シリア各地で「外国の即時軍事介入」を求める反体制デモが発生するなか、「イラク真理ジハードの旗」がアサド政権に対する武装闘争を宣言(2012年3月16日)

国内の暴力・反体制デモ

シリア各地で「外国の干渉拒否、改革支持」を訴える大規模集会と「外国の即時軍事介入」を求める反体制デモが発生した。

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『ハヤート』(3月16日付)によると、ハサカ県、ダルアー県、ヒムス県、ハマー県、アレッポ県、イドリブ県、ラッカ県、ダマスカス県、ダマスカス郊外県で反体制デモが行われ、「数万人」が参加した。

al-Hayat, March 17, 2012
al-Hayat, March 17, 2012

一部のデモに対して、治安部隊は実弾を使用し強制排除を試み、複数名が負傷した、という。

反体制活動からはフェイスブックなどで「即時軍事介入の金曜日」と銘打ってデモを呼びかけていた。

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一方、軍・治安部隊による反体制武装集団への掃討作戦が続き、『ハヤート』(3月17日付)によると、ヒムス県などで40人以上が殺害された。

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ダマスカス県・ダマスカス郊外県では、革命指導評議会メンバーだというディーブ・ディマシュキーなる活動家によると、マイダーン地区、カダム区、カフルスーサ区、ハジャル・アスワド市などで反体制デモが発生した。

ドゥマイル市、カタナー市では、離反兵と軍・治安部隊が交戦市、7人が死亡した。

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ハサカ県では、フェイスブックの「反バッシャール・アサド・シリア革命2011」によると、ハサカ市、カーミシュリー市、アームーダー市などで反体制デモが発生した。

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アレッポ県では、アレッポ市で反体制デモが発生し、『ハヤート』(3月17日付)によると数千人が参加した。

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ヒムス県では、シリア革命総合委員会のハーディー・アブドゥッラーなる活動家によると、ヒムス市のバーブ・スィバーア地区、バーブ・ドゥライブ地区、バーブ・ジャンダリー地区、バーブ・タドムル地区、ハミーディーヤ地区、ハーリディーヤ地区、バイヤーダ地区、ダイル・バアルバ地区で「突如」反体制デモが発生した。

またシリア人権監視団によると、フーラ地方でも大規模なデモが発生し、治安部隊の発砲で8人が負傷した。

ラスタン市では、軍・治安部隊と離反兵が交戦し、1人が死亡した。

赤十字国際委員会は、ザアフラーナ村で約12,000人が避難生活を送っていると発表した。

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イドリブ県では、反体制活動家によると、イドリブ市内の複数のモスク前で反体制デモが発生した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市での治安部隊による活動家摘発時に1人が殺害された。

SANA, March 16, 2012
SANA, March 16, 2012
SANA, March 16, 2012
SANA, March 16, 2012

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハマー市で治安部隊の発砲で2人が殺害された。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、東部で軍・治安部隊と離反兵が交戦し、4人が死亡した。

アサド政権の動き

SANA(3月16日付)によると、「シリアのための世界行進」運動の呼びかけに応じるかたちで、アサド政権の「改革支持、内政干渉拒否」を訴えるデモ・集会が行われた。

集会は、ダマスカス県サブウ・バフラート広場、タルトゥース市で行われた。

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SANA(3月16日付)は、ベイルート、アンマン、サヌア、チュニス、ブリュッセル、ペンシルバニア、シカゴなどで、シリア学生国民連合が、「シリアのための世界行進」運動の呼びかけに応じるかたちで、「改革支持、内政干渉拒否」を訴えるデモ・集会を行ったと報じた。

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SANA(3月16日付)によると、外務省が国連の潘基文事務総長、国連人権理事会議長、国連人権高等弁務官に対して書簡を送り、そのなかでヒムス市などでの「武装テロ集団による犯罪行為」の実態について報告、「軍事干渉を呼びかける諸外国の一部宗教関係者のファトワー」が同犯行を助長していると非難した。

また「テロリスト掃討」を「国民を保護する国家の義務」と主張し、政治的解決に向けて、アナン特使と協力を行うとの姿勢を示した。

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ギリシャ・カトリック教会アンタキア総大司教のグレゴリウス3世ラッハームはローマで、「シリア軍は介入の必要がある場合にしか介入していない」と述べ、アサド政権による反体制武装集団の掃討を正当だとみなした。

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『ガーディアン』(3月16日付)は、アサド大統領が西側で教育を受けた「若い女性たち」からのアドバイスに従い、メディア対策などを講じていることが、大統領や政権交換が個人的に利用しているメールの内容から明らかになったと報じた。

Kull-na Shuraka’, March 19, 2012
Kull-na Shuraka’, March 19, 2012
Kull-na Shuraka’, March 19, 2012
Kull-na Shuraka’, March 19, 2012

同報道によると、アサド大統領と個人的に連絡をとりあっている「若い女性たち」のなかには、米国のモンタナ州立大学で教育を受けたハディール・アリー氏、シャハルザード・ジャアファリー氏(バッシャール・ジャアファリー国連代表大使の娘)らがいる、という。

このうちハディール氏は、ラタキア県カルダーハ市(アサド家の生地)出身のアラウィー派宗徒で、「利口で、洗練されていて、セクシー」だという。

ハディール氏はフェイスブックで大統領を「dude」と呼ぶなどしており、その言動からは大統領と個人的にも政治的にも近しい関係にあることが伺い知ることができるという。

イラクの動き

「イラク真理ジハードの旗」は声明を出し、「シリア政府に対する武装ジハードと、戦闘を望むすべての者に対する慈善活動の扉の開放」を宣言し、アサド政権に対する武装闘争を宣言した。

また同声明では、アサド政権がイラン・イスラーム革命防衛隊、ヒズブッラー、バドル軍団、マフディー軍などによって支援され、スンナ派の都市の破壊を試みている、との宗派主義的言説を展開した。

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サドル潮流のムクタダー・サドル氏は、マフディー軍がアサド政権の弾圧を支援しているとの言説を否定した。

マフディー軍の弾圧支援に関しては、自由シリア軍が声明などで批判していた。

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イラクのヌーリー・マーリキー首相はAFP(3月16日付)に対して、「イラクは、自国領土、領空を武器が通過することを認めない。それがいかなるものによるものであれ、いかなる方面であれ」と述べ、イラン空爆時に予想されるイスラエル軍のイラク領空の通過、シリアの反体制勢力によるアサド政権への武装闘争のいずれをも拒否するとの姿勢を示した。

レバノンの動き

Naharnet, March 19, 2012
Naharnet, March 19, 2012

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、父カマール・ジュンブラート前党首の命日に合わせて墓参し、「専制者よりも強いアラブ・シリア革命の殉教者たち」への哀悼の意を表し、父の墓前にフランス委任統治時代のシリアの旗(反体制勢力が使用する旗)を捧げた。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はジュネーブでのアナン特使との会談前の記者会見で、シリア情勢に関して、アサド政権にアナン特使へ全面協力させるよう試みていると述べた。

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レオン・パネッタ米国務長官は、フッラ・チャンネル(3月16日付)に対して、「実行可能な最善の行動はシリア政府への国際的圧力である。国際社会とアラブ連盟はシリアに制裁を科し、アサド退任とシリア国民の自決を認める必要を確認した」と述べ、軍事介入の可能性を否定した。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、シリアへの軍事介入に関して、「安保理決議なしには不可能」と述べた。

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コフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使はジュネーブで国連安保理各国に対してシリア政府との交渉の進捗状況に関する報告を行った。

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キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表は、EU各国が大使館閉鎖を決定するなか、駐シリアEU代表部は存続すると発表した。

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国際救済委員会は、人道支援の第一弾として、ヨルダン国内のシリア人避難民数千人に対して衣服や医療物資を提供すると発表した。

AFP, March 16, 2012、Akhbar al-Sharq, March 16, 2012、The Guardian, March 16, 2012、al-Hayat, March 17, 2012、Kull-na Shuraka’, March 19, 2012、Naharnet.com, March 16, 2012、SANA, March 16, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アサド政権を支持する「シリアのための世界行進」運動が各地で組織され「数百万」人が集まるなか、シリア・クルド国民評議会とシリア国民評議会の統合の是非が議論される(2012年3月15日)

アサド政権の動き

「シリアのための世界行進」運動が、3日間の予定で、シリア国内の都市、諸外国のシリア大使館・領事館前で、アサド政権の「改革支持、内政干渉拒否」を訴えるデモ・集会を組織・開催した。

SANA(3月15日付)は、ダマスカス県など各地で「数百万」の市民が集まり、外国の干渉拒否、アサド大統領が指導する改革プログラム支持を訴えたと報じ、集会の写真、ビデオ多数を公開した。

集会は、ダマスカス県内ウマウィーイーン広場、アレッポ市、ラタキア市、ラッカ市、スワイダー市、タルトゥース市、ハサカ市、ミスヤーフ市(タルトゥース県)、サルハブ市(ハマー県)、ヒムス市、ダルアー市などで開催された。

一方、BBC(3月15日付)は「数千人」が参加したと報じた。

SANA, March 15, 2012
SANA, March 15, 2012
SANA, March 15, 2012
SANA, March 15, 2012
SANA, March 15, 2012
SANA, March 15, 2012
SANA, March 15, 2012
SANA, March 15, 2012
SANA, March 15, 2012
SANA, March 15, 2012
SANA, March 15, 2012
SANA, March 15, 2012
SANA, March 15, 2012
SANA, March 15, 2012
SANA, March 15, 2012
SANA, March 15, 2012
SANA, March 15, 2012
SANA, March 15, 2012
SANA, March 15, 2012
SANA, March 15, 2012

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『ガーディアン』(3月15日付)は、アサド大統領のメールに関する続報で、義父で英国在住の心臓外科医ファウワーズ・アフラス氏が大統領にメールで、反体制勢力が発信する子供への虐待の映像にどう対処すべきかなどを指南していた、と報じた。

国内の暴力

イドリブ県では、『ワタン』(3月15日付)によると、関係当局が制圧したイドリブ市および各市町村で反体制勢力の追跡摘発を継続しており、「テロリスト」はほとんどが逃走した。

SANA(3月15日付)は、ザーウィヤ山のカフルナブル市、ハザーズィーン村、マアッラト・ヌウマーン市で関係当局と武装テロ集団が交戦し、後者のメンバー4人を殺害し多数を逮捕した、と報じた。

一方、シリア人権監視団によると、イドリブ市近郊のワーディー・ハーリドで「激しい拷問」のあとが残った遺体23体が見つかった。

また、マアッラト・ハルマ、ハーン・シャイフーンなどでの軍・治安部隊による掃討作戦で5人が殺害された、という。

また、『ハヤート』(3月16日付)は、複数の活動家がイドリブ市での攻撃で殺害された民間人114人の氏名を発表した、と報じた。

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ハサカ県では、『クッルナー・シュラカー』(3月15日付)によると、政治治安部(治安機関)がハサカ市で、灯油を求めて同局近くで集まっていた市民に発砲、8人を殺害した。

また『クッルナー・シュラカー』(3月15日付)によると、市内スーク・ハドラで乗り合いタクシーの運転手が料金値上げと灯油の供給保障を求めて道路を封鎖、これに市民らも参加して反体制デモへと発展した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ムーハサン市で軍・治安部隊と離反兵が激しく交戦した。

国外の反体制勢力の動き

『クッルナー・シュラカー』(3月15日付)は、信頼できるクルド筋からの話として、シリア国民評議会の使節団がイラク・クルディスタンのアブリールを秘密裏に訪問し、シリアおよびイラクのクルド民族主義勢力各派と会談した、と報じた。

アブドゥルバースィト・スィーダー氏(クルド人)らからなる使節団は、シリア・クルド国民評議会の渉外局メンバー、イラク・クルディスタン地域政府首脳ら会談し、シリア・クルド国民評議会とシリア国民評議会の統合の是非が議論されたという。

トルコの動き

Akhbar al-Sharq, March 15, 2012
Akhbar al-Sharq, March 15, 2012

トルコのベシル・アタライ副首相は、「トルコはシリア領内でアサド大統領の軍による攻撃から民間人を保護するため緊急(避難)地域の設置を検討している」と述べた。

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トルコ赤新月社のアフメト・ルトフィ代表は、トルコ領内に約50万人の避難民が逃れている、と発表した。

シリア人の多くは、トルコが仏委任統治時代のシリアから1930年代末に割譲・併合したアレキサンドレッタ地方(トルコ名でハタイ県)に避難している。

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トルコ外務省のセルチュク・オナル報道官は記者会見で、「ハタイ県に逃れてきた人々のなかに、シリア軍で7番目に高位の士官がいる」と発表した。

同士官の氏名、階級、所属は不明。

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在外シリア人活動家など数百人からなる「自由船団」が人道支援のためトルコ経由でシリアへの入国を試みたが、キリス市近郊でトルコ当局に阻止された。

レバノンの動き

Naharnet.com, March 15, 2012
Naharnet.com, March 15, 2012

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長がテレビ演説を行い、「犠牲を顧みずにシリアの体制転覆をめざす者は挫折するだろう」と述べた。

レバノン国内情勢をめぐって3月14日勢力を批判したナスルッラー書記長は、シリア情勢に関して以下のように述べた。

「危機が始まって1年が経った。我々はすべての当事者に1年を振り返るよう呼びかけ、その結果、政治的解決のみが混乱を収束させ得るとの結論に達した。それ以外のいかなることも流血をもたらすだけだろう…。犠牲を顧みずシリアの体制転覆をめざす者は挫折するだろう…。レバノン人そしてシリアの隣人として政治的解決をめざすというのが我々の関心事である。シリア人は改革を断行せねばならない…。我々はレジスタンスを支援する人々を支持する」。

イラクの動き

イラクの反体制武装組織、イラク抵抗イスラーム戦線シャリーア委員会(通称ジャーミア、JAMA)は声明を出し、同戦線の武装部門であるサラーフッディーン・アイユービー大隊が、「すべてのエネルギーと力を駆使してシリア国民を救済する」との意思を表明し、アサド政権打倒に向けたジハードと武装闘争を行うと宣言した。

諸外国の動き

国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長は、国連職員やイスラーム諸国会議機構の職員ら多数が、ヒムス、ハマー、タルトゥース、ラタキア、アレッポ、ダイル・ザウル、ダマスカス郊外県各地区訪問での人道任務に参加する、と発表した。

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『ハヤート』(3月16日付)は、コフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使の訪問時に、シリア政府が、反体制勢力の政府当局への武器引き渡しと引き替えに政治犯への恩赦をするという提案を行ったと報じた。

アフマド・ファウズィー特使付報道官によると、アナン特使はこの提案を検討中だという。

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『ハヤート』(3月16日付)によると、イランはシリアに約40トンの医療・人道支援を送った。

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アルジェリアのムラード・マドリスィー外務大臣は、イタリア外相との会談後の会見で、両国がシリアへの人道支援を行う必要がある点で意見が一致したと述べた。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、シリア情勢に関して、内戦回避という立場から反体制勢力への武器供与の意思はないと述べた。

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イタリア、オランダ、クウェート、バーレーンの外務省は、シリアでの暴力に抗議するため、在ダマスカス大使館の閉鎖を決定したと発表した。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチは、シリア国内での弾圧に関して「焦土作戦」と非難した。

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GCC事務局は、アサド政権による弾圧に抗議するため、ダマスカスの加盟国大使館を閉鎖する、と発表した。

AFP, March 15, 2012、Akhbar al-Sharq, March 15, 2012, March 16, 2012、The Guardian, March 15, 2012、al-Hayat, March 16, 2012, March 17, 2012、Kull-na Shuraka’, March 15, 2012、Naharnet.com, March 15, 2012、Reuters, March 15, 2012、SANA, March 15, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア国民評議会の主導的メンバー3人が「評議会が存在するという嘘の偽証者になりたくない」との理由で脱退を宣言(2012年3月14日)

国内の暴力

シリア人権監視団など反体制勢力は、ダルアー県などで軍・治安部隊による反体制勢力への掃討作戦が継続され、37人(うち24人が民間人、13人が離反兵)が殺害されたと、シリアでの「アラブの春」開始(2011年3月15日)1年に合わせるかたちで発表した。

Kull-na Shuraka’, March 13, 2012
Kull-na Shuraka’, March 13, 2012

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また反体制勢力と政府は、ヒムス市での双方の「虐殺」を証明する映像、写真を公開し、情報戦を繰り広げた。これらの映像、写真の真偽は定かでない。

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ヒムス県では、シリア革命総合委員会のハーディー・アブドゥッラーを名乗る活動家によると、ヒムス市カラム・ザイトゥーン地区で「傷つけられ焼かれた遺体数十体」が発見されたと述べ、「政府軍の犯行だと「ほぼ」確信している」と述べた。

また、「自由シリア軍」は同地区に潜入し、14体の遺体を回収したと付言した。

一方、SANA(3月15日付)は、武装集団がヒムス市のカラム・ルーズ地区で「虐殺」を行い女性1人、子供4人を含む15人を惨殺したと報じ、その写真を公開した。

また『ワタン』(3月15日付)は、捜査当局がカラム・ザイトゥーン地区での「虐殺」に関与した多数のテロリストを逮捕した、と報じた。

同報道によると、ヒムス市のアシーラ地区で遺体4体、カラム・ザイトゥーン地区で10体、ナーズィヒーン地区で12体が発見されたほか、アシーラ地区北部で集団虐殺されたと見られる遺体10体と集団墓地が発見された、という。

このほか、クサイル市では、シリア人権監視団によると、民間人5人と離反兵4人が殺害された。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市で軍・治安部隊による掃討作戦が激化し、離反兵9人を含む20人が殺害された。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ザーウィヤ山で民間人5人、離反兵2人が殺害された。

一方、SANA(3月15日付)は、関係当局がザーウィヤ山のアフラージュ、カフーフ・バーラで武装テロ集団と交戦し、テロリスト1人を殺害、多数を逮捕した、と報じた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市で市民1人が殺害された。

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アレッポ県では、反体制活動家のイブラーヒーム・マラキー弁護士によると、アレッポ市で弁護士約500人が市内の裁判所で弾圧に抗議する座り込みを行ったが、治安当局に強制排除された。

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ハサカ県では、シリア・クルド青年調整連合広報局によると、カーミシュリー市で武装集団がカドムーム社(長距離バス・貨物会社)事務所を襲撃し、1人を殺害した。

アサド政権の動き

Kull-na Shuraka’, March 13, 2012
Kull-na Shuraka’, March 13, 2012

シリア外務省のジハード・マクディスィー報道官は、コフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使の提案に関して「文書でなされたものでない」としたうえで、シリア政府の回答が、「是々非々で回答はできない。なぜなら我々は国民の政党な要求…とこの要求を別の目的に利用しようとする者を区別しているからだ。だが…我々はシリアの固有性に相応しいあらゆる建設的提案をも遵守する」と述べた。

また軍・治安部隊による掃討作戦に関して「軍は自衛している。武装集団の存在は国際的な報告書において明記されている」と述べた。

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アラビーヤ(3月14日付)は、シリア・インターネット軍に属するアレッポ・ニュース・ネットワーク(ANN)がアサド政権から離反した、と報じた。

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『ガーディアン』(3月14日付)は、アサド大統領とアスマー・アフラス婦人のE-mail約3000通を反体制勢力が入手したと報じた。

入手したメールのなかには、湾岸諸国からの大統領の家族の亡命受け入れの申し出、イランからの危機対処の方法指示、ヒムス市に対する治安対策強化への大統領の指示などが含まれているほか、大統領が改革を危機打開の手段としてしかみなしていないことを示す内容や、婦人による数千ドルの奢侈品の購入などを示す内容のメールもあるという。

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SANA(3月15日付)は、「武装テロ集団」によるヒムス市バーブ・アムル地区での破壊行為の被害総額が3350万米ドルに達する、と報じた。

反体制勢力の動き

Kull-na Shuraka’, March 13, 2012
Kull-na Shuraka’, March 13, 2012

シリア国民評議会の主導的メンバー3人が「評議会が存在するという嘘の偽証者になりたくない」との理由で、相次いで脱退を宣言した。

脱会を宣言したのは、ハイサム・マーリフ弁護士、カマール・ルブワーニー氏、カールティーン・タッリー女史。

3人はいずれも2月末に発足した「シリア解放行動グループ」という新たな反体制組織の創設メンバーで、マーリフ弁護士の脱会は13日に報じられていた。

シリア国民評議会高官は、AFP(3月15日付)に対して「評議会との意見の相違」により脱会したことを明らかにした。

しかし、ルブワーニー氏は、シリア解放行動グループのウェブページで声明を出し、「評議会が存在するという嘘、評議会を名のる組織が「国民的」と関していることの嘘の偽証者」になることはできないとしたうえで、「西側のアジェンダと結託…を通じてシリア国民の惨殺に荷担」できないと述べた。

またブルハーン・ガルユーン事務局長に関しては「利用されており、非民主的で…「バッシャールのように批判を受け入れない。彼を批判すると、彼は我々が親体制派かと述べた」と非難した。

さらにシリア・ムスリム同胞団が自身の基盤拡大のため「武器支援と人道支援の独占」を試みていると述べた。

一方、タッリー女史もフェイスブック(3月15日付)で、「純粋なシリア人の血を犠牲にした…評議会の偽証者となることを拒否して…、脱会を宣言する」と心中を明かしたうえで、自身が評議会の政治的決定に何ら参画できていなかったことを暴露した。

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自由シリア軍のアンマール・ワーウィー大尉は、AFP(3月14日付)に対して、アサド大統領の運命はリビアのムアンマル・カッザーフィー大佐よりも「悪い」ものとなるだろう、と述べた。

レバノンの動き

自由国民潮流代表のミシェル・アウン元国軍司令官(国会議員)は、シリア情勢に関して、「シリアの政府が倒れたら、その代わりとなるのは何だ?我々の安全は脅かされ、戦争が迫ってくるだろう…。「同胞団に支配させよ」などとは言いたくない」と述べた。

諸外国の動き

中国の温家宝首相は、全国人民代表大会の閉幕にあたり記者会見を開き、シリア情勢に関して、「中国はシリアの問題に特別な利害を有していない。中国はシリア政府を含むいかなる当事者にも与する意思はない」と述べた。

一方、中国外務次官は、「中国人民からの同情と懸念の表明」としてシリアに対して、緊急人道支援を行うと発表した。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、下院での質疑応答でシリア情勢に関して、アサド政権が「体制刷新と多元性への開放のための優れた改革を行おうとしているが、その実施は大いに遅れている…。我々の忠告は残念ながら、まったく実施されてない」と述べた。

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バラク・オバマ米大統領はデビッド・キャメロン英首相との会談後の記者会見で、シリアにおける最善策が政治的解決だと述べた。

キャメロン首相は、ロシア、中国とシリアの移行期間に対処するための新たな国連決議採択に向けて強調する意思が西側にはあると述べる一方、アサド政権による弾圧が「内戦をもたらし、革命を生き埋めにする」と非難した。

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フランスのニコラ・サルコジ大統領は、EURO1(3月15日付)で、アサド大統領は「殺人者」として国際刑事裁判所で裁かれねばならない、と述べた。

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サウジアラビアのナーイフ・ブン・アブドゥルアズィーズ内務大臣兼副首相は、チュニスでのアラブ諸国内相会談で、「シリアで起きている暴力行為と流血を、いかなる宗教も心も受け入れない」と宗教心を引き合いにだして非難した。

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イタリア外務省は声明を出し、アサド政権の弾圧に抗議してダマスカスの大使館を閉鎖すると発表した。

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チュニジアのムンスィフ・マルズーキー大統領は、前言を撤回し、アサド大統領が亡命しても受け入れず、シリア国民に引き渡し、法廷に立たせるだろうと述べた。

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『ミッリイェト』(3月15日付)は、イドリブ県内で取材活動をしていたトルコ人記者2人が3月9日の連絡を最後に失踪している、と報じた。

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国連の潘基文事務総長は、安保理で、シリア情勢をめぐる三つの最優先事項として、即時暴力停止、人道支援、政権と反体制勢力間の政治プロセスと対話の開始を挙げた。

また流血停止のための早急な行動を改めて呼びかけた。

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アムネスティ・インターナショナルは、アサド政権が反体制運動弾圧のために31種類の拷問を逮捕者に対して行ったと発表、「組織的拷問の悪夢」と非難した。

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FAOは約140万人のシリア人がヒムス県、ハマー県、ダマスカス郊外県、ダルアー県、イドリブ県などで食糧不足に苦しんでいる、と発表した。

AFP, March 14, 2012、Akhbar al-Sharq, March 14, 2012, March 15, 2012、Facebook, March 14, 2012、The Guardian, March 14, 2012、al-Hayat, March 16, 2012、Kull-na Shuraka’, March 14, 2012、Naharnet.com, March 14,
2012、Reuters, March 14, 2012、SANA, March 14, 2012, March 15, 2012、al-Watan, March 14, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アサド大統領は第10期人民議会選挙の投票を2012年5月7日に行うことを決定、一方エルドアン首相は「シリアの友連絡グループ」の第2回大会をイスタンブールで4月2日に開催すると発表(2012年3月13日)

アサド政権の動き

アサド大統領は2012年政令第113号を発し、第10期人民議会選挙の投票を2012年5月7日に行うことを定めた。

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SANA(3月13日付)は、外務省が、イスラエルによるガザ空爆を非難し、「国際社会はイスラエルの敵対行為停止とガザ包囲解除を求める緊急の行動をとることが重要」との声明を発表した。

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『クッルナー・シュラカー』(3月13日付)は、アサド大統領の義兄のアースィフ・シャウカト副参謀長(中将)がヒムス市掃討作戦に関して、アサド大統領の母方のマフルーフ家の面々が、国を宗派戦争に陥れようとしていると批判した、と報じた。

同報道によると、シャウカト副参謀長は、総合情報部内務課のハーフィズ・マフルーフ准将、ビジネスマンのラーミー・マフルーフ氏、そして両氏の父でアサド大統領のおじのムハンマド・マフルーフ氏がヒムス市内のアラウィー派が多く住む地区(ザフラー地区など)にシャッビーハを配備し、武器や資金を援助したと述べたという。

またラーミー氏が運営する慈善団体のブスターン協会がこうした活動の背後にいると怒りを露わにしたという。

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『クッルナー・シュラカー』(3月13日付)は、反体制運動に協力的な治安機関筋の話として、治安機関は現在、治安維持活動や指名手配者追跡・逮捕の任務を実行できる能力はなく、もっぱらシャッビーハが捕らえた活動家の身柄を引き受ける役割しか果たしていないと報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(3月13日付)は、ヒムス市ザフラー地区のアラウィー派のシャイフの一人が、マーヒル・アサド大佐やラーミー・マフルーフ氏が「アラウィー派国家」分離建設構想を進めようとしていると述べた、と報じた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会の使節団が、トルコのアンカラで、コフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使と会談した。

会談後の記者会見で、アナン特使は自身の提示した提案へのアサド政権の解答を待っていると述べた。

一方、ブルハーン・ガルユーン事務局長は、「一部の国が反体制勢力の武装化(支援へ)の意思を表明している」としたうえで、政治的・外交的な関係正常化が実現しない場合、「武器支援の提案を受け入れるだろう」と述べた。

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国内で反体制活動を指導してきたハイサム・マーリフ弁護士(現在オランダ在住)は、シリア国民評議会からの脱会を宣言した。

オランダのラジオ局(3月13日付)が報じた。

マーリフ弁護士によると、評議会は、ブルハーン・ガルユーン事務局長と一部の活動家によって決定が独占されており、アナン特使と評議会使節団の会談に関して新聞で初めて知ったという。

また自由シリア軍への支持の姿勢を行動に移せない評議会には、実質的な武器兵站支援能力はないとしたうえで、脱会後は自由シリア軍を支援する国民戦線を主導するかたちで活動を継続すると述べた。

国内の暴力、反体制抗議行動

『ハヤート』(3月14日付)によると、軍・治安部隊は、離反兵数百人との交戦の末、イドリブ市を制圧した。

また反体制活動家によると、イドリブ県、ダルアー県、ダマスカス郊外県、ヒムス県、アレッポ県で軍・治安部隊と離反兵の戦闘によって、数十人が死傷した。

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Kull-na Shuraka’, March 13, 2012
Kull-na Shuraka’, March 13, 2012

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市で離反兵がバアス党支局事務所の検問所を攻撃し、治安部隊兵士10人を殺害した。

また同市に対する軍・治安部隊の攻撃で市民5人が殺害された。

さらに同監視団によると、マアッラ・シューリーン村近くで遺体6体、サルミーン市で遺体1体が発見された。

このほか、ザーウィヤ山一帯のハーン・シャイフーン市、バーラ村などに対して、軍・治安部隊が激しい掃討作戦を行い、離反兵と交戦した、という。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ランクース市近郊で、離反兵が軍・治安部隊を載せたバス2台を要撃した。死傷者数は不明。

カラムーン地区革命指導評議会報道官を名のるムルタダー・ラシードなる活動家によると、ランクース市近郊での作戦以外にも、ザバダーニー市、カラムーン山地一帯などで離反兵が軍・治安部隊と交戦した、という。

シリア人権連盟によると、ドゥーマー市で負傷した活動家ムハンマド・ムハンマド・サアブ氏(26歳)が身柄拘束されたのちに殺害された。

ドゥーマー市では治安部隊による活動家の追跡活動が行われ、市内の複数カ所で激しい爆発音や銃声が聞こえた、という。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダーイル町で離反兵が治安部隊を要撃し、12人を殺害した。

一方、SANA(3月13日付)によると、ラジャート高原で武装テロ集団と軍・治安部隊が交戦し、前者に多数の死者が出た。

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ダイル・ザウル県では、クーリーヤ市で治安部隊による活動家の追跡活動が行われた。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アアザーズ市で軍・治安部隊と離反兵が交戦し、青年1人、治安部隊兵士1人が死亡した。

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ヒムス県では、SANA(3月13日付)によると、タッルカラフ地方でレバノンからの武器を密輸しようとしたテロ集団と国境警備隊が交戦、密輸を阻止した。

