ダマスカス県内のモスクで金曜礼拝から出てきた市民を狙った爆弾テロが発生し6人が死亡、アレッポ県アイン・アラブ市ではクルド最高委員会の決定に背くかたちで反体制デモが断行される(2012年9月7日)

シリア政府の動き

SANA(9月7日付)は、ヒムス県のアフマド・ムニール・ムハンマド知事の話として、ヒムス市での軍・治安部隊と反体制武装勢力の戦闘の被害総額が6000億シリア・ポンドに相当する、と報じた。

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SANAなどシリアの各メディアは、金曜礼拝後の市民を狙った反体制武装勢力による爆弾テロが、ダマスカス県、ヒムス県、イドリブ県で多数発生したと大々的に報じ、アレッポ市から放逐されつつある反体制武装勢力の「劣勢」(優勢ではない)を暗に宣伝した。

国内の暴力

ダマスカス県では、SANA(9月7日付)によると、ルクンッディーン区のルカイナ・モスク近くで、反体制武装勢力が電動式自転車に仕掛けた爆弾が爆発し、市民と治安維持部隊兵士6人が死亡、多数が負傷した。

爆発は金曜礼拝から出てきた市民を狙ったものと思われる。

またマッザ区オートストラード・マッザにある裁判所と情報省の近くでも、反体制武装勢力が車に仕掛けた爆弾が爆発し、近くに駐車されていた車や周辺の建物が被害を受けた。

さらにヤルムーク区では、反体制武装勢力の砲撃によって多数の民間人が死傷、負傷者を搬出しようとした救急車両も発砲を受けた。

一方、シリア人権監視団によると、カッザーズ地区で軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦し、若者数十人が逮捕された。

SANA, September 7, 2012
SANA, September 7, 2012
SANA, September 7, 2012
SANA, September 7, 2012
SANA, September 7, 2012
SANA, September 7, 2012
SANA, September 7, 2012
SANA, September 7, 2012

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ヒムス県では、SANA(9月7日付)によると、またヒムス市では、バーブ・フード地区を占拠している反体制武装勢力がマイダーン地区を砲撃し、市民15人が負傷した。

またクサイル地方で軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追撃し、拠点を破壊、多数の戦闘員を殺傷した。

一方、シリア人権監視団によると、ヒムス市などが軍・治安部隊の砲撃に曝され、多数が負傷した。

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イドリブ県では、SANA(9月7日付)によると、イドリブ市ガルビー地区にあるシュアイブ・モスク近くで、反体制武装勢力が仕掛け爆弾を爆発させ、清掃労働者1人が死亡、子供を含む多数が負傷した。

またイドリブ市、アブー・ズフール町、ハーリム地方などで軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃、多数の戦闘員を殺傷した。

一方、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市、タフタナーズ市、バーラ村、タヒーナ市が軍・治安部隊の砲撃に曝され、多数が負傷した。

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アレッポ県では、SANA(9月7日付)によると、アレッポ市ブアイディーン地区、マイサル地区、バシュカーティーン村などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、甚大な損害を与えた。

一方、シリア人権監視団によると、離反兵1人がアレッポ市で死亡した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊の兵士数百人がバービッラー市に突入した。

またドゥーマー市では反体制武装勢力の戦闘員3人が殺害された。さらにハラスター市、ダイル・アサーフィール市では民間人の遺体16体が発見された。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ブーカマール市とダイル・ザウル市に軍・治安部隊が砲撃を加え、子供2人を含む3人が殺害された。

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『ハヤート』(9月8日付)は、反体制デモに数千人が参加したと報じた。

またフェイスブックでは「包囲されたヒムスはあなたたちに呼びかけている」金曜日と銘打って反体制デモが呼びかけられた。

クルド民族主義勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(9月7日付)によると、アレッポ県アイン・アラブ市(コバネ市)で6日晩から未明にかけて、クルド最高委員会の決定に背くかたちで反体制デモが実施された。

al-Kurdīya News, September 7, 2012
al-Kurdiya News, September 7, 2012
al-Kurdīya News, September 7, 2012
al-Kurdiya News, September 7, 2012

デモではアレッポ市シャイフ・マクスード地区に対する軍・治安部隊の空爆で死亡したクルド人(その後死者数は25人に増加)との連帯が訴えられた。

インターネットなどでは、反体制活動家が「徴兵拒否」の金曜日と銘打って反体制デモを呼びかけていた。

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西クルディスタン人民議会議長でクルド最高委員会メンバーのサイナム・ムハンマド女史はクルディーヤ・ニュース(9月7日付)に対して、「トルコはクルド地域に緩衝地帯を設置しようとしているが、我々はこれを拒否する。クルド最高委員会はこの問題に関して何の決定も下していない。しかし、それはクルド人民の利益に反する。なぜならクルド地域に自由シリア軍が入ってくるからだ」と述べた。

またクルド地域の自治を民主統一党が独占し、クルド最高委員会結成に関する合意を遵守していないとの(シリア・クルド国民評議会などからの)一部批判に関して、「それは正しくない。我々はシリア・クルド国民評議会と協力し、クルド最高委員会のもとに治安・福祉に関する委員会を設置する準備はできている…。しかしシリア・クルド国民評議会の側に落ち度や遅延が見られる」と述べた。

さらにアームーダー市などでの民主統一党の支持者とクルド人の調整との対立が激化していることに関して、「クルド人地域を窃盗や密輸から保護するという都市における問題に比べて微々たる問題」と答えた。

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クルド最高委員会は、トルコ西部イズミル県沖のエーゲ海での小型漁船沈没の犠牲者に哀悼の意を示すため、クルド旗の掲揚を呼びかけた。

レバノンの動き

LBCI(9月7日付)は、ベイルート県郊外のルワイス地区で軍がハサン・ミクダードら数名を逮捕した、と報じた。

ハサン・ミクダードはミクダード家連盟のマーヒル・ミクダード代表の弟で、トルコ人(アブデルバセト・オルソラン氏)の拉致への関与を疑われているという。

しかし、マーヒル・ミクダード代表は、ジャディード・チャンネル(9月7日付)に対して、「トルコ人の人質はルワイスでの戦闘の最中に姿を消した。我々は現在彼を拘束していない。彼の行方を捜索している」と述べた。

また逮捕時に銃撃戦が発生したことについては、「第三者が介入し、軍に発砲した」と述べた。

ムスタクバル・チャンネル(9月7日付)は、トルコ人質が解放され軍に保護されていると報じた(未確認情報)。

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『アフバール』(9月7日付)は、イランでの非同盟中立首脳会議に出席したミシェル・スライマーン大統領が、テヘランでシリアのワーイル・ナーディル・ハルキー首相、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣と会談し、テロ容疑で逮捕されたミシェル・サマーハ元情報大臣に関して意見を交わしたと報じた。

アリー・マムルーク国民治安会議議長と「アドナーン」という名の上級士官の関与が疑われている同事件をめぐる意見交換で、シリア側は「平静」「快活」だったという。

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アドナーン・マンスール外務大臣はアラブ連盟外相会議への参加を終え、レバノンに帰国、NBN(9月7日付)に対して、「レバノンはアラブ政治の迷路に入ることはなく、他者を攻撃する陣営を支持しないだろう」と述べ、シリア・バッシングを続ける湾岸諸国と与しないとの意思を示した。

諸外国の動き

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、シリア情勢に関して「一部の国は沈黙を護り、宗派的志向のみを理由として(アサド)体制(の弾圧)を奨励している」と述べ、イランを暗に批判した。

そのうえでエルドアン首相は「シリアで起きていることは、1332年前にカルバラーで起きたことと全く同じだ」と述べ、イマーム・フサインがウマイヤ朝のカリフ・ヤズィードの軍に殺されたように、アサド大統領が抹殺されてしかるべきとの常軌を逸した低俗な例え話を行い、宗派主義を唱導した。

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クウェートのワリード・タブタバーイー国会議員がシリアに不法入国し、イドリブ県サルマダー市でシリア人群衆を前に説法を行う映像がユーチューブ(9月7日付)にアップされた。

http://www.youtube.com/watch?v=iBbvoYzaZVs

Youtube, September 6, 2012
Youtube, September 6, 2012
Youtube, September 6, 2012
Youtube, September 6, 2012

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UPI(9月7日付)は、米国がトルコ領内の対シリア国境地域に諜報員、外交官を増員し、反体制勢力への指導を強化していると報じた。

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シリア訪問を終え、スイスに帰国した赤十字国際委員会のペーター・マウラー会長は、「アサド大統領は、救援物資の搬入を円滑化することで人道支援を早急に増加させる必要について同意した…。また政治犯の訪問について大統領は議論する準備があるようだ…。会談で得られた前向きな誓約はもちろんその実施の有無をフォローアップ・評価されねばならない」と述べた。

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国連難民高等弁務官は、シリア人非難民の急増を受け、シリアへの人道支援計画における予算割り当てが、4170万ドルとこれまでの支援額の倍に増やされたことを明らかにした。

AFP, September 7, 2012、al-Akhbar, September 7, 2012、Akhbar al-Sharq, September 7, 2012、al-Hayat, September 8, 2012、al-Jadeed, September 7, 2012、Kull-na Shurakaʼ, September
7, 2012、al-Kurdiya News, September 7, 2012、LBCI, September 7, 2012、al-Mustaqbal
TV, September 7, 2012、Naharnet.com, September 7, 2012, September 8, 2012、NBN,
September 7, 2012、Reuters, September 7, 2012、SANA, September 7, 2012、UPI,
September 7, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア外務省がエジプト大統領による前日の演説を「あからさまな内政干渉」であるとして非難、フランスが反体制武装勢力の支援のために対空砲などの供与を検討していると報じられる(2012年9月6日)

シリア政府の動き

シリアの外務在外居住者省は声明を出し、5日のアラブ連盟外相会議でのエジプトのムハンマド・ムルスィー大統領の演説に関して、「あからさまな内政干渉」と非難し、「シリア国内の暴力を煽ることを目的とした煽動の一種」と断じた。

またトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相に関して、「彼の政府がテロ集団への支援…を通じて、シリア国民へのあからさまなテロ行為を行っているなかで、シリアがテロ国家だと非難した」と反論した。

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ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣はシリア・アラブ・テレビ(9月6日付)で、エジプトのムハンマド・ムルスィー大統領が危機解決のイニシアチブを「自ら葬り去った」と非難、同大統領がシリア国内の流血を助長していると断じた。

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『クッルナー・シュラカー』(9月6日付)は、7月のダマスカス県でのアースィフ・シャウカト副参謀長らが犠牲となった爆破テロで死亡したと噂されているアミーン・シャラービー少将(国民安全保障会議副議長)が死亡していないと報じた。

シャラービー少将は事件後、解任され、国民安全保障会議副議長にはアブドゥルファッターフ・クドスィーヤ総合情報部第2次長が就任した、という。

国内の暴力

ダマスカス県では、『ハヤート』(9月7日付)によると、ヤルムーク区で迫撃砲による砲撃がありパレスチナ人20人が死亡した。

またシリア人権監視団によると、カダム区で、軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。また同地区では市民2人が拉致、処刑された。

一方、地元調整諸委員会とシリア革命総合委員会は、アサーリー地区、カダム区が軍・治安部隊の砲撃を受けたと発表した。

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アレッポ県では、SANA(9月6日付)によると、アレッポ市のブスターン・バーシャー地区、スライマーン・ハラビー地区、マサーキン・ハナーヌー地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」への掃討を継続し、多数の戦闘員を殺傷した。

またサイフ・ダウラ地区では、反体制武装勢力が仕掛けた爆弾多数を発見、撤去した。

一方、クルディーヤ・ニュース(9月6日付)によると、アレッポ市シャイフ・マクスード地区への軍の空爆で、16人が死亡した。犠牲者のほとんどがクルド人だという。

シリア人権監視団によると、アレッポ市アンサーリー地区で市民1人が狙撃され、死亡した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(9月6日付)によると、ダイル・アサーフィール市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」への掃討を継続し、多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、SANA(9月6日付)によると、ハーリム市、イドリブ市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」への掃討を継続し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(9月6日付)によると、ヒムス市のバーブ・フード地区、カルアト・ヒスン市、ダイル・バアルバ市、ナザーリーヤ村、ハウラ地方などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」への掃討を継続し、甚大な打撃を与えた。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、対ヨルダン国境で激しい爆発音が複数回聞こえ、時を一にしてタッル・シハーブ町に「兵士数百人が戦車20輌に援護されて突入し、奪還した」。

一方、SANA(9月6日付)によると、ウンム・ワラド村などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と応戦、戦闘員複数名を殺傷、逮捕した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、カフルズィーター市で軍・治安部隊の砲撃により離反兵1人を含む3人が死亡した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市で反体制武装勢力の戦闘員1人を含む3人が死亡した。

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AFP(9月6日付)は、ダマスカス県・ダマスカス郊外県およびゴラン高原に駐留する共和国護衛隊の(精鋭)部隊を対トルコ国境地域に展開した、と報じた。

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アレッポ市での戦闘に関して、AFP(9月6日付)は、サイフ・ダウラ地区を攻略した共和国護衛隊少将が、iPadを携帯し、グーグル・アースで同地区の家々を表示、また反体制勢力の通信を傍受するための機器を使用し、前線の士官に指示を出していた、と報じた。

この少将は、士官に対して、「四つ先のブロックまで前進しろ。ただし、右側には発砲するな。彼らを包囲するためこちらの地区から別の部隊を送ったから」と指示をだしていた、という。

同報道によると、アレッポ市での反体制武装勢力の掃討は、砲撃を継続した後に部隊が突入したのとは異なり、戦車やヘリコプターによる砲撃と並行して地上部隊が進軍しており、「真の地上戦」を行っている、という。

なおアレッポ市に8月以降展開している共和国護衛隊の部隊はもっとも装備に優れ、戦闘能力の高い部隊だという。

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反体制武装勢力のアレッポ市の街区の進入と制圧の経緯に関して、AFP(9月6日付)は異なる二つの見解を紹介した。

Naharnet.com, September 6, 2012
Naharnet.com, September 6, 2012

第1の見解は、イドリブ県での戦闘を逃れて、戦闘員がまず進入し、その後に装備を搬入、さらに妻子も呼び寄せたというもの。第2の見解は、ムハンマド・ムフリフ少将(ムハーバラートの高官)が反体制武装勢力に都市進入の「カギ」を与え、同少将はその後、トルコに脱走しようとしたが、殺害されたというもの。

反体制勢力の動き

地元調整諸委員会は、トルコ西部イズミル県沖のエーゲ海での小型漁船沈没で死亡したアラブ人のなかに、地中海から300キロ以上離れた内陸のハサカ県から国外に避難しようとていたシリア人約60人が乗っていたと発表した(未確認情報)。

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ダマスカス刑事保安局(通称バーブ・ムサッラー地区支部)のアワド・アフマド・アリー准将がアラビーヤ(9月6日付)に出演し、離反を宣言した。

 

 

レバノンの動き

Naharnet.com, September 6, 2012
Naharnet.com, September 6, 2012

レバノンのマロン派のビシャーラ・ラーイー総大司教はAFP(9月6日付)に対して、「我々(キリスト教徒)がシリアの体制を支持ししていると言う西欧人に言いたいのは、我々が体制ではなく国家を支持しているということだ…。イラクでサッダーム・フセインが排除され、100万のキリスト教徒が失われた…。なぜか?体制が倒れたからではなく、政府がなくなり、真空が生じたからだ…。シリアでも同じだ。キリスト教徒は体制崩壊後に生じる事態を恐れている」と述べた。

諸外国の動き

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はRT(9月6日付)に対して、「なぜロシアだけが(シリアへの)姿勢を再検討しなければならないのか?我々のパートナー(西側)も彼らの姿勢を再検討しなければならない」と述べ、アサド大統領を初め「国内の政治プロセスに参加する全員の身の安全を保障」すべきだと述べた。

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「アフバール・シャルク」(9月6日付)は、フランス外交筋の話として、フランスが他の西欧諸国とともに、反体制武装勢力が「解放」(占拠)した地域の自治を支援するため、対空砲などの供与を検討するだろうと述べた、報じた。

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シリア人権委員会は、イラクに避難し、拘束された離反兵をはじめとするシリア人複数名をイラク政府がシリアに追放しようと検討していると発表した。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、ナースィル・カドワ・シリア危機担当国連・アラブ連盟副代表、オマーンのユースフ・ベン・アラウィー外務大臣とアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表の任務とシリア情勢について協議した。

会談で、アラビー事務総長は、ブラーヒーミー共同特別代表の任務に関して、任務遂行のため充分な時間を与えるべき、との立場を示した。

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ヨルダンのファーイズ・タラーウィナ首相は、シリアからの避難民の急増に関して、「我々の能力と予想を超えている」と述べた。

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クラスター爆弾連合は2011年3月以降の反体制運動弾圧の画像・写真などの資料をもとに、シリア政府がクラスター爆弾を使用していると発表した。

AFP, September 6, 2012、Akhbar al-Sharq, September 6, 2012, September 7, 2012、Alarabia.net, September 6, 2012、al-Hayat, September 7, 2012, September 8, 2012、Kull-na Shurakaʼ, September 6, 2012、al-Kurdiya
News, September 6, 2012、Naharnet.com, September 6, 2012、Reuters, September
6, 2012、SANA, September 6, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アサド大統領が赤十字国際委員会使節団と会談し中立的人道活動への歓迎の意を表明、自由シリア軍「ファールーク北部大隊」がバーブ・ハワー通行所でジハード主義者の外国人を殺害(2012年9月4日)

シリア政府の動き

アサド大統領は赤十字国際委員会のペーター・マウラー会長ら委員会使節団とダマスカスで会談した。

Tishrīn, September 5, 2012
Tishrin, September 5, 2012

SANA(9月4日付)によると、会談では委員会とシリア政府の協力関係について協議がなされた。

アサド大統領は会談で、委員会によるシリア国内での中立的な人道活動を歓迎するとの意思を示した。

会談にはファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣、フサームッディーン・アーラー外務在外居住者省組織局長、アブドゥッラフマーン・アッタール・シリア赤十字社会長が同席した。

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ロイター通信(9月4日付)は、複数の予備役兵や士官の話として、アサド政権が予備役兵多数を召集している、と報じた。

シリア軍の予備役兵の数は30万人に達する。

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『ハヤート』(9月4日付インターネット版)は、「ラーシドゥーン」を名のるグループがジャズィーラ・チャンネルのホームページをハッキングした。

ハッキングされたページには、「シリア(国民と政府)に対するおまえたちの姿勢、そして武装テロ集団に対する特別の支援、ねつ造された嘘のニュースを発信したことへの報復として」とのメッセージとシリア国旗が映し出された。

al-Hayat, September 5, 2012
al-Hayat, September 5, 2012

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ダマス・ポスト(9月4日付)は、国内外の反体制勢力との包括的国民対話会合開催に関する合意が成立し次第、恩赦を実施するだろうと報じた。

国内の暴力

アレッポ県では、『ハヤート』(9月5日付)などによると、軍・治安部隊が3日晩に奪還したアレッポ市のサイフ・ダウラ地区を記者団に公開した。

同地区に入った記者団に同行した軍の大佐は、「戦闘は非常に厳しかった。なぜならテロリストが街区の両脇の高台に位置する商業地区を占拠していたからだ」と『ハヤート』(9月5日付)などに語った。

また別の士官は、「土曜日にサイフ・ダウラ地区の高台を制圧したことで、アレッポ解放の戦況は変わった。我々はこの地域を2日以内に完全に制圧するだろう…。また10日でアレッポを制圧する…。もっとも達成が難しい任務は完了した。なぜなら(制圧されていない)残された建物はいずれに2~3階建てで、我々は迅速に進軍できるだろう」と語った。

さらに別の士官は、反体制勢力が拠点としていたアパートで押収したというノートを持って記者団に近寄り、そこに記されていた戦闘員の氏名、国籍などを示した。

それによると、戦闘員の半数が、リビア人、トルコ人、チュニジア人、チェチェン人、イエメン人だったという。

一方、『ティシュリーン』(9月5日付)によると、アレッポ市サイフ・ダウラ地区各所などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追撃し、甚大な打撃を与えた。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団が軍・治安部隊との激しい戦闘の末、ダイル・ザウル市フアード映画館通りにある軍事情報局施設を制圧した。

この戦闘により、反体制武装勢力の戦闘員2人、軍・治安部隊兵士8人が死亡した、という。

一方、『ティシュリーン』(9月5日付)によると、ダイル・ザウル市内各所で軍・治安部隊が反体制武装勢力の武装した車輌2台を押収した。

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ダマスカス郊外県では、『ティシュリーン』(9月5日付)によると、ムライハ市で軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」の掃討を継続し、多数の戦闘員を殺傷、逮捕、武器弾薬を押収した。

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ダルアー県では、『ティシュリーン』(9月5日付)によると、マアルバ町で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

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イドリブ県では、『ティシュリーン』(9月5日付)によると、アブー・ズフール市、アリーハー市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追撃し、甚大な打撃を与えた。

また国境警備隊はトルコ領からヒルバト・ジャウズ村に潜入しようとした戦闘員と交戦、撃退した。

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ハマー県では、『ティシュリーン』(9月5日付)によると、アルファーン市で軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトを攻撃し、戦闘員2人を殺傷した。

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ヒムス県では、『ティシュリーン』(9月5日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、バーブ・トゥルクマーン地区、タッルカラフ市郊外で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、複数の戦闘員を殺傷した。

またレバノン領からタッルカラフ地方に潜入しようとした戦闘員を国境警備隊が撃退した。

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ラタキア県では、『ティシュリーン』(9月5日付)によると、バラータ村で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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アッシリア人権ネットワークなる反体制組織は、ヒムス市郊外のブスターン・ディーワーン地方にある聖母教会が軍の砲撃を受け、甚大な被害を被ったと発表した。

Kull-na Shuraka', September 4, 2012
Kull-na Shuraka’, September 4, 2012

http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=-qN-DdyhzUw

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『ハヤート』(9月4日付)はシリア情勢を研究するワリード・ジダーウ氏が現地調査を行い、2011年3月以降の混乱による被害総額が365億米ドルに達すると評価したと報じた。

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シリア・ステップス(9月4日付)は、アレッポ市やダマスカス県などの学校に避難している市民の数が35万人を越え、また2,000の学校が戦闘の被害を受けていると報じた。

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『アフバール・シャルク』(9月4日付)は、アレッポ市サーフール地区で反体制武装闘争を行う活動家の話として、アレッポ市内で食糧品が不足している、と報じた。

反体制勢力の動き

レバノン・イスラーム報道監視団のヤースィル・スィッリー代表は『クドス・アラビー』(9月4日付)などに対して、アレッポ県の対トルコ国境に位置するバーブ・ハワー国境通行所でシリア人の反体制武装勢力戦闘員が外国人のジハード主義者と交戦し、イスラーム国シューラー会議議長のアブー・ムハンマド・シャーミー・アブスィー博士を暗殺したことを明らかにした。

Kull-na Shuraka', September 4, 2012
Kull-na Shuraka’, September 4, 2012

暗殺したのは、自由シリア軍の「ファールーク北部大隊」なる武装勢力で、15人の戦闘員が3日に暗殺を実行、ナイフで斬り殺されたという。

同報道によると、アブスィー博士が率いる外国人ジハード主義者の部隊は依然としてバーブ・ハワー国境通行所を占拠しており、その数はフランス人記者によると約150人におよぶ、という。

複数の消息筋によると、アブスィー博士はイドリブ県タッル・カラーマ地方出身のシリア人で、遺族は遺体の引き取りを拒否しているという。

レバノンの動き

アリー・アブドゥルカリーム・アリー駐レバノン・シリア大使はマナール・チャンネル(9月4日付)に対して、3月14日勢力がミシェル・スライマーン大統領に提出した覚書(シリア大使追放の請願書)を「実現不可能」で「非現実的」と一蹴した。

諸外国の動き

中国外交部報道官は記者団に対して、「我々は常に、唯一の正しい道が危機の政治解決でなければならないと考えている。現在情勢は悪化しているが、事態が悪化するたびに、統一的な姿勢の必要は増している」と述べた。

またアサド政権による化学兵器使用の可能性を非難する西側諸国の姿勢を受け、「中国はいかなる国であっても、化学兵器を開発・製造・使用することに厳しく反対している」と述べた。

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インテルファクス通信(9月4日付)は、軍消息筋の話として、ロシア海軍がタルトゥース港の海軍基地から「この夏に」兵士の退避を検討していたが、退避措置に踏み切るほど事態が悪化していないと判断した、と報じた。

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UNHCRは10万人以上のシリア人が8月だけで戦果を逃れ、近隣諸国に避難した、と発表した。

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エジプトの首都カイロでは、『ティシュリーン』(9月5日付)によると、反体制活動家約100人がシリア大使館に侵入しようとして、エジプトの治安部隊と衝突、複数の治安要員が負傷した。

同報道によると、活動家らは、治安部隊に対して火焔ビンや石を投げて破壊行為を行おうとした、という。

AFP, September 4, 2012、Akhbar al-Sharq, September 4, 2012、Damas Post, September 4, 2012、al-Hayat, September 4, 2012, September 5, 2012、Kull-na Shurakaʼ, September 4, 2012、al-Kurdiya
News, September 4, 2012、Naharnet.com, September 4, 2012、al-Quds al-ʻArabi, September 9, 2012、Reuters, September 4, 2012、SANA, September 4, 2012、Syria
Steps, September 4, 2012、Tishrīn, September 5, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ズウビー情報大臣が記者会見でブラーヒーミー共同特別代表への全面支援を約束、トルコ南東部シルナク県でPKKとトルコ軍が交戦(2012年9月3日)

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、バーブ市で、戦闘機の空爆により市民が避難していたとされるビルが破壊され、中にいた18人が死亡した。

またこれ以外にも軍・治安部隊の砲撃で合わせて50人以上が死亡したという。

SANA, September 3, 2012
SANA, September 3, 2012
SANA, September 3, 2012
SANA, September 3, 2012

一方、SANA(9月3日付)によると、アレッポ市サイフ・ダウラ地区、アンサーリー地区内、ハナーヌー地区、ブスターン・バーシャー地区、マアーディー地区、マルジャ地区、バーブ・ナスル地区などの各所で軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」と交戦し、多数の戦闘員を殺害し、大量の武器弾薬を押収した。

また郊外のカフルハムラ村でも、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」と交戦し、戦闘員が乗っていた車などを破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ジャルマーナー市近くのダウワール・ワフダで爆弾が仕掛けられた車が爆発し、少なくとも5人が死亡、27人が負傷した。

なおSANA(9月3日付)によると、負傷者数は23人。

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ハマー県では、SANA(9月3日付)によると、ハマー市フィラーヤ地区で軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトを攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、逮捕、武器弾薬を押収した。

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ラタキア県では、SANA(9月3日付)によると、ハッファ地方のドゥーリーン村、ハズリーン村、カフルダルバ村で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員を殲滅した。

また同地方のカフリーヤ村、ズーバール村、ブルジュ・カスブ村などでも軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(9月3日付)によると、ハウラ地方のブルジュ・カーイー村、東ブワイダ市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

またヒムス市ハーリディーヤ地区でも軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトを攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ハサカ県では、SANA(9月3日付)によると、軍・治安部隊がダイル・ザウル県方面から反体制武装勢力をシダーディー地方で要撃し、2人を殺害、3人を逮捕した。

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ロイター通信(9月3日付)は、反体制活動家の話として、約1万人のシリア人が過去1週間にわたってトルコ当局によって、トルコ領内(キリス)への避難を阻止されている、と報じた。

またトルコへの避難ルートの途上に位置するアアザーズ市(人口約7万人)は反体制武装勢力が占拠していると言われるものの、軍・治安部隊により連日砲撃に曝されており、半分以上の住民が市外に避難している、という。

シリア政府の動き

ウムラーン・ズウビー情報大臣は、記者会見を開き、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表への全面支援を約束した。

また西側諸国による「緩衝地帯」設置の動きに関しては、「シリア領への敵対行為」と断じ、「いかなる者が主権に抵触しようと、我々は報復し、その手を切り落とし、高い代償を払わせるだろう」と述べた。

そのうえで「必要なのは武器・資金援助の停止、武装集団流入阻止、煽動放送の停止、そして治安回復を受けたかたちでの包括的国民対話の開始」と述べた。

さらに「アフダル・ブラーヒーミー共同特別特使が成功する条件は、一部の国、すなわちカタール、サウジアラビア、トルコがアナン前特使の6提案を成功させることを正式に誓約し、直ちに武器供与を停止し、戦闘員たちに対して国境を閉鎖し、訓練・避難キャンプを閉鎖することだと考える」と強調した。

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シリア軍の少佐はAFP(9月3日付)に対して、「軍はアレッポを10日以内に制圧するだろう。それに先だってまず、サラーフッディーン地区を制圧し、続いてサイフ・ダウラ地区をまさに制圧しようとしている…。この二つの地区は地理的な理由でもっとも困難な地区だった…。他の地区の制圧はずっと容易だ」と述べた。

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シリアの財務省はテロ撲滅法第4条に基づき、マナーフ・トゥラース准将とその家族の資産を凍結した。UPI(9月3日付)が報じた。

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AKI(9月3日付)は、新学期開始(9月16日)を間近に控え、軍・治安部隊と反体制武装勢力の戦闘を避け、学校で避難生活を送る人々が当局から退去の警告を受けている、と報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(9月3日付)は、ファフド・ジャースィム・フライジュ国防大臣がキリスト教徒、ドゥルーズ派、イスマーイーリー派、アラウィー派、クルド人といったマイノリティの予備役のみを召集するよう指示を出したとの宗派主義的な報道を流した。

