西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)のもとで連邦制樹立に向けて準備を行ってきた「北シリア民主連邦(ロジャヴァ・北シリア民主連邦より改称)樹立評議会」は、西クルディスタン移行期民政局の実効支配下にある四つの地区(アラビア語で「مقاطعة」(ムカータア)、英語で「canton」)、すなわちアレッポ県北西部のアフリーン地区、アレッポ県北東部のコバニ地区、ハサカ県北東部のジャズィーラ地区、ラッカ県北部の「タッル・アブヤド地区」からなる現行の分割統治体制を廃止し、三つの地域(アラビア語で「إقليم」(イクリーム)から構成される連邦制に移行を承認した。
樹立評議会はまた、体制移行と合わせて、「北シリア民主連邦」における選挙法を承認、9月から来年1月にかけて選挙を実施することを承認した。
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樹立評議会共同議長のハディーヤ・ユースフ女史はスマート・ニュース(7月29日付)に対し、ハサカ県ルマイラーン市で開催されていた第3回評議会会合が28日、西クルディスタン移行期民政局支配地域を「ユーフラテス地域」、「ジャズィーラ地域」、「アフリーン地域」という3地域に再編することを承認して、閉幕したことを明らかにした。
ユースフ女史によると、「ユーフラテス地域」はラッカ県タッル・アブヤド市一帯、アレッポ県アイン・アラブ市一帯、「ジャズィーラ地域」はハサカ県のハサカ市一帯、カーミシュリー市一帯地域、そして「アフリーン連邦」はアレッポ県アフリーン市一帯を領土とするという。
なお、今回の体制改編には、トルコと米国の間で帰属が争われているアレッポ県マンビジュ市およびその周辺地域、有志連合の支援を受けるシリア民主軍がダーイシュ(イスラーム国)との攻防戦を続けているラッカ市およびその周辺地域は、新たな政体には含まれていない。
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また、西クルディスタン移行期民政局の立法評議会メンバーの一人がクッルナー・シュラカー(7月30日付)に明らかにしたところによると、北シリア民主連邦の行政区画は以下のように画定されたという。
ジャズィーラ地域(イクリーム):ハサカ地区(ムカータア)、カーミシュロー(カーミシュリー)地区
ユーフラテス地域:コバニ(アイン・アラブ)地区、ギレ・スピ(タッル・アブヤド)地区
アフリーン地域:アフリーン地区、シャフバー地区
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樹立評議会はまた、9月22日に行政区画における最小単位の「コミューン」における議会選挙の実施を、また11月3日に連邦内の地方自治体(村、町、区、地区(ムカータア)選挙の実施を、そして2018年1月19日に各地域および「北シリア民主人民大会」(連邦全体の立法議会に相当)の総選挙の実施を承認した。
スマート・ニュース(7月29日付)、クッルナー・シュラカー(7月29日付)などが伝えた。
AFP, July 29, 2017、AP, July 29, 2017、ARA News, July 29, 2017、Champress, July 29, 2017、al-Hayat, July 30, 2017、Kull-na Shuraka’, July 29, 2017、July 30, 2017、al-Mada Press, July 29, 2017、Naharnet, July 29, 2017、NNA, July 29, 2017、Reuters, July 29, 2017、SANA, July 29, 2017、SMART News, July 29, 2017、UPI, July 29, 2017などをもとに作成。
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