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Kull-na Shuraka’, March 12, 2012
Kull-na Shuraka’, March 12, 2012
Kull-na Shuraka’, March 12, 2012
Kull-na Shuraka’, March 12, 2012

ハマー県では、SANA(3月13日付)によると、ガーブ開発委員会のドライバーがカルアト・マディーク地方で武装テロ集団によって殺害された。

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ハサカ県では、クルド人数万人が、カーミシュリー市、カフターニーヤ市、アームーダー市、ラアス・アイン市、ダイリーク市などで「カーミシュリーの春」発生8周年に合わせて反体制デモを行った。

レバノンの動き

マロン派のビシャーラ・ラーイー・マロン派総大司教は、ジャズィーラ(3月13日付)で、シリア情勢に関して「政府、国民、武装集団のいずれもが行う」暴力を非難する、と述べた。

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進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、イスラエルによるガザ空爆を非難するなかで、「過去数十年にわたって大衆を殺戮し、政治的暗殺…を行う体制とパレスチナ人への集団的犯罪を、大衆殺戮、指導者暗殺を行う体制は類似している」と述べ、アサド政権を暗に批判した。

諸外国の動き

『ハヤート』(3月14日付)は、シリアでの人権侵害状況の調査を目的とする特別調査委員会が、国連のナバネセム・ピレイ人権高等弁務官に、アサド政権の「人道に対する罪」の容疑者に関する秘密リストを提出した、と報じた。

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一方、国連難民高等弁務官は、3万人の民間人がシリアを離れ、周辺諸国に避難し、またシリア国内で少なくとも20万人が避難民となっている、と発表した。

またシリア人避難民問題支援担当調整官にパノス・ムムトズィス(Panos Moumtzis)氏を任命したと発表した。

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国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長は、シリアの人道状況評価のための合同先遣使節団がシリア政府との合意に基づき3月15日から活動を開始すると発表した。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、シリアの友連絡グループの第2回大会をイスタンブールで4月2日に開催すると発表した。

一方、駐トルコ米大使館は、デービッド・ペトレアスCIA長官がトルコを訪問し、レジェップ・タイイップ・エルドアン首相らと、シリア情勢、イラク情勢、PKKの活動などに関して意見を交換したと発表した。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣とは、シリア情勢に関して、すべての当事者の暴力停止と「同時」に独立国際監視団を受け入れることをアサド政権に認めさせるべきだと述べた。

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カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は、シリア情勢に関して「我々がゼロからこの問題に取り組み、数ヶ月も対話を継続するだろうと考えている者がもしいるとしても、私はこれ以上、国際社会、アラブ世界、シリア国民が耐えられないと考えている」と述べ、早急な干渉を主唱した。

その一方、ハマド首相兼外務大臣は、シリア国民評議会の指導的活動からの離反を受け、反体制勢力に意見の相違に終止せず、シリア国内の反体制活動の支援方法を構築することに集中するよう苦言を呈した。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、シリア情勢に関して、「人道に対する罪」に関する調査の実施を呼びかけた。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチは、対レバノン、トルコ国境でのシリア軍による地雷埋設を非難した。

AFP, March 12, 2012、Akhbar al-Sharq, March 12, 2012, March 14, 2012、al-Hayat, March 13, 2012、Kull-na Shuraka’, March 12, 2012、Naharnet.com, March 12, 2012、Reuters, March 12, 2012、SANA, March 12, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ヒムス市で発生したとされる女性・子供含む47人の惨殺の責任の所在をめぐって非難の応酬がなされる、国連安保理で閣僚級会合が開かれるもロシアとアラブ連盟が合意した「五原則」についての見解は一致せず(2012年3月12日)

国内の暴力

ヒムス市カラム・ザイトゥーン地区で、女性・子供を含む惨殺遺体47体が発見された。遺体は市内の複数地区で殺害されたもの。

Youtube
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Kull-na Shuraka', March 12, 2012
Kull-na Shuraka’, March 12, 2012
SANA, March 12, 2012
SANA, March 12, 2012

この事件に関して、SANA(3月12日付)によると、アドナーン・マフムード情報大臣が記者会見を開き、「武装テロ集団がヒムス市内の複数の地区で誘拐・殺害した遺体」と発表、「武装テロ集団」が安保理会合前に国際社会に圧力を求めるために行った「虐殺」と非難した。

またカタールやサウジアラビアなどテロ集団を支援する一部の国を「テロのパートナーであり…シリアでの流血の責任を負っている」と付言した。

SANA(3月12日付)、シリア・アラブ・テレビなどは遺体の写真や、「武装テロ集団の犯行」と述べる市民の証言を公開・放映した。

一方、反体制活動家らもユーチューブなどで遺体の映像や写真を公開し、シャッビーハが惨殺したと非難した。

シリア革命総合委員会のハーディー・アブドゥッラーを名のる活動家によると、発見された遺体のうち21人が女性、26人が子供で、遺体は自由シリア軍がヒムス市バーブ・スィバーア地区に搬出し、撮影したという。

ヒムス市の活動家だというワリード・ファーリス氏によると、自由シリア軍は、軍・治安部隊が証拠を隠滅しないよう、遺体を一カ所に集めている、という。

なお「アフバール・シャルク」(3月12日付)など一部メディアは、遺体数を57体と報じた。

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シリア人権監視団によると、この報道を受け、ヒムス市の複数の地区(カラム・ザイトゥーン地区、バーブ・ドゥライブ地区、ナーズィヒーン地区)の住民が11日未明から12日にかけて、「新たな虐殺を恐れて」市外に非難した。

なお『ハヤート』(3月13日付)によると、軍・治安部隊はヒムス市全体の約70%を制圧している、という。

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軍・治安部隊はイドリブ県などで反体制武装集団に対する掃討作戦を継続し、反体制勢力筋によると、各地で合わせて113人が死亡した。

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イドリブ県では、反体制活動家によると、イドリブ市で、軍・治安部隊が離反兵、市民を要撃し、24人を殺害した。

またシリア人権監視団によると、カフルルーマー村、マストゥーマ村、フザーン村で市民4人が治安部隊に射殺された。

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ダルアー県では、反体制活動家によると、軍・治安部隊と離反兵が交戦した。

シリア人権監視団によると、ダルアー市で軍の貨物車輌が襲撃され、3人が殺害された。

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ヒムス県では、SANA(3月12日付)によると、フーラ地方で、武装テロ集団がヒムス・ハマ間の灯油のパイプラインを破壊した。

一方、シリア人権監視団によると、フーラ村、タルビーサ市、クサイル市で市民3人が殺害された。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、タブカ市で離反兵と空軍情報部が交戦し、前者に3人、後者に2人の死者が出た。

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ダマスカス県では、シリア革命総合委員会によると、ルクンッディーン区で軍・治安部隊と自由シリア軍が交戦したというが真偽は定かでない。

またマイダーン地区、サーリヒーヤ区が治安当局によって閉鎖されたとの情報が一時流れたが誤報だった。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、カルアト・マディーク町で、離反兵が軍・治安部隊兵士3人を殺害した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、カーミシュリー市で「カーミシュリーの春」発生8年に合わせて反体制デモが計画されたが、治安部隊によって強制排除された。

アサド政権の動き

AFP(3月12日付)は、シリア革命総合委員会のムハンマド・ラシュウダーン氏(在外反体制活動家)の話として、政権離反がささやかれているムスタファー・トゥラース元国防大臣が数日前からパリにいるが、「離反ではなく、体制の許可を得た訪問」の可能性が高いと報じた。

トゥラース元国防大臣は、アサド政権の許可を得て、妻と長男でビジネスマンのフィラース氏とともにフランスに滞在しており、共和国護衛隊の准将で次男のマナーフ氏はダマスカスにいる、という。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会は声明を出し、カラム・ザイトゥーン地区での惨殺遺体発見を受け、国際社会に「虐殺」に対処するための国連安保理緊急会合の開催を呼びかけ、「アラブと国際社会の緊急の軍事介入」を求めた。

レバノンの動き

サアド・ハリーリー前首相は、声明を出し、アサド政権によるヒムス市での「虐殺」は、イスラエルによるガザ攻撃に等しいと非難した。

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進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、フランス24(3月12日付)で、シリアのドゥルーズ派に対して、スンナ派との宗派対立に巻き込まれないよう警鐘をならした。

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レバノン軍団代表のサミール・ジャアジャア氏は、アサド政権に同情的なビシャーラ・ラーイー・マロン派総大司教の姿勢に関して、「地域のキリスト教徒すべてを危険にさらす」と非難した。

諸外国の動き

al-Hayat, March 13, 2012
al-Hayat, March 13, 2012

国連安保理でシリア情勢をめぐる閣僚級会合が開かれ、常任理事国外相らが出席した。

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会合に先立ってロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣と会談したヒラリー・クリントン米国務長官は、ロシアとアラブ連盟が合意した五原則に関して、「(反体制勢力の)自衛停止を求める前提条件として民間人に対する政府の暴力停止」がなされるべきだと主張した。

またシリア国民保護のために安保理が行動をとらないこと拒否するとの姿勢を固持し、ロシアと中国などに、アサド政権の暴力停止、人道支援、シリア国民の要求に沿った政治プロセスへの支援を求めた。

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ロシアのラブロフ外務大臣は、「シリア政府は自由シリア軍などといった武装集団と対決している。また攻撃を行うアル=カーイダとも対決している」と反論するとともに、外国の干渉と外国による解決策の押しつけを拒否し、体制打倒を前提として内政干渉を試みる欧米、湾岸アラブ諸国の姿勢を暗に非難した。

そのうえで、五原則における「無条件の対話」の必要を強調した。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、五原則が曖昧だと指摘、解決策はシリア国民の合法的な要求を満たすかたちで、安保理の行動を通じてなされるだろう」と述べ、内政干渉を続けるとの意思を示し、「シリアの犯罪は処罰なしで済まされてはならない」と強調した。

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国連の潘基文事務総長は、アサド政権に対して「近日中に」暴力を停止するよう改めて呼びかけた。

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中国外交部報道官は、中国政府がロシアとアラブ連盟が合意した五原則を支持すると表明した。

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イランのホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン外務次官は、アサド大統領が提案した改革が「最善の解決策」だと述べ、アサド政権への全面支持の姿勢を改めて示した。

AFP, March 12, 2012、Akhbar al-Sharq, March 12, 2012、al-Hayat, March 13, 2012、Kull-na Shuraka’, March 12, 2012、Naharnet.com, March 12,
2012、Reuters, March 12, 2012、SANA, March 12, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

サウジ外相と独外相がシリア情勢などについて意見を交換し「軍事的選択肢は解決策でない」と一致したにもかかわらず、西側諸国や湾岸諸国が反体制勢力の武器供与に関する「真剣な議論」を開始したと報じられる(2012年3月11日)

アサド政権の動き

コフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使が前日に引き続き、アサド大統領と会談した。

SANA, March 11, 2012
SANA, March 11, 2012

アナン特使はシリアを去る前の記者会見で、自身の任務に関して「困難だが、我々は希望を捨ててはならない。我々は楽観的だ…。複数の理由で楽観的だと感じている。私は短期間で多くのシリア人と会談した。大多数のシリア人が和平と停戦を望んでいる…。彼らは自らの生活を送りたいと考えている」と述べた。

そのうえで、アサド大統領から「現地で実際に反映され、この危機を収束させるためのプロセスを開始することに資するであろう一連の提案」がなされたことを明らかにし、「即時の暴力、殺戮停止」と「人道支援と対話」を強調した。

SANA(3月11日付)は、アナン特使の訪問に関して、共和国ムフティーのアフマド・バドルッディーン・ハッスーン師、各宗派の代表らと会談した、と報じた。

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ベイルート・オブザーバー(3月11日付)は、信頼できるシリア情報機関筋の話として、ムスタファー・トゥラース元国防大臣の息子2人が政権を離反し、反体制勢力に加わったと報じた。真偽は定かでない。

離反したとされるのは、長男でビジネスマンのフィラース・トゥラース氏と、共和国護衛隊内の大隊長でアサド大統領に近いとされるマナーフ・トゥラース准将。

トゥラース家は現在、アサド政権による重点的な掃討作戦が行われているヒムス県ラスタン市出身。

トゥラース准将は一時、反体制勢力に殺害されたと報じられていた。

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『クッルナー・シュラカー』(3月11日付)によると、ダマスカス県内などでデモの弾圧を行う治安部隊要員・工作員は、互いを所属を確認し合うため、シリアの著名な俳優でアサド政権支持者の名前である「アイマン・ザイダーン」の名前を隠語として用いている、と報じた。

国内の反体制勢力の動き

民主的変革諸勢力国民調整委員会のアブドゥルアズィーズ・ハイイル広報局長は、アナン特使と10日に会談したことを明らかにした。

ハイイル広報局長は、アサド政権の弾圧が続く限り、「政治プロセス開始に関するあらゆる議論は幻想である」と伝えるとともに、「政府が暴力行使停止の制約を遵守し、政治プロセス開始前に善意を示す必要」があると強調したと述べた。

また政権との交渉に関して、「血と腐敗に手を染めた者たちと行うことはあり得ない」と述べた。

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同じく10日にアナン特使と会談したシリア国家建設潮流のルワイユ・フサイン代表はAFP(3月11日付)に対して、「政権があらゆる政治プロセスにとって最大の障害だ。なぜなら、暴力を続け、すべてのイニシアチブを拒否しているからである」と述べ、政権が政治犯釈放、暴力停止の約束を履行するべきだと述べた。

国外の反体制勢力の動き

トルコに逃れている自由シリア軍のリヤード・アスアド大佐は『シャルク・アウサト』(3月11日付)に対して、アサド政権に対抗するため対空兵器が必要だと述べた。

アスアド大佐は、「我々は一部の地区を完全に制圧しているとは言えないが、我々の検問所は全国の約60%に配置されており、優れた軍事作戦を実行している…。(離反兵の数は)5万人に達した」と離反兵の活動を過大評価した。

また近く、アサド政権にサプライズを与えるような作戦を行うと述べた。

一方、10日の戦果に関して、イドリブ県で戦車6輌を破壊しただけでなく、ヘリコプターを破壊したと豪語し、自由シリア軍が制圧する地区に対する政権の航空機による攻撃や迫撃に対する防空兵器が必要だと述べた。

しかし、アサド政権が反体制勢力の弾圧において、航空機を投入したとの情報はない。

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シリア国民評議会は声明を出し、UAEを国外追放された反体制活動家の帰国手続きのための仲介をユースフ・カラダーウィー師に求めたとの同氏の発言に関して、仲介を求めていないと否定した。

国内の暴力

反体制活動家らによると、イドリブ県などで軍・治安部隊による反体制武装集団の掃討作戦が続き、34人が殺害された。

シリア人権監視団によると、死者の内訳は民間人15人、軍人14人。軍人のなかには離反兵5人が含まれ、その多くはイドリブ県内で軍・治安部隊との交戦により死亡した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、対トルコ国境のジャーヌーディーヤ町で軍・治安部隊と離反兵が激しく交戦し、市民1人、軍兵士3人が死亡した。

ジャズィーラ(3月11日)付によると、軍・治安部隊がが同村への侵攻を試みたが、「自由シリア軍」が応戦し、戦車二輌を破壊した、という。

またマルイヤーン村で爆弾が爆発し、兵士1人が死亡、ナージヤ村でも市民1人が殺害された。

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アレッポ県では、シリア人権監視団、シリア革命総合委員会によると、PKK系のクルド民族主義政党、民主統一党の活動家(ジャーナリスト)がアレッポ市シャイフ・マクスード地区(クルド人地区)で未明に「シャッビーハ」に射殺された。

民主統一党はアサド政権の弾圧を陰に支援しているとされる。

一方、SANA(3月10日付)によると、アレッポ市でボクシング・チャンピオンのギヤース・タイフール氏が武装テロ集団に暗殺された。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊と離反兵との戦闘で、兵士6人、離反兵2人が死亡した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、クサイル市近郊で士官1人が離反兵の要撃に遭い、殺害された。

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ダマスカス県では、反体制活動家らによると、複数地区で治安当局による厳戒態勢が強化された。

シリア革命総合委員会によると、ジャウバル区、オートストラード・アダウィー地区、バグダード通り、バーブ・ムサッラー地区広場周辺、ルクンッディーン区、ムハージリーン区で、治安部隊の検問所の警備が強化されている、という。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権ネットワークによると、サクバー市で2人が殺害された。

またシリア革命総合委員会によると、ダーライヤー市で離反兵17人が「虐殺」された。

殺害された離反兵のうち6人がカナーキル村出身者。

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ラッカ県では、反体制活動家によると、ラッカ中央刑務所でデモが発生し、看守が収監者に発砲、数十人が負傷した。

レバノンをめぐる動き

ヒズブッラー南部地区代表のナビール・カーウーク氏は、3月14日勢力の指導者の一部が、シリアへの武器支援、戦闘員潜入を支援している、と述べた。

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内閣筋によると、イランの主催で3月18日に開催予定のシリア情勢に関するイラン、シリア、イラク、レバノンの四カ国大会に、レバノン政府は参加しないことを決定した。

この決定は、ミシェル・スライマーン大統領とナジーブ・ミーカーティー首相の会談のなかで行われたという。

諸外国の動き

サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣はドイツのギド・ヴェスターヴェレ外務大臣と会談し、シリア情勢などについて意見を交換した。

会談後の記者会見でサウード・ファイサル外務大臣は、「シリア政府が国民に対して行う戦争」を即時・緊急停止させるべく努力を集中させるべきだと述べた。

また「軍事的選択肢は解決策でない」としつつ、「シリア人の自衛を許すことが解決策になる」と述べ、反体制武装集団による暴力を是認した。

アサド政権に関しては、「シリア政府が路線を変更すればと思っている。なぜなら誰もシリア政府には反対していない。我々はそのように行動しているだけだ。もしこの行為が停止すれば、それこそ我々が望んでいることである」と述べ、政権の正統性を一方的に否定する欧米諸国と一線を画した。

一方、ヴェスターヴェレ外務大臣も、アサド政権の弾圧を「蛮行」と非難し、即時の暴力停止を改めて呼びかけるとともに、「シリア国民に対する緊急の人道支援を保障することが重要」と強調した。

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中国の張明次官補がサウジアラビアを訪問し、GCCのアブドゥッラティーフ・ザイダーニー事務局長と会談、シリア情勢に関して議論した。

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『ワシントン・ポスト』(3月11日付)は、米高官の話として、米国をはじめとする西側諸国や湾岸諸国が、反体制勢力の武器供与に関する「真剣な議論」を開始したと述べた、と報じた。

AFP, March 11, 2012、Akhbar al-Sharq, March 11, 2012、Aljazeera.net, March 11, 2012、Beirutobserver.com, March 11, 2012、al-Hayat, March 12, 2012、Kull-na Shuraka’, March 11, 2012、Naharnet.com, March 11, 2012、Reuters, March 11, 2012、SANA, March 11, 2012、The Washington Post, March 11, 2012などをもとに作成。

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アナン国連・アラブ連盟合同特使がアサド大統領と面会、アラブ連盟定例外相会合では露外相の出席のもと「外国の不干渉」を含む五原則が作成・合意される(2012年3月10日)

アサド政権の動き

SANA(3月10日付)は、コフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使がシリアを訪問し、アサド大統領と会談した。

SANA, March 10, 2012
SANA, March 10, 2012
SANA, March 10, 2012
SANA, March 10, 2012

会談で、アサド大統領は、「武装テロ集団が混乱を拡大させ、国家の安定を揺るがそうとしている限り、いかなる政治的対話や政治プロセスも成功しない」と述べる一方、「シリアが目の当たりにしている問題への解決策案出への誠実なあらゆる努力を成功させる」との自信を示した。

また「シリアの内政への外国の干渉」を改めて強く拒否した。

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ロイター通信(3月10日付)は、アラブ外交筋の話として、EU諸国がシリア大使を国外追放処分にする前に、アサド政権が各国大使の引き上げを行おうとしている、と報じた。

アラブ連盟の動き

カイロでアラブ連盟定例外相会合(第137回、議長国クウェート)が開かれ、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣が出席した。

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会合で、ラブロフが外務大臣は、「もっとも重要なのは、誰が振るおうとも、あらゆる暴力の停止である…。危機における一方の当事者のみを批判することがあってはならない」と述べた。

また、シリアにおける改革をめざす当事者であれば誰とでもともに行動する準備があるとの意思を示すとともに、内政干渉を拒否する姿勢を固持し、「ロシアはいかなる体制も保護しようとしているのではない」と強調した。

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シリアの反体制武装闘争を煽動するサウジアラビアやカタールはラブロフ外務大臣の姿勢に反発した。

サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣は、「安保理決議を頓挫させ、国連総会で反対票を投じた国々の態度がシリアの体制に国民に対する蛮行の許可を与えている」と非難し、国連(事務総長)に大して、シリア情勢に、人道面だけでなく、治安面、人道面といったあらゆる側面から対処し得るようにすべきだ」と主張した。

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シリア情勢にかかる閣僚委員会議長国であるカタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣も国連におけるロシアと中国の拒否権発動に遺憾の意を示すとともに、アラブ・国連合同軍の派遣、シリア国民評議会の承認を呼びかけた。

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外相会合後、ロシアとアラブ連盟はシリア情勢に関する五原則を作成・合意した。

五原則の内容は、①あらゆる暴力の停止、②中立的な監視メカニズムの創出、③外国の不干渉、④すべてのシリア人への人道支援の配給、⑤政府と反対勢力の政治対話をめざすアナン特使への全面支援。

国内の暴力

軍・治安部隊がイドリブ県などで反体制武装集団への掃討作戦を継続し、シリア人権監視団などによると、62人が殺害された。

内訳は離反兵21人、軍・治安部隊兵士19人、民間人22人。

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al-Hayat, March 11, 2012
al-Hayat, March 11, 2012

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ市で民間人16人が殺害された。

またジスル・シュグール市では、軍・治安部隊の要撃で離反兵16人が殺害される一方、同市近郊のビダーマー町では軍・治安部隊兵士4人が離反兵に殺害された。

一方、SANA(3月10日付)によると、トルコ領内から潜入しようとした武装テロ集団を関係当局が拘束した。

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ヒムス県では、反体制活動家によると、タルビーサ市で軍・治安部隊兵士10人が離反兵に殺害された。

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ダマスカス郊外県では、SANA(3月10日付)によると、サフナーヤー市で武装テロ集団がニダール・サクル准将を暗殺した。

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ダルアー県では、SANA(3月10日付)によると、カラク村で、武装テロ集団のアジトに治安維持部隊が突入し、多数を殺害、大量の武器弾薬を押収した。

国内の反体制勢力の動き

シリアン・デイズ(3月11日付)によると、アナン特使は、国内で反体制活動を続けるシリア国家建設潮流のルワイユ・フサイン代表、ムナー・ガーニム女史とダマスカスで会談した。

また民主的変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表、アブドゥルアズィーズ・ハイイル広報局長らのほか、国内でデモを組織しているとされる調整諸委員会の指導者らと会談した。

在外の反体制勢力の動き

シリア国民評議会の財務経済局は声明を出し、2011年3月15日(反体制運動が始まった日)以降にアサド政権が国内外で交わした財務契約は無効であると主張した。

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シリア国民評議会はシリア・ビジネスマン評議会発足への支持を表明した。

諸外国の動き

米ホワイトハウスのビクトリア・ヌーランド報道官は、記者団に対して、アサド政権が存続するなかでは、議会制は機能しないとしたうえで、「マフィアのような家族の手に権力が集中している」と批判した。

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ドイツのギド・ヴェスターヴェレ外務大臣は、シリア情勢に関して、軍事介入が[建設的ではない…。(介入すれば)大規模火災は避けられず、地域、人々、世界に災難をもたらすだろう」と述べた。

コペンハーゲンでのEUの非公式外相会合での発言。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、国連安保理の大使級会合で調整が行われている対シリア決議案に関連して、フランスがアサド政権と「弾圧に抵抗している人々」とを同列に扱う決議を受け入れることはない、と述べた。

AFP, March 10, 2012、Akhbar al-Sharq, March 10, 2012、al-Hayat, March 11, 2012、Kull-na Shuraka’, March 11, 2012、Reuters, March 10, 2012、SANA,
March 10, 2012、Syrian Days, March 11, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダマスカス県を含む各地で大規模な反体制デモが発生するなか、シリア国民評議会が「政治的解決」をめざすアナン国連・アラブ連盟合同特使の姿勢を非難(2012年3月9日)

国内の暴力

反体制活動家によると、イドリブ県ザーウィヤ山などに対する軍・治安部隊の掃討作戦が継続された。

また各地で金曜礼拝後に散発的な反体制デモが発生した。

死者数は約90人に達した、という。

SNN, March 9, 2012
SNN, March 9, 2012
SNN, March 9, 2012
SNN, March 9, 2012

インターネットなどでは、反体制活動家らが「クルド人蜂起への忠誠の金曜日」と銘打って反体制デモを呼びかけ、シリア人権監視団は、ダルアー県、ダマスカス県、ダマスカス郊外県、ヒムス県、ハマー県、アレッポ県、ラタキア県、ダイル・ザウル県、ハサカ県で数万人がデモに参加したと発表するなど、プロパガンダ活動を行った。

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イドリブ県では、反体制活動家によると、アイン・ラールーズ市での軍。治安部隊の掃討作戦で少なくとも2家族20人を含む32人(うち民間人13人)が殺害された。

このほか、シャーグーリート村、ジャッジュ村、フマイマート村、サフン村に軍・治安部隊が突入した。

また、反体制活動家によると、金曜礼拝後に反体制デモが発生し、2人が殺害された、という。

一方、SANA(3月9日付)によると、治安維持部隊がナージヤ村で武装テロ集団と殺害、テロリスト1人を殺害、多数を逮捕した。

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アレッポ県では、アレッポ調整連合報道官のムハンマド・ハラビーを名のる活動家によると、アレッポ市で過去最大規模のデモが発生したと発表した(真偽は定かでない)。

反体制活動家によると、アレッポ市および郊外の各地で金曜礼拝後に反体制デモが発生し、ジャラーブルス市で1人が殺害されたという。

また『クッルナー・シュラカー』(3月9日付)は、シリア学生総連合消息筋の話として、シャッビーハがアレッポ大学内でのデモを強制排除し、多数の学生を逮捕したと報じた。

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ダマスカス県およびダマスカス郊外県では、反体制活動家によると、マッザ区、カフルスーサ区、マイダーン地区、ジャウバル区、バルザ区、アサーリー地区、ザバダーニー市、ダーライヤー市、タッル市で金曜礼拝後に反体制デモが発生した、という。

このうちカフルスーサ区では治安部隊の発砲によって市民1人が殺害されたという。

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ヒムス県では、反体制活動家によると、ヒムス市のクスール地区、ハーリディーヤ地区などで金曜礼拝後に反体制デモが発生し、数千人が参加した、という。

シリア人権監視団によると、ヒムス市各地で治安部隊が発砲し、市民2人が殺害された。またムヒーン市で1人、クサイル市で1人、タルビーサ市で1人が殺害されたという。

AFP(3月9日付)は、軍・治安部隊がヒムス県の対レバノン国境で、レバノン領内(北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方)に越境しようとした若者男女2人に発砲し、負傷させたと報じた。

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ハマー県では、反体制活動家によると、金曜礼拝後に反体制デモが発生し、トゥライムサ市で少なくとも3人が殺害されたという。

また軍・治安部隊は離反兵掃討のためにカストゥーン村、ハミーディーヤ村に突入した。

一方、SANA(3月9日付)によると、タイバト・イマーム市で武装テロ集団メンバー多数が当局に投降した。

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ダルアー県では、反体制活動家によると、金曜礼拝後に反体制デモが発生し、ムサイフラ町で1人、ハーッラ市で1人が殺害された、という。

アサド政権の動き

SANA, March 9, 2012
SANA, March 9, 2012
SANA, March 9, 2012
SANA, March 9, 2012

SANA(3月9日付)は、ダマスカス県サブウ・バフラート広場で、外国の干渉拒否とテロ撲滅支持を訴える大規模集会が開かれ、多数の市民が参加したと報じた。

SANA(3月9日付)は、集会に参加する幼い子供の写真を掲載するなどして、反体制勢力と同様の低俗なプロパガンダ活動を行った。

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SANA(3月9日付)は、情報省が、諸外国の特派員の一部が依然として違法にシリアに密入国を続け、テロリストに同行取材、虚偽の報道を行っていると発表し、法律違反者に対しては厳正に対処するとともに、当局の許可のもとに適正な取材が行われていることを望むとの意思を示した、と報じた。

反体制勢力の動き

アナトリア通信は、複数のシリア軍士官ら234人が離反し、トルコ領内に逃れてきたと報じた。

ただし組織的な部隊単位の離反ではなく、脱走・逃走の域を脱しないものと思われる。

トルコ高官によると、トルコ領内に逃走してきたのは、准将4人、大佐2人など士官10人と、ダマスカス、ヒムス、ラタキアで離反した兵士の合わせて234人で、数日前からトルコ領内に逃れていた、という。

この離反に関して、自由シリア軍報道官のハーリド・ハンムード軍曹は、離反した上級士官と「顧問協議会」を結成し、自由シリア軍の作戦を立案していきたいとの意向を示した。

一方、シリア最高軍事評議会報道官のファフド・ミスリー氏は、離反した約230人が依然としてトルコ当局の管理下にあるため、氏名などは公開できないと発表した。

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『クッルナー・シュラカー』(3月9日付)は、シリア・クルド国民評議会幹部の一部が李華新前駐シリア大使と会談したことをめぐり評議会内で対立が発生したと報じた。

同報道によると、会談に参加できなかった面々は、会談を無効とみなすとともに、会談に参加したメンバーが評議会を代表していないと主張している、という。

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シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長は「政治的解決」をめざすコフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使の姿勢を非難した。