またダマスカスの複数の消息筋の話として、内閣がスンナ派の公務員をキリスト教徒、クルド人、ドゥルーズ派、イスマーイーリー派に優遇させようとしている、と報じた。

反体制勢力の動き

ロンドンで活動する反体制組織のシリア人権監視団は、8月の死者数が5,440に上り、死者総数が26,283人に達したと発表した。

8月の犠牲者の内訳は、民間人4,114人、離反兵105人、軍兵士1,221人。

また犠牲者総数の内訳は、民間人18,695人、離反兵1,079人、軍兵士6,509人。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長はスペインのガルシア=マルガリョ外務大臣と会談し、民間人保護のための「早急な軍事介入」を改めて呼びかけた。

クルド民族主義勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(9月3日付)は、ハサカ県カーミシュリー市でPKK系の民主統一党の傘下団体である西クルディスタン青年機構が、市民的不服従を呼びかけるデモを行い、数百人の若者が参加した。

しかし、シリア・クルド国民評議会の支持者は参加しなかった。

デモはハサカ県で治安当局が兵役逃れをしているクルド人青年約1,000人を拘束したことへの抗議行動。

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シリア・クルド国民評議会は声明を出し、事務局定例会合でクルド最高会議に関して審議し、同委員会の枠内で共同の政治ビジョンを確定し、具体的な活動を行うことの必要を確認したと発表した。

レバノンの動き

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長がマヤーディーン・チャンネル(9月3日付)のインタビューに応じ、シリア情勢などについて語った。

主な発言内容は以下の通り。

「(シリア国内で)多くの犠牲者が出てしまった今でも、シリアで政治的和解と対話は可能だ…。20万人が殺されたレバノンが良い例になるだろう」。

「サウジアラビア、トルコ、カタール、エジプトといった関係国は、シリアの対話を支持しなければならない。合理的な解決策とは戦闘を終わらせ、対話に入ることで、我々はみなそうした動きを擁護するだろう」。

「シリアでの武装反乱を支援するアラブの国は、バッシャール・アサド大統領にイスラエルに脅威を及ぼすことを止め、イランやヒズブッラーとの関係を絶つよう求めた。あるサウジ高官は、イラン高官にバーレーンでの解決策は、人々が家に帰ることだと語った。我々は、シリアの体制が変化を経験してはいけないなどと言っていない…シリアの体制は進んで対話を行おうとしており、改革しようとしている。(他のアラブ諸国の反体制運動を支持している一方でアサド政権を支持するという)我々のスタンスが異なるのはまさにこのためで、シリアの体制が(他の国とは)異なっているからだ」。

「シリアへの軍事介入の結果は予想できないし、保障もできない。米国人がシリアでの事態収拾を望んでいるなどと誰が言ったのか?米国は危機がシリアで長引き、国全体が破壊されることを望んでいる…米国はシリアの現状に満足しているし、イスラエルの夢は地域が混沌とすることだ」。

「シリアでの出来事を宗派的な次元で見ることは深刻な誤りである…。宗派主義はシリアを破壊し、分断するだけだ」。

(レバノン人巡礼者の拉致に関して)「もしレバノンのシーア派とのよい関係を望むのなら、あのようにするべきではないし、特定の集団に圧力をかけてその意見を変えさせるために無実の人々を利用すべきでない」。

「シリアに対する何らかの立場を我々に納得させたい人がいるのなら、我々はそのことについて議論する準備はある。しかし人質をとって、その家族に圧力をかけ、我々の立場を変えさせようとするのは合理的でない」。

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ムスタクバル潮流のフアード・スィニューラ元首相はミシェル・スライマーン大統領と会談し、アリー・アブドゥルカリーム・アリー駐レバノン・シリア大使の国外追放を求める請願書を手渡した。

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ナジーブ・ミーカーティー首相はミシェル・フーリー駐シリア・レバノン大使と会談し、シリア軍による最近のレバノン領侵犯(砲撃)に関して協議した。

会談でミーカーティー首相はフーリー大使に、シリアの外務在外居住者に砲撃が両国国境地域の安定に「マイナスの影響」を与えることを警告した緊急のメッセージを伝えるよう指示した。

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UNIFILのアンドレア・テネンティ報道官は、レバノン政府はUNIFILに対して対シリア国境管理の支援を要請することが可能だ、と述べた。

諸外国の動き

ロイター通信(9月3日付)は、トルコの複数の治安消息筋の話として、南東部の対シリア国境に位置するシルナク県でPKKとトルコ軍が交戦し、双方に死傷者が出たと報じた。

戦闘は続いており、トルコ治安部隊が少なくとも8人負傷した、という。

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表は、BBC(9月3日付)に対して、「(自身の)ミッションがいかに困難かを知っている…。ほぼ不可能であるということだ。しかし不可能だとう言うことはできず、あくまでも、ほとんど不可能だと言う」と述べた。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は英国下院で、シリアの反体制勢力統一に向けた支援の一環として、自由シリア軍の代表者との接触を外務省に許可したと証言した。

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英国のアリスター・バート中東問題担当大臣は、シリア領内の対トルコ国境地域への緩衝地帯設置の是非に関して、「さらなる衝突や紛争の機会を作り出すであろうから…、こうした地域について真剣に話すことはまだできない」と述べた。

またシリアへの軍事介入の可能性については、「いかなる状態になっても軍事介入がないと考える者は間違っている…。しかし我々はその段階に至っていない」と述べた。

一方、反体制勢力に関しては、「統一的な姿勢・メッセージを持つにいたる能力を欠いている」としつつ、「体制崩壊後を準備するための外交的、政治的努力を怠ることは間違えだ」と引き続き支援する意思を示した。

これに関連して、バート中東問題担当大臣は反体制勢力への武器供与は否定したが、シリア国内の軍事勢力・諜報機関の存在に関してはコメントしなかった。

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『ハヤート』(9月4日付)は、サウジアラビアのトゥルキー・ブン・タラール皇太子のイニシアチブにより、ヨルダンのラムサー市のアブドゥッラー国王公園に臨時の避難施設を設営し、シリア人避難民数百人が収容されたと報じた。

AFP, September 3, 2012、Akhbar al-Sharq, September 3, 2012, September 4, 2012、AKI, September 3, 2012、al-Hayat, September 4, 2012、Kull-na Shurakaʼ, September 3, 2012, September 5, 2012、al-Kurdiya News, September 3, 2012、al-Mayadeen, September 3, 2012、Naharnet.com, September 3, 2012, September 4, 2012、Reuters, September 3, 2012、SANA, September 3, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダマスカス県で自由シリア軍の「使徒末裔旅団」が軍参謀本部施設を標的に作戦を実施、GCC定例外相会合では「シリアの治安、安定、統合を維持したかたちでの平和的移行実現の重要性」が強調される(2012年9月2日)

国内の暴力

ダマスカス県では、自由シリア軍の「使徒末裔旅団」なる組織が、軍参謀本部施設を標的に作戦を実行したと発表した。

SANA, September 2, 2012
SANA, September 2, 2012

軍参謀本部は8月15日にも爆破事件が発生したダーマーローズ・ホテルの近くに位置している。

一方、SANA(9月2日付)は、アブー・ルンマーナ地区のマフディー通りにある「護衛大隊」の近くで仕掛け爆弾2発が爆発し、この「テロ行為」で4人が負傷したと報じた。

『ハヤート』(9月3日付)などによると、標的となった「護衛大隊」は、ウマウィーイーン広場近くの参謀本部に配置されていたという。

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同じくダマスカス県では、シリア人権監視団によると、バサーティーン・マッザ区に軍の戦車が展開し、逮捕・摘発活動を行った。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市内の軍事情報局施設と軍警察施設近くで軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

また同市内東部でも戦闘があり、少なくとも1人が死亡、ブーカマール市でも2人死亡した。

一方、『ティシュリーン』(9月3日付)によると、ダイル・ザウル市内で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員数十人を殺傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市イザーア地区、サーフール地区、シャッアール地区、マサーキン・ハナーヌー地区、ブライジュ村、ウンム・ハルザ村が軍・治安部隊の砲撃を受け、多数が負傷、家々が破壊された。

地元調整諸委員会によると、この攻撃で少なくとも市民4人が負傷した。

一方、『ティシュリーン』(9月3日付)によると、アレッポ市マルジャ地区、ダウワール・アグユール地区、マイダーン地区、ナーディー・ハラブ地区、ダウワール・バーブ・ハーウーズ地区、旧市街、バルクーム地区、ブスターン・バーシャー地区、シャイフ・ナッジャール市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の「浄化」を継続し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ヤルダー市で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、軍兵士多数が死傷した。

また同監視団によるとカフルバトナー町で処刑された3人の遺体が発見された。

さらに、スバイナ町で爆発が発生し、子供1人を含む市民5人が死亡した、という。

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ヒムス県では、地元調整諸委員会によると、クサイル市が軍・治安部隊の激しい砲撃を受け、パンの直売所が1カ所が破壊され、もう1カ所が軍に制圧された。

またシリア人権監視団によると、ヒムス県各地での攻撃で、少なくとも1人が死亡した。

一方、SANA(9月2日付)によると、タッルカラフ地方で軍・治安部隊がレバノンからの潜入を試みた反体制武装勢力を撃退した。

またヒムス市バーブ・フード地区で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員数十人を殺傷、甚大な損害を与えた。

さらに『ティシュリーン』(9月3日付)によると、ヒムス市ワーディー・サーイフ地区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力を攻撃し、多数の戦闘員を殺害した。

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アクス・サイル(9月3日付)は、自由シリア軍がヒムス県クサイル市の公立病院を制圧するための大規模作戦を実行したと報じた(未確認情報)。

同報道によると、作戦はこれまでのなかで「最大規模」で、攻略にあたって、自由シリア軍は全長200メートルのトンネルを堀り、病院施設内の軍・治安部隊の検問所を爆破、「軍・治安部隊、シャッビーハ100人以上を殺害し、成功させた」という。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、アブー・ズフール町周辺で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

一方、『ティシュリーン』(9月3日付)によると、ザーウィヤ山で軍・治安部隊が反体制武装勢力を逮捕した。

またサルキーン市郊外で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

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ハマー県では、SANA(9月2日付)によると、アルファーン地方北部で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員全員を殺害し、武器を押収した。

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ダルアー県では、『ティシュリーン』(9月3日付)によると、カルファー村、フラーク市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を死傷、逮捕した。

シリア政府の動き

『クッルナー・シュラカー』(9月2日付)は、ラーミー・マフルーフ氏の一家に近い消息筋の話として、同氏の息子が、同い年の米国籍の青年のパスポートで米国に避難している、と報じた。

この青年とは、マフルーフ家の子息の教育係であるカロリン・シャーウィー女史の息子でマフルーフ氏の息子と同い年だという。

事実確認はとれていない。

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ジハード・マクディスィー外務在外居住者省報道官はNBN(9月2日付)に対して、非同盟諸国首脳会議でのエジプトのムハンマド・ムルスィー大統領の「革命支持」発言を「かなり失望した。ムルスィー大統領は同胞団というバックグランドがあるにせよ、極めて重要なアラブの国の元首だ。時間の経過とともに大統領の器量と現実的態度が増すとよいのだが」と述べた。

またアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表に関しては、「シリアを近く訪れるだろう。彼は歓迎されている…。我々は彼に耳を傾けるし、彼も我々に耳を傾けるだろう」と述べた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のムンズィル・マーフース渉外局長は、民主的変革諸勢力国民調整委員会に関して、「(シリア国民評議会には)合流しない。なぜなら彼らは政府と対話できると幻想しているから」と批判した。

Naharnet.com, September 2, 2012
Naharnet.com, September 2, 2012

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シャーム・ウラマー連盟は声明を出し、アサド政権の正統性を否定、政権との戦いを「ジハード」とみなすとの見解を示した。

声明によると、連盟には、アドナーン・サカー、ジャマールッディーン・サイラワーン、サーリヤ・リファーイー、アフマド・ムアーッズ・ハティーブ、ムハンマド・ラーティブ・ナーブルスィー、アブドゥルカリーム・バッカール、マムドゥーフ・ジュナイドなど70人のシャイフ、ウラマーが参加している、という。

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Syria News(9月3日付)は、シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン前事務局長が、「暫定政府が結束し、国民が供給するレベルまで向上できるよう、評議会において真剣な努力が行われている」と述べたと報じた。

またガルユーン前事務局長は、暫定政府樹立のための交渉を他の反体制組織・活動家と行っていることを認めるとともに、マーリフ弁護士(シリア革命評議会暫定政府首相)に関して「暫定政府に参加するだろうが、同政権における役割を話すのは時期尚早だ」述べた、という。

さらに今月にモロッコで予定されているシリアの友連絡グループ会合では、シリア国民評議会のメンバーを400人に拡大することの是非が審議されることを明らかにした。

諸外国の動き

GCCは定例外相会合を開き、閉幕声明で、「シリアの治安、安定、統合を維持したかたちでの平和的移行実現の重要性」を強調するとともに、「重火器を使用した政権による殺戮・虐殺継続」を非難した。

またレバノン情勢の不安定化に関しても言及、「すべての当事者に国益を優先させ、レバノンの治安、安定を乱し、シリアの危機と一体化させるような試み」を回避するよう呼びかけた。

一方、テヘランでの非同盟中立諸国首脳会談でのペルシャ語の翻訳で、エジプトのムハンマド・ムルスィー大統領の演説のシリアに関する批判をバーレーンに関する批判として「誤訳」されたことを強く批判した。

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CIAのデヴィッド・ペトレイアス長官がトルコのイスタンブールに到着した。『ハヤート』(9月4日付)などによると、トルコの治安当局高官とシリア危機、対テロ対策などについて協議するという。

AFP, September 2, 2012、Akhbar al-Sharq, September 2, 2012、ʻAks al-Sayr, September 3, 2012、al-Hayat, September 3, 2012, September 4, 2012、Kull-na Shurakaʼ, September 2, 2012,
September 3, 2012、al-Kurdīya News, September 2, 2012、Naharnet.com, September
2, 2012、NBN, September 2, 2012、Reuters, September 2, 2012、SANA, September
2, 2012、Syria News, September 3, 2012、Tishrīn, September 3, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イランで開催されていた非同盟中立首脳会議が閉幕、シリア国民評議会が暫定政府発足に向け組織拡大と「民主的」な指導者選出の仕組みの修正を行うことを発表(2012年9月1日)

シリア政府の動き

ダマスカス・ティシュリーン軍事病院の委員長は、AFP(9月1日付)に対して、「私の見積もりでは、危機開始以降、軍・治安部隊兵士8,000人以上が殺害されている」と述べた。

一方、ロンドンを拠点とする反体制組織のシリア人権監視団は、犠牲者25,000人のうち6,500人が軍・治安部隊兵士だと発表している。

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シリア内閣府(統計局)は、2012年第1四半期の観光客数が前年と比べて76.4%、ホテル宿泊者数が76.6%落ち込んだと発表した。

また観光収入も52,000,000,000シリア・ポンドから12,800,000,000シリア・ポンドと75.4%落ち込んだという。

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SANA(9月1日付)は、ダマスカス県、ダマスカス郊外県、アレッポ県、ヒムス県、ハマー県、ダルアー県、タルトゥース県での「最近の事件」に関連して逮捕された逮捕者のうち、殺人を犯していない341人を釈放したと報じた。

釈放者の地域別内訳はダマスカス県・ダマスカス郊外県が225人、アレッポ県が50人、ヒムス県が23人、ハマー県が19人、ダルアー県が19人、タルトゥース県が5人。

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カドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣は、変革解放人民戦線として声明を出し、ミシェル・キールー氏ら反体制活動家の資産凍結に関して、国民対話に資さないと疑義を呈した。

国内の暴力

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ブーカマール市で反体制武装勢力が空軍大隊基地内にある防空施設を襲撃・制圧し、士官ら少なくとも16人を拉致、対空ロケット弾多数を確保した。

同監視団のアリー・アブドゥッラフマーン代表はAFP(9月1日付)に対して、制圧した施設を「最重要施設」と評した。

また同監視団によると、反体制武装勢力はブーカマール市内にあるハマダーン航空基地も攻撃した。

しかし制圧には失敗した。

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同じく、ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ブーカマール市で軍・治安部隊の砲撃で少なくとも5人が死亡した。

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アレッポ県では、反体制武装勢力によると、アレッポ市で軍・治安部隊が戦闘機と戦車を投入して、ハナーヌー地区、ブスターンカスル地区、スッカリー地区を攻撃した。

またシリア人権監視団によると、アレッポ市サラーフッディーン地区で2人が殺害された。

一方、SANA(9月1日付)によると、アレッポ市のカッラーサ地区、バーブ・アンターキヤー、マルジャ地区、サイフ・ダウラ地区で軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」と交戦し、殺害した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区で4人が射殺された。またカダム区で身元不明の遺体1体が発見された。

一方、SANA(9月1日付)によると、反体制武装勢力が軍医のターヒル・サビーラ准将をルクンッディーン区で暗殺した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、カフルバトナー町、フタイタト・トゥルクマーン市で身元不明の遺体17体が発見された。

一方、SANA(9月1日付)によると、スバイナ町で、反体制武装勢力が仕掛けた爆弾が爆発し、市民15人が死傷した。

またザマルカー町、ハッザ町で軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」と交戦し、殺害した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、スーラーン市、ムーリク市で反体制武装瀬領が軍・治安部隊の検問所を襲撃し、軍兵士少なくとも4人を殺害した。

一方、SANA(9月1日付)によると、シャフルナーズ地方、フワイズ地方で軍・治安部隊が反体制武装勢力を攻撃し、甚大な被害を与えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団にようと、ハーリム市の軍・治安部隊の検問所を反体制武装勢力が襲撃し、軍兵士少なくとも9人を殺害した。

一方、SANA(9月1日付)によると、ハーリム市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、トルコに放逐した。

またバーリーシャー山一帯の反体制武装勢力の複数のアジトを襲撃・破壊、さらにアリーハー市での「浄化」を継続した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、反体制武装勢力戦闘員4人を含む6人が死亡した。

一方、SANA(9月1日付)によると、クサイル市で軍治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、タファス市で軍・治安部隊が反体制武装勢力を要撃し、1人を殺害した。

またラジャート高原が軍・治安部隊の砲撃を受け、ザイズーン村では軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(9月1日付)によると、タファス市、ラジャート高原、ムサイナ市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を死傷させた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会はストックホルムで会合を開き、反体制組織の代表者の新規入会のための組織拡大と、選挙によるより「民主的」な指導者選出の仕組みの修正を行うことを決定した。

これは暫定政府発足に向けた措置だという。

また会合では、今月9日に任期切れとなるアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長の任期を9月末日まで延長することを決定した。

ジョルジュ・サブラー報道官が明らかにした。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長は、バスマ・カドマーニー報道官の脱会を受けるかたちで、ロイター通信(9月1日付)に「思っているようにことが進まないこともあるが、我々は評議会の再編を通じて事態を改善しようとしている…。(評議会に参加する)組織の数は増えるだろう」と述べた。

クルド民族主義勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(9月1日付)は、ハサカ県カーミシュリー市で、アームーダー調整の活動家3人を含む5人が、PKK系の民主統一党の民兵に対トルコ国境で逮捕されたと報じた。

8月31日にシリア最高委員会の決定を無視して、反体制デモを実施したことが理由だと考えられる。

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『クッルナー・シュラカー』(9月1日付)は、ハサカ県各地でPKK系の民主統一党が黙認するなかで、治安当局が8月30日から活動家らの逮捕を行っている、と報じた。

レバノンの動き

NNA(9月1日付)は、ベカーア県バアルベック郡カーア地方で、シリア軍がレバノン人2人を拉致した、と報じた。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、反体制武装勢力占拠地域に対するシリア軍・治安部隊の空爆を制限すべきだとしつつも、アサド政権の一方的暴力停止を求める西側諸国を「素朴」、「挑発」と評した。

ラブロフ外務大臣は、「シリア政府がまず殺戮を停止し、軍を都市部から撤退させねばならない、と我々のパートナー(西側諸国)が言うとき…、これは決して実現できない計画だ。素朴というか、ある種の挑発だ」。

また「政府軍のみに降伏を求め、武装集団の戦闘を促す者(西側諸国)の姿勢は…非常に多くの命が失われていることへの責任を負う準備があるということだ」と述べ、西側諸国にはそうした呼びかけを行う資格などないと非難した。

そのうえで、「シリア問題に関する唯一可能な解決とは、シリア人自身が決める、というものだ」と述べた。

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表はアラビーヤ(9月1日付)に対して、シリアにおける変化を「早急に必要」と強調、「シリア国民を満足させねばならない」「受け入れられる状況のもとでシリア人を生活せしめるような政治プロセスを進めねばならない」と述べた。

またブラーヒーミー共同特別代表は、そのためにまずアサド政権が暴力を停止し、国民の治安と安全を確保すべきだと述べた。

さらに「シリアへの軍事介入は政治プロセスの失敗を意味する」と述べ、NATO軍などの外国軍の派遣を議論することが時期尚早だとの見方を示した。

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非同盟中立首脳会議の閉幕(8月31日付)を受け、イランのマフミード・アフマディーネジャード大統領が閉幕宣言を発表した。

同宣言では、シリアに関して、ゴラン高原におけるシリアの完全な主権回復、米国による対シリア制裁の国際法違反、コフィ・アナン国連特使およびアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表による危機解決に向けた努力への支持が盛り込まれた。

SANA(9月1日付)が報じた。

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国連の潘基文事務総長は、ロイター通信(9月1日付)に、ワーイル・ナーディル・ハルキー首相らシリアの代表団とのイランでの会談で、シリア側が国際人道支援機関などによる人道支援のためのシリアへの入国に積極的に協力する意思を示したと述べた。

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エジプトのヤースィル・アリー大統領報道官は、シリア情勢に関して、アラブ世界の世論はシリア政府支援を受け入れない、と述べた。

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ヨルダンのサミール・マアーイタ内閣報道官は記者会見を開き、シリア領内から発射された迫撃砲14発が31日深夜にヨルダン領内のラムサーに着弾したことを受け「ヨルダン領への侵害は揺るされず、レッドラインだ」と述べた。

迫撃砲が着弾したのは、ウンムラーワ村、ズナイバ村、タッラ村。

ヨルダンのジャアファル・ハッサーン計画国際援助大臣は記者会見で、過去数週間でシリア人避難民の数が14万人近くに急増したとしたうえで、避難民への対処に約1億6000万ドルの費用がかかり、今後支出額は3億6000万ドルに達するだろうと述べた。

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イラン・イスラーム革命防衛隊広報文化官代理のモハンマド・アリー・アスワディー氏は、米国がシリア攻撃という「愚行」を犯したら、イランは報復するだろうと述べた。

ロイター通信(9月2日付)が報じた。

AFP, September 1, 2012、Akhbar al-Sharq, September 1, 2012、Alarabia.net, September 1, 2012、al-Hayat, September 2, 2012、Kull-na Shurakaʼ, September 1, 2012, September 3, 2012、al-Kurdiya
News, September 1, 2012、Naharnet.com, September 1, 2012、NNA, September
1, 2012、Reuters, September 1, 2012、SANA, September 1, 2012などをもとに作成。

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イラン訪問中のシリア代表団がアリー・ハーメネイー師と会談、一方シリア北(東)部の各市ではクルド人住民がクルド最高委員会の決定に背くかたちで反体制デモを断行(2012年8月31日)

国内の暴力

ダマスカス県では、AFP(8月31日付)などによると、治安当局が同県とダマスカス郊外県を結ぶ主要街道を閉鎖し、厳戒態勢を敷いた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ハジャル・アスワド市、サイイダ・ザイナブ町、カフルバトナー町、ランクース市で軍・治安部隊が反体制武装勢力が交戦した。

またアイン・タルマー村で軍・治安部隊に逮捕された市民4人が遺体で発見された。

一方、SNN(8月31日付)によると、ダイル・アサーフィール市、フーシュ・アラブ村が軍・治安部隊の砲撃を受けた。

これに対して、SANA(8月31日付)は、ジャルマーナー市で「武装テロ集団」によって車に仕掛けられた爆弾が爆発し、複数人が負傷したと報じた。

またハムーリーヤ市、アルバイン市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、アブー・ズフール町が軍・治安部隊の激しい砲撃を受けた。

一方、SANA(8月31日付)によると、ザーウィヤ山のシャフシャブー山で軍・治安部隊が反体制武装勢力の「浄化」を行った。

またタフタナーズ市、ターリヒーヤ市、トゥウーム村にある反体制武装勢力の拠点を破壊した。

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ダルアー県では、地元調整諸委員会によると、ダーイル町が軍・治安部隊の激しい砲撃を受けた。

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ヒムス県では、SNN(8月31日付)によると、アービル村に軍・治安部隊が突入した。

一方、SANA(8月31日付)によると、アービル村に軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトに突入し、多数の戦闘員を殺傷した。

またヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区、バーブ・フード地区で反体制武装勢力の「残党」と交戦した。

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アレッポ県では、SNN(8月31日付)やシリア人権監視団によると、アレッポ市のブスターン・カスル地区、サラーフッディーン地区、スッカリー地区、ハナーヌー地区に軍・治安部隊が砲撃を加えた。

シリア人権監視団によると、反体制武装集団がアレッポ市ザフラー地域の治安機関の施設を攻撃し、治安機関側に数人の死傷者が出た。

一方、SANA(8月31日付)によると、カブターン市、ハイヤーン町、バーブ市、アナダーン市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、逮捕し、大量の武器弾薬を押収した。

『ハヤート』(9月1日付)によると、アレッポの反体制武装勢力は「北部火山」と銘打って30日未明から31日にかけてアレッポ市内で大規模な砲撃を行った、という。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ブーカマール市の空軍部隊駐屯地近くで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

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ハマー県では、SANA(8月31日付)によると、カルアト・マディーク町、トゥワイニー村、シャリーア村、カルカート村、マイダーン・ガザール村、ハムラー村、カラ・ジュルン村で軍・治安部隊が反体制武装勢力の「浄化」を行った。

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シリア人権監視団によると、ダマスカス郊外県のハラスター市、ドゥーマー市、ハマー県のカフルズィーター市、ダルアー県各地、アレッポ県各地など全国各地で、金曜礼拝後に反体制デモが発生し、『ハヤート』(9月1日付)によると「数千人」が参加した。

インターネットなどでは反体制活動家が「炎のダーライヤーは消えない」金曜日と銘打ってデモを呼びかけていた。

シリア政府の動き

シャーム・プレス(8月31日付)は、ウムラーン・ズウビー情報大臣がシリアの反体制勢力に対して、「過去に存在したような危険は廃されたので」、テレビに出演するべきだと呼びかけたと報じた。

非同盟諸国首脳会談

ワーイル・ナーディル・ハルキー首相以下、非同盟諸国首脳会談出席のためイランを訪問しているシリアの代表団はイランの最高指導者アリー・ハーメネイー師と会談した。

SANA, August 31, 2012
SANA, August 31, 2012
SANA, August 31, 2012
SANA, August 31, 2012
SANA, August 31, 2012
SANA, August 31, 2012
SANA, August 31, 2012
SANA, August 31, 2012

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ハーメネイー師は非同盟中立首脳会議で「シリアでの出来事や痛ましい悲劇に背後から関与している代表的な国が米国とイスラエルであり、両国は反体制勢力とは無縁の武装勢力に武器と資金を費やしている」と断じた。

これに対して、ハルキー首相らは、イランの姿勢に謝辞を述べるとともに、テロ行為に対決するため前進を続けるとの意思を示した。

SANA(9月1日付)、『ハヤート』(9月1日付)などが報じた。

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ワーイル・ナーディル・ハルキー首相以下、非同盟諸国首脳会談出席のためイランを訪問しているシリアの代表団は続いて、イランのマフムード・アフマディーネジャード大統領と会談した。

アフマディーネジャード大統領は会談で「改革や民主化を口実にシリアのテロリストに資金や武器を支援する国々はこそが、民主主義や人権を必要としている」と述べた。

これに対して、ハルキー首相は、シリアに対する陰謀が、レジスタンス枢軸を解体し、「新中東構造」を実現することにあるとの見方を示した。

SANA(8月31日付)が報じた。

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シリアのワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣はイランのサイード・ジャリーリー国家安全保障最高会議書記と会談した。ファルス通信(8月31日付)が報じた。

会談でムアッリム外務在外居住者大臣は「シリア国民は常にイランを信頼しており、そのイニシアチブを歓迎する」と述べた。

これに対してジャリーリー書記は、「シリアでテロリストを支援する米国のような当事者は問題の一部をなしていて、解決策の一部ではない…。シリアでのテロ行為や暴力が解決策ではないことは明らか」と述べた。

またエジプトの「ムルスィー大統領は意味もなくシリアの反対勢力を支持した。彼にはシリアの内政に干渉する資格などない」と非難した。

『ハヤート』(9月1日付)が報じた。

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ワーイル・ナーディル・ハルキー首相以下、非同盟諸国首脳会談出席のためイランを訪問しているシリアの代表団は潘基文国連事務総長と会談した。

会談で潘事務総長は、すべての当事者による暴力停止を改めて求めるとともに、事態の最大の責任がシリア政府にあるとし、重火器使用停止を求めた。

SANA(9月1日付)が報じた。

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シリアのワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は非同盟諸国首脳会談で、「アメリカが指導する陰謀が抵抗するシリア国民と政府に対して仕掛けられており…、地域の一部の国がこれに参加している」と述べた。

