シリア国内の暴力(2014年6月15日)

シリア・アラブ軍武装部隊総司令部は声明を出し、「多数の傭兵テロ悪党を殲滅し、武器装備に大打撃を与え、我らが武装部隊は国防隊の支援のもと、北部ラタキア郊外のカサブ町およびその周辺の治安と安定を回復した」と発表した。

SANA, June 15, 2014

SANA, June 15, 2014

またこれに先立ち、軍がナブアイン町およびその周辺を制圧したと付言した。

一方、シリア人権監視団によると、対トルコ国境に位置するカサブ町から、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団がトルコに撤退し、シリア軍が同町を奪還した。

シリア人間監視団によると、カサブ町は完全制圧はされておらず、市内では散発的な戦闘が続いているという。

またカサブ町からの撤退は、シリア軍、国防隊、アレキサンドレッタ解放国民抵抗運動、ヒズブッラー戦闘員が同市一帯の丘陵地を制圧し、カサブ町が包囲されることを避けるためだったと分析するとともに、兵站不足も撤退を促す理由となったと指摘した。

している。

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ヒムス県では、SANA(6月15日付)によると、シリア軍がウンム・シャルシューフ村およびその周辺の農園地帯で「武装テロ集団」と交戦の末、同地を奪還した。

またタッルドゥー市、ラスタン市、キースィーン村、ガジャル村、アーミリーヤ村、アイン。フサイン村、タイバ村、サムアリール村、ハーン・シャーウィーシュで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、ARA News(6月15日付)によると、ダイル・ザウル市ハウィーカ地区、ムワッザフィーン地区などで「自由シリア軍」とジハード主義武装集団がシリア軍と交戦し、軍兵士15人を殺害した。

なおダイル・ザウル県の反体制武装集団は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)によるイラク侵攻開始後、同県でダーイシュと目立った戦闘はしていない。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザバダーニー市各所、カフルバトナー町を軍が地対地ミサイルなどで攻撃、またムライハ市一帯で軍がジハード主義武装集団と交戦した。

一方、ドゥーマー市で爆弾が仕掛けられた車が爆発した。

反体制活動家はイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の犯行との見方を示しているという。

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アレッポ県では、SANA(6月15日付)によると、カフルハムラ村、ターディフ市、クワイリス村、ハーン・アサル村、フライターン市、タームーラ村、ハイヤーン町、アレッポ市シャイフ・サイード地区、バニー・ザイド地区、ブアイディーン地区、ハナーヌー地区、カーディー・アスカル地区、ハイダリーヤ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(6月15日付)によると、ダルアー市フサイン・モスク一帯、旧税関地区、ビラール・ハバシー・モスク一帯、ヤードゥーダ村・アトマーン村街道、ダーイル町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(6月15日付)によると、カフルバッティーフ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、シリア人権監視団によると、ジスル・シュグール市に対するジハード主義武装集団の砲撃で、子供8人を含む11人が死亡した。

AFP, June 15, 2014、AP, June 15, 2014、ARA News, June 15, 2014、Champress, June 15, 2014、al-Hayat, June 16, 2014、June 17, 2014、Kull-na Shuraka’, June 15, 2014、al-Mada Press, June 15, 2014、Naharnet, June 15, 2014、NNA, June 15, 2014、Reuters, June 15, 2014、SANA, June 15, 2014、UPI, June 15, 2014などをもとに作成。

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