ガルユーン事務局長は声明で、「毎日虐殺に曝されているシリア人を失望させ、希望を与えない内容」と述べた。

一方、シリア国民評議会の救済局は、シリア各地での「野戦病院」設営のために、100万ドルの援助金を配分する、と発表した。

資金の配分は、救済局が国内に設置したとされる医療委員会(ハッサーン・バタル医師が委員長)を通じて行われる。

医療委員会は、エジプト医師組合、モロッコ医師連盟の支援のもと、すでに国内の4カ所に野戦病院を設営している、という。

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ロイター通信(3月9日付)によると、シリア革命総合委員会メンバーのハーディー・アブドゥッラーを名のる活動家は、アナン特使の発言に関して、「アサドに弾圧の猶予を与えるだけだ」と非難し、政権との対話を拒否するとの姿勢を改めて示した。

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シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長はアラビーア(3月9日付)に出演し、「複数のアラブ諸国および外国から資金援助の寄付を受けることを始めた」と述べた。

レバノンの動き

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、『ナハール』(3月9日付)に、アラン・ジュペ外務大臣との会談に関して、同大臣がアサド大統領が「改革者だという神話を信じなかった西欧人」の一人と賞賛する一方、レバノン当局に対して、レバノン国内にいるシリア人反体制活動家を引き渡すべきでない、との見解を示した、と報じた。

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『サフィール』(3月9日付)は、レバノン当局がベカーア県で逮捕しシリア人武装集団の身柄引き渡しをシリア当局が正式に要請した、と報じた。

しかし、レバノン当局は8日までに逮捕者全員を釈放してしまっている。

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NNA(3月9日付)は、9人がシリアへの武器密輸容疑で起訴されたと報じた。

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NNA(3月9日付)は、アドナーン・マンスール外務大臣がワリード・ムアッリム外務大臣と会談し、シリア情勢に関して意見を交わしたと報じた。

会談で、マンスール外務大臣は、シリア情勢の正常化に向けた前向きな条件が整いつつあると述べ、アラブ連盟外相会合やセルゲイ・ラブロフ外務大臣のエジプト訪問への期待を表明する一方、ムアッリム外務大臣は、アナン特使のシリア訪問を歓迎するとの意思を伝えた。

諸外国の動き

国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長は、アンカラでの記者会見で、アサド政権が、被害の大きい一部地域への人道支援受け入れを認めたもの、「さらなる時間(的猶予)を求めた」と発表した。

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『ハヤート』(3月10日付)は、コフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使が現在、アサド政権との「チャンネル確保」をめざしており、同チャンネルを通じて、アサド大統領に退任を認めさせたうえで、対話を深化させようとしている、と報じた。

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国連安保理では米国が提出した対シリア決議案をめぐる大使級会合が続けられた。

『ハヤート』(3月10日付)は、複数の外交筋の話として、ロシアが反体制武装集団の撤退がない限り、政府軍の市街地からの撤退を認めることはできないとの姿勢を示した、と報じた。

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UNESCO理事会は、シリアでの人権侵害を非難する決議を採択した。

同決議は、サウジアラビアとUAEが提出し、35国の賛成、8カ国が反対し、15カ国が棄権した。

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中国外交部報道官は、サウジアラビア、エジプトに特使を3月半ばに派遣し、シリア情勢に関する中国の姿勢を説明する、と発表した。

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エジプトのムハンマド・アムル外務大臣はヒラリー・クリントン米国務長官と電話会談し、アラブ連盟外相会議の行程表実施が重要であることを確認する一方、軍事的解決の回避、反体制勢力の糾合の必要などを強調した。

AFP, March 9, 2012、Akhbar al-Sharq, March 9, 2012、Alarabia.net, March 9, 2012、al-Hayat, March 10, 2012、Kull-na Shuraka’, March 9, 2012、al-Nahar, March 9, 2012、Naharnet.com, March 9, 2012、NNA, March 9, 2012、Reuters, March 9, 2012、al-Safir, March 9, 2012、SANA, March 9, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

石油省の現職次官が政権離反を宣言し初の事例となる一方、米下院外交問題委員会が「シリア解放法案」を可決(2012年3月8日)

石油省次官の離反

石油省のアブドゥフ・フサームッディーン次官(イスラーム教スンナ派)が政権離反を宣言する映像をユーチューブを通じて配信した。

政権幹部の離反は、これまでがそうであったように、反体制勢力の派閥化と分裂を助長するものと思われる。

Kull-na Shuraka’, March 8, 2012
Kull-na Shuraka’, March 8, 2012

フサームッディーン次官は33年にわたって石油省に勤務し、2009年に次官に就任した。

現職の次官の離反は初めて。

しかしアブドゥルハリーム・ハッダーム前副大統領やムスタファー・シャイフ准将ら、長年「独裁政権」に奉仕してきた高官の離反と反体制勢力への参加は、反体制勢力内の権力闘争、派閥化、分裂を助長しており、フサームッディーン次官の離反がアサド政権を追い詰めることにつながるかは不確実。

フサームッディーン次官はビデオで、「自由と尊厳を得ようとするシリア国民の要求を弾圧する政府とそれに従う者の蛮行を、まかり間違っても受け入れることのない国民の革命への参加」を宣言するとともに、同僚に対して、「政権の蛮行に沈黙せず、沈みかけた船を放棄する」よう呼びかけた。

http://www.youtube.com/watch?v=LLXgmhVxsDw&feature=player_embedded#t=0s

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シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長は、フサームッディーン次官の離反を歓迎するとともに、「同省のスタッフ、行政機関高官がこの体制から離反し、自由と尊厳の革命に参加することを呼びかける」と述べた。

SANA, March 8, 2012
SANA, March 8, 2012

また「かつてない段階に突入した体制からの離反者が確実に出るだろう」と期待を述べた。

国内の暴力

シリア軍・治安部隊はイドリブ県ザーウィヤ山などで反体制(武装)勢力に対する掃討作戦を継続し、離反兵と交戦した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ハーン・シャイフーン市で治安部隊の発砲によって8人が殺害された。

一方、SANA(3月8日付)によると、関係当局は対トルコ国境のタッル・アブヤド地方で、トルコから密輸入された大量の武器を押収した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市で治安部隊が活動家らの逮捕・追跡を行った。

またマヤーディーン市では、治安部隊の発砲で2人が殺害された。

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ダマスカス県では、マッザ区で行われた兵士の葬儀に参列した数百人の市民に対して、治安部隊が発砲した。

兵士はヒムス市での掃討作戦での発砲命令を拒否して殺害されたとされる若者。

マッザ調整のアブー・フザイファ・マッズィーを名のる活動家が明らかにした。

一方、AFP(3月9日付)によると、治安部隊がダマスカス県内で、ミシェル・シャンマース弁護士の娘(ヤーラー・シャンマースさん)を含む若者12人を逮捕した。

シャンマース弁護士によると逮捕の理由は不明。

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ダマスカス郊外県では、地元調整諸委員会によると、各地で若者ら50人以上が逮捕された。

シリア人権監視団によると、ダーライヤー市で、治安部隊の発砲により1人が殺害された。

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ヒムス県では、ヒムス市で反体制活動家のウマル・カンダルジー弁護士が逮捕された。

カンダルジー弁護士は、同じく反体制活動家のナジャーティー・タイヤーラ氏の代理人などを務めてきた。

シリア革命総合委員会のハーディー・アブドゥッラー氏は、信頼できる複数の人物からの情報として、ヒムス市バーブ・アムル地区で軍・治安部隊の進入直後に16人の市民が「虐殺」されたと語った。うち6人がスブーフ家の子息。

また、この「虐殺」をドゥンヤー・チャンネルが「武装テロ集団の犯行」と報じたことに関して、アブドゥッラー氏は、「自由シリア軍のファールーク大隊がバーブ・アムル地区を1ヵ月にわたって制圧していた間、一件の窃盗も発生しなかった…。なぜファールーク大隊が彼らを殺したというのか?」と反論した。

シリア人権監視団によると、タルビーサ市で、治安部隊の発砲により2人が殺害された。

一方、SANA(3月8日付)によると、ヒムス・タドムル街道で武装テロ集団が市民の車を襲撃し、乗っていた子供1人が死亡した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ジャルジャラ村で治安部隊の発砲により市民1人が殺害された。

一方、SANA(3月8日付)によると、タイバト・イマーム市一帯で、軍・治安部隊と武装テロ集団が交戦、テロリスト多数を逮捕するとともに、大量の武器弾薬、盗まれた公文書を押収した。

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アレッポ県では、アレッポ調整連合報道官のムハンマド・ハラビーを名のる活動家によると、自由シリア軍が対トルコ国境近くのアアザーズ市の治安部隊の拠点2カ所を攻撃した。

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ラッカ県では、地元調整諸委員会によると、ラッカ市で反体制活動家で医師のウスマーン・マタル氏が治安当局に逮捕された。

アサド政権の動き

Elaph(3月8日付)は、アサド大統領の母アニーサ・マフルーフ氏が、リビアのカッザーフィー大佐の二の舞になることを懸念し、反体制運動に同情的な大統領に不満の意を示した、と報じた。

同報道によると、米国のStratforが行った2011年11月10日付のE-mailの分析に関する情報をもとに、マフルーフ氏が、反体制運動に同情的な息子に対して「もしあなたの父が生きてたら、事態は同じようになっていたはず」と述べた、とウィキリークスが発表した。

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バアス革命(1963年3月8日)記念日にあたる3月8日は例年通り祝日となった。

SANA, March 8, 2012
SANA, March 8, 2012

SANA(3月8日付)は、シリア軍・武装部隊がバアス革命記念日を祝う祝典を執り行ったと報じた。

反体制勢力の動き

国内で反体制活動を行う民主的変革諸勢力国民調整委員会の報道官はAKI(3月8日付)に対して、シリア訪問中の李華新前駐シリア大使と委員会の代表が会談したことを明らかにした。

同報道官によると、会談では、無条件の対話を求める中国側に対して、委員会の代表は、軍・治安部隊の市街地からの撤退、逮捕者釈放、弾圧の責任者の処罰、暴力停止を通じて、対話の雰囲気を醸成する必要があるとの考えを伝えたという。

また対話の目的に関しては、議題を体制転換の方法に限定すべきと述べ、アサド政権打倒の意思に変わりがないことを示した。

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シリア国民評議会の指導者の一人アンワル・ブンニー弁護士はAKI(3月8日付)に対して、国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長のシリア訪問を「無駄だ」と一蹴した。

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シリア・ビジネスマン評議会なる組織が、反体制デモへの支援を表明する声明を出した。

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フェイスブック上のページ「シリア革命2011」などは、「2004年クルド人蜂起への忠誠の金曜日」と銘打って、反体制デモを呼びかけた。

2004年3月、シリア北東部では「カーミシュリーの春」と呼ばれるクルド人による大規模暴動が発生し、政権によって弾圧されている。

レバノンをめぐる動き

レバノン訪問中のマロン派のビシャーラ・ラーイー総大司教は、米大使が反体制勢力の保護をレバノン政府に求めたことに関して、「レバノンの国家は、自国の問題に関して他人から命令を受ける必要がない」と述べた。

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ロイター通信(3月8日付)によると、レバノン国外で暮らすサアド・ハリーリー前首相は、ベイルートでのムスタクバル潮流の会合でテレビ電話を通じて「アサド政権の犯罪はレバノンやガザに対するイスラエルの犯罪以上」と非難した。

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レバノンの治安当局は3月4日にベカーア県で逮捕したシリア人武装集団33人のうち、釈放されていなかった7人を釈放した。

パレスチナ人をめぐる動き

『シャファーフ』(3月8日付)は、パレスチナの複数の消息筋の話として、「シリアのザルカーウィー」と呼ばれているアブドゥルカリーム・サアディー(通称アブー・ムフジン)の息子イブラーヒーム・サアディー氏をシリアが釈放したと報じた。

アブドゥルカリーム・サアディー氏はレバノンのアイン・フルワ・パレスチナ難民キャンプなどを拠点とするウスバト・アンサール(アル=カーイダ”系”とされる組織)の幹部で、シャイフ・ニザール・ハラビー師の暗殺に関与しているとされる。

同報道によると、イブラーヒーム氏は2週間前にシリアの刑務所から釈放され、同日夜にレバノンのアイン・フルワ難民キャンプに入った、という。

シリア政府がイブラーヒーム氏を釈放した背景は不明。

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パレスチナのハマースの指導者の一人アフマド・ユースフ氏はAFP(3月8日付)に対して、「イランはハマースがシリア国民を失望させられないということを理解している。シリア政府はレッドラインを踏み越えてしまっており、ハマースはこれに沈黙するわけにはいかない」と述べた。

諸外国の動き

ロシアのヴィタリー・チュルキン国連代表大使は、「我々はリビアで…シリアの破壊分子を教練するセンターがあり、彼らはシリアに派遣され合法的なシリア政府を攻撃しているとの情報を得た」と安保理のリビア問題に関する会合で非難した。

チュルキン国連代表大使はまた「シリアにアル=カーイダが存在すると我々は考えている。現在提起されている問題は、革命の輸出がテロの輸出になっているのではないか、ということである」と付言した。

これに対して、会合に出席していたアブドゥッラヒーム・キーブ首相は、チュルキン国連代表大使の発言に関してコメントしなかった。

リビア政府はシリア国民評議会を最初に「シリア国民の正当な代表」として承認しており、2月には同評議会に1億ドルの資金援助を行っている。

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エジプト訪問中のコフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使任命は、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長と会談し、シリア情勢について協議した。

会談後の記者会見で両氏は、「シリアの紛争の軍事化」への警鐘を鳴らすとともに、即時の暴力停止、人道支援、危機の平和的解決に向けた包括的政治プロセス開始の必要を強調した。

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シリアを訪問中の国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長はヒムス市バーブ・アムル地区を訪問(7日)し、被害状況に関して「恐怖を感じた…。ヒムスの一部は完全に破壊されている」と述べた。

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国連の人道問題調整事務所はシリアに対して、150万人分の食糧90日間分を緊急援助する準備を進めていると発表した。

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国連では、米国が新たに提案した対シリア決議案をめぐって常任理事国およびモロッコの大使級会合が引き続き行われた。

複数のアラブ消息筋によると、ロシアによる修正提案は「受け入れられない」内容であり、「中国の修正提案もロシアとほぼ同じで、今回の会合とは別途提案する」ものと見られている。

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米下院外交問題委員会は「シリア解放法案」を可決した。

同法案は、シリアのエネルギー部門への500万ドル以上の出資者、ないしはシリア政府の石油精製部門の能力向上を目的とした100万ドル以上の出資者への財政支援の停止を骨子とする。

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トルコのアブドゥッラー・ギュル大統領は訪問先のチュニジアでムンスィフ・マルズーキー大統領と会談し、共同記者会見で「二国間関係と国際会議を区別せねばならない」としたうえで、アサド大統領退任を求めつつも、二国がシリアへの軍事介入に反対するとの姿勢を明示した。

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チュニジアでムンスィフ・マルズーキー大統領はBBC(3月6日付)に対して、アサド大統領の亡命先を提供する意思があることを改めて示した。

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SANA(3月8日付)は、イエメン南部のタイズ市で、アサド政権との連帯と同政権が主導する改革支持を訴えるデモが行われたと報じた。

AFP, March 8, 2012, March 9, 2012、Akhbar al-Sharq, March 8, 2012、Elaph.com, March 9, 2012、Facebook、al-Hayat, March 9, 2012、Kull-na Shuraka’, March 8, 2012、Naharnet.com, March 8,
2012、Reuters, March 8, 2012、SANA, March 8, 2012、al-Shafaf, March 8, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

駐シリア中国大使がムアッリム外相らと面会し「外国のいかなる内政干渉をも拒否する」姿勢を改めて表明するなか、地元調整諸委員会が声明を出しシリア国民評議会の「再建」の必要性を主張(2012年3月7日)

アサド政権の動き

中国の李華新前駐シリア大使がダマスカスを訪問し、ムアッリム外務大臣、アフマド・アルヌース外務次官らと会談した。

SANA, March 7, 2012
SANA, March 7, 2012
SANA, March 7, 2012
SANA, March 7, 2012

SANA(3月7日付)によると、李前大使は、シリアの危機解決に向けた「六つの提案」を示した書簡を手渡した。

この「六つの提案」の骨子は以下の通り。

1. すべての暴力の即時、包括的、無条件の停止。非暴力的な手段を通じた当事者による政治的要求の表現。
2 コフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使の仲介のもとでのすべての当事者による包括的政治対話の即時且つ無条件の開始。
3. シリアの主権尊重を原則とした国連主導による人道支援調整への中国の支援。「人道問題」を口実としたシリア内政干渉の拒否。
4. シリアの独立、主権の尊重と、シリア人による対話の結果の尊重。
5. 外国の軍事介入拒否。
6. 平和的な解決に資さない制裁、脅迫の拒否。

李前大使はアルヌース外務次官との会談で、「外国のいかなる内政干渉をも拒否する」との中国側の姿勢を改めて伝えた。

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国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長がシリアを訪問し、ワリード・ムアッリム外務大臣と会談した。

『ハヤート』(3月8日付)によると、アモス次長の訪問の目的は「人道状況の評価」。

SANA(3月7日付)によると、ムアッリム外務大臣は会談で、「シリアの主権と独立が尊重され、シリア政府との調整がなされる」かたちで人道支援に関して協力すると伝えた。

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『クッルナー・シュラカー』(3月7日付)は、定年で退職していた政治治安部前中部地方課長のワリード・アバーザ氏が、ダマスカス県内での「シャッビーハ」の指導のために「復職」したと報じた。

国内の暴力

シリア軍・治安部隊がイドリブ県各地で反体制(武装)勢力に対する掃討作戦を重点的に行う一方、ロンドンで活動するシリア人権監視団などが弾圧による被害を宣伝した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、カンスフラ村、カフルルーマー村、ムアスラーン村、マルイヤーン村、カフルナブル市など軍・治安部隊が掃討作戦を行い、5人が死亡した。

シリア国民評議会によると、ラタキア県から戦車42輌、兵員輸送車131輌がサラーキブ市方面に向かっており、「大規模な軍事作戦」が行われることが懸念されている。

カイロに避難した反体制活動家のムハンマド・ヌアイミー氏は、ハーン・シャイフーン市に対しても軍・治安部隊が激しい砲撃を加えていると述べた。

また同氏によると、現在イドリブ県にはアサド政権が掌握していない地域がザーウィヤ山、イドリブ市南部などに13カ所ある、という。

一方、SANA(3月7日付)によると、マアッラ市、ハーン・シャイフーン市で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、前者の大尉1人が戦死した。

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ヒムス県では、赤十字国際委員会報道官が、ヒムス市バーブ・アムル地区に人道状況調査のためシリア赤新月社のチームが入ったと発表した。

同報道官によると、「住民のほとんどはバーブ・アムル地区を立ち去り、赤十字国際委員会が支援を行っている地域に既に避難した」という。また赤新月社の調査は「45分しか」行われなかった。

シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区で子供1人が治安部隊に射殺された。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アターリブ市で治安部隊が市民1人を射殺した。

またアレッポ市では、反体制デモを行った37人が逮捕された。

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ダマスカス県およびダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、カーブーン区、カーラ市、ヤブルード市、ランクース市などで軍・治安部隊が活動からの逮捕を行った。

一方、SANA(3月7日付)によると、バルザ区で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、多数のテロリストを逮捕した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊がダイル・ザウル市内に展開した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、フラーク市で1歳の乳児を含む16人がナイフで殺された。

ドゥンヤー・チャンネル(3月7日付)は、この惨殺が反体制武装集団による犯行だと報じた。

またSANA(3月7日付)によると、各地で武装テロ集団が爆弾敷設作業中に爆弾が爆発、5人が自爆死した。

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ハマー県では、SANA(3月7日付)によると、シーズル市で武装テロ集団が民間人の乗ったマイクロバスをRPG弾で攻撃し、6人を死亡した。

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シリア人権監視団によると、2011年3月以降の死者数が8,458人に上ったと発表した。

うち6,195人が民間人、2,263人が軍・治安部隊兵士で、このなかのさらに428人が離反兵だという。

国内の反体制勢力の動き

地元調整諸委員会は声明を出し、シリア国民評議会の「再建」の必要を主張、現在の非力を暗に非難した。

諸委員会は声明のなかで、シリア国民評議会が「反体制活動家間の個人的意見の相違」ゆえに「現時点でさえ、強力な一体としての組織として台頭できずにいる」と指摘、「シリア国民評議会がこのようなかたちであり続けることは受け入れられない」と暗に非難した。

そのうえで「組織の再構築」を呼びかけるとともに、シリア国民評議会の指導のもとに自由シリア軍の統合指導部を構築すべきだと主張、「政治的空白の継続は…危機を長期化させる」と警鐘を鳴らした。

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シリア国家建設潮流のルワイユ・フサイン代表は、李前大使が反体制勢力の代表多数と会談したことを明らかにするとともに、中国側の「六つの提案」を歓迎すると述べた。

『ハヤート』(3月8日付)が報じた。

在外の反体制勢力の動き

在外シリア人などからなるシリア国民評議会は声明を出し、イドリブ県での「大規模軍事作戦」への警鐘をならすとともに、ダマスカス、アレッポ、ハマーの住民に対して、「イドリブ住民への圧力を軽減するための行動を実行するよう」呼びかけ、身の安全が保障されている欧州の地から地元住民に命がけのデモを行うよう煽動した。

レバノンの動き

アドナーン・マンスール外務大臣はヒズブッラーが運営するマナール・チャンネル(3月7日付)で、自由シリア軍メンバーの保護を求めたモーラ・コネリー米大使の要請をレバノン政府は拒否したと語った。

マンスール外務大臣によると、コネリー米大使は3月6日のマルワーン・シルビル内務地方自治大臣との会談で、この要請を行った、という。

諸外国の動き

国連では米国が作成した対シリア決議案をめぐって、安保理諸国およびモロッコ(アラブ連盟代表)による調整と米・ロシア間での調整が並行して続けられた。

『ハヤート』(3月8日付)は信頼できる消息筋の話として、対シリア決議案をめぐる西側諸国および米・ロシアの調整作業に関して、中国が自国の重要性低下につながるとみなし「恨み」を募らせていると報じた。

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レオン・パネッタ米国防長官は上院軍事委員会で、シリアへの軍事侵攻の是非に関して、「国際的な同盟を構築する必要がある…。しかしそれは容易でなく時間を要する…。(米国のみによる)単独行動は誤りだ」と述べ、消極的な姿勢を示した。

また飛行禁止空域の設定に関しても「国連安保理ないしはNATOとの合意・調整」と必要だとしたうえで、「軍事的選択肢について他国と協議を始めたが…計画を準備している訳ではない」と述べる一方、シリア国民への食糧品、医薬品などの人道支援のために1000万ドルの予算を配分したと明らかにした。

さらにアサド政権に対してロシアが多大な影響力を行使し得るとしたうえで、「もし(ロシアが)何らかのかたちで望めば、彼の退任に資するだろう」と述べた。

またマーティン・デンプスィー米陸軍参謀長は上院軍事委員会で、バラク・オバマ大統領が「軍事的選択肢」に関する報告を準備するよう国家安全保障会議に要請したと述べた。

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フランスのニコラ・サルコジ大統領はテレビのインタビューで、2008年と2010年にアサド大統領の訪仏を受け入れたことに関して、「2年前に、彼はヒムスで女子供を殺していなかった。2年前も民主的ではなかったが人殺しではなかった。でも今は人殺しだ」と述べた。

またシリアへの軍事介入の可能性に関して、国連の要請がない限り介入できないと述べた。

なおサルコジ氏が大統領に就任する前の2005年2月、レバノンで発生したラフィーク・ハリーリー元首相暗殺事件に関して、フランス(ジャック・シラク政権)は他の西側諸国とともにアサド政権の犯行を推定し、激しいバッシングをかけていた。

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ロシアのウラジーミル・プーチン首相は、アサド大統領の政治亡命を受け入れるかとの記者団の質問に対して、「我々はそのようなことをまったく検討してない」と述べた。

ロシア外務省は声明を出し、「あらゆる勢力による暴力の即時停止の必要がある」との姿勢を改めて示した。

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中国の陳徳銘商務大臣は、シリア国内の治安状況を踏まえて中国人労働者約100人を一時帰国させると発表した。

帰国の対象となるのは、シリア国内の開発プロジェクトや関連施設で就労する労働者。

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エジプトのムハンマド・カーミル・アムル外務大臣は、シリアの反体制勢力の武装に関して、軍事的闘争をエスカレートさせ、内戦勃発をもたらす、と警鐘をならした。

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カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣がトルコを訪問し、トルコ首脳とシリア情勢への対応について協議した。

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エール・フランスは、アサド政権による弾圧に抗議するため、パリ・ダマスカス便の就航を停止すると発表した。

AFP, March 7, 2012、Akhbar al-Sharq, March 7, 2012、al-Hayat, March 8, 2012、Kull-na Shuraka’, March 7, 2012、Naharnet.com, March 7, 2012、Reuters, March 7, 2012、SANA, March 7, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

国連安保理常任理事国とモロッコが参加する大使級会合のなかで米国による新たな対シリア決議案が審議されるも、ロシアは再び拒否の姿勢を示す(2012年3月6日)

国内の暴力

軍・治安部隊は、ダルアー県フラーク市、ヒムス県クサイル市、ラスタン市、ダマスカス郊外県各都市で反体制(武装)勢力に対する掃討作戦を重点的に行い、活動家らによると各地で少なくとも14人が死亡した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、フラーク市には軍・治安部隊の戦車などが突入し、離反兵と交戦した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、タイバト・イマーム市を軍・治安部隊の戦車などが包囲した。

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ヒムス県では、ラスタン市で中部地方司令部のアドナーン・カースィム・ファルザート准将が離反を宣言した。

一方、SANA(3月6日付)は、軍・治安部隊が完全制圧したヒムス市バーブ・アムル地区で関係当局が武器工場を発見し、偵察機と重火器を押収したと報じた。

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ダマスカス郊外県では、シャーム・ニュース・ネットワーク(3月6日付)によると、ジャラージール町に軍・治安部隊が突入した。

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アレッポ県では、複数の活動家によると、治安部隊がアレッポ市の裁判所に突入し、(反体制)弁護士を襲撃した、という。

またアレッポ市のサーフール地区では、女性が反体制デモを行った。

アサド政権の動き

SANA, March 6, 2012
SANA, March 6, 2012
SANA, March 6, 2012
SANA, March 6, 2012

SANA(3月6日付)によると、アサド大統領は、シリア国民は「外国に支援されたテロに対抗する一方で、改革計画を自ら立案することで、自らの祖国を護り、新たなシリアを建設する能力を改めて確固たるものとした」と述べた。

ウクライナ議会のウクライナ・シリア友好協会の使節団との会談で述べた。

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SANA(3月6日付)によると、シリアのジャーナリスト総連合は声明を出し、外国の報道機関に対して「違法な記者の派遣を行わない」よう呼びかけた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会の指導者の一人であるワリード・ブンニー弁護士はロイター通信(3月6日付)に対して、アサド政権打倒には「外国の軍事介入以外に選択肢はない」と述べる一方、「評議会は国内での信頼醸成を行わねばならない」と述べ、シリア国内に基盤を持っていないことを暗に認めた。

レバノンの動き

『ナハール』(3月6日付)は、レバノン軍によって4日に逮捕された武装したシリア人35人(当初の発表は33人)のうち28人を釈放したと報じた。

28人は、シリア、レバノン両国内で武器を使用した証拠が発見されなかったため釈放されたという。

しかし残る7人は、レバノン領内で武器を使用し、レバノン人兵士1人を負傷させた容疑で7日に裁判を受ける。

諸外国の動き

ロイター通信(3月6日付)によると、ヴェネズエラが、3度目となるシリアへのタンカーでの灯油の搬入を決定したと報じた。

ヴェネズエラ政府は去年11月と今年2月に、西側の対シリア経済制裁の被害を軽減するため、タンカー2隻を派遣し灯油を供給している。

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国連では安保理常任理事国とモロッコ(アラブ連盟代表)の大使級会合が開かれ、米国による新たな対シリア決議案の内容を審議した。

複数の外交筋によると、新決議案は、アラブ連盟外相会議での行程表(アサド大統領の権限の副大統領への移譲などが骨子)に関わる文言が削除されつつ、シリア人による多元的民主体制への政治プロセスを呼びかけている。

また、シリア軍の市街地からの撤退、治安当局による逮捕者釈放、人道支援および報道機関の受け入れとともに、反体制武装集団による暴力の停止を盛り込み、ロシアや中国に配慮している。

しかしロシアのゲンナジイ・ガティロフ外務次官はツイッター(3月6日付)で、米国の対シリア決議案に関して、「拒否権を受けた前回の決議案の文言をほんの少し修正しただけだ。文言はその基本においてバランスのとれたものでなければならない」と述べ、拒否の姿勢を示した。

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バラク・オバマ米大統領は記者会見で、アサド大統領を「独裁者」と断じ、「いずれ倒れるだろう」と述べるとともに、反体制勢力支援の手段を構築するとの意思を示した。

一方、米統合軍のジェームズ・マティス司令官は上院で、シリアへの軍事干渉が「きわめてデリケート」な問題だと警鐘を鳴らした。

マティス司令官は、シリアが生物化学兵器、対空防衛システム、数千の対空ミサイル、地域情勢を揺動する能力を持っていると述べ、反体制運動への弾圧拡大とアサド政権の生存をかけた戦いの拡大が「内戦」をもたらしかねないと指摘した。

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ロシア外務省は声明を出し、欧米諸国に対して、「自らの欲望に従わないようにせねばならない」と述べ、対シリア政策の変更を求めたうえで、「シリアの紛争政情化へのロシアの姿勢は一日たりとも変わっていない…。この紛争はすべての当事者の対話を通じてしか解決し得ない」とロシアの立場を改めて示した。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、弾圧の犠牲者への人道支援のための「人道回廊」の「即時」設置を呼びかけた。

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フランス外務省報道官は、EU諸国がシリア大使の追放を検討していると述べた。