SANA(9月1日付)、『ハヤート』(9月1日付)などが報じた。

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ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣は、「トルコは、テロリストを教練し、アル=カーイダを占有することで、シリアを破壊する役割を担っている…。トルコから何の解答もなされない場合、同国を国際テロ支援国家のリストに加えるべきだ」と述べた。

SANA(9月1日付)、『ハヤート』(9月1日付)などが報じた。

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ワーイル・ナーディル・ハルキー首相以下、非同盟諸国首脳会談出席のためイランを訪問しているシリアの代表団は、イラクのヌーリー・マーリキー首相と会談し、対話を通じたシリア問題の平和的解決をめざす必要を確認した。

SANA(8月31日付)が報じた。

会談後、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は、イラクのイニシアチブを歓迎すると述べた。

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イランの最高指導者アリー・ハーメネイー師が非同盟中立首脳会議出席のためにテヘラン訪問中のイラクのヌーリー・マーリキー首相と会談した。

会談でハーメネイー師は、非同盟中立諸国がシリア問題への政治介入を通じて、事態打開のイニシアチブをとるべきだと述べる一方、「敵意に満ちたメディアのプロパガンダが米国が主導する諸国政府の代わりにシリア政府に対する代理戦争をしかけており、イスラエルの国益を拡充し、レジスタンスに打撃を与えようとしている」と非難した。

『ハヤート』(9月1日付)が報じた。

反体制勢力の動き

自由シリア軍のファトフ(征服)旅団のアナス・イブラーヒーム・アブー・ザイド大尉なる活動家はAFP(8月31日付)に対して、反体制武装勢力がアレッポ市の60%を依然として制圧していると述べた。

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シリア国民評議会を脱会したバスマ・カドマーニー女史はロイター通信(8月31日付)に、暫定政府に関して、「解放された地域…が拠点であるべき」としたうえで、「シリア国内での活動を妨げる非常に危険な段階で、暫定政府が拠点を置けるような安全地帯」が必要と主張、国際社会が同地帯を保護すべきだと述べた。

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シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー報道官は、暫定政府発足に関して、AFP(8月31日付)に「我々は時間をかけて議論しなければならない」と述べ慎重な姿勢をとった。

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シリア国民評議会のムンズィル・マーフース渉外局長は「我々が自由シリア軍と調和しているなどと言うことはできない。彼らがシリア国民評議会から受けている支援は実際のニーズや絶望する人々の(要求)に比して微々たるものだ」と述べた。

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アレッポ県の活動家だというムハンマド・サンサーウィー氏はAFP(8月31日付)に対して、「彼ら(シリア国民評議会)は支援、資金、武器供与を約束しているが、何もしていない」と批判した。

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自由シリア軍最高軍事評議会議長のムスタファー・シャイフ准将はアラビーヤ(8月31日付)に対して、自由シリア軍がアルメニア人を脅迫しているとの一部報道を否定した。

クルド民族主義勢力の動き

ハサカ県とアレッポ市では、クルディーヤ・ニュース(8月31日付)によると、ダルバースィーヤ市、アームーダー市、カーミシュリー市、ハサカ市、アイン・アラブ市で、クルド人住民がクルド最高委員会の決定に背くかたちで反体制デモを行った。

al-Kurdīya News, August 31, 2012
al-Kurdiya News, August 31, 2012

レバノンの動き

NNA(8月31日付)によると、北部県アッカール郡の対シリア国境地帯の村々に迫撃砲約30発が着弾し、警官1人が負傷した。

諸外国の動き

国連難民高等弁務官は声明を出し、8月29日までのシリア人非難民の登録数が228,976人に達したと発表した。

同声明によると8月26日時点の登録数は215,000人で、3日間で約15,000人が新たに避難民申請を行ったことになる。

なおうちトルコに避難した避難民は約80,000人で、11の避難民キャンプなどで避難生活を送っている。

またヨルダンには約72,000人避難している。

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ヨルダンのサミーフ・マアーイタ内閣報道官は、ヨルダン領内に避難したシリア人非難民の数が今週だけで20,000人を越えたと発表した。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣はユーロ1(8月31日付)に対して、「求められているのはバッシャール・アサドを排除し、原理主義者や別の体制を建てることではない」と述べた。

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国連安保理の閣僚級会合で、シリア領内での緩衝地帯設置が先送りとなったことをに関して、トルコの外交筋はAFP(8月30日付)に、設置提案を取り下げず、引き続き国際社会に設置を求めていくと述べた。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相はトルコのテレビ番組(8月31日付)でのインタビューで、「このような措置は安保理の決議なくして採用できない」と述べ、シリア領内の緩衝地帯の設置を定めた国連安保理決議の採択を求めた。

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赤十字国際委員会は声明を出し、「(シリアの)人々は一日中命の危険に曝されている」としたうえで、暴力激化のなかで人道支援の必要が急速に高まっている、と警鐘を鳴らした。

AFP, August 31, 2012、Akhbar al-Sharq, August 31, 2012、Alarabia.net, August 31, 2012、Cham Press, August 31, 2012、Damas Post, August 31, 2012、al-Hayat, September 1, 2012, September 2, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 31, 2012、al-Kurdiya
News, August 31, 2012、Naharnet.com, August 31, 2012、NNA, August 31, 2012、Reuters,
August 31, 2012、SANA, August 31, 2012、SNN, August 31, 2012などをもとに作成。

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「非同盟諸国首脳会議」でエジプト大統領が「愛すべきシリア国民の闘争との連帯は道徳的義務」と発言、英外相と仏外相が国連安保理閣僚級会合に先立つ記者会見で反体制勢力の支配地域への支援強化の必要性を強調(2012年8月30日)

非同盟諸国首脳会議(テヘラン)

テヘランで始まった非同盟諸国首脳会議で、エジプトのムハンマド・ムルスィー大統領が演説し、「抑圧的体制に対する愛すべきシリア国民の闘争との連帯は道徳的義務であり、政治的、戦略的に不可欠だ」と述べた。

Youtube, August 30, 2012
Youtube, August 30, 2012

「シリアでの反体制革命」をエジプト、チュニジア、リビア、イエメンでの「アラブの春」の一貫だと位置づけたムルスィー大統領はしかし「シリアの自由と公正を求める闘争への全面支援を宣言するよう呼びかけねばならない。また我々はこの信条を民主的政体への平和的移行を支持するための明確な政治的ビジョンとして示さねばらない」と付言し、軍事介入や武装闘争を支持していないことを暗示した。

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ムルスィー大統領が演説でシリアの問題について言及を始めると、ワーイル・ナーディル・ハルキー首相、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣らシリアの使節団が抗議の意を示すため、退席した。

ムルスィー大統領の演説終了後、シリアの代表団は会場に戻った。

『ハヤート』(8月31日付)によると、ハルキー首相は、ムルスィー大統領の演説に関して、「シリアの実態に触れていない。事実に反しており、事態にマイナスに作用するだろう」と非難したうえで、「(シリア危機正常化のための大統領自身の)イニシアチブを自ら生き埋めにした」と語った。

SANA, August 30, 2012
SANA, August 30, 2012
SANA, August 30, 2012Z
SANA, August 30, 2012Z
SANA, August 30, 2012
SANA, August 30, 2012

またムアッリム外務在外居住者大臣はDamas Post(8月30日付)に対して、「ムルスィー氏は加盟国であるシリアへの内政干渉をもって非同盟諸国会議の伝統から逸脱した…。彼の発言は会議の議長ではなく、一党派代表を表現しているに過ぎない」と述べた。

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イランの最高指導者アリー・ハーメネイー師とマフムード・アフマディーネジャード大統領はともにシリア問題への直接言及を避けた。

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イラクのヌーリー・マーリキー首相報道官は、イランがシリア危機を正常化するためのイニシアチブを近く発表すると述べた。

このイニシアチブには、アラブ連盟が主催する対話を通じた暫定政府発足や同政府首班の人選、国際社会およびアラブ連盟の監視のもとでの選挙管理のための高等弁務官事務所の設置などを骨子とする、という。

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カタールのハマド・ブン・ハリーファ首長は、政治的合意を通じてシリアの体制転換を行うべきだと述べた。

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シリアのワーイル・ナーディル・ハルキー首相は非同盟諸国首脳会議で演説し、シリアが外国に支援されたテロリストと対峙しているとしたうえで、危機の平和的解決に努力することがシリア人の間で合意されており、そうしたシリア人による国民対話が近く実施されるだろうと述べた。

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ワーイル・ナーディル・ハルキー首相は訪問中のテヘランでインドのマンモハン・シン首相と会談した。

会談で、シン首相は、シリア情勢への外国の介入を拒否する一方、包括的な政治プロセスでシリア国民の要求を実現することで危機を解決べきだとの所見を示した。

SANA(8月30日付)が報じた。

シリア政府の動き

ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣は、RT(8月30日付)に対して、シリア大統領の退任を求める者たちは「自ら辞表を提出せねばらない。なぜならテロを支援しているからだ」と述べた。

また「我々シリア人が自分たちの未来を決める」としたうえで、「西欧と米国はイスラエルのために我々に戦いを仕掛けてきている。シリアが屈服しないことが現在起きていることの主因だ」と述べた。

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ナハールネット(8月30日付)は、アリー・アブドゥルカリーム・アリー駐レバノン・シリア大使が自身の追放を求める3月14日勢力支持者のデモに関して、「無意味な要求だ」と一蹴したと報じた。

国内の暴力

イドリブ県では、自由シリア軍の殉教者大隊を名のる武装集団が、アブー・ズフール町(ザハビーヤ村東部)で軍のMiG23戦闘機を撃墜したと発表し、パラシュートで降下するパイロットの映像をユーチューブ(8月30日付)に投稿した。

http://www.youtube.com/watch?v=_7yktr9q7Zo

http://www.youtube.com/watch?v=_7yktr9q7Zo

自由シリア軍アレッポ県軍事革命評議会のアニーフ・マフムード・スライマーン大佐はまた、作戦が午前9時から10時の間に行われ、墜落した戦闘機のパイロット2人を補足した、と発表した。

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同じくイドリブ県では、シリア人権監視団によると、アブー・ズフール町に対する軍・治安部隊の砲撃により20人の市民が死亡した。

同監視団は、「アブー・ズフール航空基地の複数カ所を制圧した」反体制勢力と軍・治安部隊との間で砲撃に先だって交戦があった、という。

一方、SANA(8月30日付)によると、アリーハー市で軍・治安部隊が反体制武装勢力への掃討作戦を継続、多数の戦闘員を殺害した。

Youtube, August 30, 2012
Youtube, August 30, 2012

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ハラスター市の空軍情報部施設周辺で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

またザマルカー町、ハッザ町、カフルバトナー町、アルバイン市、ヤブルード市、ブワイダ村、東グータ地方、フジャイラ村、アクラバー町などに対する軍の砲撃で少なくとも12人が死亡した、という。

一方、SANA(8月30日付)によると、ザマルカー町で軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」の追跡を継続し、多数の戦闘員を殺傷、武器弾薬を押収した。

またジャルマーナー市では爆弾が仕掛けられた車が爆発し、複数の市民が負傷した。

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ダマスカス県では、地元調整諸委員会によると、タダームン区で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦したという。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、4人が砲撃や爆発で死亡した。

一方、SANA(8月30日付)によると、ダルアー市内で軍・治安部隊が反体制武装勢力の残党の追跡を継続、多数の戦闘員を殺害した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊と反体制武装勢力がダイル・ザウル市ジュバイラ地区、バアージーン地区、そして軍事情報局近くのジスル・ジャウラ地区などで交戦した。

一方、SANA(8月30日付)によるとダイル・ザウル市内で車に爆弾を仕掛けようとしていた反体制武装勢力が誤爆し、多数の戦闘員が死亡した。

また同市内のヒシャーブ地区、ジュバイリー地区など複数カ所で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、SANA(8月30日付)によると、アレッポ市のアアザミーヤ地区で反体制武装勢力の戦闘員が治安当局によって殺害、逮捕された。

また同市ライラムーン地区、ダイル・ハーフィル市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ハマー県では、SANA(8月30日付)によると、郊外で反体制武装勢力がアファーミヤー博物館から盗んだ出土品などの一部が発見された。

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ヒムス県では、SANA(8月30日付)によると、クサイル地方で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺害した。

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『クッルナー・シュラカー』(8月29日付)は、「信頼できる」消息筋の話として、ダマスカス県での反体制武装勢力掃討にイランの革命防衛隊やロシア軍士官が参加している、と報じた。真偽は不明。

クルド民族主義勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(8月30日付)は、ハサカ県ダルバースィーヤ市で軍事治安局が兵役を終えた複数の若者を「予備役」であるとの理由で逮捕したと報じた。

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クルディーヤ・ニュース(8月30日付)は、48.2%のクルド人が住民を保護するためクルド人居住地域の武装が必要だと考える一方、44.3%が武装によってクルド人どうしの分断が増すことを懸念しているとの世論調査結果を明らかにした。

この世論調査は203人を対象に、7日にわたって行われたとされているが、実施場所、サンプル抽出法などは明示されていない。

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ハサカ県では、クルディーヤ・ニュース(8月31日付)によると、ダルバースィーヤ市近くの対トルコ国境地帯でトルコに避難しようとしたクルド人家族が地雷に触れ、1人が死亡、3人が負傷した。

レバノンの動き

進歩社会主義党はシリア国民との連帯とアリー・アブドゥルカリーム・アリー駐レバノン・シリア大使の追放を求めるデモを31日にベイルートで実施すると発表した。

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NNA(8月31日付)は、ベカーア県およびベイルート県で、シリアに武器を密輸しようとした軍の士官(中佐)1人と民間人2人を当局が逮捕したと報じた。

諸外国の動き

英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣とフランスのローラン・ファビウス外務大臣は、国連安保理でのシリア問題に関する閣僚級会合に先立って共同記者会見を開いた。

記者会見でファビウス外務大臣は、「シリアの解放された地域がきわめて重要」と強調し、反体制勢力が占拠する地域への支援の強化が必要だとの立場を示した。

また「アサドは犯罪を犯した罪人で、裁かれねばならない…。アサドとその一味は国際刑事裁判所に向かうだろう」と述べた。

一方、国連安保理決議採択を経ないコソボ・モデルでの軍事介入の可能性に関して、「我々は国際法のもとで行動したいが、いかなる解決策も排除しない…。アサドがすぐ倒れれば…、その次の日のプロセスが始まる。紛争が続けば、別の解決策を検討するだろう」と述べた。

緩衝地帯に関しては、「トルコの外務大臣など安保理の審議に参加する閣僚との会合で議論する予定」と述べた。

このほか、シリア国民に対して「アサドはいずれ倒れるが、我々は貴方たちを放置しない」と述べる一方、「キリスト教徒、アラウィー派、シーア派などは、アサド政権崩壊後は保護されねばならない」と述べ、あたかも体制転換後は政治がスンナ派によって主導されるような発言を行った。

これに対して、ヘイグ外務大臣は、国連安保理決議採択を経ないコソボ・モデルでの軍事介入の可能性に関して、「事態がどのように推移するか分からないので、すべての選択肢を遠ざけない」と応えた。

また「アサドを支持し続けている者が体制を離れる時が来た」と述べるとともに、国際社会のレベルでアサド後のプロセスを支援する仕組みを構築する必要があると強調した。

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フランス(安保理議長国)の呼びかけのもと国連安保理でシリア問題に関する閣僚級会合が開催された。

しかし、米国、ロシア、中国の外相は欠席した。

『ハヤート』(9月1日付)によると、トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は国連安保理閣僚級会合で「シリア領内に避難民キャンプを延滞なく設置」することを求めるとともに、「これらのキャンプが完全に保護されて当然」と述べ、緩衝地帯の設置を求めた。

しかし、ヤン・エリアソン国連副事務総長は国連安保理閣僚級会合で、「緩衝地帯」「人道回廊」に関する提案を「こうした提案は重要な問題を提起することになる。正確で確固たる調査が必要」と述べ、慎重な姿勢を示した。

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ヴィクトリア・ヌーランド米国務省報道官は、記者会見で、国務省が反体制勢力が「解放」した地域の自治評議会メンバーを対象とした「教練プログラム」を実施すると述べた。

このプログラムは地方自治や人権分野での教練が目的だという。

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エミレーツ航空がダマスカス・ドバイ便の就航を「シリアの治安情勢の混乱」を受けて中止すると発表した。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチは声明を出し、周辺諸国に対してシリア人非難民の入国を認めるよう求めた。

AFP, August 30, 2012、Akhbar al-Sharq, August 30, 2012、Alarabia.net, August 30, 2012、Damas Post, August 30, 2012、al-Hayat, August 31, 2012, September 1, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 30, 2012、al-Kurdiya
News, August 30, 2012, August 31, 2012、Naharnet.com, August 30, 2012, August
31, 2012、NNA, August 31, 2012、Reuters, August 30, 2012、SANA, August 30,
2012などをもとに作成。

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アサド大統領がドゥンヤー・チャンネルの単独インタビューに応じ「緩衝地帯」設置の構想を「現実的でない」と一蹴、シリア国民評議会のカドマーニー報道官が同評議会を脱会(2012年8月29日)

アサド大統領のテレビ・インタビュー

シリアのバッシャール・アサド大統領はドゥンヤー・チャンネルの単独インタビューに応じ、シリアが自国の権利擁護、レジスタンス支援、イランとの関係といった原則的な立場を維持するために犠牲を払っていると強調する一方、反体制武装勢力を支援するために西側諸国が設置を検討している「緩衝地帯」に関して、西側にとっても現実的でないと一蹴した。

SANA, August 29, 2012
SANA, August 29, 2012

インタビューでのアサド大統領の主な発言は以下の通り。

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(アレッポでの反体制武装勢力掃討作戦に関して)「結局のところ、問題は第1に、意志の戦いだということだ。彼ら(反体制武装勢力)には国を破壊しようとする意志がある…。彼らは次から次へと転戦を試みている…。しかし武装部隊が行う複雑な戦闘の規模を考慮するのであれば…、この戦闘はもっとも複雑な戦闘であることが分かる。にもかかわらず、武装部隊は大きな成功を収めている」。

「すべての人が、数週間、数日、数時間で成果が出て決着がつくことを望んでいる。しかしそれは非論理的である。我々は地域的・世界的な戦いを行っている。それを決着させるのには時間がかかる。しかし約言するなら、我々は前進しており、事態は実質的に改善している。しかしまだ決着はついておらず、それには時間がかかる」。

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(アサド政権の退陣を主張する近隣諸国に関して)「我々はこうした国から何を望むのかを、国、国民、市民のレベルで区別しなければならない…。我々はまず(周辺諸国の)国民のことを考えねばならない。なぜならこれらの国の政府はいずれ交代し、こうした政府との問題もいずれなくなるからである…。我々は国民との関係を維持しなければならない。なぜなら彼らこそが我々を護ってくれるからである…。時間がかかるだろうが、忘れてならないのは、こうした各国国民がいずれ政府に反対する運動を起こすだろうということだ」。

「各国国民と敵対することは、テロの伸張を抑えることにはならない…。我々は(各国国民との)関係を良好に保ち、真実を示すことで支援しなければならない。これらの国民がシリアで起きていることの真実を知れば…、彼らの政治運動はより協力になろう」。

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(ヒムス市での掃討作戦の長期化に関して)「同市での事態の決着が遅れているのは、武装部隊が都市内部で作戦を行っているからだ。つまり武装部隊は二つのことを考慮しなければならない。第1に人名、第2に財産…。武装部隊がその軍事力のすべてを投じれば、敵を短期間で掃討できるが…、それでは求められた結果を実現できないのだ」。

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(西側諸国が設置を検討している緩衝地帯に関して)「緩衝地帯とは国家の合意がいる…。しかし我々は国家として、1日たりともシリアの実効支配下にない地域があると認めるなどと決定してはいない。軍がそうしようと思えば、どこにでも進軍できるからだ…。彼ら(西側諸国)は、多くの地域が国家の支配下にないと考えている。しかし軍はほとんどの地域に容易に進軍できる。つまり彼らには緩衝地帯など設置できない。それゆえ、緩衝地帯をめぐる議論は事実上存在しないと考えている。しかもそれは、シリアに敵対する国にとっても非現実的だ」。

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(軍がゴラン高原ではなく、国内の都市に展開していることに関して)「どの国においても軍・武装部隊の任務は、祖国防衛だ。祖国防衛は外国からの自衛だけを意味しない。国内での自衛も意味する。どこからどんな敵が来ようとも、軍・武装部隊といった組織をもって祖国を護らねばならない。現下の危機において、敵は国外ではなく国内にいる。彼らはシリア人だと言うかもしれないが、私は外国の敵対的計略を実行しようとするシリア人はシリア人ではないと言いたい」。

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(紛争に対する国民の理解に関して)「国家という立場からすると、国民の理解が存在しないというのは問題だった。しかし最近数ヶ月間で国家を支えてきたのは、シリア国民の多くにとってイメージが明らかになってきたことだ。政治、そして治安状況には明らかに変化が生じ、現状や武装集団に対する国民の感情も変化してきた。なぜなら、彼らは現状が革命でも(アラブの)春でもなく、あらゆる意味においてテロ活動の現象だということを知ったからだ。また当初明らかでなかった外的要因も明らかになっている」。

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(メディアの役割について)「政府のパフォーマンスは上から監督されねばならないし、下から、すなわち国民ベースで監視されなければならない。しかしこれまで求められてきたのは、上からの高官の監督だけだった。これでは不十分だ。より公務員などといったレベルにおいては国民の監視が必要で、メディアはここにおいて基本的な役割を担うべきだ」。

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(離反に関して)「離反とは、ある組織が上部の組織に背くことを意味する…。しかしこうしたことはいまだに起きていない。これまで起きたのは、何らかのポストに就いていた一部の者が外国に逃れたという事例だけで、これは逃亡、脱走であって、離反ではない。離反は国内で生じるものだ。脱走者は金を受け取った腐敗した…者かもしれないし…、テロリストなどに脅された臆病者かもしれない…。あるいは期待していた報酬、利権を得られずに…逃げた者かもしれない…。こうした行為は実際のところ、第一に国家を、そして祖国全体を自浄するために有益な行為だ。それゆえ、我々は腹を立ててはいけない」。

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(アサド政権への諸外国の執拗な圧力に関して)「これこそがシリアの歴史だ…。なぜならビラード・シャームは戦略的な地域だ…。現在、我々はさまざまな立場を維持しようと犠牲を払っている。例えば、シリアの主権に関わる原則的な立場、レジスタンスへの姿勢、イランなど西側が快く思わない国との関係などである…。(西側諸国による)この手の制裁は確かにシリアに影響を及ぼすだろう。しかしそれは相対的なもので、現状にいかに適用するかによる…。我々は歴史を通じて知恵を身につけてきた。我々には高い適応力がある。歴史を通じてさまざまな危機にその身を置いてきたからだ…。我々は自らの経済を新たな状況にふさわしいかたちで再構成しなければならない」。

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(対話を通じた危機の政治的解決に関して)「危機発生当初から、我々はすべての勢力、個人と政治について対話を行ってきた…。その際、我々は問題が単に政治問題ではなく祖国に関わる問題で、すべてのシリア人が危機解決に関与すべきだと考えた…。反体制勢力のなかには、自らにとって利益を顧みず、祖国のために、対話、そして政治プロセスを推し進め…、その一部は占拠にも参加し、人民議会、さらには内閣に参画した組織も出た…。他方、愛国心を欠く反体制勢力もあった…。どの組織がそれにあたるかをここでは明言しないが、国民はいずれそれがどの組織かが分かるだろう」。

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(今後のシリア情勢に関して)「一部の人々は(沈没の是非が指摘されている)船が国家という船、ないしはカッコ付きの「体制」の船だと間違って理解している。しかし船とは祖国そのものを意味している。シリアが沈むか救われるか…、我々はこの点を明確に捉えねばならない。この国家が沈没し、祖国が残ることなどない。その理由は簡単だ。それは多くの間違いを犯してきたにもかかわらず、国家の政策は国民の信条と密接に結びついているからだ…。この国民のなかで、国を強力にするうえためにもっとも重要な集団が武装部隊だ」。

「危機発生当初…、彼らは国民の間で宗派主義的な亀裂を作り出そうとした」。

「我々はシリア国民としてシリアを自らが望む方向へと進めていく…。外的要因が作用し、そのプロセスを加速させることもあれば、減速させることもあろう。また別の方向に逸脱させるかもしれない。しかし我々はそれを回復する能力を持つ」。

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(反体制活動家への恩赦に関して)「(危機打開のため)すべての可能なツールを利用せねばならず、そのなかには寛容の精神も含まれる」。

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実際の映像は以下のURLを参照。

http://www.youtube.com/watch?v=y31h_wywL1U
http://www.youtube.com/watch?v=PbYzHDW6nl0
http://www.youtube.com/watch?v=d5cN2FQ_dSk

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アサド大統領は、2012年8月29日政令第317号でテロ法廷のハッサーン・サイード判事を同法廷裁判長に、マイムーン・イッズッディーン判事を検事長に任命した。

また同政令では、経済治安裁判所などの人事も改編された。

シリア政府の動き

AKI(8月29日付)は、シリア反体制勢力筋の話として、アサド政権が約1ヶ月前からロシアとイランの支援のもと、国内外の主要な反体制組織や活動家と個別に接触し、政権との対話に応じるよう試みている、と報じた。

国内の暴力

イドリブ県では、自由シリア軍の殉教者大隊はタフタナーズ航空基地を襲撃しヘリコプター5機を破壊したと発表した。

同大隊のアブー・ムスアブを名のる戦闘員はAFP(8月29日付)に対して、「戦闘機3機を大破させ、2機に損傷を与えた。また空港ビルの一部を破壊した…。戦車2輌で空港を砲撃し…、また(攻撃では)23ミリ、14.5ミリ、12.7ミリの対空砲を使用した」と語った。

しかしSANA(8月29日付)は、反体制武装勢力がタフタナーズ航空基地襲撃を試みたが、軍・治安部隊がこれを撃退したと報じ、自由シリア軍の発表を否定した。

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同じくイドリブ県では、シリア人権監視団によると、アリーハー市で軍・治安部隊が反体制活動家の逮捕・追跡を行い、サラーキブ市に砲撃を加えた。

一方、SANA(8月29日付)によると、アリーハー市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」に対する「浄化」作戦を継続し、多数の戦闘員を殺傷し、大量の武器弾薬を押収した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カーブーン区で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザマルカー町とザバダーニー市が軍・治安部隊の砲撃を受け、またサクバー市およびその周辺がヘリコプターの攻撃を受けた。

一方、SANA(8月29日付)はザマルカー町で「武装テロ集団の残党」が住民を拉致し、家族の前で処刑した、と報じた。

また「テロリスト」は犠牲者の遺体を回収し、シャイフ・アスカル・モスクに放置し、同モスクを爆弾で爆発し、軍・治安部隊による応戦を誘うために迫撃砲で軍に発砲してきた、という。

またSANA(8月29日付)によると、アイン・タルマー村で、検問中の軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

このほか、LBCI(8月29日付)によると、ジュダイダト・アルトゥーズ町でレバノン人のシャーミル・シャンムート氏が撃たれて死亡した。

また8月18日にドゥーマー市でマフムード・ムハンマド・ファキーフ(72歳)が失踪し(誘拐され)、家族が自由シリア軍のイスラーム旅団を名のるグループと引き渡しのための交渉を行っている、と報じた。

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シリア国内で取材中のロバート・フィスク記者がダーライヤー市を訪れ、現地の様子を伝えた。

フィスク記者が住民から得た証言によると、住民を人質にとった自由シリア軍に対して、軍が突入前に人質交換の交渉を行ったが、失敗したという。

また軍がダーライヤーに突入する前から遺体が市街地に散乱していた、という。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市のハーリディーヤ地区、ジャウラト・シヤーフ地区などが砲撃を受けた。

一方、SANA(8月29日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区で治安当局が反体制武装勢力のアジトなどの摘発を行い、多数の戦闘員を殺傷した。

またタッルカラフ地方ではレバノンからの潜入を試みる反体制武装勢力を軍・治安部隊が撃退した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市では、アレッポ市のアーミリーヤ地区で軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦した。

一方、SANA(8月29日付)によると、アレッポ・ラッカ街道で、関係当局が市民を拉致・誘拐しようとした反体制武装勢力と交戦し、戦闘員全員を殺害した。

しかしこの際、戦闘に巻き込まれた市民2人が死亡した、という。

アレッポ市ではサラーフッディーン地区、アーミリーヤ地区、ハシュカル地区、タッル・ザラーズィール地区などで反体制武装勢力が隠し持っていた武器弾薬を軍・治安部隊が押収した。

またサイイド・アリー地区、サイフ・ダウラ地区、シャッアール地区、バヤーヌーン地区、サーフール地区、スワイカ地区、メリディアン地区などでは軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」に対する掃討作戦を継続し、多数の戦闘員を殺傷した。

タッル・リフアト市、マーリア市、ハムラー村、フライターン市、ハイヤーン町などでも軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」に対する掃討作戦を継続し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市で軍・治安部隊が反体制活動家の逮捕・追跡を行った。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会は、リビアから最近1660万ユーロ(約2000万ドル)の資金援助を受けた、と発表した。

