シャーム解放機構がイドリブ県で23ミリ機関砲を盗んだ武装集団と交戦(2020年5月17日)

英国を拠点に活動する反体制系NGOのシリア人権監視団によると、ロシア・トルコ首脳会談で合意された停戦が発効(3月5日深夜)してから73日目となる5月17日、シリア・ロシア軍、トルコ軍の爆撃は確認されなかった。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を11件(イドリブ県7件、ラタキア県1件、アレッポ県3件、ハマー県0件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を確認しなかった。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のスフーフン村、フライフィル村を砲撃、ルワイハ村一帯で「決戦」作戦司令室と交戦した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

一方、シャーム解放機構は、アラブ・サイード村で武装集団(正体不明)と交戦した。

シャーム解放機構は、武装集団が窃盗を繰り返しているとして、メンバーを排除しようと攻撃、また道路を封鎖したという。

イバー・ネット(5月17日付)がシャーム解放機構の治安機関の話として伝えたところによると、シャーム解放機構が交戦したのは、23ミリ機関砲を盗んだ武装グループだという。

このほか、フーア市近郊では、チェチェン人戦闘員(コーカサスの兵)司令官が何者かの襲撃を受けて死亡した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ナマル町でヒズブッラーに協力する住民1人がオートバイに乗った2人組に撃たれて死亡した。

AFP, May 17, 2020、ANHA, May 17, 2020、AP, May 17, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 17, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, May 17, 2020、Reuters, May 17, 2020、SANA, May 17, 2020、SOHR, May 17, 2020、UPI, May 17, 2020などをもとに作成。

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