イスラエル軍戦闘機がロシア軍とイラン・イスラーム革命防衛隊も駐留するヒムス県中部のタイフール航空基地を爆撃、シリア軍がミサイル5発を撃墜するも、イラン人など14人が死亡(2018年4月9日)

SANA(4月9日付)は、シリア軍消息筋の話として、イスラエル軍のF-15戦闘機複数機がレバノン領空を侵犯し、ヒムス県中部のタイフール航空基地(T4、ティヤース航空基地)に対してミサイル攻撃を試みたが、シリア軍が防空兵器により迎撃し、ミサイルの一部を打ち落としたと伝えた。

イスラエル軍の攻撃では、複数の市民に死傷者が出たという。

これに先立ち、シリア・アラブ・テレビ(4月9日付)は、爆撃に関して「米国によると思われる」と速報で伝えたが、米国防総省は声明でただちにこれを否定した。

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これを受け外務在外居住者省は、国連事務総長と安保理議長に書簡を送り、イスラエル軍の越境攻撃について報告、「イスラエルの攻撃は…米国による無制限の支援がなければ行われ得ない」と非難、「シリアに対して繰り返されるイスラエルの攻撃をもってしても、イスラエルのパートナー、そしてその手先であるテロ組織を守ることに成功しなかったし、これからも成功はしない」と警告した。

そのうえで、国連安保理に対して、イスラエルの攻撃を非難するために自らの責任を果たすよう呼びかけた。

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ロシア国防省はこれと前後して声明を出し、イスラエル軍のF-15戦闘機2機がレバノン領空を侵犯し、同僚空からヒムス県中部のタイフール航空基地に向けてミサイル8発を発射したことを明らかにした。

これに対して、シリア軍の防空部隊が迎撃し、ミサイル5発を撃墜したが、3発が航空基地の西側に着弾した。

この爆撃で14人が死亡したが、航空基地に進駐しているロシア軍顧問に死傷者はなかったという。

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一方、レバノン軍司令部は、イスラエル軍戦闘機4機が午前3時35分にジューニエ市(レバノン山地県)西方の地中海上空から侵犯したと発表した。

またNNA(4月9日付)によると、領空侵犯したイスラエル軍戦闘機は、午前3時頃から4時頃までの約1時間、ナバティーヤ県上空などで旋回を続けた。

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イランのファルス通信(4月9日付)によると、この爆撃でイラン人3人が死亡したと伝え、その氏名(サイエド・アンマール・モーサヴィー、アクバル・ザウワール・ジャンナティー、マフディー・ロトフィー・ニヤーセル)を発表した。

またメフル通信(4月9日付)も、イラン・イスラーム革命防衛隊の大佐(氏名は明らかにせず)が死亡したと伝えた。

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なお、イスラエル側は空爆への関与についてのコメントを避けている。

だが米国のABC(4月9日付)は、米複数高官の話として、イスラエル軍が爆撃実施に関して、米国政府に事前に通知していた、と伝えた。

syria.liveuamap.com, April 8, 2018

ABC, April 9, 2018、AFP, April 9, 2018、ANHA, April 9, 2018、AP, April 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 9, 2018、FARS, April 9, 2018、al-Hayat, April 10, 2018、Mehr News Agency, April 9, 2018、NNA, April 9, 2018、Reuters, April 9, 2018、SANA, April 9, 2018、UPI, April 9, 2018などをもとに作成。

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