評議会はこれまでにカタールから1000万ドル、UAEから500万ドルから資金援助を受けており、「そのうち95%がシリア国内に送金された」と強調した。

財務経済局のサミール・ナッシャール局長が明らかにした。

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ロイター通信(8月29日付)は、バスマ・カドマーニー報道官がシリア国民評議会を脱会した、と報じた。

Kull-na Shuraka', August 29, 2012
Kull-na Shuraka’, August 29, 2012

カドマーニー報道官はパリで電話取材に応じ、シリア国民評議会が国内の蜂起を充分支援できなかったと批判、また「現地で増大する挑戦に対抗できず、私が期待していた活動ができなくなっていると感じるようになった」と述べた。

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『クッルナー・シュラカー』(8月28日付)は、ジャルマーナー市での爆破テロに関して、「ドゥルーズ派のシャッビーハが爆破についてあらかじめ知っていた」ことを示す書き込みがフェイスブックなどにあったと事実確認しないままに報じた。

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シリア国民評議会は声明を出し、アサド政権による暴力停止と「シリアの友」による軍事介入を求めてハンストを開始すると発表した。

クルド民族主義勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(8月29日付)は、イラク・クルディスタン自治区のハンスにあるペシュメルガ軍事キャンプで教練を受けていたシリアのクルド人兵士(シリア軍離反兵)1人がイラクのクルド人士官に射殺されたと報じた。

射殺された兵士は、軍事教練を辞退し、軍事キャンプを離れることを求めて抗議行動を行った約50人のシリア・クルド人の一人だという。

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『クッルナー・シュラカー』(8月29日付)は、PKK系の民主統一党がハサカ県が所有する不動産を支持者に安価で払い下げていると報じた。事実確認はとれていない。

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クルディーヤ・ニュース(8月30日付)によると、クルド最高委員会は、主要な知事都市・農村でのシリア・クルド国民評議会と西クルディスタン人民議会による検問所での治安活動を統合することを決定した。

レバノンの動き

ナハールネット(8月29日付)などによると、ベイルート県のアシュラフィーヤ地区の外務省前で3月14日勢力を支持する若者らが、アリー・アブドゥルカリーム・アリー駐レバノン・シリア大使の追放を求めてデモを行った。

諸外国の動き

トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣はアンカラで記者会見を開き、シリア人避難民を収容するための「緩衝地帯」をシリア領内の国境地帯に設置することを国連安保理が審議することを期待する、と述べた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、フランス・インター・ラジオ(8月29日付)で、シリア領内の国境地帯に「緩衝地帯」を設置するのは、「きわめて複雑な問題」と述べ、難色を示した。

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フランス大統領府が声明を発表し、エジプトのムハンマド・ムルスィー大統領とフランソワ・オランド大統領の電話会談で、両者が「バッシャール・アサドの退任なくしてはいかなる政治的解決も不可能」という点で意見が一致したと発表した。

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チュニジアのラフィーク・アブドゥッサラーム外務大臣はテヘランでの非同盟諸国首脳会議出席に先立って、アサド大統領の退任を求めるとのチュニジアの姿勢を会談で示すと述べた。

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ヨルダンのサミーフ・マアーイタ内閣報道官は、ザアタリー国営避難民キャンプでのシリア人避難民とヨルダン当局との衝突を受け、シリア人非難民約300人を「彼らの要請を受けて」29日に本国に送還した、と発表した。

ヨルダンのペトラ通信が伝えた。

AFP, August 29, 2012、Akhbar al-Sharq, August 29, 2012, August 30, 2012、AKI, August 29, 2012, August 30, 2012、al-Hayat, August 30, 2012、The Independent, August 29, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 29, 2012, August 30, 2012, September
16, 2012、al-Kurdiya News, August 29, 2012, August 30, 2012、Naharnet.com,
August 29, 2012、Reuters, August 29, 2012、SANA, August 29, 2012、Youtube,
August 29, 2012などをもとに作成。

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ダマスカス郊外県ジャルマーナー市で車に仕掛けられた爆弾が爆発し12人が死亡、国内で活動する反体制組織と野党が来月に「シリア国民救済大会」を開催するとの声明を発表(2012年8月28日)

シリア政府の動き

『インディペンデント』(8月28日付)は、ロバート・フィスク記者によるワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣とのインタビュー記事を掲載した。

SANA, August 28, 2012
SANA, August 28, 2012

そのなかでムアッリム外務在外居住者大臣は「米国がシリアに敵対する主要なプレーヤーで、それ以外はその道具だと考えている」と述べた、という。

また「欧州に言いたい。シリア国民の福祉に反する17もの決議を指示しておきながら、シリア国民の福祉を云々するあなた方のスローガンを理解できない、と…。米国に言いたい…。シリアのテロを支援しておいて、国際テロと戦うというスローガンを掲げていることを理解できない、と」と欧米諸国を痛烈に批判する一方、カタールの対シリア政策については「何が起きたんだ?」と述べ、その豹変ぶりを非難した。

そのうえで「私のように、自分たちの治安に誇りを持てるような在りし日に戻りたいと考えるシリア人は多くいる」と述べた。

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『ワタン』(8月28日付)は、ファールーク・シャルア副大統領が「シリアにおける政治的正常化はすべての当事者による暴力停止を基本条件としており…、そのうえで国民対話が行われる」べきと述べた、と報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(8月28日付)は、ナジュム・ハマド・アフマド法務大臣が国民安全保障会議の指示に基づき、ダマスカス第一検事に対して、リヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相、アブドゥルハリーム・ハッダーム前副大統領、フィラース・トゥラース氏、ナウワーフ・シャイフ・ファーリス前駐イラク大使、ジョルジュ・ヤーズジー(教授)を国家反逆罪で起訴するよう要請、これに基づき7月16日から8月16日にかけて起訴手続きが行われたと報じた。

なお同様の起訴は、ジョルジュ・サブラー報道官、アンマール・カルビー、ブルハーン・ガルユーン前事務局長らシリア国民評議会の主要メンバーに対してもすでに行われている、という。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、各紙によると、ジャルマーナー市のティシュリーン地区の墓地脇で車に仕掛けられた爆弾が爆発し、26日の爆破テロでの犠牲者2人の葬儀に参列していた市民ら12人が死亡、48人が負傷した。

ジャルマーナー市での犠牲者はその後、シリア人権監視団によると、27人にのぼった。

SANA, August 28, 2012
SANA, August 28, 2012
SANA, August 28, 2012
SANA, August 28, 2012
SANA, August 28, 2012
SANA, August 28, 2012
SANA, August 28, 2012
SANA, August 28, 2012
SANA, August 28, 2012
SANA, August 28, 2012

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同じくダマスカス郊外県では、SANA(8月28日付)によると、グータ東部で軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」の追跡活動を継続した。

一方、シリア革命総合委員会によると、ザマールカー市が軍・治安部隊の砲撃を受けた。

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アレッポ県では、SANA(8月28日付)によると、アレッポ市のサイフ・ダウラ地区、イザーア地区、シャイフ・サアド地区、アシュラフィーヤ地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」と交戦し、多数の戦闘員を殺傷し、大量の武器弾薬を押収した。

またアアザーズ市郊外やザルバ地方の村などでも、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」の掃討活動を継続した。

一方、クルディーヤ・ニュース(8月28日付)は、地元消息筋の話として、アサド政権がラアス・アラブ市・タッル・タムル町間の村々の住民に武器を配給している、と報じた。

武器配給はアラーッディーン・ラズィークーを名のる人民議会議員が設置した小委員会が管轄しており、武器携帯を許される家族と、禁じられている家族に分けられている、という。

しかし、アラーッディーン・ラズィークーという名の人民議会議員はいない。

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ヒムス県では、SANA(8月28日付)によると、ヒムス市東部のマシュラファ村やクサイル市郊外で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

SANA, August 28, 2012
SANA, August 28, 2012

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ハマー県では、SANA(8月28日付)によると、カルアト・マディーク町などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、大量の武器弾薬を押収した。

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ハサカ県では、SANA(8月28日付)によると、カーミシュリー市で関係当局が反体制武装勢力と交戦し、11人を逮捕した。

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イドリブ県では、SANA(8月28日付)によると、アリーハー地方などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷・逮捕した。

反体制勢力の動き

国内で活動する反体制組織と野党は9月12日にダマスカスでシリア国民救済大会を開催するとの共同声明を発表し、広く参加を呼びかけた。

声明によると、大会は、①専制体制の存続と軍事的・治安的事態解決への固執、②国家・社会の衰退・解体、③内戦勃発の前兆、④外国の軍事介入、⑤生活状況の悪化、という5つの危機に対処することを目的としており、「民主的変革、国民統合と主権の維持、国民平和の保護」をスローガンとする。

また、革命大衆への弾圧と自衛行為から逸脱した暴力停止を火急の課題とし、外国の介入拒否、平和的手段を通じた政治的解決、民主主義実現のための平和的糸口の模索をめざす、という。

同声明によると、大会に先立って、以下の活動家からなる大会準備小委員会が設置された。

ラジャー・ナースィル(委員長)、ルワイユ・フサイン(シリア国家建設潮流)、祖国連立代表(氏名は公開されず)、ジャマール・ムッラー・マフムード(クルド運動)、アイマン・サイイド(国民成長党)、バースィル・タキーッディーン(国民潮流)、民主的変革諸勢力国民調整委員会代表(氏名は公開されず)。

また以下の政党・政治組織がすでに大会参加を決定しているという。

アラブ社会主義連合民主党
民主統一党
共産主義行動党
シリアのための「共に」運動
アラブ社会民主主義バアス党
アラブ社会主義者運動
シリア共産党政治局(シリア民主人民党)
共産主義者委員会
イスラーム民主潮流
リベラル無所属潮流
民主的変革諸勢力国民調整委員会参加組織
シリア・クルド民主党(アル・パールティ)
シリア・クルド民主パールティ
シリア・クルド民主左派党
シリア国家建設潮流
民主社会党
国民潮流
国民成長党
祖国連立
アンサール党
アレッポ宣言青年

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シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー報道官は、ジャルマーナー市での爆破テロに関して、アサド政権が「残忍な虐殺を隠蔽する」しようとしていると非難し、「政権の指紋は明らかだ」とし、政権の自作自演だと疑った。

反体制勢力は過去数ヶ月にわたって、国内での爆破・暗殺テロを武装勢力の「戦果」だと宣伝してきたが、サブラー報道官のこの発言は、アサド政権が国内での支配力を回復しつつあることを示唆しているとも解釈できる。

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シリア医療救援機構連合なる組織の使節団は、アレッポなどシリア国内に40カ所の野戦病院を設置し、医療活動に当たっていることを明らかにした。

これに先立ち、パリで27日、ローラン・ファビウス外務大臣と会談、フランスに213万ユーロの支援を求めた。

フランス外務省によると、フランスは既に3月に20,000ユーロ、6月に15万ユーロを提供している、という。

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国民誓約および移行期間プログラム文書フォローアップ・連絡委員会は前日までのカイロでの会合とそこでの決定を受けて、委員会の活動内容などを定めた声明を出し、活動開始を発表した。

http://all4syria.info/wp-content/uploads/2012/08/لجنة-المتابعة-والاتصالf.pdf

クルド民族主義勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(8月28日付)によると、アレッポ県「セレカーニー市」(アラビア語名はアイン・アラブ市)で、シリア・クルド国民評議会の地方議会の正副議長選挙が実施され、アブドゥルアズィーズ・アイユー氏が議長に、ムハンマド・サーリフ・アティーヤ氏とムスタファー・アール・ラシー氏が副議長に選出された。

al-Kurdīya News, August 28, 2012
al-Kurdiya News, August 28, 2012

3人はいずれも無所属。

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クルディーヤ・ニュース(8月29日付)によると、ハサカ県ダイリーク市で、「デリク・ハムコークルド青年調整」なる組織の呼びかけのもとアサド政権退陣を求めるデモが行われ、シリア・クルド国民評議会支持者が参加した。

しかし西クルディスタン人民議会は参加しなかった。

シリア・クルド国民評議会の参加は、クルド最高委員会結成時の合意にもかかわらず、西クルディスタン人民議会を主導する民主統一党がダイリーク市の福祉・治安などへの評議会の参加を認めないことへの反感があった、という。

レバノンの動き

アドナーン・マンスール外務大臣はイランでの非同盟諸国外相会合に先だって、「シリアのような加盟国が、主権や政治的・経済的権利を維持しようとしていることを理由に不当な制裁の餌食になることを放置できようか?」と述べ、アサド政権の退陣を求める動きに異議を唱える姿勢を改めて示した。

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AFP(8月28日付)によると、ベカーア県バアルベック郡カーアのシリア・レバノン国境地帯でシリアの国境警備隊と反体制武装勢力が交戦、迫撃砲が民家に着弾し、レバノン人3人が負傷した。

諸外国の動き

アナトリア通信(8月28日付)は、トルコの国家安全保障会議(アブドゥッラー・ギュル大統領が議長)がアンカラで会合を開き、シリアの政治的空白に「テロ組織」(PKK)が乗じるのを認めないことを改めて確認した。

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トルコの非常事態局報道官は、数週間中に40,000人を収容可能な複数の新避難民キャンプを解説し、シリア人避難民の流入に対処することを明らかにした。

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クルディーヤ・ニュース(8月28日付)は、ハタイ県アンタキヤ市で避難生活を送るクルド人非難民約50人をトルコ当局が国境地内ないしは国外に追放しようとしていると報じた。

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ロシア軍のニコライ・マカロフ参謀長は、シリア情勢に関して「この程度でなぜシリア情勢に懸念するのか?…我々が策定した計画はすべて成功している…。シリアから退避すると言ったり結論を出したりするには時期尚早だ」と述べた。

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UNHCRは、国外に避難しようとしていたシリア人の乗ったボートがキプロス沖で沈没し、子供2人を含む7人が水死したと発表した。

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ヨルダンのサミーフ・マアーイタ内閣報道官は、記者会見で、27日から28日朝までの間に4,597人のシリア人がヨルダン領内に避難してきたことを明らかにしたうえで、「すべての可能性を検討せざるを得ない」と述べ、新たな非難民キャンプの設置などを通じて増加する避難民流入に対応する意思を示した。

ヨルダン総合治安局報道課は声明を出し、ザアタリー国営避難民キャンプで、シリア人避難民約200人がキャンプでの状況改善を求める抗議行動を行い、ヨルダン警察・治安当局が投石などを受け、26人の警官・治安要員が負傷した、と発表した。

同声明によると、ヨルダン当局は、暴行に関与したシリア人非難民を追放処分にするという。

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『ウォール・ストリート・ジャーナル』(8月28日付)は、イランの現役および元革命防衛隊幹部らの話として、アサド政権支援のため、革命防衛隊戦闘員や歩兵数百人がシリアに派遣されている、と報じた。

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アラブ連盟の諮問機関であるアラブ議会のアリー・サーリム・ディクバースィー議長は、シリア情勢に関して「虐殺からシリア国民を救済するため、迅速且つ断固たる国際社会の介入」が必要だとの立場を示した。

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チュニジア大統領報道官は、「非合法なシリア大統領」の国際司法裁判所への起訴を呼びかけた。

AFP, August 28, 2012、Akhbar al-Sharq, August 28, 2012, August 29, 2012、al-Hayat, August 29, 2012、The Independent, August 28, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 28, 2012, August 30, 2012、al-Kurdiya News, August 28, 2012, August 29, 2012、Naharnet.com, August 28, 2012、Reuters, August 28, 2012、SANA, August 28, 2012、The Wall Street Journal, August 28, 2012、al-Watan, August 28, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

治安機関がカーミシュリー市に展開しシリア・クルド国民評議会メンバーを逮捕、西側諸国の高官らがダーライヤー市での「虐殺」を実行した政府を激しく非難(2012年8月27日)

国内の暴力

自由シリア軍のバドル大隊なる組織が、ダマスカス県カーブーン区上空で午前9時30分頃、「ダーライヤーでの虐殺の報復」として軍のヘリコプターを対空砲で撃墜した、と発表した。

Youtube, August 27, 2012
Youtube, August 27, 2012

ウマル・カーブーニーを名のる同大隊報道官によると、このヘリコプターはザマルカー町やダマスカス県ジャウバル区を空爆していた、という。

またヘリコプターは大破し、パイロットは焼死したという。

ユーチューブ(8月27日付)には墜落した戦闘ヘリコプターの映像がアップされた。

http://www.youtube.com/watch?v=pylnWX4p7MA&feature=youtu.be

また焼死したパイロットの画像も公開された。http://www.youtube.com/verify_age?next_url=/watch%3Fv%3DCwKYtONlscE

なおシリア・アラブ・テレビ(8月27日付)は、ヘリコプターの墜落を速報したが、詳細については報じなかった。

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同じく、ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、フーリーヤ市が軍の激しい砲撃に曝された。

またダーライヤー市で新たに14体の遺体が発見された。

一方、SANA(8月27日付)によると、ジャルマーナー市で反体制武装勢が仕掛けた爆弾が爆発し、1人が犠牲となった。

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ダマスカス県では、『クッルナー・シュラカー』(8月27日付)によると、ドゥワイラア地区、カシュクール地区で大きな爆発音が聞こえた。

上空にはヘリコプターが旋回しており、空爆したものと思われる。

またシリア人権監視団によると、ジャウバル区が軍の激しい砲撃に曝された。

アブー・ウマルを名のる住民(商人)はロイター通信(8月27日付)に対して、ジャウバル区では軍・治安部隊が100人以上を恣意的に逮捕した、と語った。

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アレッポ県では、SANA(8月27日付)によると、アレッポ市イザーア地区、アーミリーヤ地区、タッル・ザラーズィール地区、サイフ・ダウラ地区、インザーラート地区、マサーキン・ハナーヌー地区、マイサルーン地区、マシュハド地区、ブスターン・カスル地区で軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追跡、多数の戦闘員を殺傷・逮捕、大量の武器弾薬を押収した。

またバーブ市でも、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦、殲滅した。

これに対して、シャフバーの鷹師旅団大隊なる組織は、アレッポ市のイザーア地区とサイフ・ダウラ地区を「完全制圧」したと発表した。

同大隊広報局のアブー・ラウワーハなる活動家が明らかにした。

またアレッポ革命家連合のアブー・ルワイユ・ハラビーなる活動家もAKI(8月27日付)に対して、シャフバーの鷹師旅団大隊による制圧を認めた。

一方、ナハールネット(8月27日付)によると、ギリシャ・カトリック教会アレッポ司教区が戦闘激化を受け、レバノンに退避した。

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ハサカ県では、クルディーヤ・ニュース(8月27日付)によると、治安機関(軍事情報局)がカーミシュリー市に展開し、シリア・クルド国民評議会のサーリフ・ユースフ氏(40歳)を逮捕した。

同市は軍・治安機関のほとんどが撤収し、PKK系の民主統一党が自治を行っているとされているが、同党は治安機関進入のため検問所を開放したものと思われる。

ユースフ氏はアームーダー市政、とりわけ運輸や課税問題に介入しようとしていた民主統一党の政策に反対していた。

一方、SANA(8月27日付)によると、カンタリー村でガソリンや灯油を積んだ燃料タンク車が反体制武装勢力の襲撃を受けたが、関係当局が反撃し、複数の戦闘員を殺傷した。

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ハマー県では、SANA(8月27日付)によると、ハマー市で軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトに突入し、多数の戦闘員を逮捕、大量の武器弾薬を押収した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、アリーハー市、マアッラトミスリーン市に対して軍が空爆を行った。

一方、SANA(8月27日付)によると、アリーハー市で軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追跡し、甚大な被害を与えた。

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ダルアー県では、SANA(8月27日付)によると、フラーク市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷し、同市の「浄化」を完了した。

またブスラー・シャーム市では、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員1人を殺害した。

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ヒムス県では、SNN(8月27日付)によると、ヒムス市のシヤーフ地区とラスタン市を軍が砲撃した。

一方、SANA(8月27日付)によると、クサイル市郊外で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、複数の戦闘員を殺傷した。

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イフバーリーヤ・チャンネル(8月27日付)はシリア国内で行方不明となっていたトルコ人記者のジュネト・ウナル氏のインタビュー・ビデオを放映した。

Youtube, August 27, 2012
Youtube, August 27, 2012

ビデオのなかで、ウナル氏はフッラ・チャンネルの契約記者で、反体制勢力とともにトルコからアレッポに不法入国し、取材を行っていたと語った。

また「私と一緒にいた人はみな武器を手にしていた。武装集団にはチェチェン人、リビア人、カタール人、スーダン人がいた」と証言した。

この武装集団はアレッポで別の集団と合流したが、アレッポ市マイダーン地区での軍との戦闘中、ウナル氏は逮捕された、という。

ウナル氏は、8月20日、フッラ・チャンネルの契約記者でパレスチナ人(ヨルダン)のバッシャール・ファフミー氏、ジャパンプレスの山本美香氏、佐藤和孝氏とともにシリアに入っていた。

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『アフバール・シャルク』(8月27日付)は、アレッポに医療ボランティアに入ったサウジアラビア人歯科医タラール・ムハンマド氏の現地での体験レポートを掲載した。

それによると、ムハンマド氏は反体制武装勢力の臨時訓練基地でのイフタールで、その場にいたある男から「我々を誤解しないでください…。我々はあなたと迎え入れることはできますが、もしお金か武器を持ってきていたら、その方がもっとよかった」と言われた、という。

同氏によると、戦闘員のなかには、イラク、アフガニスタン、チェチェン、リビアで経験を積んだ戦闘員がおり、自由シリア軍の指揮官らは彼らの紛争への参加が西側やアラブ諸国政府の懸念を高め、自分たちを害をもたらすと考えていたという。

またシリア入国当時、「解放まであとわずかだと思っていたが、過酷で血塗られた紛争が生じていることが判明し、歯科医師としての能力や医師としての義務感は…戦闘員にとって重要ではなかった」と吐露した。

シリア政府の動き

アリー・ハイダル国民和解問題担当国務大臣は記者会見で、「提案は完全に拒否された。なぜなら諸外国が提起したものだからだ」と述べ、イランがアサド大統領の退任に反対していることを明らかにした。

イラン学生通信(8月27日付)が伝えた。

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AFP(8月27日付)は、2011年3月以降の「無認可」のデモを実施・参加した理由で逮捕された市民数十人が当局によって釈放された、と報じた。

反体制勢力の動き

8月26日からカイロで行われていた反体制勢力代表の会合(アラブ連盟主催)が終了した。

クルディーヤ・ニュース(8月27日付)によると、会合では、7月にカイロで原則合意された「国民誓約文書」の文言などをめぐる協議が行われ、同文書などを修正の是非をフォローアップする委員会の設置し、対立の解消をめざすことで合意した。

al-Kurdīya News, August 27, 2012
al-Kurdiya News, August 27, 2012

会合に参加したシリア・クルド国民評議会のメンバーであるカーミーラーン・ハーッジューによると、「会合は前向きな雰囲気だった」もの、クルド人の権利をめぐる文言の修正はなされず、署名は依然として見送られている、という。

また民主的変革諸勢力国民調整委員会に関しては、「最近のイニシアチブ(停戦の呼びかけ)がカイロ会議での憲章の文言や精神に合致していない」とみなし、同イニシアチブの撤回と憲章遵守を求めた。

なお会合には参加した反体制勢力の代表は以下の通り。

シリア国民評議会:ナジャーティー・タイヤーラ、タウフィーク・ドゥンヤー、ハサン・ハーシミー
シリア・クルド国民評議会:カーミーラーン・ハーッジュー、ムハンマド・ムーサー
シリア国民変革潮流:シャーディー・ハッシュ
シリア革命総合委員会:ムウタスィム・スユーフィー
シリア国民ブロック:サアド・マシュラフ
トルクメン運動:ズィヤード・ハサン
シリア革命調整連合:ウマル・シャアバーン
自由シリア軍:ハーリド・ムトラク
シリア民主フォーラム:サミール・イータ
民主的変革諸勢力国民調整委員会:マフムード・マリー
自由シリア軍国内合同司令部:アドナーン・シャンマーウ
シリア支援委員会:ヤクザーン・シーシャクリー
自由シリア軍事評議会:ムハンマド・タルカーウィー

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『イクティサーディー』(8月27日付)は、財務省消息筋の話として、当局がテロ撲滅法第4条に基づき、ミシェル・キールー(シリア民主フォーラム)、サーリヤ・アブドゥルカリーム・リファーイー(シャイフ)、アブドゥッラティーフ・ダッバーグ(前駐UAE大使)、マイ・スカーフおよび両名の家族の資産を凍結した、と報じた。

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シリア民主フォーラムは声明を出し、キールー氏らの資産凍結を強く非難した。

レバノンの動き

25日にベカーア県バアルベック郡ハウシュ・ガナム地方で誘拐されたクウェート人のイサーム・フーティー氏が釈放された。

諸外国の動き

ヨルダンのザアタリー国営避難民キャンプで、避難生活の不満を訴え、帰国を求めるシリア人数百人が投石するなどして抗議行動を行い、ヨルダンの治安当局と衝突した。

SANA, August 27, 2012
SANA, August 27, 2012

キャンプでの抗議行動に関して、サミーフ・マアーイタ内閣報道官は、シリア政府の支持者が関与しているとの一部情報を否定した。

しかし複数の治安筋は『ハヤート』(8月28日付)に対して、ザアタリー・キャンプ内でスパイ活動や武器・爆発物の使用を試みた「シリア政府の工作員」10人を逮捕したと語った。

同様の工作員はこれまでに21人逮捕されている、という。

なお同様の抗議行動は26日夜間にも発生、約700人のシリア人避難民がキャンプを一方的に去り、帰国しようとした。

ヨルダンの治安当局は催涙弾を用いて強制排除を試み、双方に複数の負傷者が出た。

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アンマンのスワイリフ地区でシリア人2人が何者かに撃たれ、1人が死亡した。『ハヤート』(8月28日付)が報じた。

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フランスのフランソワ・オランド大統領は、パリで在外フランス大使を前に外交政策に関する演説を行い、反体制勢力が暫定政府を発足すればただちにそれを支持するとの意思を示すとともに、同盟国との協力のもとシリア国内に緩衝地帯を設置し、避難民の保護をめざすとの意思を示した。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣はウナル氏の証言ビデオ放映後にアンカラで記者会見を開き、「証言を強要されている」としたうえで、証言内容を曲解(誤解)し、「記者の仕事をするために現地に入ったウナル氏が過激派になる可能性などあるのか?こうした言い分を決してまじめに捉えはしない」と述べた。

またダウトオール外務大臣は、トルコ領内のシリア人避難民の数が80,000人を越えたことを明らかにし、周辺諸国だけでな避難民の重荷を背負いきれないと述べた。

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国連のマーティン・ニスルキー事務総長付報道官は、ダーライヤー市での戦闘(虐殺)に関する報道に関して、衝撃を受けたとしたうえで、「野蛮な恐るべき犯行」と非難、「中立的な調査の即時実施」を求めるとともに、「流血から政治的対話に向けて早急に行動する」べきと強調した。

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米国家安全保障会議のトミー・ビーター報道官は、ダーライヤー市での戦闘(虐殺)関して、アサド大統領が「正統性を完全に失っている」としたうえで、国際社会がその退任に向け圧力を強化すべきと強調した。

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フランス外務省のフィリプ・ラリオ報道官は、ダーライヤー市の戦闘(虐殺)に関して「遺体発見に深い衝撃」を受けたとする一方、「国際調査員会が虐殺の状況を完全に解明することを望む」と述べた。

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キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長付報道官のマイケル・マン氏は、ダーライヤー市の戦闘(虐殺)に関して、「こうした暴力を遺憾に思い、強く非難する。受け入れられない」と非難、事件発生の状況に関しては「明らかでない」としつつも「シリア国民に対するアサド政権の暴力を留保なく非難する」述べ、「民主的転換」を呼びかける一方、「人権と民主主義を信じるすべての反体制勢力を支持する」との意思を示した。

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UNICEFは、ヨルダン国内に非難するシリア人避難民救済に必要な5,400ドルを寄付・支援を呼びかけた。

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エジプトのムハンマド・ムルスィー大統領は、ロイター通信(8月27日付)に対して、自身の外交政策の基本方針を語った。

そのなかでムルスィー大統領はシリアへの軍事介入に反対し、危機の平和的解決を支持するとしつつ、「流血を止め、シリア国民が完全な権利を獲得し、国民を殺戮するこの体制が姿を消す時が来た」と述べ、アサド政権が退任すべきだとの立場を示した。

また「我々はこれまでに中国やロシアなどのシリア国民の友人にシリア国民を支持しなければならないと言ってきた」と付言した。

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ヴィクトリア・ヌーランド米国務省報道官は、「我々はシリアの反体制勢力に国内外のシリア人の活動を調整するため緊密に連携するよう呼びかけてきた…。彼らがまずしなければならないのは、(政治的)移行についての合意だ…。(そのうえで次期政府の)人選を行う時期を決めればよい」と述べた。

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中東通信(8月29日付)などによると、27日深夜、カイロのアラブ連盟本部を爆破すると脅迫したシリア人が逮捕された。

男性はダマスカス郊外県での戦闘に巻き込まれて両親が死亡したことを知って、犯行に及んだという。

AFP, August 27, 2012、Akhbar al-Sharq, August 27, 20122, August 28, 2012、al-Hayat, August 28, 2012、al-Iqtisadi, August 27, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 27, 2012, August 28, 2012、al-Kurdīya
News, August 27, 2012、MENA, August 29, 2012、Naharnet.com, August 27, 2012、Reuters,
August 27, 2012、SANA, August 27, 2012、SNN, August 27, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