また3月6日付でダマスカスのシリア大使館を閉鎖し、エリク・シュバリエ大使を本国に召還したと発表した。

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スペイン外務省報道官は、3月6日付でダマスカスのスペイン大使館の活動を凍結したと発表した。

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サイモン・コリス駐シリア英国大使は『タイムズ』(3月6日付)に対して、アサド政権が年末までに倒れるだろうと述べた。

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『ハヤート』(3月7日付)などによると、英国のテレビ局Channel 4がヒムス軍事病院で患者に対して拷問が行われていたとの証言ビデオを放映した。

AFP, March 6, 2012、Akhbar al-Sharq, March 6, 2012、al-Hayat, March 7, 2012、Kull-na Shuraka’, March 6, 2012、al-Nahar, March 6, 2012、Naharnet.com, March 6, 2012、Reuters, March 6, 2012、SANA, March 6, 2012、The Times, March 6, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

クサイル市、ラスタン市などで軍・治安部隊による掃討作戦が続くなか、サウジアラビア国王とカタール首相が会談し「シリア政府による殺戮停止に向けて努力を続ける」ことで一致(2012年3月5日)

国内の暴力

反体制活動家によると、ヒムス県クサイル市、ラスタン市などで軍・治安部隊による掃討作戦が続いた。

Kull-na Shurakā’, March 5, 2012
Kull-na Shuraka’, March 5, 2012

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ヒムス県では、シリア革命総合委員会のハーディー・アブドゥッラーを名のる活動家によると、クサイル市に対して「(ヒムス市)バーブ・アムル地区で起きたのと同様」の攻撃が加えられている、という。

しかしアブドゥッラー氏によると、「自由シリア軍は容易に撤退しないだろう。なぜならだれもバーブ・アムル地区で起きたことの再発を望んでいないからだ」と述べ、離反兵が徹底抗戦の構えを示していることを明らかにした。

一方、SANA(3月5日付)は、軍・治安部隊が完全制圧したヒムス市バーブ・アムル地区に武装テロ集団の攻撃から避難していた住民が続々帰宅していると報じた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団、ダマスカス県・ダマスカス郊外県調整連合報道官などによると、ヤブルード市に軍・治安部隊が離反兵を追って進入した。

シリア人権監視団によると、ハラスター市の空軍情報部施設に対して、離反兵がRPG弾3発を撃ち込んだ。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アターリブ市で、軍・治安部隊が市民に発砲し、1人を殺害した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、サラーキブ市で男性1人が治安部隊に狙撃され死亡した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(3月5日付)によると、クーリーヤ市で武装テロ集団が石油パイプラインを爆破した。

反体制活動からも同市で大きな爆発があったことを認めた。

アサド政権の動き

『クッルナー・シュラカー』(3月5日付)は、イラン人専門家による反体制運動弾圧教練をムハンマド・シャッアール内務大臣が許可したとするシリア内務省総務課長の文書(2012年2月22日付)を公開した。

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SANA(3月5日付)は、アドナーン・マフムード情報大臣が、「シリアは事件発生当初から政治的解決と包括的改革プログラムの実施を目指してきた」と述べたと報じた。

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SANA(3月5日付)によると、アサド大統領はロシアのウラジーミル・プーチン首相に大統領選挙での勝利を祝う祝電を打った。

反体制勢力の動き

リフアト・アサド前副大統領の息子で大統領のいとこのフィラース・アサド氏(はフェイスブック(3月5日付)で、反体制活動家の晩餐に招待されたことが原因で、自宅が「シャッビーハ」に襲撃・破壊されたことを明らかにした。

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クウェート紙『ジャリーダ』(3月5日付)は、反体制活動家ワヒード・サクル氏の娘のディヤーラー・サクル氏と娘2人を自由シリア軍のアバービール大隊が「救出」し、トルコ領内に連れ出したと報じた。

同報道によると、ディヤーラー氏はラタキアの親戚(アラウィー派)から「裏切り者の娘」とみなされ、当局の逮捕を逃れて、ジャブラ市のスンナ派住民のもとに1ヵ月ほど身を寄せていた、という。

レバノンの動き

ワーイル・アブー・ファーウール社会問題大臣(進歩社会主義党)は、『ナハール』(3月5日付)に対して、アサド政権の最近の反体制勢力に対する掃討作戦で「1人に2,000人ものシリア人がレバノンに避難してきた」と述べた。

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レバノン・カターイブ党最高党首のアミーン・ジュマイイル元大統領は、シリア人の避難民の流入に関して、レバノン国内の不安定化につながりかねない「新たなかたちの帰化」がもたらされないよう警鐘を鳴らした。

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「アフバール・シャルク」(3月5日付)は、ファイサル・ミクダード外務次官が、レバノン当局に対して、シリアへの武器密輸と外国人記者の密入国を阻止・摘発するよう要請したと報じた。

またアリー・アブドゥルカリーム駐レバノン・シリア大使も、レバノンに対して戦闘員の潜入を阻止するため「より厳格」な措置を講じるよう求めた。

諸外国の動き

サウジアラビアのアブドゥッラー国王とカタールのハマド・ブン・ハリーファ首相がリヤードで会談し、両国の協力関係などについて意見を交換した。

AFP(3月5日付)によると、両国首脳はシリア情勢についても議論し、シリア政府による殺戮停止に向けて努力を続けることで意見が一致した、という。

首脳会談に列席したサウード・ファイサル外務大臣は、「シリア国民は現体制を望んでいない。シリア政府は力で政権を維持しようとしている」と述べた。

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中国外交部報道官は、李(Li Huaxin)駐シリア中国大使が6日にダマスカスに向かい、シリア政府高官らと会談し、危機打開のための提案」を行うと発表した。

同報道官はまた、「政治的解決がシリアの危機解決の基本だと中国は考えている…。人道口実の外国の介入を拒否する…。シリアの主権を尊重することを前提条件として、人道支援の努力を調整しようとする国連の役割を常に支持する」と述べた。

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フランス社会党のドミニク・ド・ビルパン前外務大臣(大統領候補)は、チャンネル3に出演し、シリア情勢に関して「現地での活動を検討する時が来た」と述べ、アサド政権に対する「限定的な攻撃」を提案した。

一方、『ハヤート』(3月6日付)は、フランス外務省報道官が、シリア国内でフランス兵士が逮捕されたとの一部報道を否定したと報じた。

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ジャズィーラ(3月5日付)は、トルコの複数の消息筋の話として、イスラエルの無人偵察機がシリア国内の反体制活動に関する情報収集活動を行っていると報じた。

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『ワシントン・ポスト』(3月5日付)は、3人の米高官の話として、イランがシリアに対する秘密裏の支援を増強している、と報じた。

米共和党のジョン・マケイン上院議員は、上院で、アサド政権の弾圧に対する反体制勢力の自衛行動を支援するため、空爆を行うべきだと発言した。

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「アフバール・シャルク」(3月5日付)は、ロシア商工会議所副総裁が3月2日、シリア情勢を受けて、ロシアがシリアとの経済協力に関する契約を一時凍結したと述べたと報じた。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、パレスチナのナースィル・カドワ元国連代表をコフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使の次官に任命したと発表した。

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カナダ政府は、EUの追加制裁に呼応するかたちで、サファル内閣閣僚やシリア中央銀行などを新たに制裁リストに加えた。

AFP, March 5, 2012、Aljazeera.net, March 5, 2012、Akhbar al-Sharq, March 5, 2012, March 6, 2012、Facebook, March 5, 2012、al-Hayat, March 6, 2012、al-Jarida, March 5, 2012、Kull-na Shuraka’, March 5, 2012、al-Nahar, March 5, 2012、Naharnet.com, March 5, 2012、Reuters, March 5, 2012、SANA, March 5, 2012、The Washington Post, March 5, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

軍・治安部隊がラスタン市とクサイル市に対して大規模な砲撃を行い数十人が死傷、一方サウジアラビア外相が記者会見のなかで反体制派による武装闘争を煽動(2012年3月4日)

Ugarit News Network, March 4, 2012
Ugarit News Network, March 4, 2012

国内の暴力

ヒムス県のラスタン市とクサイル市に対して、軍・治安部隊が大規模な砲撃を行い、反体制活動家らによると、数十人が死傷、数千人がレバノンへの避難を余儀なくされた。

シリア人権監視団によると、「これらの都市は中部における離反兵の拠点で、近く政権による離反兵への作戦の標的になることが予想され」、ラスタン市では軍・治安部隊の砲撃で市民7人が死亡したという。

自由シリア軍のリヤード・アスアド大佐は、クサイル市に対する攻撃で、軍・治安部隊はレバノン国境に通じる橋を破壊し、避難民のレバノンへの避難を阻止したと述べた。

こうしたなか、国連難民高等弁務官はクサイル市への大規模攻撃によって約2,000人がレバノンに避難したと述べた。

一方、SANA(3月4日付)は、軍・治安部隊が完全制圧したヒムス市バーブ・アムル地区で関係機関ががれきなどの撤去を行っていると報じた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、カフルナブル市の検問所で軍・治安部隊と離反兵が交戦した。

またこれに先だって、同市では市民1人と軍兵士1人が死亡、離反兵複数が負傷した。

一方、TRT(3月4日付)は、複数の消息筋の話として、シリアでの激しい弾圧を逃れ市民22人がトルコ領内(ハタイ県)に避難したと報じた。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市で市民1人が殺害された。

また複数の戦車がダイル・ザウル市内に入った。離反兵掃討の準備を進めていると見られる。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ジャルマ村、ヒヤーリーン町に軍・治安部隊が突入し、活動家らを逮捕した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ムライハ市に軍・治安部隊が展開し、離反兵と交戦した。

またインヒル市では治安機関の士官1人が誘拐され、また市民1人が治安部隊の発砲で死亡した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ大学の学生1,000人以上がデモを行い、治安部隊が催涙弾などを使って強制排除した。

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ダマスカス県では、アサド政権を支持する市民がロシア大使館前で、アサド政権の改革プログラム支持とロシアでの大統領選挙でのウラジーミル・プーチン首相支持を訴えるデモを行った。

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シリア人権委員会によると、マダーヤー町で、シリアの治安当局は6人の遺体を遺族に引き渡した。

この6人はいずれもアフラク家の子息で2月半ばに軍事情報局によってデモ煽動の容疑で逮捕されていた。

遺体には拷問の跡が残っていたという。

アサド政権の動き

SANA(3月4日付)は、アブドゥルファッターフ・アムーラ外務次官が、「我々は現下の危機や圧力をより力強く克服するだろう」と述べたと報じた。

反体制勢力の動き

ユーチューブ(3月4日付)では、第14空挺師団の迫撃連隊司令官のアナス・アブドゥッラー・アラウ少佐が民衆弾圧の命令を拒否して、部隊の他の士官らとともに離反し自由シリア軍に参加すると宣言する映像が配信された。

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国内で反体制活動を行うシリア国家建設潮流は記者会見を開き、「自らの意思で自らの運命を決め、自らの手で未来を建設する」とのスローガンを掲げ、ダマスカスで3月16日に「国民和解大会を開催するとの声明を発表し、すべての政治勢力、活動家に協力を呼びかけた。

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『クッルナー・シュラカー』(3月4日付)は、シリア国民評議会から「離反」した指導的活動家約20人が立ち上げた国民行動戦線(国民行動グループ)が声明を出し、内外の活動家に対して、「シリア解放のための総合的・詳細な計画作成への参画を調整するため」の連絡調整グループの設立を呼びかけ、これによりシリア国民評議会の分裂がより決定的なものとなったと報じた。

レバノンの動き

NNA(3月3日付)は、レバノン軍がベカーア県バアルベック郡カーア地方で、武装したシリア人33人を逮捕したと報じた。

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ベイルート県中心の殉教者広場で、イスラーム原理主義者(サラフィー主義者)がアサド政権の弾圧に抗議するデモを実施した。

Naharnet.com, March 4, 2012
Naharnet.com, March 4, 2012
Naharnet.com, March 4, 2012
Naharnet.com, March 4, 2012

デモを主導したのは、南部県サイダー市(ハリーリー家の出身地)のサラフィー主義イマーム、アフマド・アスィール師で、国際社会が内政干渉に躊躇している現状を批判し、「シリア国民を救うために国連に頼らない。我々はアッラーとすべての自由なイスラーム教徒と非イスラーム教徒を頼みにする」と述べた。

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一方、時を一にしてシリアへの外国の干渉に反対するデモも実施された。

デモを組織したのはバアス党レバノン地域で、代表の一人イブラーヒーム・イーサー氏は、「地域に対する陰謀を拒否する」と述べ、参加者はロシアや中国の国旗を掲げ、ワリード・ジュンブラート進歩社会主義党党首の写真を焼き、カタールを非難した。

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レバノン軍団のサミール・ジャアジャア代表は訪問先のカタールで在留レバノン人が主催する晩餐会に出席し、「シリアでの危機が長引けば、過激派が権力を掌握する機会が増す」と述べた。

諸外国の動き

新華社通信(3月4日付)によると、中国外交部は声明を出し、「人道問題を口実にシリア内政に干渉することを拒否する」との意思を明示し、外国の干渉への拒否の姿勢を示した。

また、シリア政府とそのほかのすべての当事者に対して、暴力停止を呼びかけた。

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ヒズブッラーが運営するパレスチナ紙『マナール』(3月4日付)は、シリア軍・治安部隊によるヒムス市バーブ・アムル地区などに対する掃討作戦で、外国の諜報機関の工作員137人が逮捕された、と報じた。

逮捕された工作員は米国人、フランス人、イスラエル人、トルコ人、湾岸諸国人ら。

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イスラエルのアビグドール・リーベルマン外務大臣はイスラエル軍のラジオとのインタビューで、シリア情勢に関して「我々はイスラエルで、停戦が必要だと考えている。我々は必要な人道支援を行う用意がある」と述べた。

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クウェートのアブドゥッラー・マアトゥーク世界慈善委員会会長は、シャイフ・スハーフ・アフマド首長が「シリア国民の被害者救援のため500万ドルを寄付する」と発表した。

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サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣がGCC外相会議後に記者会見を行い、シリア情勢に関して、「国民に対するシリア軍の行為は痛ましい…。我々はシリア人を保護し、シリアを安定化させたい」と述べ、シリア国民の自衛権を主張し、その武装闘争を暗に扇動した。

またロシアとの関係に関しては、「我々はロシアと対話を続け、ロシアにGCCだけでなく、アラブ連盟とも会合を持つことをアドバイスした」と述べた。

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赤十字国際委員会のサーリフ・ダッバーカ報道官は、ヒムス市バーブ・アムル地区周辺に人道物資配給を行ったと発表し、それを「前向きなステップ」としつつ、バーブ・アムル地区そのものへの人道支援を改めて求めた。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチ中東・北アフリカ責任者のサラ・ワトソン氏は、離反兵や民間人への処刑が多数行われたとしたうえで、これらの行為を「人道に対する罪とみなす」と非難した。

AFP, March 4, 2012、Akhbar al-Sharq, March 4, 2012, March 7, 2012、al-Hayat, March 5, 2012、Kull-na Shuraka’, March 4, 2012、al-Manar, March 4, 2012、Naharnet.com, March 4, 2012, March 5, 2012、NNA, March 4, 2012、Reuters, March 4, 2012、SANA, March 4, 2012、Youtube, March 4, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア革命最高軍事評議会がシリア国民評議会による軍事顧問局設置の決定への拒否を示すなか、国連事務総長は「多元的・民主的体制をもたらすような政治解決」に向けて国際社会が結束するよう呼びかけ(2012年3月3日)

国内の暴力

ヒムス市バーブ・アムル地区完全制圧後も軍・治安部隊は各地で反体制勢力に対する掃討作戦を継続、シリア人権ネットワークによると、74人が死亡した。

SANA, March 3, 2012
SANA, March 3, 2012

またSANA(3月3日付)によると、ダルアー市ダウワール・ミスリー地区で武装テロ集団による自爆テロが起き、2人が死亡、約20人が負傷した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、フラーク市で反体制武装集団(離反兵)が軍・治安部隊兵士6人を殺害、9人を負傷させた。

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ヒムス県では、シリア人権ネットワークによると、ヒムス市ではバーブ・アムル地区に隣接するジャウバル区に対して軍・治安部隊が朝から激しい砲撃を加えた。

赤十字国際委員会のヒシャーム・ハサン報道官は、同委員会とシリア赤新月社が軍・治安部隊制圧直後に当局からヒムス市バーブ・アムル地区への人道支援を許可されたにもかかわらず、同地区への進入を禁じられ続けていると述べた。

反体制活動家らによると、アサド政権は国際赤十字委員会に「虐殺」の現場を見せたくないために、人道支援の受け入れを渋っている、という。

またロイター通信(3月3日付)は、国境なき医師団のフランス人医師でヒムス市で反体制勢力の負傷者らの治療に当たっていたジャック・ベレー氏が、「もしこの地区(バーブ・アムル地区)にいたら、私もコルヴィン氏と同じように終わっていた。この地区で人々の治療にあたることなどできない。状況は耐えられない」と述べ、バーブ・アムル地区の惨状を訴えた。

一方、『ハヤート』(3月4日付)は、ヒムス市バーブ・アムル地区から脱出した英国人カメラマンのポール・コンロイ氏が現地の様子に関して、「戦争ではない、虐殺だ。男性、女性、子供に対する無差別虐殺だ」と語ったと報じた。

軍・治安部隊のヒムス市バーブ・アムル地区の制圧後にシリアからレバノンに脱出したフランス人ジャーナリストのエディット・ブヴィエ女史とウィリアム・ダニエル氏に関して、『ル・フィガロ』(3月3日付)は、軍・治安部隊が外国人ジャーナリストを直接狙ったと報じた。

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ハマー県では、SANA(3月3日付)によると、ハマー市マシャーウ地区で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、後者のメンバー1人を殺害、多数を逮捕した。

ハッターブ村でも治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、後者のメンバー1人を殺害した。

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ダイル・ザウル県では、反体制活動家によると、ダイル・ザウル市で若者3人が殺害された。

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イドリブ県では、アナトリア通信(3月3日付)によると、シリア軍兵士2,000人と戦車15輌が対トルコ国境沿いのアイン・バイダーに突入し、同村を制圧した。

シリア人権ネットワークによると、アブー・ズフール空軍基地で離反した兵士47人が処刑され、スィーハ湖に遺棄された。

シリア人権監視団によると、イドリブ市近郊で市民3人が自動車爆弾に巻き込まれ死亡した。

またサラーキブ市で2員が治安部隊によって射殺され、マアッラト・ヌウマーン市でも1人が射殺された。

アサド政権の動き

シリアのバッシャール・ジャアファリー国連大使は、潘事務総長の姿勢に関して「シリアに敵対する者の証言にしか依拠していない」と批判した。

またサウジアラビアやカタールに関しては、「反体制武装集団に資金と武器を供与すると公言した一部の国々は…シリアの体制転換だけでなく、シリアの国家そのものを変えてしまおうとしている」と述べ、そうした行為が地域全体を混乱させると警鐘をならした。

また湾岸諸国も国民の権利を制限していると非難した。

反体制勢力の動き

トルコで活動するシリア革命最高軍事評議会(ムスタファー・シャイフ准将)が声明を出し、自由シリア軍と民間人保護委員会との間でなされたとされる合意(シリア国民評議会による軍事顧問局設置の決定と思われる)を拒否すると発表した。

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『クッルナー・シュラカー』(3月5日付)によると、国内で反体制活動を行うダマスカス民主変革宣言事務局のスライマーン・シャムル氏が治安当局に逮捕された。

諸外国の動き

ロシア外務省報道官は、ジャズィーラ(3月3日付)に対して、シリアに(西側が)軍事介入しても、ロシアが1980年のシリア・ソ連友好条約に従ってシリアを軍事支援することはない、と述べつつ、一部の国々がシリアの反体制勢力の武装化を行おうとしていることを強く批判した。

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サウジアラビアのアブドゥッラー・ムアッリム国連大使は、GCCを代表して、「シリア国民を救済し、正統性を失った政府に対するその自衛能力を支援するためあらゆる努力」を行うとの意思を示した。

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エジプトのマーギド・アブドゥルアズィーズ国連大使は、アサド政権に対して、「国民に耳を傾ける」よう呼びかけるとともに、人道支援を受け容れるよう求めた。

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国連の潘基文事務総長は、「多元的・民主的体制をもたらすような政治解決」に向けて国際社会が統一してあたるよう呼びかけた。

一方、国連難民高等弁務官は、2011年3月の反体制運動発生以降レバノンに避難してきたシリア人が7085人に達したと報告書で発表した。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、アサド政権がバーブ・アムル地区への人道支援を依然として受け容れていないことに関して、「殺戮、拷問、弾圧に加えて、人道支援の拒否していることは、政権が犯罪者であることを示すもの」と非難した。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、アサド政権がバーブ・アムル地区への人道支援を依然として受け容れていないことに関して、「人道に対する罪を毎日犯しているなかで…別の犯罪」と非難した。

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ヨルダンのアブドゥッラー国王はシリア情勢に関して、「シリア情勢がどのように進展するか予測不可能…。現時点でシリアは疑問符だ」と述べ、周辺諸国への影響を懸念した。

一方、『ハヤート』(3月4日付)は、ヨルダンのリバーウ・スィルハーン地方に設置が決定されているシリア人非難民キャンプに関して、ヨルダン政府が正式な開設を躊躇していると報じた。

最大の原因は1990年代の湾岸戦争後のイラク人非難民の大量流入に伴うインフラや天然資源への圧力が再び生じることへの懸念。

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AFP(3月3日付)は、パレスチナのハマースのマフムード・ザッハール政治局員が、ハーリド・ミシュアル政治局長のシリア出国後もアサド政権と断交していないと述べ、シリアでの事態正常化を望んでいるとの意思を示したと報じた。

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ジェイ・カーニー米ホワイトハウス報道官はシリア情勢に関して、「アサド政権が行う蛮行のビデオを見れば誰でも、一方的な発砲しか行われてないことが分かる」と述べ、暴力と殺戮停止のための国際的な努力への近隣諸国への参加を呼びかけた。

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アラブ連盟のアフマド・ベン・ヒッリー事務副長は、ナビール・アラビー事務総長がカイロでインドのS.M.クリシュナ外務大臣と会談し、シリアでの暴力停止と人道支援受け入れを求める安保理決議採択を支持するよう求めた、と述べた。

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SANA(3月3日付)は、ヒムス市バーブ・アムル地区で死亡した米国人記者マリー・コルヴィン女史(『サンデー・タイムズ』)、フランス人カメラマンのレミー・オシュリク氏の遺体をシリア咳新月社がポーランド大使館とフランス大使館にそれぞれ引き渡したと報じた。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ドバイでのアサド政権への抗議デモを行ったシリア人に対するUAE当局の国外追放処分を批判した。

AFP, March 3, 2012、Akhbar al-Sharq, March 3, 2012、al-Hayat, March 4, 2012、Kull-na Shuraka’, March 3, 2012, , March 4, 2012, March 5, 2012、Naharnet.com, March 3, 2012、Reuters, March 3, 2012、SANA, March 3, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

EUが首脳会合の結果シリア国民評議会を「シリア国民の正当な代表」として承認すると発表、プーチン首相は一部諸国による反体制勢力武装化の試みを非難(2012年3月2日)

国内の暴力・反体制デモ

離反兵が放棄したヒムス市バーブ・アムル地区で軍・治安部隊による「集団処刑」の疑惑が高まるなか、軍・治安部隊が各地で掃討作戦を継続し、死者数は反体制活動家らによると65人(うち32人がヒムス県)にのぼった。

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また金曜礼拝後の反体制デモが各地で行われ、複数の活動家らによると「数千人」が参加した。

しかし前日の歴史的な降雪によって、デモはこれまでに比べると低調で、アラビーア(3月2日付)も、これまでに比べて反体制活動家によるとインターネットなどでの画像の配信も少なかったと報じた。

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『ハヤート』(3月2日付)などは、国連人権理事会筋の話として、軍・治安部隊が制圧したヒムス県のヒムス市バーブ・アムル地区で、17人が「集団処刑」されたとの報告があったと報じた。

またシリア革命総合委員会メンバーのハーディー・アブドゥッラーを名のる活動家がAFP(3月1日付)に電話で明らかにしたところによると、ヒムス市バーブ・アムル地区では、「地区に残っている活動家、離反兵でない人々」に対する「報復の処刑」が行われている、という。

シリア人権監視団によると、バーブ・アムル地区では10人が殺害されたという。

一方、ラスタン市では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊による掃討作戦が続けられ、12人が死亡した。

バアス党レバノン地域指導部のアースィム・カーンスー書記長(国会議員)は『ナシュラ』(3月2日付)に対して、ヒムス市バーブ・アムル地区制圧に際して、シリア軍・治安部隊が同市で士官18人、フランス人空挺部隊兵士100人、レバノン人70人を逮捕したことを明らかにした。

そのうえで、「このスキャンダルはフランスのニコラ・サルコジ大統領を退任に追い込むだろう」と述べるとともに、「レバノン人陰謀者たちに関する詳細を明らかにする」と約束した。

SANA, March 2, 2012
SANA, March 2, 2012

 

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ダマスカス県およびダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市で市民2人が治安部隊によって射殺された。

ダマスカス県・ダマスカス郊外県調整連合のムハンマド・シャーミーを名のる活動家によると、ダマスカス県のマッザ区、アサーリー地区、カダム区、カーブーン区、カフルスーサ区、ハジャル・アスワド市などで数千人が反体制デモを行った、という。

一方、SANA(3月2日付)によると、ドゥーマー市で武装テロ集団メンバー4人を当局が逮捕した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市で市民2人が治安部隊によって射殺された。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハマー市で市民1人が治安部隊によって射殺された。

SNN, March 2, 2012
SNN, March 2, 2012

一方、SANA(3月2日付)によると、ハラファーヤー市で当局が武装テロ集団多数を逮捕し、大量の武器弾薬を押収した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市で反体制デモに参加していた市民3人が治安部隊によって射殺された。

アレッポ調整連合のムハンマド・ハラビーを名のる活動家によると、数千人がアレッポ市内の12カ所で反体制デモを行った。デモは1日夜から行われていた、という。

またシリア人権監視団によると、マンビジュ市でも反体制デモがあり、35人以上が逮捕された。

一方、SANA(3月2日付)によると、アレッポ市で武装テロ集団が仕掛けた爆弾が爆発して、幼児1人が死亡した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッル・シャマーリーン村、サラーキブ市で市民4人が治安部隊によって射殺された。

一方、SANA(3月2日付)によると、対トルコ国境沿いのアイン・バイダー村で密入国を試みた武装テロ集団と国境警備隊が交戦、前者のメンバー1人が死亡、多数が負傷した。

SNN, March 2, 2012
SNN, March 2, 2012

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インターネットなどでは「自由シリア軍武装の金曜日」と銘打って、デモが呼びかけられていた。

アサド政権の動き

シリア正教アンティオキア総主教のイグナティウス4世ハズィームは、シリア情勢に関して、「外国の内政干渉の障害が、イスラーム教徒とキリスト教徒に等しく及んでいる」と述べ、西側の介入を批判した。

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シリア外務省は国連安保理議長と国連事務総長宛てに書簡を送付し、そのなかで近隣諸国が「テロ集団の武器入手を促している」と非難、このことが「地域に悲惨な結果をもたらし、この盲目的な行為によって高い代償を払わされる」と警鐘をならした。

反体制勢力の動き

ユーチューブなどでは、アサド政権による弾圧の残虐さをアピールするために、活動家らが野良ネコの遺体を動画で配信した。

反体制活動開始以来、幼児などを終始動員してきた活動家らが「動物を動員」したことは、彼らの窮状を示すものと言え、哀れさすら感じる。

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『ザマーン・ワスル』(3月2日付)は、バーブ・アムル地区で籠城していた反体制活動家(離反兵)のアブドゥッラッザーク・トゥラース曹長、ワリード・アブドゥッラー曹長が無事同地区を脱出したと報じた。

反体制活動家らは、同地区では活動家、離反兵でない市民に対する「集団処刑」が行われていると非難しているが、離反兵は一般市民を犠牲に「戦術的撤退」を行ったことになる。

Zamān al-Waṣl, March 2, 2012
Zaman al-Waṣl, March 2, 2012

諸外国の動き

ブリュッセルではEU首脳会合が開かれ、数ある反体制組織の一つで、欧州・トルコで活動するシリア国民評議会を「シリア国民の正当な代表として承認する」との声明を出した。

シリア国民評議会は、武装闘争の方法をめぐり在外の自由シリア軍と対立している一方、外国の介入の是非をめぐって国内の民主的変革諸勢力国民調整委員会と対立しており、反体制勢力の総意を代表していない。

また声明では、アサド政権へのさらなる制裁を主唱するとともに、アラブ連盟の行程表に沿ったかたちでの停戦と問題解決への支持を改めて表明した。

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国連の潘基文事務総長は、アサド大統領にコフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使の受け容れを求める書簡を送付した。

同書簡によると、アナン特使の任務は、①暴力停止、②人道問題への対処、③国連総会決議(アラブ連盟行程表)に沿った問題の平和的解決、の三つ。

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ロシアのウラジーミル・プーチン首相は、外国メディアとの会見で、「(ロシアは)シリアと特別な関係によって結びついていない」と述べる一方、国連安保理での拒否権発動が「内戦」回避という「原則的」立場に基づくものだと正当化し、「我々の目標は…シリア人どうしによる問題解決だ」と主張した。

また一部諸国による反体制勢力武装化の試みに関して、西側が「破壊分子への武器支援とアサド政権への圧力を通じて危機を煽っている」と非難、武器供与が行われれば「反体制勢力は交渉のテーブルに決してつかないだろう」と述べた。

一方、ロイター通信(3月2日付)は、シリア情勢をめぐる最近のウラジーミル・プーチン露首相の西側批判と時を一にするかたちで、ロシア産の灯油がシリアに搬入された、と報じた。

