有志連合、シリア軍がハサカ市でダーイシュ(イスラーム国)掃討に向けて航空偵察などで連携(2015年7月19日)

AFP(7月19日付)は、有志連合とシリア軍の戦闘機がハサカ市上空に交互に飛来、旋回を繰り返しており、有志連合が同地におけるダーイシュ(イスラーム国)掃討のため、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊だけでなく、シリア政府とも連携していることが見て取れると報じた。

これに関して、人民防衛隊の高官は、AFPに対して、シリア政府と有志連合はクルド人の仲介のもと、航空偵察面で調整を行うために連絡を取り合っており、「航空偵察を行うため、上空からの待避を要請するとの連絡・通知が一方が(人民防衛隊の)調整官に入ると、クルド人仲介者がもう一方にその旨通知している」と述べたという。

同高官によると、「同じ上空で2機の戦闘機がぶつからずに飛行することなどできない」という。

一方、SANA(7月19日付)によると、シリア軍がハサカ県ハサカ市グワイラーン地区の墓地周辺で、ダーイシュ(イスラーム国)の拠点に対して集中攻撃を加え、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

シリア軍はまた、西ヌシューワ地区、サカン・シャバービー地区でもダーイシュと交戦した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、有志連合戦闘機がダーイシュ(イスラーム国)の本拠地であるラッカ市にビラを散布し、同市解放への意志を誇示した。

ビラには、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊と自由シリア軍の腕章をつけた4人の戦闘員が、ダーイシュ戦闘員の遺体が横たわる道を進む姿が描かれ、また「自由の日が昇る」と書かれている。

また別のビラには、「ダーイシュよ、お前たちが掌握している地域は日々縮小している。我々はお前たちの司令官多数を殺し、数えられないほどの戦闘員を殺した。お前たちは無力だ。お前たちが破壊される時間は迫っている。0時0分が迫っている」と記されているという。

al-Hayat, July 19, 2015

al-Hayat, July 19, 2015

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市東部郊外で、武装集団がガス・パイプラインを爆破した。

またダーイシュ(イスラーム国)のバヤーン放送は、カルヤタイン市郊外でガス・パイプライン保守点検チームを拉致したと報じた。

一方、SANA(7月19日付)によると、タドムル市(市役所庁舎、裁判所一帯)、ビイル・アブー・ティワーラ、ラスム・タウィール村、カディーム村、マルハジャーン村、バーリダ地区、ワーディー・アブヤド・ダム北部、シーハ村、ブラーク・ナシュマー村、ナシュマ丘北部、ワーディー・マースィク、カーディリー農場北東部、ブサイリー村、西サラーム村、アルシューナ村、シャーイル・ガス採掘所一帯、ジャズル・ガス採掘所一帯、シャンダーヒーヤ村などをシリア軍が空爆し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が包囲するクワイリス航空基地一帯をシリア軍が空爆した。

また、ARA News(7月19日付)によると、アイン・アラブ市南部郊外に18日に潜入したダーイシュ(イスラーム国)と西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊の戦闘が続いた。

一方、SANA(7月19日付)によると、アレッポ市東部の航空士官学校一帯で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(7月19日付)によると、マリーイーヤ村、ジャフラ村をシリア軍が空爆し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、クッルナー・シュラカー(7月19日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)ハイル州(ダイル・ザウル県)治安当局が、ティーム油田を管理していたマジード・ユースフ・ムハイスィン氏(アブー・クサイ)を数日前に汚職容疑で逮捕し、解任した。

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ハマー県では、SANA(7月19日付)によると、ムファッキル村で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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スワイダー県では、SANA(7月19日付)によると、ブサイナ丘で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、クッルナー・シュラカー(7月19日付)によると、ヤルダー市とダマスカス県ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプの間に位置する使徒シャーム旅団(自由シリア軍)の検問所に駐留していた元ダーイシュ(イスラーム国)メンバーの戦闘員が、駐留していた旅団メンバー3人を殺害し、逃走した。

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『ハヤート』(7月20日付)によると、トルコ軍は、シリアからトルコに帰国しようとした488人とトルコからシリアに潜入しようとした26人の合わせて514人を地上部隊が拘束した、と発表した。

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米中央軍(CENTCOM)は、7月19日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して23回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は9回におよび、アレッポ市近郊(1回)、ハサカ市近郊(3回)、ラッカ市近郊(3回)、アイン・アラブ市近郊(2回)のダーイシュに対して攻撃が行われたという。

AFP, July 19, 2015、AP, July 19, 2015、ARA News, July 19, 2015、Champress, July 19, 2015、al-Hayat, July 20, 2015、Iraqi News, July 19, 2015、Kull-na Shuraka’, July 19, 2015、al-Mada Press, July 19, 2015、Naharnet, July 19, 2015、NNA, July 19, 2015、Reuters, July 19, 2015、SANA, July 19, 2015、UPI, July 19, 2015などをもとに作成。

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