トルコ軍がアレッポ県北部でロシア軍パトロール部隊を砲撃、対するロシア軍はトルコ占領地内の石油精製用燃焼装置を地対地ミサイルで攻撃(2021年2月9日)

アレッポ県では、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍に所属するマンビジュ軍事評議会の広報センターが声明を出し、マンビジュ市北東のトルコ占領地内にあるカイラータ村のトルコ軍基地から、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるジャート村に対して砲撃が行われた。

ANHA(2月9日付)によると、砲撃が行われた際、ロシア軍のパトロール部隊が同地のシリア軍拠点に進駐していたという。

また、シリア人権監視団によると、トルコ軍は、アレッポ県北部のシリア民主軍および同軍所属のマンビジュ軍事評議会の拠点への砲撃を停止するようロシア軍の要請を受けたが、これを拒否しており、これが今回の威嚇攻撃のきっかけとなったという。

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トルコ軍がロシア軍部隊のパトロールに合わせて砲撃を行ったことを受けて、ラタキア県のフマイミーム航空基地に駐留しているロシア軍部隊が、トルコ占領下のジャラーブルス市南のタルヒーン村にある石油精製用燃焼装置に対して地対地ミサイルで攻撃を行った。

地対地ミサイルは2発着弾し、ANHA(2月9日付)によると、2人が死亡、複数人が負傷、シリア人権監視団によると、大規模な爆発・火災が発生し、し5人が死亡、4人が負傷した。

なお、1月9日にも同地にある石油精製用燃焼装置が所属不明の無人航空機(ドローン)の攻撃を受けている。

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一方、ANHA(2月9日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるアレッポ県タッル・リフアト市と同市の近郊にあるマルアナーズ村、アルカミーヤ村、タッル・アッジャール村、アイン・ダクナ村、バイルーニーヤ村、ハルバル村を砲撃した。

このほか、シリア人権監視団によると、トルコ占領下のバーブ市では、車に乗った武装集団が、ダイル・ザウル県出身の住民1人を銃で撃ち、殺害した。

また、シリア政府の支配下にあるアレッポ市ラームーサ地区にある軍事アカデミ-で原因不明の爆発が発生した。

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ラッカ県では、ANHA(2月9日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるアイン・イーサー市近郊のムシャイリファ村、M4高速道路沿線、ナヒール休憩所を砲撃した。

AFP, February 9, 2021、ANHA, February 9, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 9, 2021、Reuters, February 9, 2021、SANA, February 9, 2021、SOHR, February 9, 2021などをもとに作成。

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