提条件を示しており、それはシリア国民の意思、さらにはブラーヒーミー氏のプロジェクトにも反している」と批判した。

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『ハヤート』(1月26日付)は、複数のアラブ筋の話として、22日のワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣の演説において、ジュネーブ合意を軽視したことに対して、ロシアが介入し、態度を軟化させることを求めたと報じた。

これを受け、バッシャール・ジャアファリー国連代表大使が「ジュネーブ合意をパッケージで交渉する」と述べる一方、ウムラーン・ズウビー情報大臣も「胸襟を開いて、建設的に議論するためにジュネーブに来た」と述べたのだという。

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『ハヤート』(1月25日付)は、22日から25日の予定でスイスのダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)のいわゆる「IGWEL 」(Informal Gathering of World Economic Leaders (World Economic Forum)などでシリア情勢への対応が審議されたと報じた。

同報道によると、会合にはコフィ・アナン前国連事務総長主催のもと、イラン、エジプト、ヨルダン、トルコ、EUの外相が参加、複数の消息筋によると、イランのモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外務大臣が、ジュネーブ合意へのイランの姿勢の転換に関して、シリアにおいて「敗者も勝者もないことが決定的になる」ことが姿勢転換の起点になると述べたという。

またザリーフ外務大臣は、ヒズブッラーに関して「自分自身、そしてシリアのシーア派巡礼地を自衛するために自ら戦闘に参加すると決定した」と擁護しつつも、「非シリア人の戦闘員はシリアを去るべきだ」とも述べたという。

一方、ジョン・ケリー米国務長官はダボス会議で、「国民に対して罪を犯したアサドは正統性を回復できないし、シリアの未来を担うこともできない」と述べる一方、「反体制勢力はアサドが権力にとどまる限り、戦闘を止めないだろう…。アサドの残留にコンセンサスが得られることは決してないだろう…。ジュネーブ合意は、反体制勢力がアサドの残留を認めることを意味しない」と述べた。

また「アサドは世界のテロを引きつける材台の要因」と批判した。

他方、サウジアラビアの前総合情報庁長官のトゥルキー・ファイサル王子は、シリアにおけるレバノンのイラクのシーア派民兵の撤退を求める決議を国連が採択しようとしないと非難した。

このほか、ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣は「モントルーの会議は、シリアのための政治プロセスを国際的に承認するものだ」と述べた。

AFP, January 24, 2014、AP, January 24, 2014、Champress, January 24, 2014、al-Hayat, January 25, 2014、Iraqinews.com, January 24, 2014、Kull-na Shuraka’, January 24, 2014、Naharnet, January 24, 2014、NNA, January 24, 2014、Reuters, January 24, 2014、Rihab News, January 24, 2014, January 25, 2014、SANA, January 24, 2014、UPI, January 24, 2014などをもとに作成。

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