2014年3月5日のシリア情勢:反体制勢力の動き

イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の元戦闘員でサウジアラビア人のスライマーン・サウード・スバイイー氏はKeek.comを通じてサウジアラビア国営テレビ第1チャンネル(KSA1、2014年3月6日付)のインタビューに応じ、シリア国内で活動するジハード主義武装集団の内紛状態を暴露した。

「サンブティーク」の名で知られるスバイイー氏(25歳)は、ダーイシュの幹部のほとんどがイラク人とシリア人から構成され、彼らがサウジ人青年をシリアでの戦闘に参加させるための勧誘・宣伝活動を行っていると述べた。

al-Anha', March 4, 2014

al-Anha’, March 4, 2014

ダーイシュの幹部らはスバイイー氏に、ビデオ声明に出演し、サウジ人青年の勧誘を行うようたびたび求めてきたが、スバイイー氏はこれを断ってきたという。

スバイイー氏によると、シリアでの戦闘に参加しているサウジ人青年はそのすべてが戦闘員で、ほとんどが詳細を知らされないままに最前線に配備されているという。

また最前線に送られたサウジ人部隊どうしが「互いに背教宣告を出し合い、サウジ人どうしで戦うことを求める命令も下されてきた」という。

スバイイー氏はそのうえで「背教宣告は武装集団どうしでなされるだけなく、シリア国外にもおよび、サウジアラビアの為政者、宗教関係者などにも及び、シリア政府への戦闘は武装集団どうしの戦いに取って代わり、ジハードと言えるようなものは皆無だった」と証言した。

スバイイー氏によると、ダーイシュは彼のツイッターのアカウントを勝手に使用し、扇動的なメッセージを発信、スバイイー氏がアカウントの閉鎖を申し出ると、「戦闘に集中せよ」と拒否されたという。

スバイイー氏は、シリアでの戦闘参加の経緯に関して、サウジアラビアを出国したのち、カタールとトルコを経由して、シリアに潜入したことを明らかにした。

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シリア革命総合委員会広報局は声明を出し、ダイル・ザウル市ラシュディーヤ地区でシリア軍が化学兵器を使用し、5人が呼吸困難に陥ったと発表した。

AFP, March 5, 2014、AP, March 5, 2014、ARA News, March 5, 2014、Champress, March 5, 2014、al-Hayat, March 6, 2014、Iraqinews.com, March 5, 2014、Kull-na Shuraka’, March 5, 2014、Naharnet, March 5, 2014、NNA, March 5, 2014、Reuters, March 5, 2014、SANA, March 5, 2014、UPI, March 5, 2014などをもとに作成。

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