国連の専門家チームは、シリアでの化学兵器開発を統括するSSCRに北朝鮮の武器輸出会社KOMIDから貨物が送られようとしていたとする非公開報告書を安保理に提出(2017年8月22日)

北朝鮮による制裁違反についての調査を行う国連の専門家チームは、シリアで化学兵器開発に関与する政府系機関に対して北朝鮮から過去6ヶ月の間に2度にわたって貨物輸送が試みられていたとする非公開の報告書を安保理に提出した。

ロイター通信(8月22日付)が伝えた。

報告書は8月に入って、専門家チームが国連安保理に提出、ロイター通信はそのコピーを21日に入手した。

報告書は37ページからなり、化学兵器、弾道ミサイル、そして通常兵器の開発にかかわるシリアと北朝鮮の協力の実態に関する調査内容が記述されているという。

それによると、加盟国2カ国が、シリアに向かっていた北朝鮮の貨物の輸送を阻止、また別の加盟国1カ国から、KOMID社がシリアとの契約に基づいて納品しようとしていた物品だと信じるにたる理由があるとの報告があったという。

貨物の荷受人は、SSRC(シリア科学研究調査センター)で、1970年代以降、シリア国内での化学兵器開発を統括しているとされる機関だったという。

KOMID社とは朝鮮鉱業開発貿易会社で北朝鮮の主要な武器輸出企業の一つで、2009年に国連安保理のブラック・リストに記載、また2016年にはシリアに赴任している同企業の代表2人が追加記載されている。

Reuters, August 15, 2017

AFP, August 22, 2017、AP, August 22, 2017、ARA News, August 22, 2017、Champress, August 22, 2017、al-Hayat, August 23, 2017、Kull-na Shuraka’, August 22, 2017、al-Mada Press, August 22, 2017、Naharnet, August 22, 2017、NNA, August 22, 2017、Reuters, August 22, 2017、SANA, August 22, 2017、UPI, August 22, 2017などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.