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フランスのニコラ・サルコジ大統領はブリュッセルでの記者会見で、アサド政権の弾圧に抗議し、フランス大使館を閉鎖するだろう、と述べた。

フランス政府は先日、一時帰国させていた在ダマスカス・フランス大使をダマスカスに戻したばかり。

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バラク・オバマ米大統領は『アトランティック・マンスリー』とのインタビューで、アサド大統領に残されている日が「限られており」、「問題は退任するかどうかではなく、いつするかだ」と述べた。

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「アフバール・シャルク」(3月2日付)によると、イラクのバグダード西部にあるヒートでアサド政権の弾圧に抗議するデモが実施され、約1,000人が参加した。

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赤十字国際委員会のヤコブ・ケレンベルガー総裁は、アサド政権が許可したにもかかわらず、ヒムス市バーブ・アムル地区に人道支援のため入ることができない、と述べ、早急な対応を求めた。

一方、22日にバーブ・アムル地区で殺害された外国人記者2人の遺体をシリア当局から受け取ったことを明らかにした。

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アフメト・ダウトオール外務大臣は、シリア国民評議会の使節団とイスタンブールで4時間にわたって会談した。

トルコ外交筋によると、この会談で、評議会はトルコ領内での軍事顧問局の開設を求めなかったという。

AFP, March 2, 2012、Akhbar al-Sharq, March 2, 2012、elnashra.com, March 2, 2012、al-Hayat, March 3, 2012, March 4, 2012、Kull-na Shuraka’, March 2, 2012、Naharnet.com,
March 2, 2012、Reuters, March 2, 2012、SANA, March 2, 2012、Zaman al-Waṣl,
March 2, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

軍・治安部隊がヒムス市バーブ・アムル地区を「90%」制圧、シリア国民評議会事務局長は「民間人を防衛する」ために軍事諮問局を設置することを発表(2012年3月1日)

国内の暴力(ヒムス市バーブ・アムル地区制圧)

軍・治安部隊は約4週間におよぶ掃討作戦の末、ヒムス市バーブ・アムル地区を「90%」(シリア治安筋)制圧し、「武装集団多数がレバノンに逃走した」。

SANA, March 2, 2012
SANA, March 2, 2012
SANA, March 2, 2012
SANA, March 2, 2012
SANA, March 2, 2012
SANA, March 2, 2012

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トルコで避難生活を送る自由シリア軍司令官のリヤード・アスアド大佐は、自由シリア軍がバーブ・アムル地区に「残された住民や民間人を守るため、戦略的に撤退をした」と発表した。

アスアド大佐によると、自由シリア軍は同地で軽火器・中火器をもって対峙していたが、武器が不足し、地元住民の人権状況悪化を懸念して、撤退を決定したという。

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シリア革命総合委員会メンバーのハーディー・アブドゥッラーを名のる活動家によると、軍・治安部隊はバーブ・アムル地区制圧に際して、離反兵17人を殺害し、「うち12人をナイフで殺した」。

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自由シリア軍メンバーのアブー・ヤザンを名のる活動家がAFP(3月1日付)に対してスカイプを通じて「住民は集団虐殺を恐れている」と述べた。

また自由シリア軍高官はロイター通信(3月1日付)に対して、バーブ・アムル地区の戦闘員が約7,000人の軍・治安部隊と対峙していたと述べ、圧倒的な武力の差を強調する一方、「別の場所で攻撃を集中させる」と述べ、武装闘争の継続への意思を示した。

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バーブ・アムル地区制圧を受け、赤十字国際委員会とシリア赤新月社は「人道支援と負傷者搬出を継続する」と発表した。

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ヒムス県では、ラスタン市の士官、兵士多数が離反を宣言するビデオがインターネットなどと通じて配信された。

また活動家らによると、ヒムス市バーブ・スィバーア地区で、治安部隊が市民3人を射殺した。

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ハマー県では、活動家らによると、カルナーズ町で治安部隊が市民1人を射殺した。

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ダマスカス郊外県では、活動家らによると、ドゥマイル市で治安部隊が市民1人を射殺した。

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SANA(3月1日付)は、内務省高官の話として、軍・治安部隊が制圧したバーブ・アムル地区で、関係当局が22日に死亡した米国人記者マリー・コルヴィン女史とフランス人カメラマンのレミー・オシュリク氏の遺体を収容したと報じた。

同高官によると、シリア赤新月社と赤十字国際委員会は3度にわたって武装集団からの遺体引き渡しを拒否されていたという。

 

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フランスのニコラ・サルコジ大統領は、ヒムス市での取材中に負傷したフランス人ジャーナリストのエディット・ブヴィエ女史とウィリアム・ダニエル氏が無事、レバノンに搬出された、と発表した。

アサド政権の動き

『シリア・ステップス』(3月1日付)は、ハサン・トゥルクマーニー副大統領、ダーウード・ラージハ国防大臣、アースィフ・シャウカト参謀長、ヒシャーム・ビフティヤール・バアス党シリア地域指導部民族治安局長、ムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣がアレッポ市を訪問し、地元のビジネスマンらと自由参加型の集いを開き、現下の治安、経済情勢などについて意見を交換したと報じた。

反体制勢力の動き

ヒムス市バーブ・アムル地区制圧を受け、西欧で活動するシリア国民評議会は声明を出し、国際社会とアラブ連盟に対して、制圧後に予想される「集団虐殺」を阻止するべく、即時介入を行う呼びかけた。

またシリア国民、とりわけダマスカスとアレッポの住民に対して「バーブ・アムル地区の救済と、あらゆる平和的市民抵抗の駆使」を安全な欧州の地から呼びかけた。

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一方、シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長は記者会見を行い、「民間人を防衛する」ために軍事諮問局を設置し、自由シリア軍やシリア革命最高軍事評議会といった反体制武装集団を糾合すると発表した。

ガルユーン事務局長によると、新設された軍事諮問局は、民間人と軍人から構成され、武装闘争の調整、武器調達・配布、統合された集権的指導部のもとでの各武装集団の統合を目的としている。

軍事諮問局の本部は、現地から可能な限り近い場所に設置することが予定されており、トルコがその候補地だという。

また、一部の国が「革命家たち」への武器供与を望んでいるとしたうえで、それが「混沌としたかたちで配布される…余地はなくなる」と強調した。

軍事諮問局の開設に関しては、自由シリア軍、シリア革命最高軍事評議会も合意済みだと強調した。

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自由シリア軍のリヤード・アスアド大佐は、シリア国民評議会による軍事諮問局開設の発表の直後、声明を出し、同局に参加しないと発表した。

アスアド大佐は「この組織の目的が分からない…。我々は言葉でなく行動を望んでいる」と批判し、同局開設に自由シリア軍が合意していないと反論した。

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シリア革命調整連合はインターネットなどを通じて、3月2日(金曜日)に「自由シリア軍武装の金曜日」と銘打った反体制デモを行うよう呼びかけた。

諸外国の動き

ジェフリー・フェルトマン米国務次官補は、議会での公聴会で、反体制勢力の武装化が事態をさらに混乱させる懸念があると証言した。

フェルトマン国務次官補は「アサド政権崩壊を加速させるため米国のあらゆる政治的ツールを用いる」との意思を示す一方、「アサドは、自身を選択するか、内戦を選択するかを迫ることで人々を脅迫しようとしている。我々は内戦を回避したい」と述べ、反体制勢力の武装化については「アサドが描く構図に油を注ぐ行為」と消極的な姿勢を示した。

またロシアの対シリア政策に関して、「沈没しかけた船に乗っていても国益にはつながらない」と述べた。

一方、ロバート・フォード在シリア米大使は、現下のシリア政治体制を「アラウィー派対スンナ派」という宗派対立ではなく、「40年にわたる家族支配」と評価、過去数ヶ月の間に支配エリートや財界の不満が高まっていると指摘した。

またフォード大使は、反体制勢力の糾合がないとしつつ、移行期間に関して統一のビジョンに達する可能性については否定しなかった。

このほか、ヒラリー・クリントン米国務長官は米下院で、シリアへの人道支援をめぐるロシアの姿勢に失望していると述べる一方、同国のさらなる協力を望んでいると証言した。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、シリアの反体制勢力の武装化に異議を唱えるとともに、暴力が続けば「内戦」の可能性があると警鐘を鳴らし、即時停戦を求めた。

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イタルタス通信(3月1日付)は、ロシア外務省報道官の話として、ロシアがGCC諸国とシリア情勢に関する会議を近く開催すると報じた。

また同報道官は、アル=カーイダがシリア軍に対する武装集団に混じって戦闘している、と述べた。

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SANA(3月1日付)は、中国の温家宝首相がイマード・ムスタファー在中国シリア大使との会談で、シリア情勢の解決策が「すべての当事者の停戦実施と、シリア国民のすべての構成要素が参加する包括的政治対話のなかに隠されている」と述べたと報じた。

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コフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使が記者会見を行い、近くダマスカスに訪問し、「暴力行為は停止され、人道機関が(住民に)達しなければならないとの明確なメッセージ」を伝えたいと述べた。

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国連安保理は、シリア政府がバレリー・アモス人道問題担当事務次長のダマスカス訪問を拒否したことに遺憾の意を示す声明を出した。

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『ナハールネット』(3月1日付)は、国連の潘基文事務総長が、国連安保理決議第1701号に関する最新の報告書のなかで、アサド政権の反体制勢力弾圧がレバノンの安定に否定的な影響を及ぼし得ると指摘したと報じた。

2006年のイスラエルとレバノンのレジスタンス(ヒズブッラーなど)との全面衝突を停戦させるために採択されたこの決議は、シリア情勢とは何ら関係がない。

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国連人権理事会(47カ国)は、アサド政権による反体制勢力弾圧を「人道に対する罪のレベルに達する」として非難した声明を採択した。声明採択は4度目。

同決議案は西側諸国、GCC諸国が提案し、37カ国が支持した。

ロシア、中国、キューバは決議に反対し、3カ国が投票を棄権し、4カ国が投票しなかった。

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『ハヤート』(3月2日付)は、英国とスイスが「安全上の理由」で大使館の業務を一時凍結する決定を下したと報じた。

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カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は訪問中のブリュッセルでマーティン・シュルツ欧州議会議長と会談し、「我々はシリア国民を救済するためあらゆる選択肢を検討しなければならない」と述べた。

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クウェート議会は、シリア反体制勢力の武装を求める決議を採択した。

同決議には拘束力はない。

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エジプト・ムスリム同胞団のムハンマド・バディーウ最高同師は、アサド大統領を「犯罪者」と非難、「国民の下僕であることを忘れるな」と警告した。

AFP, March 1, 2012、Akhbar al-Sharq, March 1, 2012、al-Hayat, March 2, 2012、Kull-na Shuraka’, March 1, 2012、Naharnet.com, March 1,
2012、Reuters, March 1, 2012、SANA, March 1, 2012、Syria Steps, March 1, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

軍・治安部隊がヒムス市バーブ・アムル地区の掃討作戦を完了したと発表するなか、イラク首相がアサド政権主導の「上からの改革」に対し疑義を呈する(2012年2月29日)

国内の暴力

『ハヤート』(3月1日付)などによると、ヒムス市バーブ・アムル地区に対して軍・治安部隊が地上作戦を開始し、治安消息筋によると、「同地区は制圧された。軍は同地区の掃討作戦を完了した」という。

al-Hayat, March 1, 2012
al-Hayat, March 1, 2012

しかし複数の活動家によると、現地点で軍はバーブ・アムル地区に入っておらず、同地区を包囲しているのみで、自由シリア軍とインシャーアート地区、マルアブ通りなどで激しく交戦している、という。

彼らによると、バーブ・アムル地区周辺には軍・治安部隊の増援部隊が到着、そのほとんどが第4(機甲)師団だという。

軍・治安部隊はこのほかにも、ダルアー県、イドリブ県、ダマスカス郊外県、ハマー県などで掃討作戦を展開し、反体制活動家によると数十人が死亡した。

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ヒムス県では、反体制活動家やシリア人権監視団によると、ヒムス市バーブ・アムル地区への進入を試みる軍…治安部隊に対して、自由シリア軍兵士数百人が抵抗している、という。

また同市ではライフラインが遮断され、食糧品、医療物資などが不足している、という。

一方、ラスタン市でも軍・治安部隊が砲撃を行い、シリア人権監視団によると、複数の死傷者が出た。

SANA(2月29日付)によると、ヒムス市労働者病院が武装テロ集団の襲撃をうけ、看護師1人が殺害された。

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ダルアー県では、反体制活動家によると、治安部隊兵士8人がティーバで離反兵と交戦し、死亡した。

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イドリブ県では、反体制活動家によると、兵士37人が離反し、トルコに避難し、「ハマド・ブン・ジャースィム大隊」を結成した。

またサルミーン市では、軍・治安部隊の攻撃で少なくとも15人が死亡した。

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ハマー県では、軍・治安部隊がハラファーヤー市に対する掃討作戦を続けた。

一方、近隣のカルナーズ町で行われたとされるハラファーヤー市との連帯を求める反体制デモの映像などがYoutubeを通じて配信された。

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ダマスカス県郊外県では、複数の活動家によると、各地で深夜に反体制デモが行われ、ハラスター市などでは治安部隊が活動家ら18人を逮捕した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ大学で数千人の学生が反体制デモを行った。

アサド政権の動き

ジハード・マクディスィー外務省報道官は記者会見を行い、「カタールとサウジアラビアによる反体制勢力武装化の呼びかけはシリアへの敵対行為だ」と厳しく非難した。

またコフィ・アナン前国連事務総長のシリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使就任に関しては、同特使の任務に関する国連の説明を待っており、そのうえで対処すると述べた。

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『クッルナー・シュラカー』(2月29日付)は、26日の新憲法信任国民投票の実際の結果は75%が不信任、25%が信任だったと報じた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長は、EUによる追加制裁発動を歓迎するとともに、評議会の国民の正当な代表としての承認に関して、他の反対勢力に対して評議会への参加を呼びかけることで前進するとの意思を示し、支持を求めた。

諸外国の動き

新華社通信(2月29日付)によると、中国の楊潔篪外務大臣は、アサド政権と反体制勢力の双方に対して「即時暴力の停止」と「政治的対話の開始」を求めるとともに、「国際社会は(危機解決に)相応しい状況を創出し、人道支援を行わねばならない」と述べた、と報じた。

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CNN(2月29日付)は、米国務省高官の話として、米国がアサド政権の弾圧を停止させるため、軍事的な介入なども視野に入れたかたちでの具体的な計画を数週間中に行うだろうと報じた。

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コフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使がニューヨークに到着した。

潘基文事務総長とシリア情勢について意見を交換する予定。

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フランス外務省報道官は、22日の軍・治安部隊の攻撃で負傷し、現在もなおヒムス市にいるとされるエディット・ブヴィエ女史の「安全かつ迅速な搬出のためのすべての条件をシリア政府が満たすことを期待する」と述べ、停戦を呼びかけた。

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国際人権団体Avaazは、英国人カメラマンのポール・コンロイ氏のヒムス市からレバノンへの「脱出」に際して、シリア人活動家13人が命を落としたと発表した。

また『ワシントン・ポスト』(2月29日付)によると、ヒムス市バーブ・アムル地区から外国人記者4人を「脱出」させようとしていた約40人の活動家を軍・治安部隊が要撃し、13人の活動家を殺害した、という。

シリア政府によると、これらの外国人記者はシリア国内に不法入国し、取材活動をしていた。

デビッド・キャメロン英首相は、ポール・コンロイ氏のロンドンへの「脱出」を受けて、その無事が確認されたことを明らかにするとともに、同氏の勇気を讃えた。

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スペイン紙『エル・ムンド』は、22日に殺害されたマリー・コルヴィン記者らとともにヒムス市で取材を行っていた同紙記者のジャヴィエール・エスピノーザ氏が、無事レバノンに出国したと発表した。

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イラクのヌーリー・マーリキー首相はサウジ紙『アッカーズ』(2月29日付)で、「イラクはシリアの変革を支持する…。変革なくして安定はあり得ない…。完全な自由が与えられ、挙国一致内閣が発足し、公正な選挙がアラブおよび国際社会の監視のもとに実施されねばならず、憲法を承認するための議会が選ばれねばならない」と述べ、アサド政権主導の「上からの改革」に対して暗に疑義を呈した。

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リビア暫定国民評議会のムスタファー・アブドゥルジャリール議長が、シリア国民評議会の使節団と会談し、シリア国民への人道支援を行うことを約束した。

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クウェート国会は、政府に対して、シリア国民評議会をシリア国民の正当な代表として承認するよう提言した。

AFP, February 29, 2012、Akhbar al-Sharq, February 29, 2012、al-Hayat, March 1, 2012、Kull-na Shurakā’, February 29, 2012、Naharnet.com, February
29, 2012、Reuters, February 29, 2012、SANA, February 29, 2012、The Washington Post, February 29, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アサド大統領が27日付で新憲法を施行することを宣言する一方、国連人権理事会でシリアにおける「人道的危機」の審議が行われる、シリア代表は途中退席(2012年2月28日)

アサド政権の動き

バッシャール・アサド大統領は、26日の新憲法信任国民投票の結果を受け、政令第94号を発し、27日付で新憲法の施行を宣言した。

憲法全文(アラビア語)はhttp://www.sana.sy/servers/gallery/201202/20120228-120351.docを参照。

反体制勢力の動き

トルコで避難生活を送る自由シリア軍のリヤード・アスアド大佐は声明を出し、シリア赤新月社と負傷者の搬出、支援物資の搬入に関して協力する意思があることを明らかにした。

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ハイサム・マーリフ弁護士は『シャルク・アウサト』(2月28日付)に対して、自身を含む指導的メンバーが脱会したとの一部報道を否定した。

しかしシリア国民評議会内で「シリア国民行動グループ」を結成したことに関しては認めた。

国内の暴力

ヒムス県ヒムス市、ハマー県ハラファーヤー市などで軍・治安部隊による掃討作戦が続き、反体制消息筋によると、100人以上が死亡した。

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ヒムス県では、複数の反体制活動家筋によると、ヒムス市バーブ・アムル地区の中心街に第4(機甲)師団が入った。

また、同消息筋によると、バーブ・アムル地区から逃走しようとした若者68人が虐殺された。

一方、シリア人権監視団によると、タッルカラフ市でも軍・治安部隊による砲撃が行われ、負傷者が出た。

他方、SANA(2月28日付)によると、タッルカラフ地方の対レバノン国境地域で関係当局が大量の武器弾薬を密輸しようとした武装テロ集団の密入国を阻止した。

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ハマー県では、ハラファーヤー市(人口約35,000人)に対する軍・治安部隊の掃討作戦が続き、少なくとも市民20人が殺害されたという。

サーミル・ハマウィーを名のる活動家がAFP(2月28日付)に述べたところによると、ハラファーヤー市は連日、「無差別砲撃」を受けているという。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダーイル町で軍・治安部隊と離反兵が衝突した。

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アレッポ県では、複数の活動家よると、アレッポ大学で学生150人から1,000人が反体制デモを行い、治安部隊が強制排除、多数を逮捕した。

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ダマスカス県では、複数の活動家よると、ダマスカス大学で反体制デモが発生し、治安部隊が強制排除、30人以上を逮捕した。

ダマスカス県・ダマスカス郊外県調整連合のムハンマド・シャーミー報道官を名のる活動家がAFP(2月28日付)に述べたところによると、カフルスーサ区で、26日と27日に治安部隊が殺害した市民の葬儀に数千人が参列し、葬儀後に反体制デモを行った。

またシリア人権監視団によると、マイダーン地区でも犠牲者の葬儀に参列した数百人が抗議デモを行った、という。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アルバイン市、ザマルカー町などでも反体制デモが発生したという。

キリスト教シリア・カトリックのマール・ムーサー修道院事務局は、2月22日に約30人の武装した「シャッビーハ」が修道院を襲撃したと発表した。

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Naharnet, February 28, 2012
Naharnet, February 28, 2012

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊と離反兵の戦闘が発生し、31人が砲撃で死亡した。

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22日にヒムス市での軍・治安部隊の砲撃によって負傷した英国人カメラマンのポール・コンロイ氏が無事、レバノンに搬出された。

一方、同じく22日の砲撃で負傷したフランス人記者エディット・ブヴィエ女史もレバノンに搬出されたとの報道が一時なされたが、ニコラ・サルコジ大統領は「彼女がレバノンに無事出国したことを確認していない。ヒムスとの連絡はきわめて困難である」と否定した。

『ル・フィガロ』紙もまたブヴィエ女史が依然としてシリア国内にいると発表した。

『ハヤート』(2月29日付)によると、ブヴィエ女史の搬出が難航している理由の一つとして、シリア赤新月社がアサド政権と結託しており、信用できないとの疑念が(反体制勢力側に)あると報じている。

しかし、SANA(2月28日付)によると、シリア赤新月社は、中立的でないとの一部報道を拒否する声明を出した。

レバノンの動き

ミシェル・スライマーン大統領は訪問先のルーマニアで「我々はアラブ連盟におけるシリアの加盟資格回復のために活動するだろう」と述べた。

国連での動きimage2

国連人権理事会で、シリアでの「人道的危機」の審議が行われた。

審議には47カ国が出席し、シリア政府に対して国連および人権機関のヒムスなどへの自由な往来を求める決議案(カタール、トルコ、サウジアラビア、クウェートが作成)が提出された。

ナバネセム・ピレイ国連人権高等弁務官は、「発砲の即時人道的な停止」を求めた。

しかし、シリア代表ファイサル・ハッバーズ・ハマウィー大使は、「人道的なニーズを口実にして行われるシリアを標的とした計略で…(理事会が)一部の国の道具と化している…民間人保護や人道的保護の概念が政治的目的のためにもてあそばれている」と述べ、会場を退席し、議事をボイコットした。

一方、ロシアのゲンナージー・ガティロフ外務次官は、シリア政府や赤十字国際委員会との協力の、もと、人道支援や負傷者搬出のための2日間の停戦を実現することが重要だと述べた。

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国連のリン・パスコ政務担当事務次長は、シリア情勢に関して、7,500人以上が犠牲になったと述べた。

この数字は、ロンドンで活動する反体制組織のシリア人権監視団が発表した数字(7,600人以上)とほぼ一致する。

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フランス外務省は、国連安保理に新たな対シリア決議案を提出したと発表した。

同決議案は、暴力行為の停止と、即時かつ無制限の人道支援を求める内容。

諸外国の動き

EUは閣僚6人と大統領顧問1人の渡航禁止と資産凍結を定めた追加制裁を発効した。

対象となったのは、ワーイル・ナーディル・ハッキー保健大臣、アブドゥルガニー・サーブーニー通信技術大臣、ファイサル・アッバース運輸大臣、サーリフ・ラーシド教育大臣、スフィヤーン・アッラーウ石油鉱物資源大臣、アドナーン・サラーフー工業大臣、そしてマンスール・ファドルッラー・アッザーム大統領顧問。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は米上院公聴会で、アサド大統領が戦争犯罪を犯している疑いがあり、「このカテゴリ(戦争犯罪人)のなかで捉えられてしかるべき」と述べた。

しかしその一方、こうした非難だけで、指導者を権力の座から退かせるには限界があるとし、またアサド大統領が退任しつつあるかとの問いに対しては、それを認めたもの、「最終的にどのようになるかは分からない」と述べた。

なお27日にシリア・ムスリム同胞団がアサド政権の行為を「戦争犯罪」と断じた声明を発表している。

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チュニジアのムンスィフ・マルズーキー大統領は、シリアでの危機打開のためアサド大統領を受け容れる用意があると述べた。

AFP, February 28, 2012、Akhbar al-Sharq, February 28, 2012、al-Hayat, February 29, 2012、Kull-na Shuraka’, February 28, 2012、Naharnet.com, February
28, 2012、Reuters, February 28, 2012、SANA, February 28, 2012、al-Sharq al-Awsat, February 28, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

前日に行われた信任投票において新憲法が89.4%の得票を得て通過、シリア国民評議会の指導的メンバー20人が「シリア国民行動グループ」を新たに結成(2012年2月27日)

新憲法信任国民投票結果

シリア内務省は新憲法信任投票の結果を発表し、新憲法が89.4%の信任を得たことを明らかにした。

内務省発表によると、有権者総数は14,589,954人(人口約2,300万人)、投票者総数8,376,447票(投票率57.4%)、信任票数7,490,319票(89.4%)、不信任票数753,208票(9%)、無効票数132,920票(1.6%)だった。

なお投票所数は14,185カ所。

アサド政権の動き

バアス党シリア地域指導部のムハンマド・サイード・バヒーターン副書記長は、『バアス』(2月27日付)で、「バアス党は自らの力を憲法第8条からではなく、人民大衆および民族との結びつきを通じて伸長してきた」と述べ、憲法改正が「党の役割や闘争路線に影響を及ぼすことはない」と強調した。

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AFP(2月27日付)によると、シリアのドゥルーズ派のシャイフ・アクルであるハムード・ヒンナーウィー師は殺戮の停止と「銃のない対話と改革」を呼びかけた。

反体制勢力の動き

シリア最大の反体制組織と目され、西側が支援するシリア国民評議会の指導的メンバー20人が、シリアの友連絡グループへの評議会の出席に異議を唱えて脱会し、シリア国民行動グループの結成を宣言した。

脱会したのは、ハイサム・マーリフ弁護士(シリア国民行動グループ代表)、カマール・ルブワーニー氏、カーティリーン・タッリー女史、ファウワーズ・タッルー氏、ワリード・ブンニー弁護士ら、ダマスカスの春以来国内で反体制活動を行い、近年国外に逃れた活動家ら。

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ダマスカス民主変革宣言は、シリア国民評議会がブルハーン・ガルユーン事務局長の事務局長職再任を認めたことを、評議会の組織規定に反する行為と批判した。

『クッルナー・シュラカー』(2月27日付)によると、ダマスカス民主変革宣言はジョルジュ・サブラー氏(シリア人民民主党)を事務局長に推したが、イスラーム主義者の支持を得られなかった、という。

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親政府系の日刊紙『ワタン』(2月27日付)は、民主的変革諸勢力国民調整委員会が、新憲法国民投票に関して、「あらゆることを独占しようとする」行為と厳しく批判したと報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(2月27日付)は、シリアでの反体制運動のきっかけとなったダルアー県での子供たちの逮捕(2011年2月27日)から1年経ったのに合わせて、逮捕された子供たち(10代)を「尊厳と自由の革命の英雄」と讃え、19人の氏名を改めて発表した。

1. ムアーウィヤ・ファイサル・スィヤースィナ
2. ユースフ・アドナーン・スワイダーン
3. サーミル・アリー・スィヤースィナ
4. アフマド・ジハード・アバーズィード
5. イーサー・アサン・アブー・キヤース
6. アラー・マンスール・アルシーダート・アバーズィード
7. ムスタファー・アンワル・アバーズィード
8. ニダール・アンワル・アバーズィード
9. アクラム・アンワル・アバーズィード
10. バシール・ファールーク・アバーズィード
11. ナーイフ・ムワッファク・アバーズィード
12. アフマド・サーニーラシーダート・アバーズィード
13. アフマド・シュクリー・アクラード
14. アフマド・サーミー・ラシーダート
15. アブドゥッラフマーン・ナーイフ・ラシーダート
16. ムハンマド・アイマン・ムナウワル・カッラード
17. アフマド・ナーイフ・ラシーダート・アバーズィード
18. ナビール・イマード・ラシーダート・アバーズィード
19. ムハンマド・アミーン・ヤースィーン・ラシーダート・アバーズィード

子供たちは、「国民は体制打倒を欲する」といったチュニジア、エジプトでの反体制デモのスローガンを壁に落書きして逮捕された。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、アサド政権がヒムス市バーブ・アムル地区で軍を動員したかたちで「虐殺」を行っており、その行為は「戦争犯罪」である、と非難した。

国内の暴力

シリア人権監視団によると、ヒムス県、イドリブ県各地で軍・治安部隊の掃討作戦が続き、各地の死者数は50人以上に及んだ。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、南部のラーム・アンズ村とガジャリーヤ村間で68人の市民が殺害された。

またムハンマド・ヒムスィーを名のる活動家によると、ヒムス市各地区への軍・治安部隊による砲撃が続き、少なくとも20人が死亡した。

一方、シリア人権監視団によると、ヒムス市バーブ・アムル地区で少なくとも7人が殺害された。

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ハマー県では、赤十字国際委員会がハマー市に入り、市民約12,000人に対して支援物資を配布した。

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シリア人権ネットワークは、ヒムス市で13人、イドリブ県で3人、ダマスカス郊外県で2人、アレッポ県で1人、ダルアー県で1人が殺害されたと発表し、その氏名を公開した。

レバノンの動き

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、党の機関誌『アンバー』(2月27日付)で、「暴力が続くなかで…、国民が結果が予定された国民投票を余儀なくされたことは哀れなことだ」とシリア情勢を批判した。

またシリアの友連絡グループに関しては、「シリア国民や反体制勢力の要望に沿っていない」と非難、またハマースがシリア国民への支持を表明したことを、「歴史的スタンス」と高く評価した。

諸外国の動き

国連の潘基文事務総長は、新憲法国民投票に関して、「大規模な暴力と人権侵害が行われるなかで信用を欠く」と述べた。

潘事務総長は、「新憲法やバアス党の支配の廃止は、政治的解決の一部をなすが、国民投票は暴力や恐怖がない状態でなされねばならない」と述べた。

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EU外相会合は、シリア中央銀行の閣僚7人を新たに制裁リストに加え、アサド政権に対して制裁を強化することを決定した。

追加制裁は近く発効するという。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は、モロッコのM2とのインタビューで、アサド政権に関して「体制は倒れると思う…。しかしそれがいつかは言えない…。ただ時間の問題だ。虐殺がなくなるよう、早くそれが起きることを望んでいる」と述べた。

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カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は、オスロで記者会見を行い、「シリア国民は自分の国で望む者を選択せねばならない。我々は毎日シリア国民が殺害されるのをただ見ているだけで、食糧・医療支援をできないということがあってはらない」と述べた。

