2014年4月28日のシリア情勢:国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ・シャリーア委員会などによる電力供給遮断(http://syriaarabspring.info/wp/?p=7280)で、10日以上にわたり停電が続いていたアレッポ市西部(シリア政府支配地域)で電気供給が再開された。

Kull-na Shuraka', April 28, 2014

Kull-na Shuraka’, April 28, 2014

これに先立ち、シャームの民のヌスラ戦線の福祉総局は声明を出し「政府支配地域の住民の苦労を鑑み…、アレッポ市への電力供給を再開する」と発表するとともに、軍が住宅地への空爆を再開した場合、電力供給を再び遮断すると脅迫した。

なおクッルナー・シュラカー(4月28日付)によると、アレッポ市西部への電力供給再開は、「アレッポ市民イニシアチブ」の仲介のもとに実現したという。

またシリア人権監視団は、アレッポ県の複数の活動家の話として、シャームの民のヌスラ戦線とシリア政府がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をアレッポ市北東部の火力発電所一帯から放逐することで合意したと発表した。

同監視団によると、この合意も「アレッポ住民のイニシアチブ」の仲介によるもので、ダーイシュ放逐に向けた協力を合わせて、軍によるブラート村一帯(ブラート丘)への進軍停止が定められているという。

Kull-na Shuraka', April 28, 2014

Kull-na Shuraka’, April 28, 2014

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同じく、アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市ザフラー地区の空軍情報部周辺、旧市街のサブア・バフラート地区や軍が拠点として使用するアレッポ城近くで、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が進軍し、軍と交戦した。

一方、SANA(4月28日付)によると、アレッポ市サラーフッディーン地区、アアザミーヤ地区に潜入しようとした反体制武装集団を軍が撃退した。

またダーラト・イッザ市、ラスム・アッブード村、クワイリス村、アレッポ中央刑務所周辺、アアザーズ市、タッル・リフアト市、バービース村、マンスーラ村、フライターン市、バシュカーティーン村、アレッポ市ライラムーン地区、シャイフ・サイード地区、ラーシディーン地区、アーミリーヤ地区、カッラーサ地区、旧市街、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

このほか、クッルナー・シュラカー(4月29日付)によると、自由アレッポ県議会のアリー・スワイド経済局長がフライターン市に対する軍の空爆で死亡した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、カサブ町およびその周辺が軍の砲撃を受ける一方、第45監視塔周辺、サムラー村で軍、国防隊がシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

一方、SANA(4月28日付)によると、軍が、国防隊の支援のもと、カサブ町郊外の第724高地、第1017高地、第959高地を制圧した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市旧市街各所で、軍と反体制武装集団が交戦、軍がワアル地区などを砲撃した。

また同監視団は複数の活動家の話として、ザーラ村で当局に投降した反体制武装集団のメンバー6人が軍によって処刑された。

活動家らによると、処刑されたメンバーはイスラーム教スンナ派でトルクメン系だったという。

一方、SANA(4月28日付)によると、ヒムス市聖ギルギス教会近く、シャーイル山(ハマー県)西部、サアン村、タルビーサ市、ハーリディーヤ村、ガントゥー市、アブディーン村、アーミリーヤ村、ブルジュ・カーイー村、カフルラーハー市、ナースィリーヤ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(4月28日付)によると、軍がムライハ市に対する作戦を継続した。

また、ジャルマーナー市に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、市民1人が死亡、6人が負傷した。

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ダマスカス県では、SANA(4月28日付)によると、軍がジャウバル区に対する作戦を継続した。

また、アッバースィーイーン地区、ザバダーニー地区に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、市民1人が死亡、7人が負傷した。

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ダルアー県では、SANA(4月28日付)によると、ダルアー市ヤルムーク学校周辺、ヌアイマ村、ナワー市、アトマーン村北西部などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(4月28日付)によると、アルバイーン山一帯、カフルナジュド村、ラーミー村、マルイヤーン村、マアッラトミスリーン市、イフスィム村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

また、イドリブ市スライバ地区、ハナーヌー広場周辺、教員住宅地区、イトファーイーヤ地区に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、子供と女性3人が死亡、15人が負傷した。

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ハサカ県では、ARA News(4月28日付)によると、カーミシュリー市アンタリーヤ地区で爆弾が爆発し、西クルディスタン移行期民政局のアサーイシュの隊員2人が負傷した。

AFP, April 28, 2014、AP, April 28, 2014、ARA News, April 28, 2014、Champress, April 28, 2014、al-Hayat, April 29, 2014、Iraqinews.com, April 28, 2014、Kull-na Shuraka’, April 28, 2014、April 29, 2014、Naharnet, April 28, 2014、NNA, April 28, 2014、Reuters, April 28, 2014、SANA, April 28, 2014、UPI, April 28, 2014などをもとに作成。

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