軍・治安部隊がダマスカス郊外県ダーライヤー市で「虐殺」を実行しこれまでで320人が死亡、PKK代表とシリア・クルド国民評議会の代表が「極秘の会談」を実施(2012年8月26日)

シリア政府の動き

アサド大統領はシリアを訪問中のイラン・シューラー議会(国会)のアラーッディーン・ボルージェルディー国家安全保障外交委員長と会談した。

SANA, August 26, 2012
SANA, August 26, 2012
SANA, August 26, 2012
SANA, August 26, 2012
al-Hayat, August 27, 2012
al-Hayat, August 27, 2012

SANA(8月26日付)などによると、アサド大統領は会談で「西側諸国と一部の地域諸国がどれほど協力しあったとしても、シリアは確固たる方法をもって国民の合法的な権利を擁護し抵抗する」との意思を示した。

また「現下の計略がシリアに対して向けられているのではなく、シリアが礎石をなす地域全体に対して向けられている…。外国諸勢力はシリアを標的とすることで、地域全体における計画を実現しようとしている」と述べた。

これに対して、ボルージェルディー委員長は「シリアの安全保障はイランの安全保障の一部をなす」点を強調し対話を通じた危機の政治的解決に向けてシリア政府、国民を引き続き支援するとの意思を示した。

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シリアを訪問中のイラン・シューラー議会(国会)のアラーッディーン・ボルージェルディー国家安全保障外交委員長はまた離反報道が絶えないファールーク・シャルア副大統領と会談したほか、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣と会談した。

離反報道の加熱以降、シャルア副大統領が公の場に姿を現したのはこれが初めて。

ムアッリム外務在外居住者大臣は会談後、国内の「武装集団」の「浄化」が完了するまで、反体制勢力との交渉は始められないとの見解を示した。

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8月16日に就任したアドナーン・アブドゥー・サフニー工業大臣、ナジュム・ハマド・アフマド法務大臣、サアド・アブドゥッサラーム・ナーイフ保健大臣の3人がアサド大統領に対して就任宣誓を行った。

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『サウラ』(8月26日付)は、社説で、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相が「かつてないほどに米国にの従順な道具になりさがり…、イスラエルの国益のため米国とともにシリア国内でのテロに関与している」と批判した。

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Damas Post(8月26日付)は、イランで開催予定の非同盟諸国外相会合後に、シリア政府がロシア、中国、イランの支援のもと、包括的国民対話大会開催の準備を始めるだろう、と報じた。

 

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『クッルナー・シュラカー』(8月26日付)は、ジャーミア・ジャーミア少将が軍事情報局ダイル・ザウル課長からダマスカス地域課長に異動したと報じた。

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『アフバール・バラド・ナー』(8月26日付)はヨルダンの複数の消息筋の話として、バフジャト・スライマーン駐ヨルダン・シリア大使がイード・フィトルの挨拶で訪問した複数のヨルダン人に対して、「アサド大統領は血に飢えた性格でなく、非常に繊細」と述べたと報じた。

同報道によると、スライマーン大使は、故ハーフィズ・アサド大統領から、バッシャール・アサド大統領に、軍の裏切り者に対処するための銃の撃ち方を教えるよう頼まれたが、なかなか習得しなかったという。

しかし1996年、アサド大統領(当時共和国護衛隊付士官)は、スライマーン大使(当時ムハーバラートの幹部)に軍のクーデタ未遂に対処するため裏切り者を射殺することを求めた、という。

スライマーン大使が上記のように語ったか否かの真偽は定かでない。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市(人口約20万)で過去5日間の軍・治安部隊と反体制武装勢力と交戦で死亡したと見られる遺体少なくとも320人が発見された。

SANA, August 26, 2012
SANA, August 26, 2012

同監視団によると、このうち約200体は過去48時間に粛清・処刑されたり、空爆で死亡した遺体で、反体制武装集団の戦闘員だけでなく、女性子供も含まれている、という。

ユーチューブ(8月26日付)には、「ダーライヤーのアブー・スライマーン・ダーライヤーニー・モスクの虐殺」とのタイトルで、モスク内に安置された遺体の映像が公開された。

http://www.youtube.com/verify_age?next_url=/watch%3Fv%3DIOT8FK7oKSE

アブー・カナアーンを名のる活動家によると、遺体のほとんどは軍・治安部隊や親政府の民兵が市内で行った突入作戦時に家の中で射殺された、という。

複数の活動家は、ダーライヤー市での「虐殺」は「反体制武装勢力戦闘員が首都南部郊外に再集結したのを受け、(政権が)首都での革命を一気に根絶しようとした」と評した。

なおダーライヤー市での戦闘(虐殺)での被害者数は、「300人以上」、「150人以上」というように各反体制勢力によって異なっており、また『ハヤート』(8月27日付)によると、虐殺の真偽も非政府系のメディアが規制を受けているため確認できない、という。

このほか、シリア人権監視団によると、ランクース市での軍・治安部隊との戦闘で、反体制武装勢力の戦闘員5人が死亡した。

一方、SANA(8月26日付)によると、反体制武装勢力が「浄化」されたダーライヤー市で軍・治安部隊が「残党」の掃討を続し、多数の戦闘員を殺傷、逮捕、武器弾薬を押収した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市のメリディヤン地区、イザーア地区、ファイイド地区などで軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦した。

また同監視団によると、ダウワール・ジャンドゥール地区の戦闘で反体制武装勢力の戦闘員3人が、またマイダーン地区では1人が殺害された。

このほか、サラーフッディーン地区、サイフ・ダウラ地区、スライマーン・ハラビー地区、サーフール地区などでも戦闘があったという。

一方、SANA(8月26日付)によると、軍・治安部隊はアレッポ市アズィーズィーヤ地区、スライマーニーヤ地区、バーブ・ハディード地区、サーリヒーン地区、サイフ・ダウラ地区、ジュダイダ地区などで反体制武装勢力の「残党」の掃討を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

またアナダーン市、マンビジュ市などでも軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」の掃討を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、『ハヤート』(8月27日付)は、複数の活動家の話として、アッバースィーイーン広場で爆発音が聞こえ、広場にいたる道が一時封鎖された、と報じた。

一方、SANA(8月26日付)によると、ルクンッディーン区でイマーム・ナワウィー・モスクの説教師ハサン・バルターウィー師が「テロ集団」に暗殺された。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市の旧市街で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

一方、SANA(8月26日付)によると、カルヤ・ヒスン市、タッルカラフ市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、SNN(8月26日付)によると、MiG23がザーウィヤ山を空爆した、数十人が死傷したという。

一方、SANA(8月26日付)によると、アリーハー市およびその周辺で軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追跡し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ハマー県では、SANA(8月26日付)によると、ハマー市内で指名手配中の反体制武装勢力戦闘員多数が逮捕された。

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山本美香氏らをトルコからアレッポに案内したアブドゥッラフマーン(38歳)を名のる運転手はロイター通信(8月26日付)に対して、同氏と佐藤和孝氏はフッラ・チャンネルの記者2人とともにシリアに入国したと語った。

4人はアレッポ市内のサラーフッディーン地区に連れて行くよう求め、彼らがタウヒード旅団のアブー・ナースィルなる部隊長と交渉していると、軍のヘリコプターやMiG23がスライマーン・ハラビー地区を空爆した。

アブー・ナースィルが死傷者収容のため、スライマーン・ハラビー地区に行くと4人に告げると、彼らは行く先を変更し、アブー・ナースィルとともに同地区に向かった、という。

フッラ・チャンネルの記者2人は現在も行方不明である。

反体制勢力の動き

地元調整諸委員会はダーライヤー市での戦闘に関して「体制が犯した虐殺」と非難した。

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自由シリア軍のリヤード・アスアド司令官は、レバノンの声ラジオ(8月26日付)に対して、アレッポ県で拉致されたレバノン人巡礼者の釈放は「そのほとんどがヒズブッラーの幹部なので容易ではない」と述べた。

またハサン・ナスルッラー書記長に関して「求められたことを行うことに失敗した」と述べ、「シリア政府とともにヒズブッラーが(シリア)国民と戦っているとみなしている」と非難した。

クルド民族主義勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(8月26日付)は、信頼できる消息筋の話として、8月20日にイラク・クルディスタン地域のキンディールでPKK代表とシリア・クルド国民評議会の代表が「極秘の会談」を行った、と報じた。

会談に参加したのは、PKKのジェミル・バイク、シリア・クルド左派党のムハンマド・ムーサー書記長、シリア・クルド民主党(アル・パールティ)のホシャンク・ダルウィーシュら。

会談でバイクはクルド民族主義勢力の統合の必要を強調した、という。

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クルディーヤ・ニュース(8月26日付)は、PKK系の民主統一党が自治を行うアレッポ県アイン・アラブ市(コーバーニー市)で麻薬の栽培が行われている、と報じた。

レバノンの動き

北部県トリポリ市バーブ・タッバーナ地区とジャバル・ムフスィン地区で続く市民どうしの衝突で、1人が死亡、6人が負傷した。

またレバノン軍は事態収拾のため、武装した18人を逮捕し、武器を押収した。

諸外国の動き

『ハヤート』(8月27日付)は、トルコ高官の話として、シリア領内からトルコのハタイ県に避難しようとしたシリア人少なくとも2,000人の入国を阻止した、と報じた。

同高官によると、「我々にはこれらの人々を収容する場所がもうない。収容場所を建設するため活動しており、完成すれば、彼らの通過を認めるだろう」と述べた。

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イラン・シューラー議会(国会)のアラーッディーン・ボルージェルディー国家安全保障外交委員長は8月末に開催予定の非同盟諸国首脳会議にシリアの首相と外相を招待するだろうと述べた。

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『サンデー・テレグラフ』(8月26日付)や『タイムズ』(8月26日付)は、「ジハード主義グループ」が英国内で若者をリクルートし、シリアに派遣していると報じた。

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ヨルダンのサミーフ・マアーイタ内閣報道官は、国際社会に対してシリア人避難民救済のための特別支援をヨルダンに行うよう呼びかけた。

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イラク・クルディスタン地域の自治政府は7月のイラク軍のニネベ県ザンマール地方対シリア国境地帯への展開によって生じていた緊張状態を緩和するための治安合意をバグダードのイラク中央政府との間で交わしたと発表した。

この合意は7項目からなっており、イラク軍とペシュメルガの現地での治安維持活動を調整する委員会の設置などを骨子とするという。

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エジプトのムハンマド・ムルスィー大統領は、イランに関して「問題の一部ではなく、解決策の一部」とみなし、同国がメッカでのイスラーム諸国会議機構首脳会議で提案した四カ国連絡委員会の設置に理解を示した。ヤースィル・アリー大統領報道官が記者会見で明らかにした。

同委員会はイラン、エジプト、サウジアラビア、トルコの四カ国からなる。

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英国のアリスター・バート中東問題担当大臣はダーライヤー市での戦闘(虐殺)に関して、「深い懸念」を表明した。

AFP, August 26, 2012、Akhbar al-Sharq, August 26, 2012、Damas Post, August 26, 2012、al-Hayat, August 27, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 26, 2012、al-Kurdiya News, August
26, 2012、Naharnet.com, August 26, 2012、Reuters, August 26, 2012、SANA, August
26, 2012、SNN, August 26, 2012、The Sunday Telegraph, August 26, 2012、al-Thawra, August 26, 2012、The Times, August 26, 2012などをもとに作成。

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アレッポ市マシュハド地区で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦するなか、AFPによると民主統一党が実効支配するアフリーン市からの軍・治安機関の撤退は「表面的なもの」(2012年8月25日)

国内の暴力

アレッポ県では、AFP(8月25日付)によると、アレッポ市マシュハド地区で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

SANA, August 25, 2012
SANA, August 25, 2012
SANA, August 25, 2012
SANA, August 25, 2012

またAFP(8月25日付)によると、アレッポ市カーディー・アスカリー地区でパン販売所で列を作っていた20人が列の割り込みをめぐって喧嘩となった。

『ハヤート』(8月26日付)によると、サーフール地区、シャッアール地区、サーリヒーン地区は軍・治安部隊が奪還し、検問所を設置し、反体制武装勢力の進入に備えている、という。

一方、SANA(8月25日付)によると、アレッポ市のフィルドゥース地区、サイフ・ダウラ地区、ブスターン・バーシャー地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」の掃討を継続し、多数の戦闘員を殺傷、武器弾薬を押収した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ジャルマーナー市の入口、ナブク市、ヤブルード市、サクバー氏などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。ヤブルード市に対してはヘリコプターが投入されたという。

一方、SANA(8月25日付)によると、軍・治安部隊がダーライヤー市における反体制武装勢力の「浄化」を完了し、多数の戦闘員を殺傷、武器弾薬を押収した。

また「浄化」が完了したタッル市では、軍・治安部隊が反体制武装勢力が使用しようとしていた大量の武器弾薬を発見、押収した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ナーフタ町が軍・治安部隊の砲撃を受けた。

またシリア情報センターによると、フラーク市に軍・治安部隊が突入、反体制武装勢力は「民間人の命を守るため」同市を撤退した。

一方、SANA(8月25日付)によると、ワーディー・ヤルムーク地方などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の追跡を継続し、多数の戦闘員を殺傷、武器弾薬を押収した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市のジャウラ地区に軍・治安部隊が突入した。

一方、SANA(8月25日付)によると、ダイル・ザウル市各所で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員約20人を殺害した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カダム区のダルアー街道で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

またカフルスーサ区が軍・治安部隊の砲撃を受けた。

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イドリブ県では、SANA(8月25日付)によると、アリーハー市で軍・治安部隊などが反体制武装勢力の「残党」を追跡、逮捕・摘発した。

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ヒムス県では、SANA(8月25日付)によると、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区で軍・治安部隊などが反体制武装勢力の「残党」を追跡、殺害した。

シリア政府の動き

アラビーヤ(8月25日付)などは、自由シリア軍が、第7師団のムハンマド・ムーサ-・ハイイラート少将、第1軍団野戦砲兵司令官のサミール・ジュムア准将、ニダール・ガザーウィー大佐(空軍)、サミール・ガザーウィー大佐ら18人の士官が離反し、ヨルダンに24日に逃れたと発表した、と報じた。

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複数のメディアが、ファールーク・シャルア副大統領が「数日前からヨルダンいる」、「シリアを出国後解任された」と報じたが、SANA(8月25日付)は、同報道が「嘘でねつ造された」報道と否定した。

反体制勢力の動き

ロイター通信(8月25日付)などによると、ウルーワ・ニールビーヤ氏が23日、ダマスカス国際空港で逮捕された。

ニールビーヤ氏(35歳)はドキュメンタリー映画監督で、カイロに向かう途中だった。

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LBCI(8月25日付)は、シリア救済最高委員会のワーイル・ハーリディー代表(シリア人)がベイルート国際空港で逮捕されたと報じた。

逮捕の理由は明らかではないが、ベカーア県の検察当局が逮捕状を請求していた。

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パリで活動するシリア民主世俗主義諸勢力連立は国際社会に対して軍事介入を求める声明を発表した。

クルド民族主義勢力の動き

AFP(8月25日付)は、PKK系の民主統一党が実効支配するアレッポ県アフリーン市の状況に関して、軍・治安機関の撤退は表面的なもので、同市内の関連施設内に依然として多くの要員が駐在しており、アサド大統領の写真なども掲げられたままであると報じた。

同報道によると、検問所にはPKKの指導者アブドゥッラー・オジャランの顔が印刷されたシャツを着る武装したクルド人が公然とクルド語で会話し、また市内の壁などにはオジャランの写真が貼られている、という。

一方、同市の武器はシリア・クルド民主統一党(イェキーティー)が管理している、という。

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DW(8月25日付)もまた、クルド人が多く居住する北東部の都市でアサド大統領の写真や銅像が破壊されずに残っていると報じた。

同紙が取材したクルド人によると、このことはアサド政権の支配維持を意味するものではなく、「アサドの兵は革命家を恐れて兵舎に閉じこもっている」のだという。

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『クルディーヤ・ニュース』(8月25日付)によると、トルコに逃走しようとして身柄拘束されたクルド人兵士28人以上との連絡がとれずにいると報じた。

彼らはカーミシュリー市の軍事治安局の拘置所に拘束されている、という。

クルド人離反兵は通常はイラク領内に逃走するが、PKK系の民主統一党が対イラク国境を掌握するなかで、トルコへの逃走を図ったと見られている。

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『クルディーヤ・ニュース』(8月25日付)は、シリア最高委員会渉外委員会の使節団がカーミシュリーのアッシリア民主機構の事務所を訪問したと報じた。

訪問はアッシリア教徒とクルド人の関係強化が目的だという。

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『クルディーヤ・ニュース』(8月25日付)は、シリア・クルド民主党(アル・パールティー)、シリア・クルド・アーザーティー党、改革運動(シリア・クルド進歩民主党)が近く新たな政治連合の発足を発表すると報じた。

レバノンの動き

ミクダード家連盟のマーヒル・ミクダード代表はLBCI(8月25日付)に対して、シリア人6人を「善意を示すため」釈放したと発表した。

残るシリア人4人とトルコ人1人は依然として拉致されている。

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NNA(8月25日付)は、ベカーア県バアルベック郡ハウシュ・ガナム地方でクウェート人のイサーム・フーティー氏(52歳)が武装集団に誘拐された。

フーティー氏はカタールのナンバープレートのついた車を運転していた。

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24日にベカーア県で誘拐されていたレバノン系フランス人のムハンマド・ハサン・サブラー氏が身代金を支払い釈放された。各紙が報じた。

OTV(8月25日付)によると、身代金は30,000ドル。

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アレッポ県で拉致されたレバノン人の1人のフサイン・アリー・ウマル氏がトルコ経由でベイルート国際空港に無事到着した。

同氏によると残る10人はみな無事で、近く釈放されるという。

諸外国の動き

『ハヤート』(8月25日付)は、信頼できる複数の消息筋の話として、アフダル・ブラーヒーミー・シリア危機担当国連・アラブ連盟共同特別代表が、安保理での閣僚級会合(8月30日開催予定)で、アサド大統領を含まないかたちでの暫定構想を含む行程表を提示する予定だと報じた。

SANA, August 25, 2012
SANA, August 25, 2012

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イラン・シューラー議会(国会)のアラーッディーン・ボルージェルディー国家安全保障外交委員長がシリアを訪問した。

AFP(8月25日付)によると、アサド大統領と会談するかどうかは不明だという。

ボルージェルディー委員長はムハンマド・ジハード・ラッハーム人民議会議長と会談し、二国間関係や「シリアの治安、安定、そして地域におけるレジスタンスとしての役割に対する陰謀」などに関して協議した。

会談でボルージェルディー委員長は、シリアの陰謀に対する兆候はより明らかになっている、との所見を述べた、という。

SANA(8月25日付)が報じた。

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ファルス通信(8月25日付)は、イランの革命防衛隊のフセイン・ターイブ諜報局長が「イランにはアサド政権を支持し、レジスタンスの前線破壊を阻止する責任がある」と述べたと報じた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣はテレビ局とのインタビューで、先週ガズィアンテップやハタイで発生した爆弾テロに関して、シリア国内の混乱が理由ではない、と述べ、シリア政府の関係を否定した。

ダウトオール外務大臣は、「テロ組織はシリアの混乱を利用したいのだろう。しかしトルコでのテロ事件がシリアによるものだと推測することは軽率である。テロは一つの要素だけからは説明できない」と述べた。

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UNSMISのババカール・ジャイ団長がシリアを離任した。

AFP, August 25, 2012、Akhbar al-Sharq, August 25, 2012、Alarabia.net, August 25, 2012、al-Hayat, August 25, 2012, August 26, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 25, 2012, August
26, 2012、al-Kurdiya News, August 25, 2012、LBCI, August 25, 2012、Naharnet.com,
August 25, 2012、NNA, August 25, 2012、OTV, August 25, 2012、Reuters, August
25, 2012、SANA, August 25, 2012などをもとに作成。

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深夜から早朝にかけこれまでの最多人数となるシリア人2,224人がヨルダン領内に避難、カーミシュリー市でデモが発生し「シリア・クルディスタン青年運動」などと書かれたプラカードを掲げる(2012年8月24日)

シリア政府の動き

カドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣はシリア・アラブ・テレビ(8月24日付)に出演し、シリアにおける危機の解決が、すべての当事者による国民対話を通じてなされ、この対話には国家を守る者たちの権利が維持される限りにおいていかなる前提条件もない、と述べた。

SANA, August 24, 2012
SANA, August 24, 2012

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、複数の反体制活動家によると、軍・治安部隊がダーライヤー市内や郊外に展開し、逮捕・摘発活動を行った。

複数の活動家によると、ダーライヤー市に対する砲撃で少なくとも21人が死亡、また反体制武装勢力が残留する郊外の複数地域に対して軍が空爆を行った。

このほか、ザバダーニー市周辺、アルバイン市東部に対しても、軍・治安部隊が反体制武装勢力掃討のための砲撃を行い、少なくとも70人が死亡したと見られる。

一方、SANA(8月24日付)によると、ダーライヤー市、ドゥーマー市軍・治安部隊が反体制武装勢力を追跡、多数の戦闘員を殺傷、逮捕、大量の武器を押収した。

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ダマスカス県では、『ハヤート』(8月25日付)などによると、ナフル・イーシャ地区などが戦車によって包囲され、家屋を破壊、複数名を殺害した、という。

一方、SANA(8月24日付)によると、マッザ区(バサーティーン・ラーズィー)で軍・治安部隊が反体制武装勢力を追跡、多数の戦闘員を殺傷、逮捕、大量の武器を押収した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、マヤーディーン市で空爆や砲撃で21人が死亡した。

SANA, August 24, 2012
SANA, August 24, 2012

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダーイル町を軍・治安部隊が砲撃し、7人が死亡した。

またラジャート高原、タイバ町なども砲撃を受けた、という。

一方、SANA(8月24日付)によると、フラーク市で軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、サルミーン市、カンスフラ村、アリーハー市などに対して軍・治安部隊が砲撃を加え、6人が死亡した。

またバーラ村、ジューズィフ市、バサーミス市、マアッラト・ヌウマーン市、マアッラトミスリーン市、ハーン・シャイフーン市なども砲撃を受けたという。

一方、SANA(8月24日付)によると、アリーハ地方などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハマー市のマルアブ地区南部、アレッポ街道地区、アルバイーン地区、ダウワール・ジュッブ地区などで、軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(8月24日付)によると、マサーフィナ市、タイバト・イマーム市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区、ラスタン市などが軍・治安部隊の砲撃に曝され、ヒムス市の検問所では離反兵1人が殺害された。

一方、SANA(8月24日付)によると、タッルカラフ地方でレバノンからの潜入を試みた反体制武装勢力と軍・治安部隊が交戦、撃退した。

またタッルカラフ市、クサイル市、タルビーサ市、ヒムス市ハーリディーヤ地区、バーブ・フード地区、カラービース地区、カルヤ・ヒスン市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アアザーズ市、フライターン市などが軍・治安部隊の砲撃を受けた。

一方、SANA(8月24日付)によると、アレッポ市アカバ地区、サイフ・ダウラ地区、ブスターン・バーシャー地区、スライマーン・ハラビー地区、ハラク地区、スッカリー地区、サイイド地区、ブスターン・カスル地区、ハッザーザ地区、マイサルーン地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」に対する掃討作成を継続、多数の戦闘員を殺傷した。

また軍・治安部隊はフライターン市からの潜入を試みた反体制武装勢力と交戦し、戦闘員5人を殺害した。

さらにカブターン・ジャバル村、スィリーン村、アリーナ村、ラッカ・アレッポ街道、カフルハムラ村、マアーッラト・アルティーク村、タッル・リフアト市、マーリア市、アナダーン市、フライターン市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ラタキア県では、SANA(8月24日付)によると、カサーティル村・マズィーン村間でアレッポ・ラタキア街道を封鎖した反体制武装勢力を軍・治安部隊が排除した。

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地元調整諸委員会によると、「ダルアーよ、悲しむな、アッラーは我々とともにある」金曜日と銘打って、ダマスカス県、ダマスカス郊外県、アレッポ県、ダルアー県、ハマー県、イドリブ県各地で金曜の礼拝後に反体制デモが行われた。

al-Kurdīya News, August 24, 2012
al-Kurdiya News, August 24, 2012
al-Kurdīya News, August 24, 2012
al-Kurdiya News, August 24, 2012

『ハヤート』(8月25日付)によると「数千人」が参加した。

シリア人権監視団によると、デモが発生した都市は以下の通り。

ダマスカス県アサーリー地区、カブル・アーティカ地区、ジャウバル区、ダマスカス郊外県のハジャル・アスワド市、ドゥーマー市、ハーマ町、カフルバトナー町、ヤブルード市、ハラスター市、ムライハ市、アルバイン市、アレッポ市のハラブ・ジャディーダ地区、シャッアール地区、ハーリディーヤ地区、マサーキン・ハナーヌー地区、アレッポ県アナダーン市、ダルアー県イブタア町、ヤードゥーダ村、ナスィーブ村、マアルバ町、マターイヤ村、ムサイフラ町、サフワ村、イドリブ県フバイト村、シャイフ・ムスタファー村、タマーニア町、カフルナブル市、ハマー県のラターミナ町、カフルヌブーダ町、ハマーディー・ウマル村、ハマー市、ハサカ県アームーダー市、カーミシュリー市など。

ハサカ県では、『ハヤート』(8月25日付)によると、カーミシュリー市でデモが発生、デモ参加者はクルドの旗、委任統治期のシリアの旗(反体制勢力が使用する旗)、「シリア・クルディスタン青年運動」と書かれたプラカードなどを掲げ、「権利と自由の国家」、「宗派主義反対」といったシュプレヒコールをあげた。

反体制勢力の動き

革命指導最高評議会なる組織が声明を出し、アルメニア教徒がアサド政権を軍事的に支援していると断じた。

クルド民族主義勢力の動き

『クルディーヤ・ニュース』(8月24日付)は、ハサカ県各地での「シリア・クルディスタン青年運動」によるデモは、クルド最高委員会の許可なく行われた、と報じた。

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シリア・クルド国民評議会のメンバーで、アームーダー市の無所属活動家ウバイドッラー・スィーダーは、同評議会を「革命を行うクルド人青年の要求を1%も提示してこなかったし、これからもしない」と批判、脱会を宣言した。

無所属活動家の脱会は、ファールーク・イスマーイール(アレッポ大学歴史学部教授)、ムスタファー・イスマーイール(弁護士、作家)に続いて3人目。

レバノンの動き

北部県トリポリ市バーブ・タッバーナ地区とジャバル・ムフスィン地区での住民どうしの戦闘で、スンナ派シャイフ1人を含む4人が新たに死亡した。

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NNA(8月24日付)によると、ベカーア県バアルベック郡イーアート村でシリア人のアター・フサイン・アッルーシュ氏とその母が武装した5人組に誘拐された。

諸外国の動き

イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣は、8月30~31日でテヘランで開催予定の非同盟諸国外相会合で、シリアの危機解決のための「知的で妥当で…反対することが困難であろう」新たな「提案」を行うと述べた。

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ヨルダン内閣の閣僚が『ハヤート』(8月25日付)に語ったところによると、23日晩から24日早朝にかけて、シリア人2,224人がヨルダン領内のラムサー市に避難した。

一日の避難民の数としてはこれまで最大だという。

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『ワシントン・ポスト』紙およびマッククラッチー・グループは、両社が契約するフリー・ジャーナリストのオースティン・タイス氏と1週間以上にわたって連絡がとれなくなっている、と発表した。

タイス氏は元海兵隊員でアフガニスタンやイラクに従軍後、トルコ経由でシリアに不法入国し、取材活動をしている、という。

AFP, August 24, 2012、Akhbar al-Sharq, August 24, 2012、al-Hayat, August 25, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 24, 2012、al-Kurdiya News, August
24, 2012、Naharnet.com, August 24, 2012、NNA, August 24, 2012、Reuters, August
24, 2012、SANA, August 24, 2012などをもとに作成。

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アレッポ県の各地で激しい戦闘が続くなか、仏大統領はカタール首長と会談しアサド大統領の退任の必要性を改めて確認しあう(2012年8月22日)

国内の暴力

ダマスカス県では、『ハヤート』(8月23日付)によると、ダマスカス県南部で軍・治安部隊が大規模な砲撃を行った。

シリア人権監視団によると、ダマスカス県カフルスーサ区とダマスカス郊外県ダーライヤー市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と激しく交戦し、戦闘には軍の攻撃ヘリコプターが参加した。

またダマスカス県のナフル・イーシャ地区、カダム区、ジャウバル区などで大規模な逮捕・捜索活動が行われたという。

さらに、ドゥンマル区では、車に仕掛けられた爆弾が爆発し、乗っていた3人が死亡した。

 

『クッルナー・シュラカー』(8月22日付)などによると、『ティシュリーン』紙のマスアブ・ムハンマド・アウダッラー記者(スポーツ文化部、ダルアー県出身)がナフル・イーシャ地区の自宅で軍に射殺されたと報じた。

AKI(8月22日付)は、複数の消息筋の話として、軍・治安部隊がカフルスーサ区の住民少なくとも8人を家族らの前で処刑した、と報じた。

またムウダミーヤ・シャーム市では、処刑されたと見られる遺体40体が発見された、という。

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ダイル・ザウル県では、イラクのカーイム市のファルハーン・フタイハーン市長がロイター通信(8月22日付)に語ったところによると、ブーカマール市近くの反体制武装勢力が占拠する軍の基地と飛行場に対して、軍・治安部隊が攻撃を加えた。

