シリア軍がヒズブッラー、イラン人民動員隊の支援を受け、ダーイシュ最後の拠点都市ブーカマール市を解放(2017年11月9日)

シリア軍武装部隊総司令部は声明(https://youtu.be/2jnSY8OWOb4)を出し、シリア軍が予備部隊および同盟部隊の支援を受け、ダイル・ザウル県南東部のイラク国境沿いのユーフラテス川右岸(西岸)に位置するダーイシュ(イスラーム国)最後の拠点都市ブーカマール市を解放し、「シリア、イラク両国を繋ぐ街道の安全を確保」したと発表した。

声明は、ブーカマール市の解放を、「地域におけるダーイシュの改革が頓挫し、同地域を分割しようとして、ダーイシュを保護・支援してきた者どもの幻想が瓦解したことを宣言する」戦果と位置づけた。

なお、シリア軍部隊は現在も、ブーカマール市一帯の砂漠地帯でダーイシュ残党の追撃を続けているという。

SANA, November 9, 2017

SANA, November 9, 2017

syria.liveuamap.com, November 9, 2017

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ユーフラテス・ポスト(11月9日付)は、イラン人民動員隊がシリア・イラク国境から3キロ北西のユーフラテス川右岸(西岸)地帯に進攻、シリア軍とともにブーカマール市西方のハムダーン村、スッカリーヤ村、ハリー村一帯を制圧することで同市を包囲、その後ブーカマール市周辺地域でダーイシュとの激しく交戦し、ダーイシュを撤退させ、同市を制圧した、と伝えた。

また、シリア人権監視団によると、ブーカマール市制圧に向けた作戦には、レバノンのヒズブッラー、イラン革命防衛隊、イラク人戦闘員(人民動員隊)が参加、AFP(11月9日付)がシリア軍とともに戦闘に参加した同盟部隊筋の話として伝えたところによると、このうちヒズブッラーの部隊は、その一部がブーカマール市の南側を迂回してイラク領内に入る一方、別の部隊が同市北端に到達し、同地を包囲したという。

シリア人権監視団によると、シリア軍によるブーカマール市制圧は、ダーイシュ戦闘員が同市からダイル・ザウル県東部(ユーフラテス川左岸(東岸)地帯)に撤退したことで実現したという。

なお、ブーカマール市撤退に先立って、シリア国営のSANAだけでなく、ユーフラテス・ポストなどの反体制サイトが、米軍ヘリコプターによってダーイシュの外国人幹部らがブーカマール市一帯から「連行」とたびたび報じていた。

一方、ドゥラル・シャーミーヤ(11月9日付)は、8日にシリア・イラク国境地帯でのイラク人民動員隊とダーイシュの戦闘で人民動員隊の司令官1人が戦死したと伝えた。

また、シリア軍とともにT2(第2石油輸送ステーション)一帯でのダーイシュと戦っていたファーティミーユーン旅団の司令官2人も戦死したという。

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このほか、ドゥラル・シャーミーヤ(11月9日付)によると、ロシア軍戦闘機がクーリーヤ市、ハリーザ村を爆撃し、7人が死亡した。

AFP, November 9, 2017、ANHA, November 9, 2017、AP, November 9, 2017、ARA News, November 9, 2017、Champress, November 9, 2017、al-Durar al-Shamiya, November 9, 2017、Euphrates Post, November 9, 2017、al-Hayat, November 10, 2017、al-Mada Press, November 9, 2017、Naharnet, November 9, 2017、NNA, November 9, 2017、Reuters, November 9, 2017、SANA, November 9, 2017、UPI, November 9, 2017などをもとに作成。

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