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CBS(2月27日付)は、パレスチナのハマースのムーサー・アブー・マルズーク政治局次長が、アサド政権の弾圧に抗議して、シリア国内の指導部を撤収したと述べた、と報じた。

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中国の『人民日報』(2月27日付)は、シリア情勢をめぐるヒラリー・クリントン米国務長官の最近の発言に関して、「傲慢が過ぎる。イラク戦争後、米国にはアラブ人民の名において語る権利などない」と厳しく非難した。

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『ハヤート』(2月28日付)は、ロシアのウラジーミル・プーチン首相が、地元紙に対して、「これ(シリアでの新憲法国民投票)が民主主義への動きで、正しいと考えると思う…。一党支配の廃止は歓迎されねばならない…」と述べる一方、西側諸国の姿勢を「生意気」と評した、と報じた。

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フランスのニコラ・サルコジ大統領はマリー・コルヴィン記者らの殺害に関して、「シリア軍が建物を攻撃した際、それがプレス・センターだということをよく知っていた…。これは軍事的なミスではなく、暗殺だ」と断じた。

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イラクのクルディスタン自治政府のペシュメルガ省次官のアンワル・ハーッジー・ウスマーン氏は声明を出し、シリア軍兵士30人が離反し、クルディスタン地域に逃れてきたと発表した。

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カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は、『ジャズィーラ』(2月27日付)で、アラブ・国連合同軍をシリアに派遣する必要があると強調するとともに、「国際社会において、武器供与であれ安全地帯の設置であれ、何らかの行動をとるべきだとの発言がある」と述べ、反体制勢力への武器供与に異常なまでの前向きな姿勢を示した。

AFP, February 27, 2012、Akhbar al-Sharq, February 27, 2012、al-Hayat, February 28, 2012、al-Jazira, February 27, 2012Kull-na Shuraka’, February 27, 2012、Naharnet.com, February 27, 2012、Reuters, February 27, 2012、SANA, February 27, 2012、al-Watan, February 27, 2012などをもとに作成。

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シリア各地で新憲法の信任投票が行われアサド大統領夫妻も投票、米国務長官はシリア国内の反体制派に対する武器供与の可能性を否定(2012年2月26日)

新憲法信任国民投票

シリア各地で新憲法の信任投票が行われた。

バッシャール・アサド大統領は、アスマー・アフラス婦人とともにダマスカス県内のラジオ・テレビ機構に設けられた投票所で投票した。

投票後、「シリアが曝されている攻撃はメディアの攻撃だ。しかし、メディアはいかに重要だとはいえ、現実を超えるものではない。彼ら(メディア)は宇宙では強いかもしれない。しかし我々は地上においてより強力であり、地上でも宇宙でも勝利したいと考えている」と述べた。

SANA, February 26, 2012
SANA, February 26, 2012
SANA, February 26, 2012
SANA, February 26, 2012
SANA, February 26, 2012
SANA, February 26, 2012

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SANA(2月26日付)によると、ダマスカス県サブウ・バフラート広場では、多数の市民が集まり、新憲法支持を訴えた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会が声明を出し、宗派主義廃絶を訴えた。

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AFP(2月26日付)は、シリア人反体制活動家の話として、UAE当局がドバイでの反アサド政権デモに参加したシリア人数十人の滞在許可を無効にした、と報じた。

同活動家らによると、滞在許可を剥奪されたシリア人はエジプトに移動したという。

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フェイスブックの「シリア革命2011」では「体制は正統性がなく、憲法は正統性がない」と訴え、国民投票のボイコットを訴えた。

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『ヴェラーティー』(2月26日付)によると、2月24日のチュニスでのシリアの友連絡グループ会合でのシリア国民評議会の声明においてクルド問題などに関する具体的言及がなされなかったことを受け、シリア・クルド国民評議会とシリア国民評議会内のクルド国民大会(クルド・ブロック)の統合に向けた動きが暗唱に乗り上げたと報じた。

国内の暴力

『ハヤート』(2月27日付)によると、新憲法の国民投票が全国で行われるなか、ヒムス市などで軍・治安部隊による掃討作戦が続き、各地で少なくとも28人(地元調整諸委員会発表)が殺害された。

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シリア人権監視団によると、遠隔地の複数の都市・村で新憲法の国民投票がボイコットされるとともに、反体制デモが発生し、ラタキア県北部の村の投票所などが閉鎖に追い込まれた、という。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市で民間人9人、兵士4人が死亡した。

シリア国民総合委員会の活動家であるハーディー・アブドゥッラー氏は、AFP(2月26日付)に対して、「ヒムスには死傷者、行方不明者、逮捕者がいるだけなのに、なぜ国民投票に行けるのか?」と述べた。

同氏によると、ヒムス市は前日と比べ「比較的静か」で、人通りはなく、商店は閉められていたという。

一方、SANA(2月26日付)によると、ヒムス市バーブ・アムル地区で武装テロ集団メンバー40人以上が投降した。

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アレッポ県では、シリア革命総合委員会によると、アアザーズ市に軍治安部隊が突入し、掃討作戦を行った。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カダム区、アサーリー地区などでストライキが行われ打たれ、ストを中止させようとする治安部隊が多数展開した、という。

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ダマスカス郊外県では、地元調整諸委員会によると、カタナー市、ムライハ市、カナーキル村などでストライキが行われ、ストを中止させようとする治安部隊と市民が衝突した、という。

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al-Hayat, February 27, 2012
al-Hayat, February 27, 2012

 

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市で、軍・治安部隊と離反兵の交戦で前者の兵士3人が死亡した。

またダーイル町、アルマー町、フラーク市でも戦闘があり、兵士2人と市民1人が死亡した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、アーフィス村、サラーキブ市、ハーン・シャイフーン市に対して、軍・治安部隊が激しい砲撃を加えた、という。

またマアッラト・ヌウマーン市で市民1人が殺害された、という。

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ハマー県では、地元調整諸委員会によると、ハラファーヤー市で軍・治安部隊が掃討作戦を行い、8人が死亡した。

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ダイル・ザウル県では、シリア革命総合委員会によると、軍治安部隊の多数の戦車がジャルズィー村に展開した。

諸外国の動き

ヒラリー・クリントン米国務長官は、BBC(2月26日付)に対して、シリアの反体制勢力を米国が指定する国際テロ組織と結びつけて、武器供与の可能性を否定した。

「我々はどの勢力がシリアの反体制勢力に武器を供与しているか知らない…。シリアのアル=カーイダを支援できるだろうか?…ハマースは今やシリアの反体制勢力を支援している。我々はシリアでハマースを支援できるのか?…我々は戦車をトルコ、レバノン、ヨルダン国境に持ち込むことなどできない。そのようなことは起きないだろう」と述べた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、シリアの友連絡グループ第2回会合に先立ってシリア国民評議会と会談すると述べた。

レバノンの動き

サアド・ハリーリー前首相はレバノン軍団のHPで、「人道、道徳、政治、情報などでシリア国民を支持する」と述べた。

AFP, February 26, 2012Akhbar al-Sharq, February 26, 2012、al-Hayat, February 27, 2012、Kull-na Shuraka’, February 26, 2012、Naharnet.com, February
26, 2012、Reuters, February 26, 2012、SANA, February 26, 2012、Welati, February
26, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

シリアの友連絡グループ会合におけるシリア国民評議会の声明内容をめぐり、同評議会とシリア・クルド国民評議会の間で不信感が高まる(2012年2月25日)

アサド政権の動き

ハサン・ジャラーリー内務次官は、「ハサカ県の外国人」(クルド人)に関して、前年の法律改正に沿って、105,320人が国籍取得申請を行い、68,520人が国籍を取得したと発表した。

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SANA(2月25日付)は、シリア政府高官筋の話として、シリアがチュニジアでのシリアの友連絡グループの声明の一切を拒否すると報じた。

反体制勢力の動き

カタールの『ラアユ』(2月25日付)は、国内で反体制活動を行う「ともに」運動のムンズィル・ハッダーム渉外担当の話として、民主的変革諸勢力国民調整委員会が、シリア政府高官と国内の反体制武装集団の和解の仲介を行ったが、交渉は失敗に終わったと報じた。

同報道によると、シリア政府高官側のファールーク・シャルア副大統領が反体制武装集団の武装解除を和解の条件としたことが、交渉失敗の原因だという。

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シリア民主世俗主義諸勢力連立は声明を出し、2月26日の新憲法信任投票のボイコットを呼びかけた。

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在外(オランダ)のアッシリア人権ネットワーク、26日の新憲法国民投票へのボイコットを呼びかけた。

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ムハンマド・アブー・フダー・ヤアクービー師らイスラーム教宗教関係者222人が声明を出し、2月26日の新憲法信任投票のボイコットを呼びかけた。

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シリア・アッシリア民主機構は声明を出し、2月26日の新憲法信任投票のボイコットを呼びかけた。

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『クッルナー・シュラカー』(2月25日付)は、シリア・クルド民主統一党(イェキーティー)の幹部の話として、1月12日にイラク・クルディスタン自治区でのシリア・クルド国民評議会のアブドゥルハキーム・バッシャール代表とシリア国民評議会のガルユーン事務局長との会合でクルド問題への対応に関して合意されていたにもかかわらず、24日のシリアの友連絡グループで後者が読み上げた声明は、この合意を充分反映しておらず、そのことが両評議会の不信を高めていると報じた。

ガルユーン事務局長が読み上げた声明では、新体制が「分権的となり、地方当局が政務を遂行できるようになる」とのみ述べられた。

同報道によると、この合意では、①憲法におけるクルド人の存在とアイデンティティの承認、②クルド問題を国民全般に関わる問題の基本部分とみなす、③クルド人へのすべての差別的政策の撤廃、④分権制を通じたクルド人の民族的権利の承認などが合意されていたという。

国内の暴力

軍・治安部隊によるヒムス市などへの掃討作戦が続き、シリア人権監視団によると各地で遭わせて57人(うちヒムス市で9人)が死亡した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊兵士5人が殺害された。

またアレッポ市サイフ・ダウラ地区では約4,000人が反体制デモを行い、治安部隊が実弾を発砲し、強制排除した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市で9人、タルビーサ市で3人が殺害された。

地元調整諸委員会によると、ヒムス市各地区への軍・治安部隊による砲撃は続いている、という。

SANA(2月25日付)は、ヒムス市バーブ・アムル地区にシリア赤新月社の救急医療隊が入り、「武装テロ集団」の攻撃で負傷した市民に治療を行ったと報じた。

これに対して、バーブ・アムル地区の反体制活動家のナーディル・フサイニー氏なる人物は、シリア赤新月社が「政府のコントロール下にある」と不満を露わにした。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、マアッルザーフ町、マジュダル村、トゥライムサ村で7人が殺害された。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マガーラ村に対して軍・治安部隊が砲撃を加えたほか、サラーキブ市でも激しい銃声が聞こえたという。

一方、SANA(2月25日付)によると、治安維持部隊がサラーキブ地方一帯で治安維持活動を行い、武装テロ集団メンバー多数を逮捕した。

逮捕者のなかには、地元の活動家のウマル・フサイン氏、マーヒル・ズライク氏が含まれているという。

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ハサカ県では、シリア・クルド青年調整連合が声明を出し、ハサカ市での反体制デモに対して、治安部隊が発砲し、3人が死亡したことを明らかにした。

またデモ参加者は、負傷者をハサカ県のムフティー邸に搬送したが、治安部隊はムフティー邸から負傷者を連れ去った、という。

レバノンの動き

NNA(2月25日付)によると、レバノン赤十字社は、ヒムス県からシリア人負傷者40人を受け入れ、北部県トリポリ市のトリポリ国立病院に搬送したと発表した。

同報道によると、負傷者はヒムス市バーブ・アムル地区の人々で、違法に越境した、という。

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進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は『ル・モンド』(2月25日付)に対して、アサド大統領を「改革主義者だったら、2000年のダマスカスの春での微々たる変化に耐えられないだろう…。彼は多くの人々を投獄した」と非難、現体制がいかなる変革も実現できないだろうと断じた。

また「私は宗派主義者にはなりたくないが、シリアの政府はマイノリティの同盟を促そうとしている…。シリアのドゥルーズ派は、体制を支持しようとしまいと、シリア国民だ…。過去、ドゥルーズ派はフランスの委任統治に対して戦いを挑んだ。今日、彼らはあらゆる場所でシリア国民を殺す専制体制と戦う時が来た」と述べた。

諸外国の動き

ロシアのウラジーミル・プーチン首相は声明で、「シリア情勢をめぐる安保理でのロシアの姿勢は、我々は誰にも従属するつもりはないということを示している」と述べ、西側への追随を拒否する姿勢を示した。

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中国の新華社通信(2月25日付)は、西側諸国のシリアへの姿勢に関して、「覇権追求への隠された意思」が見て取れると批判した。

AFP, February 25, 2012、Akhbar al-Sharq, February 25, 2012、al-Hayat, February 26, 2012、Kull-na Shuraka’, February 25, 2012, February 26, 2012、Naharnet.com, February 25, 2012、NNA, February 25, 2012、al-Ra’y (Doha), February 25, 2012、Reuters, February 25, 2012、SANA, February 25, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

シリアの友連絡グループ会合が開催されるも民主的変革諸勢力国民調整委員会は参加せず、シリア国民評議会は「国民の正当な代表」と承認されず(2012年2月24日)

シリアの友連絡グループ会合

チュニジアでシリアの友連絡グループ会合が開催され、西側諸国、レバノンを除くアラブ連盟加盟諸国など70カ国が参加したが、シリア国内の暴力停止と体制転換の実現に向けた有効策を事実上打ち出せないまま終わった。

SANA, February 24, 2012
SANA, February 24, 2012

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会合の終了時に発表された閉幕声明の骨子は以下の通り。

1. あらゆる暴力の即時停止、ヒムス、ダルアー、ザバダーニーなどへの人道支援の受け入れをシリア政府に求める。
2. シリア政府が市街地への攻撃を停止し、受け入れを受諾した場合、国際社会は48時間以内に人道支援を行う。
3. 大統領権限への副大統領への権限移譲などを骨子とするアラブ連盟行程表への全面支持。
4. シリア国民評議会による反体制勢力の広範な調整の枠組み構築の努力を賞賛(しかしシリア国民評議会をシリア「国民の正当な代表」とは承認せず)。
5. 政治構造の抜本的改革のため、シリア国民の要求に応じたシリアの危機の政治的解決(軍事的解決ではない)。
6. 平和的な政治的変革(体制転換)実現のため、内外の反体制勢力が意見調整のしくみを合意するための会合開催をアラブ連盟に要請。
7. シリア政府による暴力の即時停止(反体制武装集団には暴力停止を求めず)。
8. シリア政府およびその支援者に対する制裁のための適切な措置を講じる。

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ロシアと中国は、レバノンとともに会合をボイコットした。

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チュニジアのムンスィフ・マルズーキー大統領は、開会の辞で、アラブ連盟行程表への支持を表明した。またアラブ平和維持軍の発足を呼びかけた。

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非公式会合では、サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣が会合に実効力がないと非難し、途中退席した。

サウード・ファイサル外務大臣は「シリア政府は正統性を失った。その支配はほぼ占領支配である」と非難、「シリアへの人道支援を集中させるだけ不充分だ…。食糧、医薬品、衣服をシリア人に提供し、無慈悲な軍事装置のもとに彼らを放置することが人道的か?…我が国は求められている目的を実現するための国際的努力の前衛となるだろう。しかし、シリア国民の保護を早急且つ実質的にもたらさないいかなる行動にも与しない」と述べ、「是が非でも」体制転換を行う必要があると怒りを露わにし、退席した。

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エジプトのムハンマド・カーミル・アムル外務大臣は、シリア国民評議会をシリア国民の正当な代表として承認することの是非に関して、「エジプトはすべての反体制勢力を差別なく承認する。反体制勢力の糾合によって国際社会の前に力が示される」と述べた。

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カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は、アラブ・国連平和維持軍の発足・派遣、人道回廊の設置とシリアへの支援、そして行程表を含むアラブ連盟外相会議の諸決議の実施を呼びかけた。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、アサド政権による弾圧、暴力を即時・包括的に停止させるための安保理決議の早急な採択を呼びかけた。

またアラブ・国際的人権支援団体による人道支援の必要を強調した。

しかし、アラブ連盟が軍事介入を拒否しているとの姿勢を改めて示した。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、アサド政権から弾圧を行う手段を奪う必要があると述べるとともに、3月のイスタンブールでのシリアの友連絡グループ第2回会合の開催を提案した。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、シリア国民評議会に関して国際社会にとって「合法的な基軸」とみなしつつも、「国民の正当な代表」として承認はしなかった。

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シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長は「ポスト・アサド段階のヴィジョン」に関する声明を読み上げるとともに、自由シリア軍の武装支援を求めた。

同声明で、ガルユーン書記長は、アサド政権打倒とアラブ連盟の行程表に沿ったかたちでの政権交代を実現するまで、「民衆のインティファーダ」を継続するとの意思を示したうえで、アサド政権打倒後は、愛国的指導者から構成される暫定「大統領評議会」と、軍人、政治家、専門家からなる暫定内閣を設置するとのビジョンを披露した。

暫定統治は政権議会選挙が実施されるまで行われる、という。

また体制転換や政治的・宗派的復讐を回避するための評議会の設置を提案した。

一方、クルド民族主義勢力に配慮するかたちで、クルド人のアイデンティティを承認するとともに、分権型の政府の発足を約束した。

さらに、シリアの友連絡グループに対して、自由シリア軍の武装を支援するよう呼びかけた(シリア国民評議会声明(アラビア語および英語訳)全文はhttp://www.levantnews.com/index.php?option=com_content&view=article&id=11170:2012-02-24-20-18-09&catid=66:syria-politics&Itemid=118を参照)。

しかし、シリアの友連絡グループ会合で評議会が「国民の正当な代表」として承認されなかったことを受け、ガルユーン事務局長は「シリア国民の要求を満たすものではなかった」と落胆の意を示した。

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会合に先立ち、ヒラリー・クリントン米国務長官とサウード・ファイサル外務大臣は二者会談を行った。

『ハヤート』(2月25日付)によると、サウード・ファイサル外務大臣は、反体制勢力への武器支援に関して、「すばらしいアイデアだ。なぜなら反体制勢力は自衛しなければならないからだ」と述べた。

一方、クリントン国務長官は、国際社会の声を無視すれば、シリア政府は「高い代償」を支払うだろう、としたうえで、「シリアの反体制勢力は…外交努力が失敗すれば、最終的には武装し、戦争を行うだろう」と述べた。また人道支援のために10,000,000ドルの供出を宣言した。

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SANA, February 24, 2012
SANA, February 24, 2012
SANA, February 24, 2012
SANA, February 24, 2012

チュニジア警察は、シリアの友連絡グループ会合が開催されたパレス・ホテル前のアサド政権を支持するシリア人やチュニジア人のデモを強制排除した。

『ハヤート』(2月25日付)によると、デモ参加者は、「チュニジアがアラブ民族の牙城に対する陰謀の場となること」に抗議し、ホテルに進入したという。

SANA(2月24日付)によると、ホテル周辺には、1,000人以上が参加し、うち数百人が会場に侵入を試みた。

国内の暴力・反体制デモ

シリア人権監視団などによると、軍・治安部隊による反体制勢力の掃討作戦が続き、各地で90人が殺害された。

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SNN, February 24, 2012
SNN, February 24, 2012
SNN, February 24, 2012
SNN, February 24, 2012
SNN, February 24, 2012
SNN, February 24, 2012

ヒムス県では、シリア革命総合委員会のハーディー・アブドゥッラー氏によると、ヒムス市バーブ・アムル地区などへの軍・治安部隊の砲撃が続いた。

同氏は、軍・治安部隊が戦車、装甲車の砲撃に加えて「地対空スカッドミサイル」を用いていると主張するが、真偽は定かでない。

シリア人権監視団によると、バーブ・アムル地区ではこの砲撃で少なくとも4人が死亡した。

赤十字国際委員会とシリア赤新月社の救急隊が砲撃で負傷した西側ジャーナリストの搬出のため、ヒムス市バーブ・アムル地区に入ったと発表した。

またアブドゥッラー氏によると、離反兵が占拠しているとされるラスタン市に対して軍・治安部隊が激しい砲撃を加えたが、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊兵士7人が離反兵に殺害された。

シリア人権監視団によると、このほかにもクサイル市で治安部隊が市民1人を殺害した。

一方、SANA(2月24日付)によると、ヒムス市で武装テロ集団の攻撃で治安維持部隊兵士1人が殺害された。また同市内で、兵士2人の遺体が発見された。

またSANA(2月24日付)は、外務省高官の話として、バーブ・アムル地区の武装テロ集団は外国人記者の負傷者や遺体の引き渡しを拒否していると報じた。

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ハマー県では、複数の活動家によると、ハラファーヤー市で治安部隊が住民18人(うち7人が一つの家族で、子供が5人)を殺害した。

一方、SANA(2月24日付)によると、シリア保健省はハマー市郊外の病院で停電により子供7人が死亡した、とのジャズィーラなどの報道を事実無根と否定した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市内数カ所で散発的なデモが発生し、治安部隊が実弾などで強制排除を試みた。

これによりフィルドゥース地区で3人、スッカリー地区で3人を殺害された。

「友愛調整」を名のる組織の活動家らによると、アレッポ市内でのアラブ人、クルド人、キリスト教徒がマルジャ地区でデモを行った、という。

またシリア人権監視団によると、対トルコ国境のジャラーブルス市、タッル・リフアト市、アルシャーフ村、ハイヤーン町、イビーン・スィムアーン村でも反体制デモが行われた。

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Kull-na Shuraka', February 24, 2012
Kull-na Shuraka’, February 24, 2012

ダルアー県では、複数の活動家によると、アドワーン村で反体制デモが発生したほか、ハーッラ市、インヒル市に対して軍・治安部隊が掃討作戦を続け、1人が殺害された。

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イドリブ県では、複数の活動家によると、マアッラト・ヌウマーン市で大規模なデモが発生した。

一方、SANA(2月24日付)によると、ジスル・シュグール地方南部で治安維持部隊と武装テロ集団が交戦し、前者の兵士1人と後者のメンバー4人が死亡した。またイドリブ師でも治安維持部隊兵士1人が殺害されたほか、ファイルーン村では、武装テロ集団が自らのしかけた爆弾の爆発で多数死亡した。

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ダイル・ザウル県では、複数の活動家によると、ダイル・ザウル市内各所や郊外の村々で反体制デモが発生し、1人が殺害された。

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ラタキア県、タルトゥース県バーニヤース市などでは、シリア人権監視団によると、治安部隊が厳戒態勢にあたっていたため、反体制デモが実施できなかった、という。

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ダマスカス県では、『クッルナー・シュラカー』(2月24日付)によると、マッザ区のカビール・モスク周辺には早朝から多数の軍・治安部隊兵士、シャッビーハが展開し、デモ阻止にあたった。

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ハサカ県では、『クッルナー・シュラカー』(2月24日付)によると、ハサカ県対トルコ国境のアルーク村でPKK系のクルド民族主義政党でアサド政権に協力的とされる民主統一党の支持者5人が当局に逮捕された。

同報道によると、党はこの5人がノウルーズ(3月21日)の祝祭の準備をしていたと主張しているが、同党に近い複数の消息筋によると、トルコからの武器密輸を行っていた、という。

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シリア人権監視団によると、各地で反体制デモが発生し、全国で遭わせて数万人から数十万人が参加したというが、参加人数の真偽は定かでない。

なおフェイスブックなどでは反体制活動家が「バーバー・アムルよ、君のために我々は蜂起する」金曜日と銘打って、反体制デモを呼びかけていた。

アサド政権の動き

シリア・アラブ・テレビ(2月24日付)は、シリアの友連絡グループを「米国とイスラエルの友人」、「シリアの敵」と非難した。

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SANA(2月24日付)は、ムハンマド・サイード・ラマダーン・ブーティー師らシリアの著名な宗教関係者が2月26日の新憲法国民投票に参加するよう呼びかけた、と報じた。

またブーティー師は、シリアの友連絡グループに関して、「イスラエル友好国」と形容して非難した。

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『クッルナー・シュラカー』(2月24日付)は、バアス党シリア地域指導部のムハンマド・サイード・バヒーターニー副書記長が署名した新憲法国民投票に関する指示書を公開した。

同指示書は党員に対して、国民に信任票を投票させるよう指示がなされている。

反体制勢力の動き

国内で最有力の反体制組織である民主的変革諸勢力国民調整委員会は、シリアの友連絡グループ会合開催に先立って声明を出し、会合が「シリア国民を「シリア国民を代表する(一部の)者」に置き換えることを決定し、アラブ連盟が承認した反体制勢力の大会にとって代えようする会合」であると非難、参加をボイコットすると発表した。

声明によると、同委員会はチュニスに使節団を送っていたが、参加を見合わせた、という。

また同委員会は、反体制武装集団への武器供与の是非を未決のままとし、外国の武力干渉の余地を与え続けている会合のスタンスを批判した。

そのうえで、主催国のチュニジア(大統領)に対して、すべての反対勢力に優劣なく対処し、その一部を国際社会が承認しないよう警鐘を鳴らすとともに、外国の軍事介入を「社会の平和と平和的革命の成功にとってのレッド・ライン」と強調した。

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ロイター通信(2月24日付)は、チュニジア訪問中のシリア反体制勢力筋(匿名)の話として、在外の反体制勢力が軽火器、通信機器、暗視ゴーグルなどをシリア国内に密輸入しており、それを西側諸国などが黙認していると報じた。

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現体制下での政治改革をめざす人民意思党は、声明を出し、新憲法国民投票への参加を呼びかけた。

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旧シリア・クルド人民連合党(2005年にシリア・クルド・アーザーディー党に発展解消)のサラーフ・バドルッディーン元党首(在欧、無所属)はフランス24(2月24日付)に出演し、シリア・クルド国民評議会がアサド政権を支持していたと述べた。

バドルッディーン元党首は「体制を指示していたクルド人たちの一部は反体制勢力に転身した。我々はそれを歓迎している…。(転身したのは)シリア・クルド国民評議会を発足した10党だ。これらの党は体制と関係を持っており、その関係は公然たるものだった…。評議会発足時も体制打倒を唱えていなかったし、今も唱えていない。彼らには今もなお体制との対話をしようとする傾向が見られる」と批判した。

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エジプトのMENA(2月24日付)は、アサド大統領の前宗教顧問のイフサーン・バアダル師が、シリア救済のためには外国の介入が必要だと述べた、と報じた。

レバノンの動き

Naharnet, February 24, 2012
Naharnet, February 24, 2012

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長は「殉教指導者の日」を記念してテレビ演説を行い、「イラク、シリア、リビアでの争乱を作り出そうとする者は、レバノンにも不安定を拡大させたいと考えている」と述べ、一部の国がシリアの危機の政治的解決を望んでいないと非難した。

諸外国の動き

『ハヤート』(2月25日付)は、ロシア議員がアサド大統領と会談し、大統領が「辞任など準備をしておらず、自身がシリアで広範な支持を得ていると考えている」と述べたと報じた。

またロシア外務省は、ヒムス市などでの暴力への「大きな懸念」を表明し、アサド政権と武装集団の双方に発砲を「即時停止」し、人道支援受け入れのために協力するよう呼びかけた。

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イラクのホシェリ・ゼバリ外務大臣はイラーキーヤ・テレビ(2月24日付)でのインタビューで、3月にバグダードで予定されているアラブ連盟首脳会議に関して、アサド大統領を招待していないと述べるとともに、シリアの反体制勢力を招待することはないと述べた。

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パレスチナ自治政府のイブラーヒーム・ハニーヤ暫定首相(ハマース)は訪問中のエジプト・カイロにあるアズハル・モスクで金曜礼拝後に演説し、「あなたがたと「アラブの春」の、そして「イスラームの冬」の諸国民を讃えるのなら、私は、自由、民主主義、改革を求める英雄であるシリア国民を讃えたい」と述べ、シリア国民の救済の支援を呼びかけた。

礼拝に参加した数千人は、「イランでもなく、ヒズブッラーでもなく、イスラーム的シリア」、「去れ、去れ、バッシャール」などと連呼したという。

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コフィ・アナン前国連事務総長のシリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使任命に関して、ロシア外務省と中国外交部はともに歓迎の意を示した。

一方、アナン特使はすべての「当事者の完全なる協力」を通じて、国連、アラブ連盟による暴力停止と平和的危機解決に務めたいとの内容の声明を出した。

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ジョン・マケイン議員ら米上院議員ら3人は声明を出し、「関係各国」に対して、自衛のための武器供与を通じてシリアの反体制勢力を支援するよう呼びかけた。

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エリク・シュヴァリエ在ダマスカス・フランス大使が24日、ダマスカスに帰任したと、フランス外交筋が明らかにした。

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バラク・オバマ米大統領はホワイトハウスでの記者会見で、シリア情勢に関して、「シリアでの無実の人々に対する殺戮を抑えるため、圧力をかけ続け、利用可能なあらゆる手段を検討する」と述べた。

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ヨルダンのラーカーン・マジャーリー情報通信大臣は、2011年3月以降、シリアから約73,000人の非難民がヨルダン領内に避難している、と発表した。

AFP, February 24, 2012、Akhbar al-Sharq, February 24, 2012、al-Hayat, February 25, 2012, February 26, 2012, March 4, 2012、Kull-na Shuraka’,
February 24, 2012、MENA, February 24, 2012、Naharnet.com, February 24, 2012、Reuters,
February 24, 2012、SANA, February 24, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ヒムス市を含む各地で軍・治安部隊による掃討作戦が続くなか、米国務長官が「シリアの友連絡グループ会合にシリア国民評議会が参加すること」が参加各国のコンセンサスだと述べる(2012年2月23日)

