ロシア軍戦闘機撃墜事件(4):米仏両首脳はダーイシュ(イスラーム国)との戦いを改めて強調、駐イラク米軍報道官は「撃墜事件はロシアとトルコの出来事」と発言(2015年11月24日)

フランスのフランソワ・オランド大統領は米国を訪問し、ワシントンDCでバラク・オバマ米大統領と会談した。

会談後、オバマ米大統領は「米国とフランスはともに立ち向かい、一致団結してテロリストに正義を示し、国を守っていく…。ダーイシュ(イスラーム国)は我々みなにとっての脅威だ」と述べた。

オバマ大統領はまた「米国とフランスがシリアおよびイラク領内の拠点への空爆を強化することでダーイシュを壊滅する」と誓約した。

さらに、ロシアに対しては、「穏健な反体制派」を標的にし、アサド政権を支援するのではなく、ダーイシュのみを空爆すべきだと強調、シリアにおける和平を実現するには、停戦とアサド大統領を排除したかたちでの政治的移行が望ましいと述べた。

一方、オランド大統領は、国際社会が一丸となってダーイシュとの戦いを行うべきだと改めて強調、「ロシアとともにダーイシュに立ち向かいたい」としつつも、ロシアがシリアの反体制派ではなくダーイシュへの空爆に集中し、シリア紛争の政治的解決を受け入れるべきだと述べた。

またトルコに対しては、「戦闘員の流入を阻止するため」シリアとの国境を封鎖するよう求めるとともに、「シリア人難民の問題にトルコとともに対処し、彼らが自分たちの国の近くにとどまれるようにしたい」と述べた。

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駐イラク米軍のスティーブ・ウォーレン報道官(国防総省)は記者会見を開き、トルコ軍戦闘機によるロシア軍戦闘機の撃墜事件に関して「ロシアとトルコの出来事で、有志連合や米軍の関係する問題ではない」と述べた。

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NATOはトルコの要請に基づいて各国大使による緊急会合をブリュッセルで開催し、ロシア軍撃墜への対応に協議した。

AFP, November 24, 2015、AP, November 24, 2015、ARA News, November 24, 2015、Champress, November 24, 2015、al-Hayat, November 25, 2015、Iraqi News, November 24, 2015、Kull-na Shuraka’, November 24, 2015、al-Mada Press, November 24, 2015、Naharnet, November 24, 2015、NNA, November 24, 2015、Reuters, November 24, 2015、SANA, November 24, 2015、UPI, November 24, 2015などをもとに作成。

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