ブーカマール市はそのほとんどが自由シリア軍の手に落ちているが、軍・治安部隊が奪還のため同市周辺に展開・包囲している、という。

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ダマスカス郊外県では、SANA(8月22日付)によると、ダーライヤー市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と激しく交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市のハナーヌー地区、シャイフ・ヒドル地区、サーフール、バーブ街道地区、シャッアール地区、ザフラー地区、ハムダーニーヤ地区などで軍・治安部隊と反体制武装勢力の交戦があった。

またアナダーン市、フライターン市、カフルハムラ村、シャイフ・サイード地方では、軍・治安部隊が反体制武装勢力掃討のため砲撃を加えた、という。

AKI(8月22日付)は、アレッポ革命家連合なる組織のメンバーの話として、軍が病院や医療センターを狙って攻撃している、と報じた。

これに対して、SANA(8月22日付)によると、軍・治安部隊はアレッポ市のアンサーリー地区、フィルドゥース地区、サイフ・ダウラ地区、ダウワール・ブスターン・バーシャー地区、ハラク地区、スライマーン・ハラビー地区、ジャンドゥール交差点など各所で反体制武装勢力のアジト・拠点に突入・交戦し、多数の戦闘員を殺傷、大量の武器弾薬を押収した。

またアナダーン市、タッル・リフアト市、カルジーリーン市でも軍・治安部隊が反体制武装勢力に対する掃討作戦を行ったほか、トルコのガズィアンテップに続く街道で多数の戦闘員を逮捕した。

一方、軍・治安部隊が奪還した理学部地区、サイフ・ダウラ地区などでは復旧作業が開始された、という。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市郊外の村々が軍・治安部隊の砲撃を受けた。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ハウラ地方が軍・治安部隊の砲撃を受けた。

一方、SANA(8月22日付)によると、レバノン国境に近いクサイル地方ジュースィーヤで軍・治安部隊が反体制武装勢力を要撃するなどして、多数の戦闘員を殺傷した。

マヤーディーン(8月22日付)などによると、ジュースィーヤでの戦闘に巻き込まれて、レバノン人4人が死亡、10人が負傷した。

反体制勢力の動き

自由シリア軍国内合同司令部中央広報局のファフド・ミスリーなる活動家は声明を出し、自身が「国外」(パリ)でアフダル・ブラーヒーミー・シリア危機担当国連・アラブ連盟共同特別代表と会談し、現地情勢などを伝えた。

会談後の声明によると、ミスリーはブラーヒーミーに対して、「力という言葉」以外の何者もを理解しないアサド政権への強硬姿勢の必要、アナン前特使のミッションが破綻した現実、ロシアやイランによるアサド政権支援の実態などを伝えた、という。

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シリア国民評議会は声明を出し、ダマスカス郊外県ムウダミーヤ・シャーム市での戦闘機による空爆を「もっとも残忍な犯罪」と批判した。

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反体制組織のシリア記者連盟はアレッポで取材中に死亡した山本美香氏に弔意を示した。

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シリア民主フォーラムは、民主的変革諸勢力国民調整委員会によるアサド政権と反体制武装勢力の双方への一時停戦呼びかけに関して、「シリア革命の現状や成果を読み取れていない」と批判、拒否する意思を示した。

レバノンの動き

ベカーア県を拠点とするジャアファル家は声明を出し、シリア国内で拉致されているレバノン人との連帯の意思を示す一方、民兵を組織しているとの情報を否定した。

諸外国の動き

フランスのフランソワ・オランド大統領はカタールのハマド・ビン・ハリーファ国王と会談し、シリア情勢について協議した。

大統領府によると、会談において、オランド大統領は、アサド大統領の退任がなければ政治的解決もないと改めて強調し、自由で民主的なシリア建設に向けて専心するとの意思を示した、という。

またフランス、カタールの両国はシリアの政治的転換を実現するため努力を調整することで合意した、という。

一方、フランスのジャン・マルク・エロー首相は、シリアの反体制武装勢力に通信機器など非軍事的な物資を送ったことを明らかにした。

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ジェフリー・フェルトマン米国務次官補は、イランが国連決議に違反してシリアに武器を供与していると批判した。

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英国のデヴィッド・キャメロン首相は、英国、米国、フランスがシリアの反体制勢力を支援する方法を検討していると述べた。

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シリア軍のヨルダン領内への越境砲撃によって子供5人が負傷した事件を受け、シリア国民救済ヨルダン委員会は、バフジャト・スライマーン駐ヨルダン・シリア大使の国外追放を求めた。

スライマーン駐大使は、ヨルダン外務省の呼び出しに対して、イード休暇を理由に呼び出しを拒否し、シリア本国に一時帰国した。

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ロイター通信(8月22日付)は、トルコ高官の話として、過去24時間でシリア人約2,500人が暴力を避けて、トルコ領内に避難してきたと報じた。

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ロシア外務省高官は、ロシア『コメルサント』(8月22日付)紙に対して、シリア政府との「秘密裏の対話」で、シリア政府が化学兵器を反体制武装勢力弾圧において使用しないとの回答を得た、と述べた。

AFP, August 22, 2012、Akhbar al-Sharq, August 22, 2012、AKI, August 22, 2012、al-Hayat, August 23, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 22, 2012, August 23, 2012、al-Kurdiya
News, August 22, 2012、al-Mayadin, August 22, 2012、Naharnet.com, August
22, 2012、Reuters, August 22, 2012、SANA, August 22, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

日本人ジャーナリストの山本美香氏がアレッポ市で軍・治安部隊と反体制武装勢力の戦闘に巻き込まれ死亡、民主統一党メンバーがイラク・クルディスタン地域のエルビルでシリア国民評議会と初めて接触(2012年8月21日)

シリア政府の動き

Middle East Online(8月21日付)などは、モスクワ訪問中のカドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣とアリー・ハイダル国民和解問題担当国務大臣が記者会見を開いた。

Kull-na Shuraka', August 21, 2012
Kull-na Shuraka’, August 21, 2012

記者会見でジャミール副首相は、「我々の立場は当初から明白で、それは前提条件なしで対話に向かわねばならないというものである。なぜなら対話開始の前提条件を示すことで、対話の開始が妨げられるからだ」と述べた。

そのうえで、「交渉のプロセスにおいて、すべての問題を検討し得る。我々は、この問題(大統領退任)でさえ検討する準備がある」と付言し、反体制勢力との交渉でアサド大統領の退任に関して議論する準備があることを認めた。

またシリアでの化学兵器使用の可能性をめぐる20日のバラク・オバマ米大統領の発言に関して、「選挙のためのプロパガンダに過ぎない」としたうえで、越境攻撃を伴う米国の軍事介入など「不可能だ」と述べた。

そして「西側は直接介入の口実を探している…。しかしロシアと中国の拒否権発動後に明らかとなった国際社会の姿勢を彼らは理解していない」と批判した。

一方、ハイダル国民和解問題担当国務大臣は、「国民和解のための政治プロセスは暴力停止後に開始されねばならず、暴力停止が政治プロセスの前提とならなければならない。なぜなら…、軍事的戦闘の圧力のもとで政治プロセスに入ることはできず、そうした圧力があると別の種類のプロセスに至ってしまうからである」としたうえで、「暴力停止は…発砲を停止したうえで、合法的な武装、すなわち国家の武装のみを承認し、違法な武器の解除の仕組みを案出する…といった行程表が必要」との見方を示した。

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SANA(8月21日付)は、ワーイル・ハルキー首相がダマスカス県マッザ区で住民が避難生活を送る学校などを視察し、国際機関やNGOと協力のもと、関係機関が反体制武装勢力によるテロ活動の被害者への住宅供給などに努力していることを強調したと報じた。

SANA, August 21, 2012
SANA, August 21, 2012

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『クッルナー・シュラカー』(8月21日付)は、レバノンのミシェル・サマーハ元情報大臣のテロ容疑に関与しているとされるアリー・マムルーク国民治安会議議長がすでに粛清されたか、厳重な警備のなか拘置されている、と報じた。真偽は定かでない。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊が早朝ムウダミーヤ・シャーム市に突入し掃討作戦を本格化させた。

地元調整諸委員会によると、軍・治安部隊は反体制活動家の追跡・捜索を行い、少なくとも活動家23人を処刑し、数十人の遺体が発見された。

またシリア人権監視団によると、ビラーリーヤ村、ナシャービーヤ町、バービッラー市、ヤルダー市、ダイル・アサーフィール市、ハジャル・アスワド市などを軍のヘリコプターが攻撃し、ダーライヤー市、アルトゥーズ町、ドゥマイル市、ザバダーニー市にも砲撃が加えられた。

これに対し、SANA(8月21日付)によると、ムウダミーヤ・シャーム市で、当局が大量の武器弾薬を発見、押収した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カダム区で遺体6体が発見された。

複数の目撃者によると、マッザ区で車に仕掛けられた爆弾が爆発し、兵士4人が死亡し、複数が負傷した。

またタダームン区、カッザーズ地区に攻撃ヘリコプターが攻撃を加えたほか、カダム区、アサーリー地区、ダッフ・シューク地区などが砲撃を受けた、という。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市のスライマーン・ハラビー地区、カーディー・アスカル地区、サーフール地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

これに対して、SANA(8月21日付)は、アレッポ市タッル地区、ジュダイダ地区、ファルハート広場などを軍・治安部隊が完全に制圧し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷した、と報じた。

また同市のザバディーヤ地区、カラム・マイサル地区、ファイド地区、アルクーブ地区、マシャーリカ地区、ブスターン・ザフラ地区、マーリア市、アアザール市では、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、逮捕した、という。

一方、自由シリア軍のアレッポ県軍事評議会議長のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐がAFP(8月21日付)に対して、「アレッポ市の60%以上を制圧した」と発表した。

アカイディー大佐によると、制圧した地区は30以上にのぼり、そのなかには、サイフ・ダウラ、ブスターン・カスル、マシュハド、アンサーリー、ハナーヌー、サーフール、ブスターン・バーシャー、シャイフ・サイード、フィルドゥース、カッラーサなどが含まれる、という。

またサラーフッディーン地区は50%制圧下にある、という。

しかしAFP(8月21日付)によると、ダマスカスの治安筋は、「こうした言葉は根拠がない…。テロリストはいかなる前進もしていない。逆に軍が少しずつ前進している」と否定した。

また「軍は破壊分子の拠点に武器弾薬が届くのを阻止するべくアレッポを砲撃している…。この戦闘には長い時間がかかるだろう」と付言した。

シリア人権監視団は、トルコ人、レバノン人、米報道機関に属すアラブ人を含む3人の記者がアレッポ県で取材中に失踪したと発表した。

これを受け、ジャディード・チャンネル(8月21日付)は、アレッポ県で取材中に失踪したとされるユムナー・ファウワーズ記者が拉致されていないことを確認したと報じた。

また、フッラ・チャンネル(8月21日付)は、20日にシリアに取材のために入国したバッシャール・ファフミー記者、クネイト・ウナル記者がアレッポで拉致・拘束されたと報じた。

これに先立って、アーザーズ市の反体制武装活動家のアフマド・ガザーリー大佐がユーチューブ(8月21日付)でフッラ・チャンネルの記者2人が軍に拉致・拘束されたと発表した。

一方、日本人ジャーナリストの山本美香氏がアレッポ市スライマーン・ハラビー地区で取材中に軍・治安部隊と反体制武装勢力の戦闘に巻き込まれ、死亡した。

山本氏とともに取材を行っていた佐藤和孝氏によると、山本氏らはトルコからシリア国内に入り、反体制武装勢力が占拠する地区で現地の惨状を取材していた。

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ヒムス県では、SANA(8月21日付)によると、クサイル地方で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員3人を殺害した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ニウマーン市、タフタナーズ市、サラーキブ市、マアッラトミスリーン市、アリーハー市、ザルダーナー市、タルマラー市、カフルサジュナ村、ラカーヤー村などを軍・治安部隊が砲撃した。

一方、SANA(8月21日付)によると、国境警備隊がトルコ領内からの潜入を試みる戦闘員を撃退した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、フラーク市、ナーフタ町、インヒル市、東ムライハ町、東ガーリヤ村、西ガーリヤ村、ブスル・ハリール市、ハイト村、ラジャート高原、スーラ町に対して軍が砲撃・空爆を加えた。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ブーカマール市を軍が空爆した。

一方、ロイター通信(8月21日付)は、自由シリア軍の複数の消息筋の話として、軍・治安部隊がブーカマール市内の治安機関の施設2棟を放棄した、と報じた。

反体制勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(8月21日付)は、自由シリア軍の70以上の調整組織、大隊が作成した「シリア革命統一戦線発足文書」を入手したと伝えた。

同文書(未発表)は、国内で反体制武装闘争を行う諸組織の統合をめざすもので、発足が宣言される統一戦線には、調整、地元組織、学生、ビジネスマン、事業家、専門家、自由シリア軍の諸大隊が参加するという。

なお国内の反体制武装闘争を統括しているとされる自由シリア軍国内合同司令部との関係は不明である。

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民主的変革諸勢力国民調整委員会国民評議会議長のフサイン・アウダート氏は、同委員会によるアサド政権と反体制武装勢力の双方への一時停戦呼びかけに関して、「シリア自国民の運動、栄光ある蜂起に奉仕しない」と批判し、こうしたイニシアチブがすべての反体制勢力による包括的国民大会での合意を必要とすると主張した。

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トルコで暮らす自由シリア軍司令官のリヤード・アスアド大佐は、ダマスカス郊外県でのハッサーン・ミクダード氏の誘拐が「レバノンで不和と不安定を作り出そうとする政権のゲーム」だとしたうえで、自由シリア軍の犯行ではないと断じた。

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シリア国民評議会は、レバノン国内で過去数日の間にシリア人36人が誘拐されたと発表し、レバノン当局による対応の遅れを非難した。

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『クッルナー・シュラカー』(8月21日付)は、反体制組織のサルキーン市調整が、ダマスカス郊外県のムウダミーヤ・シャーム市、タッル市、ダマスカス県カーブーン区への空爆を行ったパイロット2人の名前を公表した。

空爆を行ったとされるのは、バドル・ハドラ大佐(MiG23パイロット)とバッサーム・カーリム大佐(Sukhoi22パイロット)。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長がフランスのフランソワ・オランド大統領と会談した。

会談後、スィーダー事務局長は、暫定政府樹立を「早急に宣言するための真剣な活動」がシリアの諸勢力との協議を通じて進行中だと述べた。

また「我々は早急に国内に移動し、この政府(暫定政府)が国内での義務を果たすこと」を望んでいると述べた。

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シリア国民変革潮流は声明を出し、アレッポで取材中に死亡した山本美香氏に関して、アサド政権が外国の記者を平然と殺害している、と批判した。

クルド民族主義勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(8月21日付)は、複数のシリア・クルド人の話として、シリア最高委員会が8月初めにイラク・クルディスタン地域のエルビルに使節団を派遣し、シリア国民評議会の代表と会談していたと報じた。

シリア最高委員会のムスタファー・ウースー(渉外委員会)によると、使節団(3人)のなかには民主統一党メンバーが含まれており、同党がシリア国民評議会と接触したのはこれが初めてで、会談において委員会は、クルド人の権利の承認の是非が議論されたという。

レバノンの動き

20日にトリポリ市のバーブ・タッバーナ地区とジャバル・ムフスィン地区で発生した住民同士の衝突は21日も続き、ジャディード・チャンネル(8月21日付)などによると、少なくとも4人が死亡、数十人が負傷した。

また事態収拾のために展開した軍の兵士4人も負傷した。

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ムハンマド・カッバーラ議員(トリポリ無所属ブロック代表)は、「軍が無実の住民に向かって無差別に発砲している」と非難、「シリア政府がアレッポ、ダイル・ザウル、ヒムス、ダルアー、ダマスカスで犯した犯罪から注意を反らそうとして、バーブ・タッバーナ地区とジャバル・ムフスィン地区での不和を作り出そうとしていた」と断じた。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、「我々がシリアで目の当たりにしている現状を踏まえると、現時点で、講じられている措置は不十分に思われる。しかし、我々はこうした方法以外に道はないと考えている」と述べた。『ハヤート』8月22日付などが報じた。

またラブロフ外務大臣は中国の外交官との会談後、両国が「国際法、国連憲章に基づく諸原則を断固として遵守し、それらを侵害することを許さない」と述べ、アサド政権が化学兵器を使用した場合、軍事介入もあり得ると示唆したバラク・オバマ米大統領の姿勢を牽制した。

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米国務省のデヴィッド・ロビンソン移民担当国務次官補 はシリア情勢に関して「世界最悪の危機」と評した。

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トルコのガズィアンテップ市での20日の車爆弾の爆発に関して、トルコ高官は当局がシリアおよびPKKの関与を調査していると述べた。『アフバール・シャルク』(8月22日付)が伝えた。

しかしPKKに近いウェブサイト「ユーフラテス・ニュース」(8月21日付)は事件への関与を否定するPKKの声明を転載している、という。

AFP, August 21, 2012、al-Hayat, August 22, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 21, 2012, August 22, 2012、al-Kurdiya News, August 21, 2012、al-Jadid Channel, August 21, 2012、Middle East Online, August 21, 2012、Naharnet.com, August 21, 2012、Reuters, August 21, 2012、SANA, August 21, 2012、Youtube, August 21, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

民主的変革諸勢力国民調整委員会が国内での反体制勢力の大会を準備、オランド仏大統領が大統領がブラーヒーミー共同特別代表と会談するも「アサド大統領の退任以外に解決策はない」と主張(2012年8月20日)

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(8月21日付)など各市は、複数の活動家などの話として、ダーイヤー市で軍のヘリコプターによる攻撃で少なくとも12人が死亡した、と報じた。

またロイター通信(8月20日付)によると、ムウダミーヤ・シャーム市はマッザ航空基地から派遣された部隊やスーマリーヤの第555旅団によってほぼ包囲され、砲撃により22人が死亡した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団や地元調整諸委員会によると、カダム区、アサーリー地区、タダームン区、ジャウバル区で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、軍の兵士1人が死亡した。

シリア人権監視団によると、カーブーン区で射殺された遺体12体(うち2体は子供)が発見された。

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ダルアー県タッル・シハーブ町に面するヨルダンのタッラ市に迫撃砲が4発着弾し、5人の子供が軽傷を負った。

ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣によると、ヨルダン政府はバフジャト・スライマーン駐ヨルダン・シリア大使を呼び出そうとしたが、同大使はイード休暇を口実に応じなかった、という。

また、地元調整諸委員会などによると、ダルアー市、フラーク市などで戦闘があり、5人が死亡した。

一方、SANA(8月20日付)によると、フラーク市で軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、タッル・リフアト市で空爆により少なくとも2人が死亡した。

またアレッポ市スライマーン・ハラビー地区、サイフ・ダウラ地区、イザーア地区、ブスターン・カスル地区、バーブ街道地区、サラーフッディーン地区などで交戦があった。

自由シリア軍によると、アレッポ市のタッル地区、マアーディー地区、ジュダイダ地区を軍・治安部隊との戦闘のちに制圧した。

一方、SANA(8月20日付)によると、アレッポ市では、サイフ・ダウラ地区、ブスターン・バーシャー地区、バーブ・ハディード地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(8月20日付)によると、ダイル・ザウル市各所で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ラタキア県では、SANA(8月20日付)によると、トルコ国境から8キロの距離にあるカスタル・マアーフ町で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

アラビーヤ(8月20日付)もシリア軍がカスタル・マアーフ町に戦車や戦闘機で攻撃を開始したと報じた。

同地方は同市は自由シリア軍が占拠している、という。

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ハマー県では、SANA(8月20日付)によると、ハマー市、サラミーヤ市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

シリア政府の動き

SANA(8月20日付)は、シリア情勢を「内戦」と評したブラーヒーミー共同特別代表の発言に関して、外務省高官が「事実に反する。内戦はシリアに陰謀を企む者の頭のなかにのみ存在する…。シリアで起きていることはシリア国民に対するテロ行為」と非難したと報じた。

反体制勢力の動き

民主的変革諸勢力国民調整委員会のハイサム・マンナーア在外局長はAP(8月20日付)に対して、同委員会が国内での反体制勢力の大会を行う準備を先月から行っていることを明らかにした。

同大会にはロシア、EUなどにも参加を呼びかけており、出席の約束をとりつけている、という。

マンナーア氏はまた、ハイサム・マーリフ弁護士らカイロの活動家が進める暫定政府構想に関して、カイロでの会合に関していかなる合意もなく、暫定政府に関する議論もなされなかったと非難した。

さらに「西側・湾岸諸国に忠誠を誓う反体制勢力は、資金面、情報面で支援を受けることで甘やかされており、虚栄心に苛まれている」とシリア国民評議会を暗に批判、国際的な人権団体が、公然と拷問・殺戮の煽動している在外の反体制活動家の起訴を検討していることを明らかにした。

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シャッファーフ(8月20日付)はレバノンの複数の消息筋(8月20日付)の情報として、空軍情報部長のジャミール・ハサン少将が、モスクワで死亡したと報じた。

同消息筋によると、ハサン少将はアースィフ・シャウカト少将らを狙った7月のテロで重傷を負い、モスクワに搬送されていたという。

搬送されていた高官は当初、マーヒル・アサド大佐だとされ、「両脚を失った」、「片足を失った」といった情報が錯綜したのに、ハサン少将の死亡説が浮上したかたちである。

なおシリア情報省はSANA(8月20日付)を通じて「軍要人の死亡に関する報道には根拠がない」と否定した。

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自由シリア軍のカースィム・サアドッディーン大佐はユーチューブ(8月20日付)を通じて新内規を発表した。

同内規は、自由シリア軍のメンバーに国際法に準じて、捕虜の拷問・処刑を禁じる一方、政党・政治組織の参加などの政治プロセスの参加を禁じている。

クルド民族主義勢力の動き

アレッポ大学教授でシリア・クルド国民評議会の無所属メンバーのファールーク・イスマーイール氏はシリア国民評議会からの脱会を宣言した。

脱会の理由に関して、イスマーイール氏はクルディーヤ・ニュース(8月20日付)に、シリア・クルド国民評議会がイラク・クルディスタン自治政府側に「売却された」と述べる一方、同評議会の「圧政」を非難した。

レバノンの動き

北部県トリポリ市のバーブ・タッバーナ地区とジャバル・ムフスィン地区で住民が衝突した。

LBCI(8月20日付)は、衝突のきっかけは「花火の打ち上げ」で、AFP(8月20日付)によると、激しい銃撃戦が少なくとも6人が負傷した。<

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Sky News(8月20日付)は、シリア司法当局が反体制武装勢力に資金供与を行っているとされる複数のレバノン人を起訴したと報じた。

ムハンマド・マルワーン・ルージー・ダマスカス第一検事長はマナール(8月20日付)に対して、シリアの司法当局が、反体制武装勢力への支援を行うレバノンの国民議会議員ら複数の政治家に対する逮捕状を準備している、と述べた。

ルージー検事長は容疑者の氏名を明言しなかったが、マナールは、サアド・ハリーリー前首相、ハーリド・ダーヒル議員、ウカーブ・サクル議員らが含まれていると報じた。

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ミクダード家連盟のマーヒル・ミクダード代表は、イード・フィトルに合わせて1人を釈放したが、イード明けに活動を再開すると述べ、ハッサーン・ミクダード氏が釈放されない場合、さらなるシリア人拉致を行うと脅迫した。

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レバノン国内で拉致されていたシリア人権活動家のムハンマド・アーディル・スライマーン・ムハンマド氏が釈放された。

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NNA(8月20日付)は、ベカーア県バアルベック市でシリア人のハーリド・ムハンマド・マシュハダーニー氏が覆面をした4人組に誘拐された、と報じた。

またベイルート南部郊外でもシリア人のイブラーヒーム・アフマド・ヤフヤー氏が19日午後に誘拐され、以前消息不明だという。

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『ハヤート』(8月21日付)は、公式筋の話として、ベイルートで17日に誘拐されたトルコ人のアブドゥルババセト・アルスラン氏が、アレッポ県で拉致されたレバノン人巡礼者の家族によって拉致されていると報じた。

諸外国の動き

フランスのフランソワ・オランド大統領が、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表と会談した。

大統領府によると、オランド大統領はブラーヒーミー共同特別代表に対して、「バッシャール・アサド退任以外にシリアで政治的解決はない」との一方的な主張をした、という。

一方、ブラーヒーミー共同特別代表はフランスが「シリア情勢すべてにおいて重要な国」だと伝えた、という。

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フランスのロラン・ファビウス外務大臣はRTL(8月20日付)に対して、「(シリアでの)戦争には毎月約10億ユーロかかっている…。彼(アサド政権)にはロシアとイランの支援がなければ数ヶ月分の(資金の)備蓄しかないと考えている。それゆえ、少なくともロシアとの対話がなされなければならない」と述べた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、『ヒュッリイェト』(8月20日付)に対して、トルコがシリア人避難民を10万人以上収容できず、避難民の流入を避けるための安全地帯をシリア領内に設置せざるを得ないと述べた。

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バラク・オバマ米大統領は記者会見で、シリアでの化学兵器使用の可能性が指摘されている点に関して、「越えてならない一線だ…。(シリアの化学兵器は)イスラエルを含む地域の同盟国の問題でもある」と述べ、米国による軍事介入の可能性もあると示唆した。

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深夜、トルコ南部のガズィアンテップ市で爆弾を積んだ車が爆発し、12歳の子供1人を含む9人が死亡した。

AFP, August 20, 2012、Akhbar al-Sharq, August 22, 2012、Alarabia.net, August 20, 2012、al-Hayat, August 21, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 20, 2012、al-Kurdiya News, August
20, 2012、LBCI, August 20, 2012、al-Manar, August 20, 2012、Naharnet.com,
August 20, 2012、NNA, August 20, 2012、Reuters, August 20, 2012、SANA, August
20, 2012、al-Shaffāf, August 20, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア・アラブ・テレビがシャルア副大統領の離反を速報で否定、クルド系サイトによると世論調査がおよんだうち「38.3%」がPKK系民主統一党と自由シリア軍との衝突を懸念(2012年8月18日)

シリア政府の動き

ファールーク・シャルア副大統領離反に関するメディアの報道に対して、シリア・アラブ・テレビ(8月18日付)は、「一時たりとも祖国を離れようと考えたことはない」、「危機が始まった当初から副大統領が様々な当事者とともに流血停止と国民的改革実施のための包括的対話を通じた政治プロセスをめざしてきた」との速報を流し、否定した。

al-Hayat, August 19, 2012
al-Hayat, August 19, 2012

またSANA(8月18日付)によると、副大統領事務所が声明を出し、一部メディアによる離反報道を否定、「外国の軍事介入を排除した…国民和解の実現」を呼びかけた。

さらに副大統領事務所は、アフダル・ブラーヒーミー氏のシリア危機担当国連・アラブ連盟共同特別代表就任への支持を表明した。

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変革解放人民戦線のカドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣とアリー・ハイダル国民和解問題担当国務大臣がロシアのモスクワに到着した。

SANA(8月18日付)によると、モスクワではロシア首脳と、危機打開に向けた包括的政治プロセス、国民和解に関して協議する、という。

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市フィルドゥース地区、スッカリー地区、ブスターン・ザフラー地区、カッラーサ地区、イザーア地区、アアザーズ市などが軍・治安部隊の砲撃を受けた。

一方、SANA(8月18日付)によると、アレッポ市各所、ラトヤーン村などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」掃討を継続した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区が軍・治安部隊の砲撃に曝され、2人が死亡した。

一方、SANA(8月18日付)によると、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区で反体制武装勢力の武器・弾薬庫が爆発し、多数の戦闘員が死亡した。

またタッルカラフ地方では、レバノンからの潜入を試みた反体制武装勢力を国境警備隊が撃退したほか、クサイル市では軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

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SANA, August 18, 2012
SANA, August 18, 2012

ダマスカス県、ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、タダームン区、ジャルマーナー市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

また複数の反体制活動家などによると、カダム区、アサーリー地区に対して軍・治安部隊が砲撃を行ったという。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ブーカマール市が軍・治安部隊の砲撃を受ける一方、ダイル・ザウル市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、フラーク市、ガーリヤ・ガルビーヤ市、カラク村などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

一方、SANA(8月18日付)によると、フラーク市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ヒルブナフサ村に軍・治安部隊が突入し、反体制活動家を逮捕した。

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ハサカ県では、SANA(8月18日付)によると、ハサカ市・カーミシュリー市間の街道やカーミシュリー市近郊で軍・治安部隊が反体制武装勢力8人を逮捕した。

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ラタキア県では、SANA(8月18日付)によると、反体制武装勢力が占拠していたカサブ町のラジオ・テレビ局を軍・治安部隊が「浄化」した。

またフルンルック地方、ナブウ・ムッル地方でも軍・治安部隊が反体制武装勢力の掃討を行った。

反体制勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(8月18日付)は、国内の対立に関する世論調査を実施、PKK系の民主統一党と自由シリア軍との衝突がもっとも懸念されている、と報じた。

300人を対象に行われた世論調査では、38.3%が民主統一党と自由シリア軍との衝突を懸念、また38%がクルド民族主義政党どうしの衝突を懸念していることが分かった。

al-Kurdīya News, August 18, 2012
al-Kurdiya News, August 18, 2012

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3月に政権を離反したアブドゥー・フサームッディーン前石油省次官は、アラビーヤ(8月18日付)に対して、シャルア副大統領が「軟禁状態にある」と述べた。

