ヌールッディーン・ザンキー運動はアレッポ県西部で攻勢を強めるシャーム解放機構との停戦を拒否し、「無制限の戦争」を布告(2017年11月11日)

ヌールッディーン・ザンキー運動のシューラー評議会メンバーで組織の「ナンバー・ツー」と目されるフサーム・アトラーシュ氏は自身のテレグラムのアカウントを通じて声明を出し、トルコの支援を受けるシリア・ムスリム同胞団系のシャーム軍団が、アレッポ県西部のヌールッディーン・ザンキー運動支配地域へのシャーム解放機構の進攻に際して、車輌を提供するなど協力していると批判した。

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これに対して、シャーム戦線は、シャーム解放機構との協力関係を強く否定し、「我々は常に対立し合う当事者どうしの和解をめざしている」と反論した。

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シャーム解放機構幹部メンバーの一人でサウジアラビア人説教師のアウドゥッラー・ムハイスィニー氏は自身のテレグラムのアカウントを通じて、使節団を率いてアレッポ県西部のヌールッディーン・ザンキー運動の支配地域に入り、シャーム解放機構とヌールッディーン・ザンキー運動の和解を試みたが、失敗に終わったことを明らかにした。

また、シャーム解放機構のシューラー評議会メンバーであるアブー・マーリヤ・カフターニー氏もイバー通信(11月11日付)に対して、ヌールッディーン・ザンキー運動との和解に向けた折衝が奏功していないことを認めた。

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一方、シリア北部の反体制派支配地域の部族や名士数十人は共同声明を出し、アレッポ県西部でのシャーム解放機構とヌールッディーン・ザンキー運動に対して戦闘の停止を求めた。

al-Durar al-Shamiya, November 11, 2017

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こうしたなか、ヌールッディーン・ザンキー運動の副司令官を務めるアリー・サイードゥー氏はビデオ声明(https://youtu.be/TX9Z2ucOqzI)を出し、シャーム解放機構に対する「無制限の戦争」を布告すると発表した。

サイードゥー氏は「シャーム解放機構が始めた戦争は、宗教、住民、革命を守るため、最後まで続けられる…。シャーム解放機構が自由シリア軍諸派を解体し、国民に敵対し、国のインフラを売り渡し、シャリーアの支配と称してシリア国民の問題を売りものにしようとしていることは、みなにとってもはや隠しごとではない」と非難した。

Youtube, November 11, 2017

AFP, November 11, 2017、ANHA, November 11, 2017、AP, November 11, 2017、ARA News, November 11, 2017、Champress, November 11, 2017、al-Durar al-Shamiya, November 11, 2017、al-Hayat, November 12, 2017、al-Mada Press, November 11, 2017、Naharnet, November 11, 2017、NNA, November 11, 2017、Reuters, November 11, 2017、SANA, November 11, 2017、UPI, November 11, 2017、Wikalat al-Iba’ al-Ikhbariya, November 11, 2017などをもとに作成。

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