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国内の暴力

2月22日にヒムス市の反体制勢力の「プレス・センター」に対する軍・治安部隊の攻撃で負傷した記者の一人、エディット・ブヴィエ女史(フランス人)はインターネットを通じてビデオを配信し、自身が「大腿骨を骨折しており…、早急に手術を受ける必要がある」と述べ、即時の停戦と自身のレバノンへの搬出を求めた。

http://www.youtube.com/watch?v=eS9PkoNJSlU&feature=related

ブヴィエール女史は『ル・フィガロ』紙の現地ルポ執筆のため、違法にシリアに密入国していた、という。

22日の攻撃で負傷した記者はブヴィエール女史のほか、英国人カメラマンのポール・コンロイ氏、ウィリアム・ダニエル氏の2名がいる。

フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、シリア軍に発砲停止と人道支援の受け入れ許可を早急に行うよう「命令した」と述べた。

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ヒムス県では、ヒムス市各地区で軍・治安部隊による掃討作戦が続いた。

アブドゥッラー・ハーディーを名のる活動家によると「爆発がヒムス全土を震撼させている」という。

またウマル・シャーキルを名のる活動家によると「住民は爆撃ではなく、飢えと渇きで死ぬかもしれない」と現地の惨状を伝えるとともに、「活動家たちとの連絡が途絶えており、彼らとはスカイプでも衛星電話でも連絡がとれない」と述べた。

国際人権団体Avaazによると、医療活動などを行っていたシリア人ボランティア活動家ら7人が「粛清に遭い」、2人(うち1人は外国人)が依然として行方不明だという。

一方、SANA(2月23日付)によると、武装テロ集団がヒムス市アルメニア地区でムハンマド・リヤード・ダルウィーシュさん一家(6人)を惨殺した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、スカイラビーヤ市・ムハルダ市間で軍・治安部隊と離反兵が交戦し、前者の兵士8人が殺害された。

またカフル・トゥーン町では、14人(うち13人が一家族)の民間人が治安部隊に殺害された、という。

一方、SANA(2月23日付)によると、ムハルダ市で武装テロ集団の発砲により治安維持部隊兵士2人が殺害された。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市、ジスル・シュグール市で市民2人が殺害されたほか、反体制武装集団がしかけた爆弾の爆発で、治安部隊兵士3人が殺害された。

一方、SANA(2月23日付)によると、ジスル・シュグール地方の対トルコ国境沿いで、トルコ領内から武器を密輸しようとした武装テロ集団と交戦し、多数を死傷させ、その侵入を阻止した。

またイドリブ市では、武装テロ集団がしかけた爆弾が爆発し、治安部隊兵士3人が殺害され、マアッラト・ニウマーン市では武装テロ集団と治安維持部隊が交戦し、前者のメンバー2人が殺害された、という。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市で軍・治安部隊が民間人7人を殺害した。

また軍・治安部隊と離反兵が交戦し、前者の兵士5人が殺害された、という。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ大学理学部前で学生約2,000人が反体制デモを行ったが、治安部隊が催涙ガス、実弾を用いて強制排除、12人の学生を逮捕した。

またマンナグ村で8歳の子供が殺害された、という。

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ダマスカス郊外県では、SANA(2月23日付)によると、ハラスター市で武装テロ集団と治安維持部隊が交戦し、前者のメンバー多数が死傷した。

また治安維持部隊がカーラ市、サクバー市、ハムーリーヤ市などで、武装テロ集団の拠点を発見し、大量の武器弾薬などを押収した、という。

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ダマスカス県では、『クッルナー・シュラカー』(2月23日付)によると、マッザ・バサーティーン地区に多数の治安部隊が展開し、若者100人以上を逮捕した。

また『クッルナー・シュラカー』(2月24日付)によると、マッザ86地区で、治安部隊がシャッビーハ1人を殺害した。

殺害されたシャッビーハは軍・治安部隊が設置した検問所で車を停車させなかったため、射殺されたという。

一方、『クッルナー・シュラカー』(2月24日付)によると、空軍情報部がハール市場で市民数十人を逮捕した。

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シリア人権監視団によると、各地での死者は、約70人に及んだという。

アサド政権の動き

「アフバール・シャルク」(2月23日付)は、西側外交筋の話として、西側諸国の経済制裁でシリアの外貨準備高が「あと3ヵ月から5ヵ月」で底をつくだろう、と報じた。

反体制勢力の動き

国内で反体制活動を行う、国民的諸勢力祖国連立は声明を出し、新憲法の国民投票を「国民殺戮のための時間稼ぎ」と非難し、投票をボイコットすると発表した。

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シリア国民評議会運営委員会のハイサム・マーリフ弁護士は、『ハヤート』(2月24日付)に対して、同評議会を「シリア革命の政治的傘下組織として承認する」ようシリアの友連絡グループに対して求める、との意思を明示した。

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「アフバール・シャルク」(2月23日付)は、シリア当局が反体制運動弾圧を非難する説教を行ったシャイフ、アブドゥッラフマーン・クーキー師を軟禁したと報じた。

レバノンの動き

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、『ナハール』(2月23日付)に対して、「アサド政権がヒムス市を破壊するのを西側諸国は待っているかのようだ」と述べた。

ジュンブラート党首は、国連安保理でのロシア、中国の対シリア決議への拒否権発動に関して「西側が無力であることのアリバイのようなものだ…。我々は少なくとも停戦を実現し、ヒムスとシリア国民を救うことができるのを知っている」と述べた。

諸外国の動き

複数の外交筋によると、シリアへの内政干渉と不安定化を目的とするシリアの友連絡グループ会合は西側諸国、アラブ諸国など約70カ国が参加し、閉幕声明(案)では、アサド政権の「人道に対する罪」非難、「シリア危機の非軍事的な平和的解決」、アラブ連盟外相会議の行程表への支持、連盟監視団の再派遣、「シリア国民の正当な代表としてのシリア国民評議会の承認、「平和的反体制勢力の支持」、反体制勢力への「移行期間における統一的文書および調整のしくみの構築」の呼びかけ、などを宣言する、という。

なお、ロシアと中国は会合をボイコットする。

AFP(2月23日付)は、西側外交筋が、フランスが提案している人道回廊構想に関して、「政権の実質的協力がない場合、軍事力に訴えなければ実行は困難だ」と考えていると報じた。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は訪問先のロンドンで、シリアの友連絡グループ会合に関して、シリア国民評議会の参加が参加各国のコンセンサスだと述べるとともに、アサド政権による弾圧を「卑劣で許せない」と批判した。

ジェイ・カーニー米ホワイトハウス報道官は、シリアの友連絡グループ会合に関して、アサド政権を孤立させ、平和的な体制転換を実現することが目的だと述べた。

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ロシア外務省は声明を出し、ロシアと中国がシリアへの外国の介入を拒否し、アサド政権と反体制勢力の対話を支援するとの姿勢を改めて表明した。

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国連人権理事会の国際独立調査委員会は、シリア首脳の承知のもとに人道に対する罪が行われていることを指摘した報告書を理事会に提出し、同犯罪に関与した容疑者(首脳ら)の氏名を示した「極秘リスト」の作成と人権高等弁務官への提出を準備している、と発表した。

同報告書は2011年11月以降に委員会が関係者ら136人に対して行った面談などをもとに作成されたもので、「信頼に値できる消息筋」から得た情報をもとに、2011年3月以降の死者数を8,079人に達したとしている。

その一方同委員会は、自由シリア軍も、アサド政権と比べると程度は低いもの、人道に対する犯罪を犯していることへの懸念を表明した。

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トルコの野党共和人民党のケマル・クルチュダロール党首は、『ヒュッリイェト・デイリー・ニュース』(2月23日付)に対して、「トルコは、イスタンブールでシリアの反体制勢力、アサド政権の代表、ロシア、イランの会合を主催することで大きな進展を実現できたはずだ」と述べ、西側諸国に追随してアサド政権との関係を絶ったレジェップ・タイイップ・エルドアン首相の政策を批判した。

クルチュダロール党首はまた、「シリアへの干渉がシリアだけでなく、トルコをも震撼させ、中東の危機的混乱を招く」と警鐘をならした。

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ファルス通信(2月23日付)によると、イランの最高指導者アリー・ハーメネイー師は、シリア情勢への西側諸国などの介入に関して、「イスラームの覚醒とシオニストに対抗する体制への復讐だ」と述べた。

アリー・アクバル・ヴェラーヤティー元外務大臣が明らかにした。

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『ナハール』(2月23日付)は、英仏がヒムス市で22日に負傷した記者・カメラマンのレバノンを出国させるため、レバノンの赤十字を通じて水面下の調整を行っている、と報じた。

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国連の潘基文事務総長とアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長はコフィ・アナン前事務総長をシリア危機担当合同特使に任命した。

AFP, February 23, 2012、Akhbar al-Sharq, February 23, 2012、Facebook, February 23, 2012、al-Hayat, February 24, 2012、Kull-na Shuraka’, February 23, 2012, February 24、2012、al-Nahar, February 23, 2012、Naharnet.com, February 23, 2012、SANA, February 23,
2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ヒムス市で軍・治安部隊が掃討作戦の一環として行った迫撃砲攻撃により米国人記者とフランス人カメラマンが死亡、フランスがただちにこれを非難し在ダマスカス大使を召還(2012年2月22日)

西側記者ら死亡

ヒムス県ヒムス市で反体制勢力側が「報道センター」として提供していた家屋に軍・治安部隊の迫撃砲が着弾し、米国人記者マリー・コルヴィン女史(『サンデー・タイムズ』)、フランス人カメラマンのレミー・オシュリク氏が死亡した。

The Sunday Times, February 22, 2012
The Sunday Times, February 22, 2012

またコルヴィン女史と同行していた英国人カメラマン、『フィガロ』紙の記者も負傷した。

バーブ・アムル地区で反体制活動を行うウマル・シャーキルを名のる人物によると、「2人の記者は、バーブ・アムル地区の我々のプレス・センターへの砲撃で死亡し、このほかにも外国人記者3~4人が負傷した」。

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フランスのニコラ・サルコジ大統領は、コルヴィン記者らの殺害を受け、「この体制は去らねばならない…。もうたくさんだ。シリア人が生存権を享受できず、自らの運命を自由に決められないこと正当化するいかなる理由もない」と非難した。

またアラン・ジュペ外務大臣は、コルヴィン記者らの殺害を受けて、在ダマスカス大使を召還すると発表した。

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ビクトリア・ヌーランド米国務省報道官は、コルヴィン記者らの殺害を受け、「シリア政府の蛮行の新たな証拠」と非難した。

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SANA(2月22日付)によると、コルヴィン記者らの死亡を受け、アドナーン・マフムード情報大臣は声明を出し、死傷した外国人記者がシリアに入国した記録がないと述べ、彼らが不法に入国し取材をしていたことを示唆した。

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シリア革命総合委員会のハーディー・アブドゥッラー氏によると、ヒムス市での弾圧の映像を配信してきた地元の活動家ラーミー・サイイド氏が、軍・治安部隊の砲撃で死亡した。

サイイド氏はバーブ・アムル地区の野戦病院に死傷者を車で搬送する途中、砲撃に遭った、という。

国内の暴力

シリア革命総合委員会によると、ヒムス県ヒムス市、イドリブ県などで、軍・治安部隊による掃討作戦が続き、ヒムス市バーブ・アムル地区では60人以上、イドリブ県で20人以上が殺害されるなど、各地で合わせて約100人が殺害された。

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Youtube, February 21, 2012
Youtube, February 21, 2012

シリア人権ネットワークによると、イドリブ県各地(イーディーター、イブリーン、バルシューン)で殺害された約20人はいずれも若者で、そのほとんどが頭と胸を撃たれていた、という。

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ダマスカス県・ダマスカス郊外県では、同地の地元調整委員会報道官のムハンマド・シャーミー氏によると、ジャウバル区、カフルスーサ区、バルザ区、マイダーン地区、ルクンッディーン区、ヤブルード市、カタナー市、タッル市などで学生が中心となって反体制デモを行い、治安部隊が強制排除、多数を逮捕した。

またバラダー渓谷、ザバダーニー市周辺ではライフラインが遮断された、という。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ大学電気工学部で反体制デモが発生、その後学生寮で治安部隊による逮捕が行われた。

シリア国民評議会のムハンマド・ヤースィーン・ナッジャール氏によると、アレッポ市では数千人の学生が構内で反体制デモを行い、ハーフィズ・アサド前大統領の銅像を破壊したという。

一方、SANA(2月22日付)によると、アレッポ市で武装テロ集団がしかけた爆弾が爆発し、警官1人、民間人1人が死亡した。

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ヒムス県では、複数の反体制活動家、目撃者によると、軍・治安部隊による掃討作戦が続いた。

一方、SANA(2月22日付)によると、ヒムス市で武装テロ集団がしかけた爆弾が爆発し、治安維持部隊兵士1人が死亡した。

またジスル・ザーラ村で武装テロ集団が軍士官の乗った車をRPGで砲撃し、大尉1人、注意1人が死亡した。

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ハマー県では、SANA(2月22日付)によると、ハマー市郊外で武装テロ集団の襲撃により電話局長が殺害された。

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ロイター通信(2月22日付)は、レバノンの高官の話として、アサド政権がヒムス市の掃討を憲法改正の国民投票が行われる2月26日までに完了し、イドリブ県の掃討を重点化しようとしている、と報じた。

アサド政権の動き

SANA(2月22日付)は、シリア政府が、赤十字国際委員会、国連、同人権理事会に対して書簡を送り、「多くの外国勢力が衛生セクターを外交政策の道具として利用し…シリアへの戦争をしかけている…。一部のアラブ、欧米諸国による不正に満ちた制裁が…医療物資・危機の不足をもたらしている」との抗議の意思を示す書簡を送付したと報じた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のバスマ・カドマーニー報道官は、シリアの友連絡グループ会合(24日予定)で、民間人保護のため国境地帯に「安全地帯」を設置することを各国に提案すると述べた。

またカドマーニー報道官は以下のように述べ、外国の介入が必要との立場を示した。

「我々はすべての選択肢を探り、アラブ連盟がこれらすべての選択肢を駆使することを期待した。しかしそれらはいずれも成果を生まなかった…。おそらく選択肢は一つである。我々は、軍事介入か内戦かという二つの最悪の選択肢のいずれかを選ばなくてはならない」。

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地元情勢諸委員会は声明を出し、2月26日に予定されている憲法改正の国民投票をボイコットするよう呼びかけた。

レバノンの動き

Naharnet, February 21, 2012
Naharnet, February 21, 2012

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、ベイルートでヒムス市民と「シリア革命」との連帯を訴える座り込みに、婦人、党幹部(アクラム・シュハイイブ議員)、ドゥルーズ派宗教関係者らとともに初めて参加した。

諸外国の動き

ロシアのドミトリー・メドヴェージェフ大統領とサウジアラビアのアブドゥッラー国王は電話会談を行った。

『ハヤート』(2月23日付)によると、この会談で、アブドゥッラー国王は「サウジアラビア王国はシリア情勢に対する宗教的・道徳的立場を決して放棄できない。最大の友好国であるロシアは、安保理で拒否権を発動するのでなく、アラブと協調すべきだった。現時点において、いかなる対話が行われても無駄である」と述べた。

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ロシアのメドヴェージェフ大統領はまた、イランのマフムード・アフマディーネジャード大統領とも電話会談を行った。

ロシア大統領府は、会談では、シリア危機の早急且つ平和的解決を後押しし、外国の干渉を制限することを両者が確認し、政府と反体制勢力双方に暴力の停止を求めることで一致したと発表した。

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ロシア外務省報道官は、人道支援と負傷者搬送を目的とした政府と武装集団との2時間の一時停戦案(赤十字国際委員会)を「強く支持する」と述べた。

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ロシアのゲンナージー・ガティロフ外務次官は、フランスが提案している人道回廊の設置に関して、「紛争を悪化させる」だけと述べ、拒否する姿勢を示した。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は『ハヤート』(2月23日付)に対して、シリアの友連絡グループ会合で、人道回廊設置案を具体化させる必要がある、と述べた。

AFP, February 22, 2012、Akhbar al-Sharq, February 22, 2012、al-Hayat, February 23, 2012、Naharnet.com, February 22, 2012、Reuters, February 22,
2012、SANA, February 22, 2012などをもとに作成。

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軍・治安部隊がヒムス市などで「もっとも激しい」砲撃を行うなか、シリア当局が24日に開催予定の「シリアの友連絡グループ」会合に参加しない意思を表明(2012年2月21日)

国内の暴力・反体制運動

反体制勢力(シリア人権監視団やシリア革命総合委員会)によると、ヒムス市などで軍・治安部隊が、これまでで「もっとも激しい」砲撃を行った。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市バーブ・アムル地区、ハーリディーヤ地区、カラム・ザイトゥーン地区に対する軍・治安部隊の砲撃が早朝から行われた。

シリア人権監視団によると、市内地での戦闘で16人が死亡し、空軍の航空機が上空で偵察活動を行っており、ロンドンを拠点とするシリア人権ネットワークによると、早朝から迫撃砲が少なくとも250発着弾したというが、真偽は定かでない。

また同監視団によると、ダマスカス・ヒムス街道(カーラ市)付近で、ヒムス市方面に向かう軍・治安部隊の戦車、兵員輸送車56輌が目撃された。

シリア革命総合委員会(ハーディー・アブドゥッラーをなのる活動家)が、軍に依然としてとどまっている信頼できる士官らからの情報として伝えたところによると、この増援部隊は、ヒムス市突入か同市各地域への砲撃を任務としている、という。

ナーディル・フサイニーを名のる活動家の一人がロイター通信(2月21日付)に対して明らかにしたところによると、「自由シリア軍は、政府軍がバーブ・アムル地区に進入するのを阻止」し続けており、軍・治安部隊は離反兵の力を削ぐため砲撃を激化している、という。

『ハヤート』(2月22日付)によると、バーブ・アムル地区の住民(約10万人)の約60%はすでに避難している。

シリア人権監視団によると、クサイル市では民間人5人が治安部隊に撃たれて死亡した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊がアブディーター村、イブリーン村、バルシューン村に進入した。

またタルナバ村で軍・治安部隊がマイクロバスに発砲し、運転手を殺害した。

さらに対トルコ国境のカフルタハーリーム町では離反兵が軍の兵士5人を殺害、2人を捕捉した、という。

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アレッポ県では、反体制活動家などによると、アレッポ大学理学部の学生約2,500人が反体制デモを行ったが、軍・治安部隊が強制排除した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(2月21日付)によると、ドゥーマー市で治安維持部隊が武装テロ集団メンバー4人を殺害した。

アサド政権の動き

Kull-na Shuraka’, February 21, 2012
Kull-na Shuraka’, February 21, 2012
Kull-na Shuraka’, February 21, 2012
Kull-na Shuraka’, February 21, 2012

『ワタン』(2月21日付)は、2月26日に国民投票が予定されている憲法草案に関して、シリア民族社会党ハイダル派が、「大統領の宗教はイスラームである」とした文言に異議を唱え、「新憲法は世俗的市民国家の二大原則である、市民の平等と三権分立への打撃だ」と批判した。

シリア民族社会党ハイダル派は解放変革人民戦線を主導する体制外の親体制組織で、同戦線のカドリー・ジャミール氏がシリア・アラブ共和国憲法草案準備委員会メンバーを務めた。

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『クッルナー・シュラカー』(2月21日付)は、体制外の親体制組織の変革解放人民戦線の支持者約300人が人民議会議事堂前で、「大統領の宗教はイスラームである」と規定した憲法第3条への反対を訴えるデモを行った。

なお同規定は現行憲法、憲法改正案のいずれにも盛り込まれている。

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『クッルナー・シュラカー』(2月21日付)は、進歩国民戦線加盟政党のシリア共産党ファイサル派が、2012年初めに反体制抗議運動への反対の姿勢を決定したことで、各地の各委員会が機能不全に陥っていると報じた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会広報局長のアフマド・ラマダーン氏は、自身の兄弟でアレッポ市在住のマフムード・アブドゥルカーディル・ラマダーン氏が20日に「シリア政府によって暗殺された」ことを明らかにした。

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自由シリア軍のリヤード・アスアド大佐は国際赤十字委員会による人道物資搬入や負傷者搬送のための一時休戦の提案を歓迎した。

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シリア国民評議会はヒムス市包囲解除と人道物資の援助・搬入のため、国際社会に緊急の行動を呼びかけ、国際赤十字委員会による人道物資搬入や負傷者搬送のための一時休戦の提案への支持を表明した。

レバノンの動き

アドナーン・マンスール外務大臣は、OTV(2月21日付)に対して、シリアの友連絡グループ会合に関して、「シリアの現状に関与しないという決定に従い、我々はチュニジアの会議には参加しないだろう」と述べた。

諸外国の動き

ヒラリー・クリントン米国務長官は、24日に開催予定のシリアの友連絡グループ会合に関して、「アサド政権がさらに孤立するかたちで立ち現れる。勇敢なシリア国民は、我々の支援、我々との連帯を必要としている」と述べた。

ビクトリア・ヌーランド米国務省報道官は、「シリアにおいて軍事的性格を強めることに寄与することが今のところ論理的だと思っていない。我々が望んでいないのは、暴力のエスカレートだ。しかしもし現下の圧力にアサドを応じさせることができなければ、追加措置を検討しなければならない」と述べた。

ジェームズ・クラパー米国家情報長官は米上院国防委員会で、イラクのアル=カーイダがシリア国内での最近のテロ(ダマスカス、アレッポでの自爆テロ)に関与している可能性が高いと証言し、「不快感を喚起する現象として、我々は過激分子が反体制諸組織に浸透しているのを目の当たりにしている…。多くの場合反体制勢力は、彼らの存在に気づいていない」と述べた。

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ロシア外務省報道官は、シリアの友連絡グループ会合に関して、真の目的が明確でない、と述べ、ロシアが参加しないことを明らかにした。

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中国外交部報道官は、シリアの危機を平和的に解決するすべての努力を歓迎するとしつつ、シリアの友連絡グループ会合に関して、参加を「依然として検討している」と述べた。

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イラン外務省報道官は、定例記者会見で、シリア情勢に関して、「シリアの安定化への道のりは、国民と政府の対話の基礎を構築することにある」と述べた。

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国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長は、シリアのすべての当事者(アサド政権と反体制武装集団)に対して、「暴力行使に抵抗し、民間人保護の重要性を認め、人道機関が支援を必要とする人のもとに障害なく到達できるようにする」よう呼びかけた。

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国際赤十字委員会のヤコブ・ケレンベルガー総裁は改めて声明を出し、シリア政府と反体制勢力の双方と接触し、人道目的での一時停戦の実施を呼びかけていることを明らかにした。

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ガザ地区ガザ市でパレスチナ人数百人(シリア革命救済パレスチナ連合)がシリアでの反体制デモとの連帯を訴えるデモを行い、アサド政権の打倒を呼びかけた。

AFP, February 21, 2012、Akhbar al-Sharq, February 21, 2012、al-Hayat, February 22, 2012、Kull-na Shuraka’, February 21, 2012、Naharnet.com, February
21, 2012、Reuter February 21, 2012、SANA, February 21, 2012、al-Watan, February 21, 2012などをもとに作成。

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アサド大統領がロシアの外交関係委員会委員長と会談するなか、シリア革命最高軍事評議会のシャイフ准将がシリア・ムスリム同胞団が指導するシリア国民評議会の重要性を否定(2012年2月20日)

反体制勢力の動き

シリア革命最高軍事評議会のムスタファー・シャイフ准将は『ハヤート』(2月21日付)に対して、シリア・ムスリム同胞団には「一部で言われているのとは異なり、シリア国内に蓄えがなく、国内の反体制運動において重要な役割を果たしていない」と述べ、同胞団が指導するシリア国民評議会の重要性を否定した。

シャイフ准将はまた、「シリア国民評議会は国内の運動と協調することはできない。なぜならほとんどの指導者は長年にわたって在外生活を送り、現地で暮らす人々と真に連絡を取り合っていないからだ」と批判した。

シャイフ准将によると、国内で反体制運動を行っている活動家のほとんどは政治組織に参加していない無所属の活動家だという。

一方、自由シリア軍との関係に関して、意見の相違が「単に視点にかかわるもので、目的は一つ、すなわち祖国の安寧、統制のとれた軍指導部の結成である」と述べた。

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反体制ジャーナリストが、シリア・ジャーナリスト連盟の発足を宣言した。

発足声明によると、同連盟には約100人のジャーナリストが参加している。

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シリア法律研究調査センターのアンワル・ブンニー所長は、ダマスカス県で2月16日に逮捕された活動家の一人マーズィン・ダルウィーシュ氏が釈放されたと発表した。

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『アクス・サイル』(2月21日付)によると、国内で反体制活動を行う民主的変革諸勢力国民調整委員会は声明を出し、外国の軍事介入は「レッドライン」と述べ、拒否する姿勢を改めて示した。

同声明によると、この姿勢は、1月24日のカイロでの同委員会使節団とアラブ連盟ナビール・アラビー事務総長との会談で示された、という。

アサド政権の動き

SANA, February 20, 2012
SANA, February 20, 2012

SANA(2月20日付)によると、アサド大統領はシリアを訪問中のロシア議会下院のアレクセイ・プシュコブ外交関係委員会委員長と会談した。

会談でアサド大統領は、「武装テロ集団」が外国勢力からの資金・武器援助のもとにシリア国家・社会を標的としており、「シリアの安定を揺るがし、問題解決への努力を頓挫させようとしている」と述べたという。

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SANA(2月20日付)は、シリアとイランが自由貿易合意実施プログラムに署名したと報じた。

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SANAは2月20日付で憲法草案の英語訳をウェブ上に公開した。http://www.sana.sy/eng/337/2012/02/20/401178.htm

国内の暴力・反体制デモ

シリア人権監視団によると、ダマスカス県( マッザ区など)、ダマスカス郊外県(ザバダーニー市など)では治安部隊による厳戒態勢が強化された。

シリア人権監視団によると、ハジャル・アスワド市では少なくとも4人が殺害された。

ダマスカス県・ダマスカス郊外県調整委員会報道官を名のるムハンマド・シャーミー氏によると、タフリール広場の空軍情報部南部区指導部前で夜間、反体制デモが発生した。

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シリア人権監視団によると、ヒムス県ヒムス市各地では、掃討作戦を続ける軍・治安部隊がさらに増強され、同市の完全制圧の準備が進められた。

複数の活動家によると、弾圧により少なくとも20人がヒムス市などで殺害されたという。

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ハマー県では、SANA(2月20日付)によると、サラミーヤ地方で武装テロ集団が国境警備隊を襲撃し、大佐、大尉が殺害された。

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アレッポ県では、SANA(2月20日付)によると、アレッポ市でビジネスマンのマフムード・ラマダーン氏が武装テロ集団によって暗殺された。

レバノンの動き

ヒズブッラーのナウワーフ・ムーサウィー議員(抵抗への忠誠ブロック)は、西側諸国が設置を目指しているとされる「人道回廊」に関して、「イスラエルの包囲で苦しむガザのパレスチナ人を支援するための人道回廊はどこにあるのか?」と述べ、西側諸国のダブルスタンダードを非難した。

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進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は党機関誌『アンバー』(2月20日付)のなかで、シリアとレバノンのドゥルーズ派を分断しようとする試みに抵抗するよう呼びかけた。

ジュンブラート党首は「シリアのドゥルーズは占領者に抵抗する長い歴史を持っており、抑圧から国を解放するため、今日も同じように抵抗するだろう…。彼らはレバノン山地やシリア政府の凶悪犯たちが彼らを罠にかけることを許さないだろう…。彼らはあなたがたをイスラエルの国境警備に向けたいと考えている。我々の歴史は周辺アラブ・イスラーム諸国との共存によって特徴づけられており、未来はシリアで自由を求める人々のものである…。あなたがたは彼らに属している」と述べ、アサド政権を支援するレバノン国内の勢力とアサド政権を暗に批判した。

諸外国の動き

マーチン・デンプシー米陸軍参謀長は、CNN(2月20日付)に対して、シリアへの軍事的介入が「きわめて困難」だと述べるとともに、反体制勢力の武装に関して「時期尚早」と述べた。

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チュニジアのラフィーク・アブドゥッサラーム外務大臣は、シリア情勢に関して、「我々はイラク・シナリオがシリアに生じることを望んでいない…。我々はシリアの領土の統一性を維持しなければならない」と述べた。

またシリアの友連絡グループの会合に関して、シリア国民評議会をはじめとする反体制勢力が代表として出席すると述べた。

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シリア海軍の「教練」のためイランが派遣した海軍艦艇2隻がスエズ運河を通過し、タルトゥース港に寄港した。

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国際赤十字委員会は、軍・治安部隊と離反兵との戦闘がもっとも激しい地域への人道支援を行うため、2時間の停戦を行うよう、アサド政権と反体制武装集団と交渉を行おうとしていることを明らかにした。

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国連総会のナースィル・アブドゥルアズィーズ議長は、カイロでアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長と会談した。

会談後の共同記者会見で、アブドゥルアズィーズ議長は安保理に問題があるため、国際社会がシリア情勢をめぐって無力だと述べ、安保理に必要な措置を講じるよう求めた。

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中国の『人民日報』(2月20日付)は、西側諸国によるシリアの反体制勢力支援に関して「内戦」を喚起する動きと非難した。

AFP, February 20, 2012、Akhbar al-Sharq, February 20, 2012、‘Aks al-Sayr, February 21, 2012、CNN, February 20, 2012、al-Hayat, February 21, 2012, February 22, 2012、Kull-na Shuraka’, February 21, 2012、Naharnet.com, February 20, 2012、Reuters, February 20, 2012、SANA, February 20, 2012などをもとに作成。

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中国の翟隽外務次官が民主的変革諸勢力国民調整委員会代表、シリア国家建設潮流代表と相次いで会談(2012年2月19日)

中国の動き

中国の翟隽外務次官は国内で反体制活動を行う民主的変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表とダマスカスで会談した。

アブドゥルアズィーム代表は、RT(2月19日付)に対して、会談で中国側に対して、暴力停止のためアサド政権に圧力をかけるとともに、シリア国民を支持するよう求めたと述べた。

