2014年3月4日のシリア情勢:諸外国の動き

ハマースのイッザト・ラシュク・アウダ報道官はフェイスブックで、軍によるダマスカス県ヤルムーク区への包囲を批判する一方、「キャンプ内に武装集団が残留を続け、包囲と食糧封鎖継続の口実を与えることを非難する」と綴り、シャームの民のヌスラ戦線によるキャンプへの潜入・籠城を批判した。

またアウダ報道官は「ヤルムーク・キャンプはシリアの紛争の一部ではない。政権と戦いたい者は、ヤルムークから去るべきだ…。一部の武装集団がヤルムーク・キャンプに戻ることの根拠は薄く、拒否されるべきものだ」と付言した。

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化学兵器禁止機関(OPCW)・国連合同派遣団特別調整官のスィグリッド・カーグ国連事務次長補は、シリアから廃棄ないしは搬出された化学兵器関連物質が全体の3分の1に達したと発表した。

AFP(3月4日付)が伝えた。

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ジェン・サキ米国務省報道官は声明で、シリアのキリスト教徒などに対するイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の「脅迫」を非難した。

サキ報道官は「過激派によってさらに標的とされるようになっているシリアのキリスト教徒などのマイノリティへの脅迫を米国は非難する。ラッカ市のダーイシュは先週、シリアのキリスト教徒にイスラーム教徒になるか、ジズヤを払いキリスト教徒のままでいるか、死ぬかを強いられるだろうと発表した。こうした条件提示は世界的な人権への侵害だ」と述べた。

また「ダーイシュは政権と戦っていると主張するが、穏健な反体制勢力を含むシリア国民に対する両者の弾圧と暴力は、ダーイシュが専政を科すためだけに戦っていることを示している」と付言した。

一方、アサド政権に関しても「自分たちがシリアのマイノリティを守っているというイメージを作ろうとしているが、社会のすべての階層からなる反体制派を残忍なかたちで弾圧している…。政権は人権を擁護するキリスト教徒を逮捕している」と批判した。

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サウジアラビアのサルマーン・アイバート大使は第25回人権理事会で、シリア情勢に関して「歴史上…前例のない人道に対する犯罪に直面している…。その原因のすべてはシリアの血塗られた政権が、国際社会において禁じられている化学兵器や樽爆弾などの兵器を用いてシリア国民への殺戮を続けていることによる」と一方的に非難した。

AFP, March 4, 2014、AP, March 4, 2014、ARA News, March 4, 2014、Champress, March 4, 2014、al-Hayat, March 5, 2014、Iraqinews.com, March 4, 2014、Kull-na Shuraka’, March 4, 2014、Naharnet, March 4, 2014、NNA, March 4, 2014、Reuters, March 4, 2014、SANA, March 4, 2014、UPI, March 4, 2014などをもとに作成。

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