トルコ空軍がシリア領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点に加えて、イラク領内のPKK拠点を爆撃(2015年7月25日)

『ハヤート』(7月26日付)などによると、トルコ空軍のF-16戦闘機複数機が、イラク領内を侵犯し、キンディール山にあるクルディスタン労働者党(PKK)拠点7カ所を空爆した。

トルコ軍が空爆したのは、PKKの倉庫、兵站基地、居住地区など7カ所。

報道によると、トルコ政府は空爆がイラク・クルディスタン地域政府との調整のもとに実施されたと主張しているが、マスウード・バールザーニー大統領はアフメト・ダウトオール首相と電話会談を行い、「事態が危険なレベルに達したことに遺憾の意」を示すとともに、「和平こそが問題対処の唯一の方法であるがゆえ…問題を緊張させないよう」求めた、という。

またこの空爆に関して、複数のメディアが、トルコ軍戦闘機がシリア北部を領空侵犯して、イラク領空に入ったと伝えた。

なお、トルコ政府は、シリア北部のダーイシュ(イスラーム国)拠点空爆に際して、シリア領空を侵犯したことを否定している。

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トルコのアフメト・ダウトオール首相は、シリア北部のダーイシュへの空爆とイラク北部のPKKへの空爆に関して、過去32時間で3回の空爆を行い、うち2回がシリア北部のダーイシュ拠点を標的としたものであることを明らかにした。

そのうえで、ダウトオール首相は作戦がダーイシュを根絶するまで継続されると強調、また国内22県において、ダーイシュないしはPKKのメンバーと思われる590人(うち外国人数十人)を摘発したと付言した。

また、メヴリュト・チャヴシュオール外務大臣は、インジェルリク、ディヤルバクル両基地使用許可やトルコ軍の有志連合への参加をめぐる米国との合意に関して、合意のなかに、シリア北部を「安全保障地域」に設定し、同地のジハード主義者を放逐した後にトルコ領内の避難民を帰還させることも含まれていることを明らかにした。

『ハヤート』(7月26日付)が伝えた。

AFP, July 25, 2015、AP, July 25, 2015、ARA News, July 25, 2015、Champress, July 25, 2015、al-Hayat, July 26, 2015、Iraqi News, July 25, 2015、Kull-na Shuraka’, July 25, 2015、al-Mada Press, July 25, 2015、Naharnet, July 25, 2015、NNA, July 25, 2015、Reuters, July 25, 2015、SANA, July 25, 2015、UPI, July 25, 2015などをもとに作成。

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