フサームッディーン前石油省次官は「シャルアの姿勢は周知のもので、彼は以前からシリアを出国したいと考えている。しかしそれができない状況にあり、彼は長らく軟禁状態にある」と述べた。

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シリア民主フォーラムは声明を出し、シリア・クルド国民評議会のファイサル・ユースフ氏の事務局長就任に歓迎の意を示した。

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シリア民主フォーラムが声明を出し、自由シリア軍に関して、国際社会は政府軍・シャッビーハと同様、一部メンバーの非人道的な行為を非難するべきだと主張するとともに、「革命」の諸目的に奉仕するべく組織構築を行うべきだと呼びかけた。

具体的には、民族、宗教・宗派に基づく差別の拒否、国際慣習に基づく軍として組織編成・活動、国際法に基づく捕虜への対処、復讐の停止などを求めた。

レバノンの動き

NNA(8月18日付)は、ベイルート国際空港街道で武装した4人の集団がシリア人3人を一時拉致した、と報じた。

また、ベイルート郊外でレバノン人のイリヤース・アディーブ・アンダラーウス氏がシリアの反体制運動を支援していると疑われ17日に一時拉致されたと報じた。

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ミシェル・スライマーン大統領は、マロン派のビシャーラ・ラーイー総大司教との会談後、記者団に対して、ミシェル・サマーハ元情報大臣のテロ未遂容疑事件に関して、「レバノンはシリアの高官(アリー・マムルーク)を起訴している。私は彼(アサド大統領)がこの件について明らかにすることを待っている」と述べた。

諸外国の動き

アフダル・ブラーヒーミー・シリア危機担当国連・アラブ連盟共同特別代表は、アサド大統領の退陣の是非に関してロイター通信(8月18日付)に「私にとって、そういうことはきわめて時期尚早である。何が起きているかを充分知らないからだ」と述べた。

また安保理については、「彼らがどのように支援できるのか真剣に検討する…。彼らは私にこのミッションを実行するよう要請している。しかし、彼らが我々を支援しなければ、ミッションなど存在しないことになる。彼らは分裂しているが、このような事態に対処できるはずであり、そうすることを望んでいる」と述べた。

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アフダル・ブラーヒーミー氏のシリア危機担当国連・アラブ連盟共同特別代表就任に関して、ロシア外務省は「アナン特使が準備したシリアでの正常化の行程表と停戦案、ジュネーブでのシリア作業グループの声明、国連での関連する決議に従って行動することを期待する」と歓迎の意を示した。

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米国務省は声明を出し、アフダル・ブラーヒーミー氏のシリア危機担当国連・アラブ連盟共同特別代表就任への支持を表明し、シリア国民を代表とする政府樹立を求める合法的な要求に応えるよう求めた。

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キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は、アフダル・ブラーヒーミー氏のシリア危機担当国連・アラブ連盟共同特別代表就任に関して、「彼自身が期待する偉業」が実現するよう支援すると誓約した。

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英国の外務副大臣は、アフダル・ブラーヒーミー氏のシリア危機担当国連・アラブ連盟共同特別代表就任に関して、「完全に支持する」と表明した。

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イランのハサン・フェイルーズ・アーザーディー参謀長は、「米国、英国、シオニストはアル=カーイダや過激集団を利用して、シリアで内戦をしかけようとしている…。しかし彼らはいずれ、自分たちがこうした集団の標的になることを知るだろう」と述べた。

またイランの政治家・経済学者・元革命防衛隊司令官のモフセン・レザーイー氏は「我々は今日、シリアでの最終局面を目の当たりにしている…。シリアがアメリカ人の手に落ちれば、イスラーム復興運動はアメリカ的運動になるだろう。しかしシリアが自らの政策を維持すれば、イスラーム復興運動はイスラームに根を下ろすだろう」と述べた。

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UNSMISのババカール・ジャイ団長は、8月19日の監視団の任期終了を前にダマスカスで記者会見を開き、「民間人保護のため国際人道法に遵守する」ようアサド政権と反体制武装勢力に改めて求める一方、「こうした遵守はなされていない」と非難した。

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Sky News(8月18日付)は、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣がシリア領空での飛行禁止空域設定を拒否した、と報じた。

AFP, August 18, 2012、Akhbar al-Sharq, August 18, 2012、al-Hayat, August 19, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 18, 2012, August 20, 2012、al-Kurdiya
News, August 18, 2012、Naharnet.com, August 18, 2012、Reuters, August 18,
2012、SANA, August 18, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アレッポの反体制武装活動家が西側諸国が武器供与を拒み続ける場合アル=カーイダの支援を受けることも辞さないとの脅迫、アルジェリアのブラーヒーミー元外相がアナン特使の後任への就任を受け入れる(2012年8月17日)

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団が、マッザ航空基地周辺で反体制武装勢力と軍・治安部隊が交戦したとの声明を出した。

シリア革命総合委員会によると、「自由シリア軍」がマッザ航空基地近くのカフルスーサ・ダーライヤー検問所を攻撃した、という。

またシリア人権監視団などによると、カダム区(ダルアー街道)、タダームン区でも交戦があり、マッザ区(バサーティーン)、カフルスーサ区はヘリコプターの攻撃を受けた、という。

アレッポ県では、シリア革命総合委員会などによると、アレッポ市マイサル・シャルキー地区などが軍・治安部隊の激しい砲撃を受けた。

一方、SANA(8月17日付)によると、アレッポ市サイフ・ダウラ地区、カッラーサ地区、ブスターン・バーシャー地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力への掃討作戦を継続した。

ギリシャ・カトリック教会アレッポ司教区のジャーン・クライマーン・ジャンバルト師は声明を出し、ヨーロッパ人に対して、シリアの反体制武装勢力に武器を供与しないよう求めた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊がタッル市を制圧し、反体制武装集団は同市から撤退」した。

またハジャル・アスワド市でも戦闘があった。

一方、SANA(8月17日付)によると、タッル市では軍・治安部隊の制圧により治安と安全が回復した。

またクドスィーヤー市、バービッラー市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、クサイル地方で軍・治安部隊の発砲により5人が死亡した。

クサイル市では、自由シリア軍が軍・治安部隊の包囲を解除するための作戦を開始した、という。

一方、SANA(8月17日付)によると、フルクルス地方、タッルカラフ地方などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷した。

またSANA(8月17日付)によると、ヒムス市で、国民和解委員会メンバーのハビーブ・ファンディー氏およびUNSMIS監視団出席のもと、殺人を犯していない反体制活動家75人が釈放された。

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ハマー県では、SANA(8月17日付)によると、ガーブ地方で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ナーミル村で軍・治安部隊の要撃により青年2人が殺害された。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、後者の戦闘員1人が殺害された。

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イドリブ県では、複数の活動家によると、ジャルジャナーズ町がヘリコプターの攻撃を受け、家屋30棟以上が破壊された。

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インターネットなどでは、「我らが自由軍の統一をもって、我々の勝利は実現される」と銘打った反体制デモが呼びかけられ、ダマスカス県中心部で行われたというデモの映像などが配信された。

反体制勢力の動き

『ハヤート』(8月17日付)は、アレッポの反体制武装活動家が西側諸国が武器供与を拒み続ければ、アル=カーイダの支援を受けることも辞さないと述べた、と報じた。

al-Hayat, August 18, 2012, 2012
al-Hayat, August 18, 2012, 2012

アブー・アンマールを名のるアレッポの反体制武装活動家は「我々はここでアル=カーイダなど要らない。しかし誰も我々を支援しなければ、彼らと同盟する…。もしこれらの戦闘員がここに来たら、彼らは住民を洗脳し、3ヶ月もあればアレッポ市は彼らの基地となるだろう」と述べた。

またバラー・ハラビーを名のる活動家も「主たる目的はアレッポでの流血停止だ。西側もアラブも我々を支援しないのなら、我々はアル=カーイダに流血停止を頼むことになるだろう…。最後に自分たちの未来を決するのはアレッポ住民だ。バッシャール・アサドのような暴君に対して蜂起できる民衆は、その後(体制打倒後)にアル=カーイダと戦う能力はあるだろう」と述べた。

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MTV(8月17日付)は、ファールーク・シャルア副大統領が離反したと報じた。

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ダマスカス県・同郊外県軍事評議会は声明を出し、ヒズブッラーのメンバーだとされるハッサーン・ミクダード氏の拉致が、「自由シリア軍を編成していない架空の集団」が犯行声明を行っているとし、拉致が「シリア政府の協力のもとヒズブッラーが行ったねつ造」と断じた。

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シリア国民評議会渉外局のムハンマド・ヤースィーン・ナッジャール氏はシリアに密入国し、アレッポ市に3日間滞在した。

滞在を受け、ナッジャール氏は、『ハヤート』(8月18日付)に対して「国際社会の早急な行動がなければ、シリアは完全に崩壊する」と述べた。

ナッジャール氏は「シリアのための民主的行動グループ」メンバーでもある。

レバノンの動き

ミクダード家連盟は、革命調整諸委員会報道官のアブドゥッラー・ヒムスィーを拉致したと発表した。

また同連盟が、ハッサーン・ミクダード氏の拉致問題をフォローアップするための委員会を設置したと発表した。

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NNA(8月17日付)は、トルコ人のアブデルバセト・オルソラン氏がベイルート郊外のシュワイハート市で誘拐された、と報じた。

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ミシェル・スライマーン大統領は、『サフィール』(8月18日付)に対して、「バッシャール・アサド大統領とはよい関係だ。隠し立てするべきことではない。私にとって最大の関心事はミシェル・サマーハ元情報大臣が持っていたとされる爆発物の発見・押収だ…。(大臣逮捕に関して、アサド大統領)が連絡してくるとは思っていなかったし、実際に連絡はなかった…。この問題にシリアの高官が関わっていないことを望んでいる」と述べた。

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ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長は、イスラーム諸国会議機構によるシリアの加盟資格停止を「一部のアラブの国の為政者は、パレスチナが強力にならないよう、シリアを根絶しようとしている」と非難した。

諸外国の動き

アルジェリアのアフダル・ブラーヒーミー元外務大臣が8月31日に退任するコフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使の後任への就任を正式に受け入れた。

複数の消息筋によると、アナン特使の「失敗と距離を置く」ことを望んだブラーヒーミー氏の要請により、同氏の地位は「合同特使」ではなく、「共同特別代表」となる。

またジュネーブにあった特使の本部も、ブラーヒーミー氏の要請により、ニューヨークに設置される。

これを受け、国連の潘基文事務総長は、ブラーヒーミー氏の共同特別代表を任命したと声明を出した。

声明では、ブラーヒーミー氏の「多大な能力と経験」を高く評価する一方、国連安保理に対して同氏への「統一された支援」を求めた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、ブラーヒーミー氏の共同特別代表就任に関して、「我々が前任者のアナン特使のような失敗を望まないのであれば、安保理でコンセンサスに達しなければならず、いかなる妨害も許してはならない」と述べた。

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フランスのレオン・ファビウス外務大臣はトルコ領内のシリア人避難民キャンプを慰問し、「バッシャール・アサドは存在するに値しない」と非難した。

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エイドリアン・エドワードNHCR広報官は、17万人以上のシリア人が周辺諸国で難民申請を行った、と発表した。

また8月14~15日の2日間で、アレッポ県アレッポ市、同県アアザール市、イドリブ県、ラタキア県から約3,500人がトルコ領内に非難した、と付言し、トルコにおけるシリア人避難民の急増に警鐘を鳴らした。

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イラン外務省報道官は、エジプトのムハンマド・ムルスィー大統領が提案したシリア問題を協議するためのエジプト、イラン、サウジ、トルコからなる連絡グループ設置構想への支持を表明した。

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イエメンのバアス党はアラビーヤ(8月17日付)に対して、アブドゥッラー・アフマル民族指導部副書記長がアサド政権によって逮捕されたと述べるとともに、アサド大統領に退任を求めた。

AFP, August 17, 2012、Akhbar al-Sharq, August 17, 2012、AKI, August 17, 2012、al-Hayat, August 17, 2012、August 18, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 17, 2012、al-Kurdiya
News, August 17, 2012、MTV, August 17, 2012、Naharnet.com, August 17, 2012、NNA,
August 17, 2012、Reuters, August 17, 2012、al-Safir, August 18, 2012、SANA, August 17, 2012などをもとに作成。

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中国の楊外交部長がシャアバーン大統領府政治情報補佐官と北京で会談、国連安保理はUNSMISを任期切れの8月19日で廃止することを決定(2012年8月16日)

シリア政府の動き

アサド大統領が政令第309号を発し、アドナーン・アブドゥー・スフニーを工業大臣に、ナジュム・ハマド・アフマドを法務大臣に、サアド・アブドゥッサラーム・ナーイフを保健大臣に任命した。

SANA, August 16, 2012
SANA, August 16, 2012

スフニー工業大臣は、1961年、アレッポ生まれ。人民議会議員を経て、2010年以降はラッカ県知事を務めていた。

アフマド法務大臣は、1969年、アレッポ生まれ。前法務次官で、総選挙法案作成委員会(2011年5月発足)の委員長も務めた。

ナーイフ保健大臣は1959年、アレッポ生まれ。

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中国の楊潔チ外交部長は、シリアのブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官と北京で会談した。

中国外交部によると、楊外交部長は会談で、「中国はアサド政権と関係するすべての当事者に…早急に発砲を停止、暴力を制限し、政治的対話を行うよう求める」と述べた。

また「シリア政府と反体制勢力に国際社会の仲介の努力に協力する」よう求めた。

一方、SANA(8月16日付)によると、シャアバーン報道官は、「シリアの主権を支持する中国のバランスのとれた姿勢」に謝辞を示し、すべての国が中国、ロシアに倣い、危機からの脱却をめざすべきだと述べた。

SANA, August 16, 2012
SANA, August 16, 2012
SANA, August 16, 2012
SANA, August 16, 2012

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ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官は『チャイナ・デイリー』(8月16日付)に対して、「外国勢力が武装を与え、誘拐・殺戮・政府関連施設の破壊を行うよう促している一部の者たちがシリアで内戦を起こそうとしている」と述べた。

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ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣はシリア・アラブ・テレビ(8月16日付)に対して、イスラーム諸国会議でのシリアの加盟資格停止が、多くの国が反対の意見を表明し、コンセンサスに基づいていないため、憲章に反していると述べた。

またシリア訪問中の国連バレリー・アモス人道問題担当事務次長との会談に関して、「昨日(水曜日)の会談で、彼女にシリア国民への支援金・物資を寄付する国々が人道的かと尋ねた。すると彼女は、そうした(アラブ諸)国が4カ国あるが、アラブ人から我々は1ドルも受け取っていないと答えた」と述べた。

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SANA(8月16日付)は、アサド大統領が政令第310号を発し、ムワッファク・イブラーヒーム・ハッルーフの後任として、ムハンマド・ワヒード・アッカード副知事をアレッポ県知事に任命した、と報じた。

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ロイター通信(8月16日付)は、マーヒル・アサド大佐が7月18日のダマスカス県でのテロで片脚を失う重傷を負っていた、と湾岸諸国の西側外交筋の話として報じた。

数日前には、両脚を失っていたとの報道が流れていたため、事実かどうかは定かでない。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会は声明を出し、民主的変革諸勢力国民調整委員会がアサド政権と反体制武装勢力の双方に一時停戦を呼びかけたことに対し、「国民的合意から逸脱し、犠牲者と死刑執行人を同列に扱っている」と批判した。

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シリア国民評議会は声明を出し、イスラーム諸国会議機構によるシリアの加盟し確定し決定を歓迎する一方、「シリア国民は政治的意見対立と人道的危機を乗り越えるべく苦難している」と述べ、反体制勢力どうしの対立の責任の一端を国民に押しつけた。

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政治治安部情報課長のヤアラブ・シャルア准将がアラビーヤ(8月16日付)に登場し、政権からの離反を宣言した。

同准将はファールーク・シャルア副大統領のいとこである。

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、アサーリー地区、タダームン区で軍・治安部隊による砲撃が行われ、多数が負傷した。

一方、Damas Post(8月16日付)は、複数の消息筋の話として、反体制武装勢力がカフルスーサ区にあるる首相府関連ビルをRPGで攻撃し、塀が破壊されたと報じた。犠牲者はなかった、という。

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Kull-na Shuraka', August 16, 2012
Kull-na Shuraka’, August 16, 2012

ダマスカス郊外県では、複数の反体制勢力筋によると、カトナ市で処刑された遺体60体が発見される一方、軍・治安部隊が同市のほか、ドゥマイル市、ドゥーマー市、タッル市に攻撃を続けた。『ハヤート』(8月17日付)が報じた。

一方、SANA(8月16日付)によると、タッル市、アイン・マニーン町で軍・治安部隊が反体制武装勢力の掃討を継続し、拉致されていた市民多数を解放した。

またタッル市では、軍・治安部隊が反体制武装勢力が拉致していたヤーラー・サーリフ氏らイフバーリーヤ・チャンネルの記者3人の釈放に成功した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市シャッアール地区で6人、カーディー・アスカル地区で10人が軍・治安部隊と反体制武装勢力の戦闘に巻き込まれて死亡した。

またジャンドゥール地区では、軍・治安部隊の兵士8人が反体制武装勢力と戦闘で死亡した、という。

このほか、サラーフッディーン地区、サイフ・ダウラ地区でも戦闘があった。

一方、SANA(8月16日付)によると、アレッポ市バーブ・ナイラブ地区、マルジャ地区、サイフ・ダウラ地区、マサーキン・ハナーヌー地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の掃討を継続、多数の戦闘員を殺傷した。

またバーブ市でも軍・治安部隊が反体制武装勢力を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

『ハヤート』(8月17日付)は、トルコの消息筋の話として、アアザール市空爆で負傷した多数の市民がトルコ領内に入り治療を受けている、と報じた。

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ヒムス県では、SANA(8月16日付)によると、クサイル地方、ヒムス市ダイル・バアルバ地区で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

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ラタキア県では、SANA(8月16日付)によると、カフルダブラ市で軍・治安部隊が反体制武装勢力を要撃し、乗っていた車2台を破壊した。

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イドリブ県では、複数の反体制勢力筋によると、軍の戦闘機がマアッラトミスリーン市に対して、200キロ爆弾などを投下した。『ハヤート』(8月17日付)が報じた。

しかし、マアッラト・ニウマーン市郊外のジャルジャナーズ町に対するMiG戦闘機の爆撃により、マアッラト・ニウマーン市の革命指導評議会メンバーも含む数十人が負傷した。

一方、SANA(8月16日付)によると、サルキーン市・イスカート市間の街道で軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトを襲撃した。

レバノンの動き

ムフタール・サクフィー連隊なる組織が、ミクダード家連盟に続いて、LBCI(8月16日付)に対して、自由シリア軍のメンバー5人をベイルート県およびベカーア県で拉致したと明かした。

この発表の直後、LBCI(8月16日付)は、ベカーア県ザフレ郡シュトゥーラ市でシリア人のフサーム・ヤフヤー・ハシュルーム氏が誘拐されていたことが明らかになったと報じた。

またイード・フィトルを祝して、同集団が「善意を示すべく」5人のうち4人を釈放したとも報じた。

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ミクダード家連盟のマーヒル・ミクダード代表は記者会見を開き、「現在のところ、我々は自由シリア軍に所属するシリア人捕虜多数とレバノン人を拘束しているので、軍事作戦を停止している」と述べた。

また「自由シリア軍の報道官を拉致した。金曜日に作戦の詳細を示す」と付言する一方、湾岸諸国の居住者は「標的にならない」と名言した。

一方、シュトゥーラ市での拉致事件にミクダード家連盟が関与してないと述べた。

記者会見では、ヒズブッラーのアリー・ミクダード国民議会議員が「誘拐は禁止されており、報復としての拉致も禁止されている」と発言したが、その後ミクダード家のメンバーともみ合いとなり、会場を追放された。

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ミシェル・スライマーン大統領は、アドナーン・マンスール外務大臣がアレッポ県で拉致されたレバノン人巡礼者11人の無事を確認したと述べた。

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サアド・ハリーリー前首相は声明を出し、「過ちは過ちを解決することはできない」と述べ、レバノン国内でのシリア人拉致を批判した。

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ナハールネット(8月17日付)によると、レバノン人巡礼者11人を拉致しているアブー・イブラーヒームは、アレッポ県アアザーズ市での軍・治安部隊による反体制武装勢力掃討爆撃で人質11人のうち4人が死亡し、7人が重傷を負ったことを認めた。

諸外国の動き

国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長は訪問中のダマスカスで記者会見を開き、250万人がシリアで支援を必要としている、と述べた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣がヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣とともにザアタリー・シリア人避難民キャンプを視察、同地で記者会見を行った。

ファビウス外務大臣は記者会見で、「フランスの立場は明白である。我々はバッシャール・アサドが国民を処刑する執行者だと見なしており、去れねばならないと考えている。速く去るほどよいと考えている…。我々は暫定政府が速く発足し、世界の大国がそれを承認することを望んでいる…。このことでバッシャール・アサドの退任は早まるだろう」と述べた。

会場にはシリア人避難民数百人がファビウス外務大臣に詰め寄ろうとしたが、ヨルダン治安当局に阻止された。

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サウジアラビア、カタール、UAEに続き、クウェートもレバノン在住の自国民に退去勧告を出した。

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国連安保理はUNSMISを任期切れの8月19日で廃止することを決定した。

UNSMIS廃止後は、ダマスカスに連絡事務所を設置し、約20人規模の支援団を駐在させる予定。

AFP, August 16, 2012、Akhbar al-Sharq, August 16, 2012、Alarabia.net, August 16, 2012、Damas Post, August 16, 2012、al-Hayat, August 17, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 16, 2012、al-Kurdiya News, August
16, 2012、LBCI, August 16, 2012、Naharnet.com, August 16, 2012, August 17,
2012、Reuters, August 16, 2012、SANA, August 16, 2012などをもとに作成。

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ダマスカス県中心部で仕掛け爆弾2発が爆発し自由シリア軍国内合同司令部が犯行を主張、イスラーム諸国会議機構の特別首脳会議が閉幕し「アサド政権の加盟停止」をめぐって合意に至ったことが発表される(2012年8月15日)

国内の暴力(アレッポ県アアザール市)

アレッポ県では、各紙によると、反体制武装勢力が占拠するアアザール市に対して軍が空爆を行い、少なくとも35人が死亡した。

Kull-na Shuraka', August 15, 2012
Kull-na Shuraka’, August 15, 2012

複数の反体制筋によると、空爆は市内のバアス党支局施設を狙ったもので、同施設は反体制武装勢力が占拠・使用していた。

AFP(8月15日付)によると、この空爆で800平方メートルが破壊され、住民の一人は攻撃が住宅地区に対して行われたと語った。

なおシリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表によると、アアザール市では80人以上が死亡したという。

またナハールネット(8月15日付)によると、攻撃にはMiG29戦闘機が使用された、という。

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反体制武装勢力の活動家によると、7月に拉致されたレバノン人巡礼者(シーア派)11人のうち7人が空爆で負傷、4人が行方不明となった。シリア人権監視団によると、4人が重体だという。

これに対して、ジャディード・チャンネル(8月15日付)によると、レバノン人巡礼者4人が軍の爆撃で死亡した、と報じた。

しかし、マナール・チャンネル(8月15日付)によると、11人は無事で、数人はトルコに到着した、という。

またLBCI(8月15日付)によると、誘拐犯のアブー・イブラーヒームもこの攻撃で軽傷を負ったという。

国内の暴力(ダマスカス県マッザ区)

ダマスカス県では、AFP(8月15日付)などによると、マッザ区の首相府およびイラン大使館近くで軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦した。

反体制勢力筋によると、交戦に先立って、反体制武装勢力がRPG弾でイラン大使館(建設途中)を狙ったという。

その後、シリア・アラブ・テレビ(8月15日付)は、マッザ区バサーティーン・ラーズィーに関係当局が突入し、反体制武装勢力の戦闘員多数を殺傷、逮捕したと報じた。

また『クッルナー・シュラカー』(8月15日付)によると、マッザ区での軍・治安部隊の砲撃で10人が死亡した。

国内の暴力(ダマスカス県ダーマー・ローズ・ホテル前)

ダマスカス県中心のダーマー・ローズ・ホテル(旧メリディアン)隣りの労働総同盟施設内で早朝、仕掛け爆弾が爆発した。

シリア・アラブ・テレビ(8月15日付)やシリア人権監視団によると、爆発はディーゼル・タンクに取り付けられた仕掛け爆弾によるもの。

同ホテルはUNSMISの監視団が宿泊している。

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攻撃に関して、シリア・アラブ・テレビ(8月15日付)は、「参謀司令部の駐車場近くで爆発が発生」し「3人が負傷した」と報じ、それがUNSMISを狙ったテロだと断じた。

これに対して、AFP(8月15日付)は、爆発で5員が負傷した、と報じた。

http://www.youtube.com/watch?v=lEftoHNEfNk&feature=player_embedded

Kull-na Shuraka', August 15, 2012
Kull-na Shuraka’, August 15, 2012
Kull-na Shuraka', August 15, 2012
Kull-na Shuraka’, August 15, 2012

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自由シリア軍国内合同司令部調整連絡局のマーヒル・ヌアイミー少佐はAFP(8月15日付)に対して、「自由シリア軍が参謀司令部での軍の会合を狙ってこの作戦を実行した」と発表し、「二つの爆破のうち、一発が司令部中、もう一発が外で行われた」ことを明らかにした。

ヌアイミー少佐はまた「専門の士官が(作戦)を計画し、朝8時5分ちょうどに実行した。この時間は司令部ないで定例の会合が行われている」と付言した。

同少佐によると被害者数は明らかではないが、「司令部内には少なくとも150人がおり、そのなかにはデモ弾圧を担当する士官10人もいた」と述べた。

また、自由シリア軍の「ハビーブ・ムスタファー旅団」を名のる反体制武装勢力がフェイスブック(8月15日付)で犯行声明を出し、「司令部の定例の朝礼にいたシャッビーハ多数を殺害した」と主張した。

さらに自由シリア軍の「使徒末裔大隊」を名のる反体制武装勢力も犯行声明を出し、参謀司令部を標的とし、爆発によって兵士50人を殺害したと主張した。

国内の暴力(その他)

アレッポ県では『ハヤート』(8月16日付)によると、アレッポ市で軍・治安部隊が市内北東部の戦線を新たに突破し、反体制武装勢力が占拠する地区に突入を開始した。

またシリア人権監視団などによると、アレッポ市バーブ街道、ザフラ地区、サイフ・ダウラ地区、サラーフッディーン地区などで戦闘が続いた。

一方、SANA(8月15日付)によると、サイフ・ダウラ地区、マサーキン・ハナーヌー地区、ハラク地区、バーブ・ナスル地区、カブターン市、カフルハムラ地方、カフルバスィーン地方などで軍・治安部隊による反体制武装勢力「残党」の掃討が続いた。

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ダマスカス郊外県では、SANA(8月15日付)によると、タッル市で軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、SANA(8月15日付)によると、タファス市で軍・治安部隊が反体制武装勢力「残党」の掃討を継続し、多数の戦闘員が武器を放棄して逃走した。

またヨルダン領内からタッル・シハーブ地方に潜入しようとした反体制武装勢力の戦闘員を国境警備隊が撃退した。

このほか、ブスラー・シャーム市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

一方、『ハヤート』(8月16日付)によると、軍・治安部隊がタフス市に突入、同市の「純化」を本格化させた。

自由シリア軍はこれを受け、装備部族を理由に撤退を宣言した。

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ヒムス県では、SANA(8月15日付)によると、レバノン領内からタッルカラフ地方に潜入しようとした反体制武装勢力の戦闘員を国境警備隊が撃退した。

またガントゥー市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

シリア政府の動き

ダマスカスに滞在中の国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長はワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣と会談し、人道支援などに関する協力態勢について協議した。

SANA, August 15, 2012
SANA, August 15, 2012

SANA(8月15日付)が報じた。

反体制武装勢力の動き

アレッポで反体制武装闘争を行うタウヒード旅団のアブドゥルカーディル・サーリフ司令官は、アレッポ市内での反体制武装勢力による政権支持者処刑に関するビデオ映像が公開されたことを受け、声明を出し、「体制と結託した一部の勢力が映像をねつ造した」と主張し、反体制武装勢力が捕虜の取り扱いなどに関する国際法を遵守していると強調した。

http://www.youtube.com/watch?v=RLLq2czgTvs&feature=youtu.be

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アレッポ砲兵学校副校長のアブドゥルマジード・バドルクバイス准将がユーチューブ(8月15日付)で軍を離反し、タウヒード旅団への参加を発表した。

http://www.youtube.com/watch?v=hN0QRG-U9QU

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自由シリア軍国内合同司令部は声明を出し、レバノン人のハッサーン・ミクダード氏を拉致した誘拐犯が「自由シリア軍には属していない」と述べた。

しかし自由シリア軍は離反兵・反体制活動家の小規模な集団どうしの緩やかな連合体であり、組織への加盟・脱退の基準は存在しない。

クルド民族主義勢力の動き

シリア・クルド国民評議会のファイサル・ユースフ新事務局長はイラク・クルディスタン地域のエルビルでクルディーヤ・ニュース(8月15日付)に対して、「一部の都市では依然として武装デモが続いているが、市民保護のためのよりよい手段に至ることを望む」と述べ、反体制武装勢力の活動と一線を画す意思を明らかにした。

al-Kurdīya News, August 15, 2012
al-Kurdiya News, August 15, 2012

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『クッルナー・シュラカー』(8月15日付)は、PKK系のクルド民族主義政党、民主統一党がクルド人青年4,000人をアーバール油田の監視・守衛として雇用しようとしている、と報じた。