また反体制運動の糾合に関して、「反体制勢力の統一は戦略的目標だ。なぜならそれは一方で、反体制勢力そのものを、他方で平和的な民衆のインティファーダを強化するからだ」と述べた。

しかし「この問題(反体制勢力の統一)は内外の反体制勢力による政治的な意思(のとりまとめ)を必要とし、共通の政治的ビジョンを必要とする。しかし一部の活動家は国民的な決定を望んでいない…。シリアの危機解決策をめぐって、国内、アラブ、国際社会で綱引きが行われており…、そのことが解決に至ることを妨げている」と述べ、反体制勢力内の対立や外部介入の弊害を改めて認めた。

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翟外務次官はまた、同じく国内で反体制活動を行うシリア国家建設潮流のルワイユ・フサイン代表、ムナー・ガーニム書記長と会談した。

同会談に関して、シリア国家建設潮流は声明を出し、反体制勢力が対話による問題解決を概ね支持しているが、アサド政権が信頼を欠いていることが対話を妨げていると伝えたと発表した。

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中国の新華社通信(2月19日付)は、「シリア危機には対話を通じた平和的な解決への希望が依然としてある」と報じ、外国の介入に改めて警鐘を鳴らした。

国内の暴力・反体制デモ

ダマスカス県では、ダマスカス県・ダマスカス郊外県地元調整委員会報道官だというムハンマド・シャーミーを名のる人物によると、治安部隊が多数展開するなかで、「ゼネストと市民的不服従」の呼びかけに呼応するかたちでカダム区、マイダーン地区、ジャウバル区、バルザ区、カフルスーサ区でゼネストが行われ、学校での授業終了時間後に反体制デモが行われた、という。

マッザ区調整委員会報道官だというアブー・フザイファ・マッズィー氏によると、治安部隊によって(18日に)殺害されたサーミル・ハティーブ氏の葬儀を早朝(7時)に行うよう家族に強制したが、葬儀は10時半に行われた。

またダマスカス郊外県のハジャル・アスワド市などでも反体制デモが行われた、という。

シリア人権監視団によると、ダマスカス郊外県ランクース市周辺に戦車・兵員輸送車輌数十両が展開した。

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シリア人権監視団によると、ダルアー県フラーク市、ダイル・ザウル県ダイル・ザウル市、イドリブ県ジスル・シュグール市、同カフルナブル市、ハサカ県カーミシュリー市でも反体制デモが発生した、という。

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シリア革命総合委員会によると、ヒムス県ヒムス市バーブ・アムル地区、バーブ・スィバーア地区、ハーリディーヤ地区、バイヤーダ地区などに対する軍・治安部隊の掃討作戦が続いた。

またタドムル市では、シリア人権監視団によると、2月4日から軍・治安部隊の包囲が続き、多くの住民が同市から避難した、という。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ニダール・ガザール同県裁判所の検事長、ムハンマド・ズィヤーダ判事が乗った車が「何ものか」に襲撃され、両氏と運転手の合わせて3人が殺害された。

SANA(12月19日付)は、武装テロ集団の犯行と断じた。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アターリブ市とマアッラトミスリーン(イドリブ県)を結ぶ街道で男性1人が殺害された。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、スフナ市とアシャーラ市でそれぞれ1人が殺害された。

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ハマー県では、SANA(2月19日付)によると、カフル・トゥーン町とタッル・サキーン村を結ぶバスが武装テロ集団に襲撃され、民間人4人が殺害された。

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複数の活動家によると、治安部隊の弾圧により合わせて約10人が殺害されたという。また、ハマー県上空では戦闘機が旋回したというが、弾圧とは無関係だと思われる。

アサド政権の動き

Kull-na Shuraka’, February 19, 2012
Kull-na Shuraka’, February 19, 2012

SANA(2月19日付)は、シリア、イラク、レバノン、イランは、イランから3国への電力輸出に関する相互理解覚書に署名したと報じた。

これにより、シリアとレバノンに1,200~1,300メガワットの電力が送電される、という。

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マロン派のサミール・ナッサール・ダマスカス司教は、反体制運動をめぐる困難に関して、「対話の強化」を呼びかけた。

反体制勢力の動き

シリア人ビジネスマンのファイサル・クドスィー氏(ナーズィム・クドスィー元首相の長男、ロンドン在住)は、BBC(2月19日付)に対して、シリア経済が西側の制裁によって打撃を被っており、現体制が「街の圧力」でゆっくりと解体している、と述べた。

諸外国の動き

アルジェリアのアブドゥルアズィーズ・ベルハーディム首相は「アラブ連盟はもはや連盟ではない。その名前とは異なりアラブとはほど遠い。創設メンバーの一つへの軍事介入を安保理やNATOに求め、アラブ諸国の力を破壊する組織になりさがった」と痛烈に批判した。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は「我々はリビアで行ったようには(シリアに)介入できない…。しかし別の多くのことができる」と述べた。

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ロシアのガティロフ外務次官はツイッターで「シリアの人権状況への客観的な評価が求められている」と述べ、国連事務総長に専門家の派遣を求めると意思があることを示した。

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エジプト政府は、国内での弾圧継続への「不満のメッセージ」としてシャウキー・イスマーイール在ダマスカス大使の召還を決定した。

シリア政府は対抗措置として、ユースフ・アフマド在カイロ大使の召還を決定した。

AFP, February 19, 2012、Akhbar al-Sharq, February 19, 2012、BBC, February 19, 2012、al-Hayat, February 20, 2012、Kull-na Shuraka’, February 19, 2012、Reuters, February 19, 2012、SANA, February 19, 2012などをもとに作成。

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アサド大統領が中国の翟隽外務次官と会談しシリアに対する中国指導部および国民の対応を評価、一方キールー氏ら著名な無所属活動家らが「シリア民主フォーラム」と称する反体制組織を新たに結成(2012年2月18日)

アサド政権の動き

アサド大統領はシリアを訪問中の中国の翟隽外務次官と会談した。

SANA, February 18, 2012
SANA, February 18, 2012

SANA(2月18日付)によると、アサド大統領は会談で、シリアに対する中国指導部および国民の対応を評価する一方、シリア情勢に関して「国家の分割、地域における地政学的な地位と歴史的役割に打撃」を与えることが(西側の)ねらいだとの見方を示した。

一方、翟外務次官は、「いかなる外国の干渉をも排除したかたちで、すべての当事者による対話を通じた危機の政治的正常化」の必要を強調するとともに、「安定した状態においてのみ、シリアは包括的な政治改革を行える」との立場を示した。

会談には、ワリード・ムアッリム外務大臣、ブサイナ・シャアバーン大統領府情報顧問も同席した。

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AFP(2月18日付)はシリア当局がスウェーデンのビデオストリーミング・サイト「Bambuser」の閲覧を制限したと報じた。

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SANA(2月18日付)は、内務省のハサン・ジャラーリー民事担当次官が26日に予定されている新憲法草案の国民投票に関して、有権者数が約1,460万人に及び、投票所が全国で13,835カ所設置されると発表した、と報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(2月18日付)は、アサド大統領が最近の治安当局高官との会合で、イスラエル国内(とりわけリクード内)米国にアサド政権存続を強く望む声があり、近くアサド政権に資するようなかたちでヒズブッラーやイランに対して直接的な行動に打って出ることを検討していることをロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣から知らされたことを明らかにしたと報じた。

国内の暴力・反体制デモ

ダマスカス県では、『ハヤート』(2月19日付)によると、マッザ区で17日(金曜日)のデモでの犠牲者3人の葬儀が行われた。

ダマスカス県・ダマスカス郊外県地元調整委員会報道官を自称するムハンマド・シャーミーを名のる人物によると、葬儀には約15,000人が参列し、衛星テレビ局での「一つ、一つ、一つ、シリア国民は一つ」と連呼する会葬者の映像が放映された。

シリア人権監視団やシャーミー氏によると、犠牲者埋葬後、治安部隊が人々に発砲し、1人が殺害され、4人が負傷した、という。

al-Hayat, February 19, 201
al-Hayat, February 19, 201

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ヒムス県では、複数の活動家によると、ヒムス市バーブ・アムル地区などに対して、軍・治安部隊が砲撃を継続した。

一方、SANA(2月18日付)によると、ヒムス市の精錬所の燃料庫が武装テロ集団の破壊工作で炎上した。また武装テロ集団はヒムス県各地、ダイル・ザウル県クーリーヤ地方南部でもガス・パイプラインや石油パイプラインに対する破壊工作を行ったという。

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イドリブ県では、SANA(2月18日付)によると、アリーハー市で武装テロ集団が治安部隊を襲撃し、兵士1人が殉死した。

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アレッポ県では、SANA(2月18日付)によると、アレッポ県議会のジャマール・バッシュ議員が武装テロ集団に襲撃され、死亡した。

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このほか、ハマー県、ダルアー県、ダイル・ザウル県でも軍・治安部隊による掃討作戦が行われたほか、イドリブ県では軍・治安部隊と離反兵が衝突し、反体制活動家によると、各地での死者は12人に及んだ。

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『クッルナー・シュラカー』(2月18日付)は、バッシャール・ジャアファリー国連大使の甥のザキー・バーヒル・ジャアファリー氏がマッザ区での反体制デモに参加し、治安部隊の銃弾で負傷したと報じた。

また、同報道はアーディル・サファル首相の妹も16日のデモ(場所は不明)で負傷したと報じている。しかし真偽は定かでない。

反体制勢力の動き

国内で反体制活動を行うミシェル・キールー氏ら著名な無所属活動家が2月16日から18日にかけてエジプトで開催し、「シリア民主フォーラム」と称する反体制組織を結成した。

参加メンバーは、シリア国民評議会、民主的変革諸勢力国民調整委員会のいずれにも参加してこなかった以下の大物活動家ら。

ミシェル・キールー、アーリフ・ダリーラ、ファーイズ・サーラ、ハーズィム・ナハール、ナースィル・ガザーリー、ハラフ・アリー・ハラフ、サミール・イータ、アフマド・マハーミード、アフマド・ミスリー、ラシャー・カッス・ユースフ、マイサー・サーリフ、ムウタスィム・スユーフィー、マフムード・カンヌ。

発足声明によると、同組織は、「国内で活動を行う政治的、市民的、民主的フォーラム」で、「シリア革命にかかわるすべての個人、組織、勢力に開かれて」おり、「民主的市民国家を建設するための抜本変革」をめざしている。

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『ハヤート』(2月19日付)は、シリア国民評議会の信頼できる消息筋の話として、同評議会が、ドーハでの会合で、平和的な反体制運動の継続を追求しつつ、外国の軍事介入、国内の武装集団の組織化・支援などを検討した、と報じた。

イラクの動き

イラクのヌーリー・マーリキー首相は、ラシード・チャンネル(2月18日付)に対して、3月に予定されているアラブ連盟首脳会議へのアサド大統領の出席を望んでいると述べた。

マーリキー首相は「我々は、連盟にシリアの加盟資格凍結…に関する決議が連盟の会議だけに関するものなのか、首脳会議にも及ぶのかを尋ねている…。もし連盟代表レベルに限られるのなら、我々は大統領であれ、その特使であれ、シリアの首脳会議への出席を望む…。しかし決議がすべての出席者に及ぶのなら、我々は連盟の一員(としてそれに従う)…。我々は参加があるべきだと思う。なぜならそれによって干渉や宗派対立とは無縁の対話のページが開かれるからだ。これ以上シリアで混乱が増しても誰も得しない」と述べた。

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イラクのヌーリー・マーリキー首相府は声明を出し、シリア領内への武器密輸、戦闘員流入を阻止するため対シリア国境の警備を強化したと発表した。

レバノンの動き

Naharnet, February 18, 2012
Naharnet, February 18, 2012

ヒズブッラーとアマル運動の南部県の幹部がスール市で会合を開き、アサド政権の改革の努力を全面支持するとの共同声明を発表した。

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進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、『サフィール』(2月18日付)に対して、ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長に「アサド政権とその偽りの改革を支持する以上に、シリア国民を支持することがより重要」と伝え、アサド政権支持の再考を促したと述べた。

諸外国の動き

『ハヤート』(2月19日付)が得た情報によると、チュニジアのラフィーク・アブドゥッサラーム外務大臣は24日にチュニスで開催予定のシリアの友連絡グループ会合に、シリア国民評議会を正式に招待した。

評議会のアフマド・ラマダーン広報局長は、『ハヤート』(2月19日付)に対して、ブルハーン・ガルユーン事務局長ら運営委員会メンバーが出席し、評議会が招待されていないとの一部報道を否定した。

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米NBC(2月18日付)は、多数の米国の無人偵察機がシリア上空でアサド政権による反体制運動弾圧をフォローするために活動を行っている、と報じた。

またトム・ドニロン米国家安全保障担当補佐官が、シリア、イラン問題や地域の安全保障について意見を交換するため、イスラエルに到着した。

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「アフバール・シャルク」(2月18日付)は、ベルリンのシリア大使館内にシリアの諜報機関の本部があることをドイツの首都ベルリンの諜報当局高官が明らかにしたと報じた。

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AFP(2月17日付)は、イスラエルのカフルカーナーで48年パレスチナ人約1,000人がアサド政権に反対するデモを行ったと報じた。

AFP, February 18, 2012、Akhbar al-Sharq, February 18, 2012、al-Hayat, February 19, 2012, February 20, 2012、Kull-na Shuraka’, February 18, 2012,
February 22, 2012、Naharnet.com, February 18, 2012、NBC, February 18, 2012、Reuters,
February 18, 2012、SANA, February 18, 2012、al-Safir, February 18, 2012などをもとに作成。

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「人民抵抗の金曜日」と銘打たれた反体制デモが散発し合わせて数千人が参加、仏大統領と英首相首相が反体制勢力に対し「国際社会が支援し得るよう自らを統合するよう」呼びかけ(2012年2月17日)

国内の暴力・反体制デモ

シリア革命調整連合によると、「人民抵抗の金曜日」と銘打って、金曜礼拝後に各地で反体制デモが行われ、合わせて数千人が参加、同組織を含むさまざまな反体制勢力がデモに関する情報をインターネットやアサド政権に敵対するジャズィーラなどを通じて発信した。

SNN, February 17, 2012
SNN, February 17, 2012
SNN, February 17, 2012
SNN, February 17, 2012

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地元調整諸委員会によると、治安部隊がデモを強制排除し約45人が殺害された、という。

死者のうち12人は自由シリア軍の兵士で、彼らはダルアー県で処刑された、という。

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ダマスカス県では、ダマスカス県・ダマスカス郊外県調整連合報道官によると、 マッザ区のムスタファー・モスクで、反体制デモが発生し、治安部隊が発砲し、多数を逮捕したという。

またシリア人権監視団によるとこの弾圧で1人が殺害され、12人が負傷した。

同報道官によると、この反体制デモはこれまで最大規模だと述べているが、真偽は定かでない。

またザイン・アービディーン・モスク前では2,000人が反体制デモを行ったほか、バルザ区、アサール・ワルド地区、カフルスーサ区、カーブーン区などでもデモが発生、治安部隊の弾圧により1人(カーブーン区)で死亡したという。

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ダマスカス郊外県では、ダマスカス県・ダマスカス郊外県調整連合報道官によると、ドゥーマー、カフルバトナー、アルトゥーズなどで反体制デモが発生したという。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、少なくともアレッポ市内12カ所と25村で反体制デモが発生した、という。

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ヒムス県では、シリア革命総合委員会のハーディー・アブドゥッラー氏によると、ヒムス市バーブ・アムル地区、ハーリディーヤ地区、バイヤーダ地区などでの軍・治安部隊による掃討作戦が続き、これまでもっとも激しい砲撃が行われた、という。

シリア人権監視団によると、これにより5人が死亡した。

一方、SANA(2月17日付)は、ヒムス市バーブ・アムル地区で武装テロ集団がパイプラインに対する破壊工作を行ったと報じた。

またフサイニー村近くで、逮捕者を乗せたバスが武装テロ集団によって襲撃を受け、治安維持部隊要員8人(うち少佐1人)が殺害された、と報じた。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、体制打倒を求める「1万人以上」がデモを行い、ジャースィム市、ハーッラ市で2人が死亡、またハーッラ市では軍の兵士が多数離反した、という。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によるとダイル・ザウル市でデモが発生し、2人が殺害された。

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『クッルナー・シュラカー』(2月18日付)によると、ハサカ県カーミシュリー市、ラアス・アイン市、アームーダー市などで、数千人が金曜礼拝後に反体制デモを行った。

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『ハヤート』(2月18日付)によると、軍総合風紀取締委員会のムハンマド・アリー・ハティーブ准将が同委員会からの離反を宣言した。

またアレッポ航空士官学校局長のファーイズ・アムル准将も軍からの離反と自由シリア軍への参加を宣言した。

SANA, February 17, 2012
SANA, February 17, 2012
SANA, February 17, 2012
SANA, February 17, 2012

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『シャファーフ』(2月17日付)は、スワイダー県スワイダー市近くの「秘密集団墓地」に、イラン・イスラーム革命防衛隊兵士やイラクのムクタダー・サドル潮流の民兵の遺体が埋葬された、と報じた。

同報道によると、埋葬された遺体は、アサド政権側で反体制運動を弾圧していたというが、真偽は定かでない。

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『ニューヨーク・タイムズ』紙は、自由シリア軍などを取材するため、1週間前にシリアに入国した同紙記者のアントニー・シャディード氏(レバノン系米国人)が死亡したと発表した。

死因は喘息の発作だと思われる。

同氏の父親によると、ジャディード氏は喘息を煩っていた。

アサド政権の動き

SANA(2月17日付)は、アサド大統領がモーリタニアのムーラーイ・ウルド・ムハンマド・ラクダフ首相とダマスカスで会談し、ムハンマド・ウルド・アブドゥルアズィーズ大統領の親書を受け取った、と報じた。

アサド大統領はこの会談で、シリアでの反体制デモに関する「真相」を説明し、治安・安定回復と市民保護のために政治改革を行う必要を強調した、という。

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SANA(2月17日付)は、中国の翟隽外務次官がシリアを訪問し、ダマスカスでファイサル・ミクダード外務次官と会談したと報じた。

会談後の記者会見で、翟外務次官は、会談において、困難な現状にあるシリアへの協力強化のため意見交換を行った、と述べた。

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バアス党シリア地域指導部は、第11回シリア地域大会(党大会)を2月26日の新憲法草案国民投票を延期したと発表した。

反体制勢力の動き

国外で活動する反体制政治同盟の一つ、シリア国民評議会は、「シリアの民主的変革と開発のための19の計画」の準備を完了し、カタールの首都ドーハでの会合を閉幕した。『ハヤート』(2月18日付)が報じた。

広報局メンバーのウバイダ・ナッハース氏(国民行動グループ・メンバー)によると、この計画は近く発表されるという。

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ダマスカス民主変革宣言執行部メンバーのナウワーフ・バシール氏(駐トルコ)は、『ハヤート』(2月18日付)に対して、反体制デモがアサド政権打倒まで続くだろう、と述べた。

レバノンの動き

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首はトルコを訪問し、アフメト・ダウトオール外務大臣と会談した。

会談後、ジュンブラート党首は、「シリア政府の暴力を終わらせられるのは政治的解決だけだ」と述べた。

諸外国の動き

NATOのアナス・フォー・ラスムセン事務局長は、ロイター通信(2月17日付)に対して、「国連が民間人保護を委任されたとしても…我々はシリアへの介入を決意しないだろう」と述べた。

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チュニジアのラフィーク・アブドゥッサラーム外務大臣は、24日にチュニスで開催予定のシリアの友連絡グループの発足会合に関して、シリア国民評議会が同会合で正式な代表として招聘されない、と述べた。

記者会見で、アブドゥッサラーム外務大臣は、「シリア国民評議会が(大会において)正式な代表となることがないことは確実だ」と述べた。

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フランスのニコラ・サルコジ大統領と英国のデビッド・キャメロン首相がパリで会談後、記者会見を開き、反体制勢力に対して、国際社会が支援し得るよう自らを統合するよう呼びかけた。

AFP, February 17, 2012、al-Hayat, February 18, 2012、Kull-na Shuraka’, February 17, 2012, February 18, 2012、Naharnet.com, February 17, 2012、Reuters, February 17, 2012、SANA, February 17, 2012、al-Shafaf, February 17, 2012などをもとに作成。

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国連総会でアサド政権への非難決議が加盟国137か国の賛成票(ロシア、イランは反対)によって採択される一方、ジュペ仏外相がラブロフ露外相とシリア情勢などに関して意見を交換(2012年2月16日)

国連の動き

国連総会で、アサド政権による人権侵害を非難し、アラブ連盟外相会議決議(行程表)を全面支持する決議が採択された。

非難決議は、加盟国193カ国中137国が支持した。

反対票を投じたのは、ベラルーシ、ボリビア、中国、キューバ、北朝鮮、エクアドル、イラン、ニカラグア、ロシア、シリア、ベネズエラ、ジンバブエの12カ国。

またレバノン、アルジェリア、ベトナム、スリランカ、スリナム、セント・ビンセント・グレナディーン、ツバル、ウガンダ、ミャンマー、ナミビア、ネパール、タンザニア、アンゴラ、アルメニア、フィージー、コモロ、カメルーンは棄権、また3カ国が技術的な理由で投票しなかった。

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国連総会でのシリア非難決議採択を受け、スーザン・ライス米国連大使は、「シリア国民は世界の国々が自由と安全のために彼らを支持していることが知っている」と述べた。

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シリアのバッシャール・ジャアファリー国連大使は、シリア非難国連総会決議に関して、「西側諸国、一部のアラブ諸国、そして過激なテロ集団のシリアに対する陰謀の一環」と非難した。

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イランの国連大使は「内政不干渉の原則を遵守し、決議に反対した」と述べた。

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国連の潘基文事務総長は、アサド大統領により新憲法国民投票日程発表に関して、民間人殺害を停止することがより重要と述べる一方、アサド政権が人道に対する罪を犯していると非難した。

反体制勢力の動き

Kull-na Shuraka’, February 16, 2012
Kull-na Shuraka’, February 16, 2012

民主的変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表はクウェート紙『ラアユ』(2月16日付)に対して、「暴力、殺戮、狙撃が完全に停止するまで国民投票には参加できない」と述べた。

また「憲法は社会を構成するすべての当事者のコンセンサスの結果として生まれる社会契約であり、そのなかには各県で平和的革命・インティファーダを行う代表者や愛国的反体制勢力が含まれねばならない」と述べ、アサド政権が一方的に作成した草案を拒否する姿勢を示した。

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アサド大統領による新憲法草案国民投票の日程(2月26日)発表を受け、地元調整諸委員会は声明を出し、「犯罪者体制への国民の支持を確認」させる投票をボイコットするよう呼びかけ、アサド政権を「発足以来、憲政上、そして社会的な正統性を欠いている」と断じ、あらためてその徹底的な打倒を呼びかけた。

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シリア国民評議会のアナス・アブダ氏はBBC(2月16日付)に対して、憲法草案国民投票に関して、「ヒムス、イドリブ、ハマーなどでの人道に対する罪から注意をそらすための政府のトリック」と述べ、拒否の姿勢を示した。

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シリア国民評議会はカタールの首都ドーハで会合を開き、ブルハーン・ガルユーン事務局長の任期を3ヵ月延長するとともに、人民民主党の重鎮の一人ジョルジュ・サブラー氏を運営委員会メンバーに任命した。

国内の暴力・反体制勢力掃討

シリア人権監視団は、ダルアー県全体で軍・治安部隊によって「虐殺」が行われたと発表し、包囲された市民の行方の「即時解明」を呼びかけた。

同監視団が住民(ムハンマド氏)の話として伝えたところによると、軍・治安部隊は県内の村を一つずつ掃討、「自由シリア軍兵士は抵抗を試みたが、装備不足と市民への報復を恐れて撤退した」。

また同監視団によると、多数の住民が戦火を逃れて非難したという。

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Kull-na Shuraka’, February 16, 2012
Kull-na Shuraka’, February 16, 2012

ハマー県では、シリア人権監視団によると、カフルヌブーダ町で、士官複数を含む離反兵10人と民間人4人が軍・治安部隊の砲撃で殺害された。

タイバト・イマーム市とスーラーン市を結ぶ街道では、離反兵が軍・治安部隊を襲撃し、兵士4人を殺害した。

一方、SANA(2月16日付)は、ハマー市のハマディーヤ地区で武装テロ集団と治安維持部隊が交戦し、複数の武装テロ集団メンバーが逮捕されたと報じた。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、マッザ区のイラン大使館前で、葬儀の会葬者が体制打倒と自由シリア軍支持を訴えるデモを行った。

ダマスカス県・ダマスカス郊外県調整連合報道官のムハンマド・シャーミー氏によると、治安部隊はデモ参加者に実弾、催涙ガスなどを用いて強制排除、複数を逮捕した。

シャーミー氏によると、ジャウバル区、カダム区、マイダーン地区、ハジャル・アスワド市の複数の学校で反体制デモがあったという。

また、シリア法律研究調査センターのアンワル・ブンニー弁護士は、AFP(2月16日付)に対して、ダマスカスで反体制活動家13人が一斉摘発されたと述べた。

al-Hayat, February 17, 2012
al-Hayat, February 17, 2012

ブンニー弁護士によると、治安当局はダマスカスにあるシリア表現の自由センターの事務所で、マーズィン・ダルウィーシュ所長、ラッザーン・ガザーウィー女史(ブロガー)、ヤーラー・バドル氏、ヒンナーディー・ザフルート氏、アブドゥッラフマーン・ハマーダ氏、リーター・ドゥユーブ氏、ミヤーダ・ハリール氏、ジュワーン・フランスー氏、スナー・ズィーターニー氏、ハーニー・ズィーターニー氏、バッサーム・アフマド氏、マンスール・ハミード氏、マハー・サブラーニー氏を逮捕した。

『クッルナー・シュラカー』(2月16日付)によると、13人は空軍情報部によって逮捕された。

一方、SANA(2月16日付)によると、マイダーン地区のイマーム・アナス・ブン・マーリク・モスクのシャイフ、ムハンマド・アフマド・アウフ・サーディク師が武装テロ集団によって暗殺された。

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アレッポ県では、複数の反体制活動家によると、ブザーア村で治安部隊が大規模な摘発を行い、14人を逮捕した。

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なお地元調整諸委員会によると、各地での軍治安部隊の掃討作戦で少なくとも40人が死亡、数百人が負傷した、という。

レバノンの動き

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長はベイルート郊外(ダーヒヤ)で開催された「殉教指導者への忠誠」祝典参加者に対してテレビ演説を行い、アサド政権打倒をめざすアラブ諸国を厳しく非難した。

ナスルッラー書記長は以下のように述べた。

「バーレーン人民は放置されている。誰もそのことを問わない。アラブ連盟も、国連も、イスラーム諸国会議機構も…。(シリアに関して)一つの目的がすべての者たちの間で合意されている…。アサド政権に要求されていたのは、(ハマースの)ハーリド・ミシュアル政治局長とレバノンのレジスタンスを引き渡すことだ…。シリア政府に改革を求める者たちに我々は言いたい。シリア政府を構成する人々は改革について語り、対話と暴力停止を呼びかけ、改革プロセスを包摂した憲法草案の国民投票に向かっている…。アサド大統領とシリア政府がこれまで実行したのは改革である…。シリア政府の転覆を求めるアラブ諸国のどの政府が改革を実行したのか?」

諸外国の動き

ジェームズ・クラッパー米国家情報長官は、アサド大統領が「クーデタなしに去ることも、路線を変更することもないだろう」と述べた。

またシリア国内(ダマスカス、アレッポ)での自爆テロに関して「アル=カーイダの指紋」が残されていると指摘し、イラクのアル=カーイダ・メンバーがシリア国内に入り、反体制勢力内に浸透している可能性があると述べた。

一方、米上院外交委員会はアサド政権による「野蛮で不当な」暴力を非難する決議を可決した。

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イスラエル紙『ハアレツ』(2月16日付)は、シリア国内での反体制運動に対してイスラエルがどのような公式の立場をとるかをめぐって、ベンヤミン・ネタニヤフ内閣内で意見の不一致が生じていると報じた。

同報道によると、アアヴィグドール・リーベルマン外務大臣および外務省高官が、シリア国内での弾圧を拒否し、アサド大統領の退任を求める姿勢を明示することを求めている一方、ネタニヤフ首相は、アサド政権への対応を明示しないことが得策と考えている、という。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、ウィーンでロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣と会談し、シリア情勢などに関して意見を交換した。

会談後ジュペ外務大臣は、シリア情勢をめぐって「パリとモスクワは安保理で決議案を準備するために行動する用意がある…。我々には暴力停止のためのアラブ連盟の試みと人道支援のための決議案のためにニューヨークで行動する用意がある」と述べた。

しかしラブロフ外務大臣は、「何らのオファーも受けていない段階で、フランスのオファーについて意見を述べることはできない…。(ジュペ)外務大臣は、人道支援のための新たな決議を検討していると知らせた…。それが用意でき次第健闘する用意があると表明しただけ」と答えた。

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ロシアのインテルファクス(2月16日付)は、ロシア消息筋の話として、国連総会での決議に関して、「バランスを欠き、我々の立場を考慮していない」と報じた。

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ジャズィーラ(2月16日付)は信頼できる消息筋の話として、ハマースのハーリド・ミシュアル政治局長とアサド大統領との会談がキャンセルされたと報じた。

同報道によると、アリー・マムルーク軍事情報局長が1月にミシュアル書記長と会談し、アサド大統領との会談を調整すると伝え、日時が設定されたが、会談の3日前にマムルーク局長がミシュアル書記長に対して面談のキャンセルが伝えた、という。

AFP, February 16, 2012、Akhbar al-Sharq, February 16, 2012、Aljazeera.net, February 16, 2012、DP News, February 16, 2012、Haaretz, February 16, 2012、al-Hayat, February 17, 2012、Kull-na Shuraka’, February 16, 2012、al-Ra’y, February 16, 2012、Reuters, February 16, 2012、などをもとに作成。

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