ロシアのラヴロフ外務大臣「米国とダーイシュの結託の証拠は握っていないが、米国はダーイシュ残党殲滅を妨害している」(2017年11月16日)

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、アルゼンチンのホルヘ・マルセロ・フォリー外務大臣との会談後の共同記者会見でシリア情勢について言及、米国がシリアでダーイシュ(イスラーム国)と結託している証拠をロシアは握っていないとしつつ、米国の動きは同国での「テロとの戦い」を妨害していると非難した。

ラブロフ外務大臣は、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍によるラッカ市完全制圧の直前に、同市から多数のダーイシュ(イスラーム国)戦闘員がバスで退去したことに関して、この問題について釈明するよう要請したしたうえで、「もちろん、こうした事態は、ロシア空軍が航空支援するシリア軍による、ダーイシュ残党殲滅に向けた動きを妨害している」と付言した。

一方、ジェームズ・マティス国防長官が、ダーイシュとの戦いが終わったあともシリア国内に部隊を駐留させる意思を表明し、それが国連の支持を受けていると発言したことについて、「シリアに米軍が駐留することに法的根拠があるとの発言は完全に無効だ」と非難した。
『ハヤート』(11月17日付)が伝えた。

また、国連および化学兵器禁止機関(OPCW)の合同査察機構(Joint Investigation Mechanism、JIM)の任期延長にかかる国連安保理の審議については、米国が提出した決議案がJIMの調査態勢の変更を盛り込んでいないために受け入れられないと主張、この点を踏まえたロシア側の対案が採択されなければ、JIMの調査の客観性や中立性が担保されないと述べた。

AFP, November 16, 2017、ANHA, November 16, 2017、AP, November 16, 2017、ARA News, November 16, 2017、Champress, November 16, 2017、al-Durar al-Shamiya, November 16, 2017、al-Hayat, November 17, 2017、al-Mada Press, November 16, 2017、Naharnet, November 16, 2017、NNA, November 16, 2017、Reuters, November 16, 2017、SANA, November 16, 2017、UPI, November 16, 2017などをもとに作成。

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