同党消息筋の話によると、同油田の守衛・監視の給与の平均は月額で15,000,000シリア・ポンド(3000万円相当)!!!だという。

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『クッルナー・シュラカー』(8月15日付)は、ハサカ県ルマイラーン町に避難したダマスカス県住民の話として、同市の西クルディスタン人民議会人民諸委員会の検問所から300メートルも離れていない場所に、アサド大統領、ハーフィズ・アサド前大統領、バースィル・アサド准将の銅像が建ち並んでいる、と報じ、クルド民族主義勢力とアサド政権の親密な関係を示唆した。

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クルド最高委員会は声明を出し、現下のシリアの情勢を踏まえて、イード・フィトル期間中、街頭で祝祭・祝典を行わないよう呼びかけた。

レバノンの動き

LBCI(8月15日付)などによると、アブー・アリー・ミクダードが書記長を務めるミクダード家連盟(本部ベイルート南部郊外ルワイス)の民兵がレバノン国内で自由シリア軍のメンバー20人以上とトルコ人1人を拉致したと発表した。

LBCIによると拉致された自由シリア軍メンバーには、大尉ら士官2人が含まれている、という。

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ナハールネット(8月15日付)などによると、ミクダード家は、ヒズブッラーのメンバーだとされるハッサーン・サリーム・ミクダード氏がダマスカス県で拉致されたことを受けて行動に出たという。

ハッサーン・サリーム・ミクダード氏の兄弟のハーティム・ミクダード氏はLBCI(8月15日付)に、これまでに30人の自由シリア軍メンバーを拉致したと述べるとともに、2日以内にハッサーン・サリーム・ミクダード氏を釈放するよう誘拐犯に呼びかけた。

Naharnet.com, August 15, 2012
Naharnet.com, August 15, 2012

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自由シリア軍の政務顧問だというバッサーム・ダーダー氏はジャディード(8月15日付)に対して、拉致されたシリア人は避難民で自由シリア軍のメンバーではない、としたうえで、「ヒズブッラーが事件の背後にいる」と断じた。

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LBCI(8月15日付)はその後、拉致されたトルコ人のパスポートの画像を公開、そこには「アイドゥン・トゥファン、1948年5月3日生まれ」と記されていた。

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なおナハールネット(8月15日付)は、アブー・アリー・ミクダード書記長の話として、ベカーア県東部(バアルベック郡)のシャンマース家、ズアイティル家、ナスルッディーン家、ダンダシュ家といった家族もミクダード家とともに活動している、と報じている。

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NNA(8月15日付)は、ダマスカス県に滞在してたレバノン人のルワイユ・マンスール氏(23歳、スール出身)が先週から行方不明になっている、と報じた。

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『ハヤート』(8月16日付)は、進歩社会主義党、ヒズブッラー、アマル運動がレバノン領内でのシリア国民の拉致拡大を阻止することで合意した、と報じた。

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アリー・アウダ・アスィーリー駐レバノン・サウジ大使は、レバノン在住のサウジ国民に即時退去を勧告した。

またUAEとカタールの外務省もレバノン在住の自国民に退去勧告を出した。

諸外国の動き

サウジアラビアのメッカで開催されていたイスラーム諸国会議機構の特別首脳会議が閉幕した。

閉幕声明では、「シリア国民に対する虐殺と非人道的行為への激しい懸念」を表明し、「シリアの加盟資格停止」を通じて「暴力行為の即時停止」をめざすことで合意したことが明記された。

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トルコ日刊紙『タラフ』(8月15日付)は、ヒラリー・クリントン米国務長官のトルコ訪問時の同国首脳らとの会談で、シリア領空での飛行禁止空域について実際に設定することが困難だとの認識に至った、とフランシス・J・リチャードーン駐トルコ米大使が語ったと報じた。

リチャードーン駐トルコ米大使は「もちろん、こうした問題を設定しなければならない。しかしこうした問題に関するトルコとの協議は、こうした地域(飛行禁止空域)の設定に積極的に関与することと同義であるべきでない」と述べた。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は訪問先のベラルーシで、ジュネーブでのシリア協力グループ会合での決定を遵守するよう西側諸国に呼びかけ、シリアのすべての当事者に圧力をかけ、反体制武装闘争を煽動しないよう警鐘を鳴らした。

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中国共産党の機関紙『人民日報』(8月15日付)は、シリア問題をめぐる国連安保理内での意見対立の原因が、政治的関係正常化を阻止しようとする西側諸国にあるとし、アサド政権の打倒に固執し、反体制勢力を支援し続ける姿勢を非難した。

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『ハヤート』(8月15日付)は、ヨルダンの複数の消息筋の話として、ヨルダン政府がリヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相の離反と領内への避難を事前に知っていたと報じた。

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アラビーヤ(8月15日付)は、イランのアーラム・チャンネルのアフマド・サトゥーフ特派員がヒムス市の自宅近くで拉致された、と報じた。

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シリアでの人権侵害を調査するための国連人権理事会調査委員会が最新の報告書を提出し、軍、治安部隊、シャッビーハが「人道に対する罪」、「戦争犯罪」、「体系的な人権侵害」を行っていると指摘した。

報告書はまた「反体制武装勢力も殺戮、拷問といった戦争犯罪を犯している」と指摘したが、「その深刻さにおいては、政府軍、シャッビーハの侵害に及ばない」としている。

AFP, August 15, 2012、Akhbar al-Sharq, August 15, 2012、Alarabia.net, August 15, 2012、al-Hayat, August 15, 2012, August 16, 2012、al-Jadīd Channel, August 15, 2012、Kull-na
Shurakaʼ, August 15, 2012、al-Kurdīya News, August 15, 2012、LBCI, August
15, 2012、al-Manar Channel, August 15, 2012、Naharnet.com, August 15, 2012、NNA,
August 15, 2012、Reuters, August 15, 2012、SANA, August 15, 2012、Youtube,
August 15, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

レバノン司法当局がサマーハ元情報相とシリアのマムルーク国民安全保障会議議長を「テロ未遂」容疑によって起訴、米国務長官がトルコを訪問し飛行禁止区域の設置やシリアの反体制勢力支援などについて協議(2012年8月11日)

シリア政府の動き

ワーイル・ナーディル・ハルキー首相がアサド大統領と会談、首相就任の宣誓を行った。

SANA, August 11, 2012
SANA, August 11, 2012

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ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は、ロンドンのシリア大使館を閉鎖する決定を下し、同大使館に勤務していたマダッル・シハーダ氏をモスクワに、ヒシャーム・アストワーニー氏をダマスカス中央局に異動とした。

反体制勢力の動き

『ハヤート』(8月12日付)は、イドリブ県のジャルジャナーズ、ビンニシュ 、カフルニヌルなど郊外の町では、自由シリア軍を名のる反体制武装勢力ではなく、家族や地域レベルの小規模な民兵が組織され、軍・治安部隊の検問所などを襲撃、制圧していると報じた。

Kull-na Shuraka', August 11, 2012
Kull-na Shuraka’, August 11, 2012

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『クッルナー・シュラカー』(8月11日付)は、イドリブ県マアッラト・ニウマーン市で自治を行う反体制勢力(マアッラト・ニウマーン革命指導評議会)が、市内の壁の落書き(反体制活動家が行った落書き)を消す清掃作業を行っている、と報じた。

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各紙は、在ジュネーブ国連機関シリア代表部のダーニー・バアージュ一等書記官が離反したと報じた。

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Sky News Arabic(8月11日付)は、ハーリド・サーリフ駐ナイジェリア・シリア常駐副代表が離反し、ナイジェリアを出国したと報じた。

国内の暴力

アレッポ県では、自由シリア軍タウヒード旅団司令官のアブドゥルカーディル・サーリフなる活動家はAFP(8月11日付)に対して、反体制武装勢力がアレッポ市サラーフッディーン地区の戦略的拠点を奪還したと述べた。

しかしこの拠点がどこなのかは明らかにしなかった。

シリア人権監視団によると、アレッポ市スッカリー地区が軍・治安部隊の激しい砲撃に曝されたほか、サイフ・ダウラ地区にも砲撃が加えられた。

一方、SANA(8月11日付)によると、アレッポ市スッカリー地区、カフルハムラ村、イザーア地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の掃討作戦を継続した。

また反体制武装勢力はアレッポ刑務所に三度目となる襲撃を行ったが、軍・治安部隊によって撃退された、という。

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Kull-na Shuraka', August 11, 2012
Kull-na Shuraka’, August 11, 2012

ダマスカス県では、SANA(8月11日付)などが、マルジャ地区サウラ通りのジスル・ビクトリア近くの街路樹下に仕掛けられた爆弾が爆発したと報じた。

またアリー・アッバース記者(SANA国内報道局長)がジュダイダト・アルトゥーズ町で暗殺されたと報じた。

一方、地元調整諸委員会によると、タダームン区で軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦した。

またシリア革命総合委員会によると、ジャウバル区で激しい砲撃の音が聞こえた、という。

シリア人権監視団などによると、未明にはカダム区、ナフル・イーシャ地区に軍ヘリコプターが攻撃を加える一方、ダマスカス・ダルアー街道、カーブーン区などで激しい戦闘が行われた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表は、AFP(8月11日付)に対して、タッル市でイフバーリーヤ・チャンネルの記者3人が10日に反体制武装勢力に拉致されたと発表した。

同代表によると、記者のうちの2人は軍・治安部隊に「従軍記者」として同行していた。

また未明にハジャル・アスワド市でシリア軍と反体制派が交戦した。

Kull-na Shuraka', August 11, 2012
Kull-na Shuraka’, August 11, 2012

『クッルナー・シュラカー』(8月11日付)などによると、拉致されたのはヤーラー・サーリフ特派員(女性)、アッブード・タブラ・カメラマン、フサーム・アブー・ヤフヤー助手、そしてフサーム・イマード氏(運転手)。

シリア人権監視団によると、ハラスター市で激しい砲撃があった。

またダイル・アサーフィール市に対して未明に砲撃があり、3人の市民が死亡した。

このほかグータ東部で女性1人を含む2人が死亡、タッル市でも激しい砲撃があった。

一方、SANA(8月11日付)によると、反体制武装勢力が旅客バス(ボールマン)を襲撃し、乗客6人を殺害した。

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ダルアー県では、ロイター通信(8月11日付)などは、9日深夜、シリア軍がダルアー県タッル・シハーブ地方(シリア領)からタッラ(ヨルダン領)に向かって戦車などで砲撃を加え、ヨルダン軍がこれに応戦した、と報じた。

またシリア人権監視団によると、ムハッジャ村やタファス市への砲撃で女性2人を含む4人が死亡した。

一方、SANA(8月11日付)によると、シャイフ・マスキーン市で軍・治安部隊が反体制武装勢力を要撃した。

SANA, August 11, 2012
SANA, August 11, 2012

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ガーブ平野地方で未明、2人の民間人が殺害された。

一方、SANA(8月11日付)によると、タイバト・イマーム市で軍・治安部隊が反体制武装勢力を要撃した。

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ヒムス県では、SANA(8月11日付)によると、クサイル地方で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を死傷させた。

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ダイル・ザウル県では、SANA(8月11日付)によると、ダイル・ザウル市で軍・治安部隊が反体制武装勢力の追跡を継続した。

レバノンの動き

レバノン軍事法廷のリヤード・アブー・ガイダー検事は、ミシェル・サマーハ元情報大臣に対する逮捕状を請求した。

またAFP(8月11日付)によると、レバノン司法当局は、サマーハ元情報大臣とシリアのアリー・マムルーク国民安全保障会議議長を「テロ未遂」で起訴したと報じた。

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レバノン・シーア派の宗教指導者、ハーニー・ファフス師とムハンマド・ハサン・アミーン師は、ジャズィーラ(8月11日付)に宛てて声明を出し、「シリア国民の革命」への支持を表明した。

諸外国の動き

ヒラリー・クリントン米国務長官はトルコを訪問し、アブドゥッラー・ギュル大統領、レジェップ・タイイップ・エルドアン首相、アフメト・ダウトオール外務大臣と会談し、飛行禁止区域の設置やシリアの反体制勢力への支援などについて協議した。

会談後の記者会見で、クリントン国務長官は、アサド政権が化学兵器を使用した場合の軍事、政治、諜報面での対応などで調整を行うことにトルコ側と合意したことを明らかにする一方、シリアが「PKKやアル=カーイダのテロリスト」の拠点になることへの懸念を表明した。

さらにヒズブッラー、イラン、シリアが結びつくことはアサド政権を延命させる、との認識を示した。

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ドイツ連邦情報局(BND)のゲルハルト・シンドラー長官は、アサド政権が「体制終焉に向けたゲームが始まったことを示す複数の証拠がある」と指摘、同政権が50,000人の兵士を脱走や負傷・戦死によって失い、うち3,000人が反体制武装勢力に参加していると述べた。

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カナダのジョン・ベアード外務大臣がヨルダンを訪問し、対シリア国境にある国営のザアタリー・シリア人避難民キャンプを慰問した。

AFP, August 11, 2012、Akhbar al-Sharq, August 11, 2012、Aljazeera.net, August 11, 2012、al-Hayat, August 12, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 11, 2012、Naharnet.com, August
11, 2012、Reuters, August 11, 2012、SANA, August 11, 2012、Sky News Arabic,
August 11, 2012、Syria-Politic.com, August 8, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米財務省が声明のなかでヒズブッラーがアサド政権による弾圧における「中心的な役割」を担っていると非難、英外相が500万ポンド相当の追加支援をシリアの反体制勢力に行うと発表(2012年8月10日)

国内の暴力

アレッポ県では、SANA(8月10日付)によると、軍・治安部隊がアレッポ市ダウワール・アクユール、ダウワール・カーディー・アスカルを制圧し、イザーア地区、サイフ・ダウラ地区で反体制武装勢力の「残党」を追跡し、多数を殺傷した。

SANA, August 10, 2012
SANA, August 10, 2012

またシュハダー地区のムハンマド・カッサール学校に集結していた反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

さらにアレッポ国際空港を襲撃しようとした反体制武装勢力も撃退したほか、ジュダイダ地区、ジュッブ・クッバ地区など各地で交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

殺害した戦闘員のなかにはリビア人などといったアラブ人や外国人が多数含まれていたという。

『ハヤート』(8月11日付)など各紙は、軍のミグ21戦闘機がアレッポ市ハナーヌー地区にある自由シリア軍の拠点の一つと住居ビル1棟を早朝に空爆、多数が負傷したと報じた。

AFP(8月10日付)は、バーブ街道地区のパン製造所が、数百人がパンを買うために列を作るなかで、軍戦闘機の砲撃を受け、子供3人を含む10人が死亡した、と報じた。

同地区は反体制武装勢力が占拠している地区だという。

反体制武装勢力はアレッポ刑務所を襲撃し、守衛多数を殺傷したと発表したが、SANA(8月10日付)は速報で否定した。

Akhbar al-Sharq, August 10, 2012
Akhbar al-Sharq, August 10, 2012

自由シリア軍シャフバーの楯大隊のフサーム・アブー・ムハンマド大尉は、AFP(8月10日付)に対して、軍・治安部隊が奪還したアレッポ市サラーフッディーン地区の「半分の地域で我々と政府軍の一進一退の戦闘が続き…、自由シリア軍は同地区周辺の新しい拠点を軸に展開、増強している」と述べた。

シリア人権監視団によると、アレッポ市ハラブ・ジャディーダ地区で反体制デモが発生し、治安当局が発砲、青年1人が死亡した。

また同市サビール地区、フルカーン地区、アフリーン市、アターリブ市、イッビーン村、バータブー村でも反体制デモが発生した、という。

フサインを名のる活動家はAFP(8月10日付)に対して、アレッポ市スッカリー地区で反体制デモが発生したが、「暴力ゆえに規模は小さかった」と述べた。

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ダマスカス県・ダマスカス郊外県では、SANA(8月10日付)によると、タッル・マニーン町で、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追跡し、数十人の戦闘員を殺傷、多数を逮捕した。

シリア人権監視団によると、バルザ区、ドゥーマー市、ハラスター市などで反体制デモが発生した、という。

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ヒムス県では、SANA(8月10日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力を攻撃、殺害した。

またタッルカラフ地方では、レバノンからの潜入を試みた反体制武装勢力を国境警備隊が撃退した。

Zamān al-Waṣl, August 10, 2012
Zaman al-Wasl, August 10, 2012

一方ダミーヤ村では反体制武装勢力の砲撃で村人10人が死亡した。

このほか、スルターニーヤ地方、ラスタン地方などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

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ダルアー県では、SANA(8月10日付)によると、サイダー町、ブスラー・シャーム市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

一方、シリア人権監視団によると、ダルアー市、ヒルバト・ガザーラ町などで反体制デモが発生したが、軍・治安部隊がデモを阻止するために展開し、参加者を逮捕した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハッターブ村、ハマーディー・ウマル村、カフルズィーター市などで反体制デモが発生した。

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イドリブ県では、SANA(8月10日付)によると、アリーハー市とサラーキブ市を結ぶ街道で反体制武装勢力が民間人の車2台を襲撃し、子供1人を含む2人殺害した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(8月10日付)によると、ダイル・ザウル市で軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追跡し、甚大な被害を与えた。

またフシャーム町でも軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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フェイスブックでは、反体制活動家が「対空兵器で我々を武装させよ」金曜日と銘打って反体制デモが呼びかけられていた。

シリア政府の動き

シリアのバッシャール・ジャアファリー国連大使は、安保理事務総長に書簡を提出、そのなかでトルコが軍事作戦事務所を設置し、そこでイスラエル、米国、サウジ、カタールの諜報機関がアレッポなどでのシリア国民に対するテロ活動を指示している、と非難した。

またトルコ領内に設置された避難民キャンプのほとんどがいまや軍事拠点と化し、シリアに送り込まれるテロリストが集まっている、と非難した。

反体制勢力の動き

ダルアー県ジャースィム市のハルキー家は声明を出し、ワーイル・ナーディル・ハルキー首相との絶縁を宣言した。

レバノンの動き

Naharnet.com, August 10, 2012
Naharnet.com, August 10, 2012

『ジュムフーリーヤ』(8月10日付)は、レバノン国内で爆破テロを計画した疑いで身柄拘束中のミシェル・サマーハ元情報大臣が、「バッシャール(アサド大統領)がそう望んだから」と証言したと報じた。

複数の消息筋によると、アリー・マムルーク国民安全保障会議議長がサマーハ元情報大臣に指示した、という。

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レバノンの各メディアによると、北部県アッカール郡アクルーム村(スンナ派)とバイト・ジャアファル村(シーア派)の住民が衝突し、レバノン軍兵士1人が負傷した。

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アレッポ県で拉致されたレバノン人巡礼者の家族はベイルート県にあるカタール大使館近くでデモを行い、カタール政府に人質解放のため協力するよう訴えた。

諸外国の動き

UNHCRは、アレッポ市などからのシリア人避難民の数が急増し、避難民の総計が150万人近くに達していると発表した。

UNHCRによると、トルコ領内の避難民の数は50,227人に及び、今週だけで約6,000人が新たに避難してきたという。

またヨルダンで登録した避難民の数は45,869人、レバノンが36,841人、イラクが13,587人に達し、また7月18日以降、イラク人避難民23,228人がシリアからイラクに避難した、という。

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米財務省は声明を出し、ヒズブッラーがアサド政権による弾圧において「中心的な役割」を担っていると非難した。

同声明は、ヒズブッラーが「日に日に残忍さを増すシリア政府の反体制勢力弾圧を支援するため教練、アドバイス、兵站支援を行っている」と指摘している。

またヒズブッラーが、イランの革命防衛隊がシリア軍を教練を「促す」一方、レバノンからのシリア人反体制活動家の追放において「政治的役割」を果たしていると述べた。

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ダニエル・ベンジャミン米国務省テロ対策調整官は、「ヒズブッラーが欧州などで予告なくいつでも攻撃してくるかもしれないと思う」と警鐘を鳴らした。

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米国務省のパトリック・ベントレル報道官は声明を出し、シリア国営のシトロール社(石油販売会社)に対して、イランとの取引があり、シリア国民弾圧への資金源となるとの理由で制裁を発動すると発表した。

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イギリスのウィリアム・ヘイグ外務大臣は、500万ポンド相当の追加支援をシリアの反体制勢力に行うと発表し、シリア国内の暴力と殺戮をさらに助長する姿勢を示した。

追加支援は、防弾チョッキ、通信機器などが主で、武器は含まれていない、という。

記者会見でヘイグ外務大臣は、「英国はさらなる努力を行い、シリア国民と反体制勢力への支援を進展させるだろう」と述べた。

AFP, August 10, 2012、Akhbar al-Sharq, August 10, 2012、AKI, August 10, 2012、al-Hayat, August 11, 2012、al-Jumhuriya, August 10, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 10, 2012、Naharnet.com, August
10, 2012、Reuters, August 10, 2012、SANA, August 10, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

反体制武装勢力はサラーフッディーン地区から「戦略的撤退」、アサド大統領が政令を出しハルキー保健大臣を首相に任命(2012年8月9日)

国内の暴力(アレッポ県)

各紙によると、アレッポ市での軍・治安部隊が戦闘機を動員し掃討作戦を継続し、前日まで撤退を否定してきた反体制武装勢力はサラーフッディーン地区からの撤退を認めた。

SANA, August 9, 2012
SANA, August 9, 2012
SANA, August 9, 2012
SANA, August 9, 2012

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アブー・アリーを名のる反体制武装活動家はロイター通信(8月9日付)に対して、「自由シリア軍の戦闘員はサラーフッディーン地区の複数地点から撤退した」と明かした。

ロイター通信(8月8日付)は、別の活動家の話として、サラーフッディーン地区での戦闘で少なくとも68人が死亡した、と報じた。

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自由シリア軍国内合同司令部のカースィム・サアドッディーン大佐はAFP(8月9日付)に対して、「自由シリア軍はサラーフッディーン地区から撤退した」と述べた。

しかしこの撤退は、「無差別の激しい砲撃で同地区が完全に破壊されたための技術的撤退」で、「アレッポ市の他の場所で我々は留まっている」という。

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自由シリア軍シャフバーの楯大隊司令官のフサーム・アブー・ムハンマド大尉はAFP(8月9日付)に対して、サラーフッディーン地区から「技術的完全撤退」をしたと述べる一方、軍が「真空爆弾を使用した」と非難した。

同大尉によると、反体制武装勢力は「サラーフッディーン地区にはおらず、政府軍が同地域に入った」。

撤退の理由として、同大尉は「砲撃激化」を理由にあげるとともに、「第10街道、第15街道も政府軍が制圧した」と明かした。

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ヌール・ハック大隊のワースィル・アイユーブ大尉もAFP(8月9日付)に対して、「技術的撤退」を認め、サイフ・ダウラ地区、マシュハド地区に前線を移動させたと述べた。

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地元調整諸委員会やシリア革命総合委員会によると、軍・治安部隊はスッカリー地区、東アンサーリー地区、マシュハド地区、ジスル・ハッジ地区などアレッポ市東部に激しい砲撃を加えた。

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シリア人権監視団によると、サーフール地区、シャッアール地区、マサーキン・ハナーヌー地区、バーブ街道地区、サラーフッディーン地区が軍・治安部隊の激しい砲撃に曝された。

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これに対して、SANA(8月9日付)によると、軍・治安部隊はアレッポ市内のアスィーラ地区、バーブ・ナスル地区で反体制武装勢力の「浄化」を完了した。

またハナーヌー地区、ブスターン・バーシャー地区、ハーン・ワズィール地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、逮捕したほか、マイサル地区、マサーキン・ハナーヌー地区、ハラブ・ジャディーダ地区などで「残党」の追跡・掃討を行った。

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ダマスカスの治安消息筋はAFP(8月9日付)に対して、スッカリー地区でも軍・治安部隊による大規模な掃討作戦が実施される、と述べた。

また軍は「アレッポに動員された増援部隊の10%しか投入していない」と付言した。

ダマスカスの別の治安消息筋によると、軍はアレッポ市に20,000人の兵力を動員している。これに対して、『ハヤート』(8月10日付)によると、反体制武装勢力の兵力は8,000人だという。

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ロイター通信(8月8日付)によると、アレッポ市郊外のタッル・リフアト市では、軍の戦闘機が低空で旋回、空爆し、市民は避難を余儀なくされた。

ファトフ旅団のアブー・ハサンなる戦闘員によると、軍の戦闘機は「これまでタッル・リフアトとその周辺の我々の基地4カ所を砲撃した」。

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シリア人権監視団によると、バーブ市、フライターン市、カフルハラブ村でそれぞれ1人が殺害された。

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一方、SANA(8月9日付)によると、アレッポ市郊外のフライターン市、タッル・リフアト市、ダーラト・イッザ市でも軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

国内の暴力(その他の県)

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザバダーニー市で2人が砲撃により死亡し、アイン・タルマー村では軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

また『アフバール・シャルク』(8月9日付)は、ジャルマーナー市内の住居ビルの入り口で爆発が発生し、イブラーヒーム・ダッラ退役准将が暗殺された、と報じた。

さらに複数の活動家の話として、ムウダミーヤ・シャーム市の入り口の検問所で若者5人が、ダーライヤー市入り口の検問所で若者4人が殺害された、と報じた。

このほか、同報道によると、ダーライヤー市郊外で、両腕を切り落とされた遺体8体が発見された。

シリア人権委員会は、軍・治安部隊によって殺害されたと思われる身元不明の民間人の遺体多数が、ダマスカス県およびダマスカス郊外県で発見されている、と発表した。

一方、SANA(8月9日付)によると、タッル市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトに突入し、複数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ナスィーブ村での砲撃で3人が死亡した。

またヌアイマ村、ウンム・マヤーズィン町、ハイト村、ブスル・ハリール市、タイバ町などが軍・治安部隊の砲撃を受けた。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ハサカ市各地区で治安部隊が逮捕・摘発を行った。

一方、SANA(8月9日付)によると、ハサカ市で軍・治安部隊が反体制武装勢力の戦闘員多数を逮捕、武器弾薬を押収した。

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ヒムス県では、シリア革命総合委員会によると、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区が砲撃に曝された。

一方、SANA(8月9日付)によると、タッルカラフ地方でレバノンからの潜入を試みる反体制武装勢力を国境警備隊が撃退し、多数を殺傷、逮捕した。

またタッルカラフ市では軍・治安部隊が反体制勢力と交戦した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、1人が死亡した。

またカフルナブル市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハマー市各地区で治安部隊が逮捕・摘発を行った。

一方、SANA(8月9日付)によると、カルアト・マディーク町郊外で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(8月9日付)によると、ダイル・ザウル市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

殺害した戦闘員のなかには、多数のアラブ人と外国人が含まれていた、という。

アサド政権の動き

アサド大統領は政令第298号を出し、ワーイル・ナーディル・ハルキー保健大臣を首相に任命した。

SANA, August 9, 2012
SANA, August 9, 2012

ハルキー新首相は1964年生まれ。ダルアー県出身。ダルアー県ジャースィム市基幹医療局長(1997~2000年)、バアス党ダルアー支部書記長(2000~2004年)を歴任後、2011年8月のアーディル・サファル改造内閣で保健大臣に就任した。

ハルキー新首相がスンナ派であることに関して、シリア国内の宗派バランスに配慮した人事といった報道が散見されたが、シリアの首相はスンナ派が就くことが独立以来慣例となっている。

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DPA(8月9日付)によると、ロンドン・オリンピックにシリア代表として参加している競泳のアーザード・バラーズィー氏は「殺される人々、砲撃を受けている家々のことを聞くと心が揺さぶられます。オリンピック村でいるので、考えたくないです。なぜならここでのすべては平和の祭典だからです」と述べた。

一方、シリア選手団のマーヒル・ハイヤータ代表は、アレッポの家族のことを心配する一方で、アサド政権を非難することはできなかったと吐露した。

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『クッルナー・シュラカー』(8月9日付)は、大統領府内の反体制消息筋の話として、ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官が夫のムサンナ・サーリフ氏とともに7日に米国に向かった、と報じた。

同報道によると、前妻が米国人で米国籍を持つムサンナ・サーリフ氏の配偶者としてシャアバーン大統領府政治情報補佐官も米国籍を取得しようとしている、というが、事実確認はとれていない。

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アラビーヤ(8月9日付)は、大統領府儀典長のムイーッディーン・ムスリマーニー氏が離反したと報じた。事実確認はとれていない。

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『サンナーラ』(8月9日付)は、アサド大統領が叔父のリフアト・アサド前副大統領との和解のため、前副大統領をダマスカスに迎えることに同意したと報じた。

前副大統領の代理であるファールーク・ムサーリウ氏が明らかにした。

反体制勢力の動き

シリアの複数の反体制武装活動家によると、反体制武装勢力の司令官らは、アレッポ市サラーフッディーン地区などからの撤退後初めて、捕虜への暴行、拷問、処刑を行わないとの誓約に署名した。

ロイター通信(8月9日付)が報じた。

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AKI(8月9日付)は、ダマスカス革命評議会広報局のヌール・ビータール報道官なる活動家が、ダマスカス郊外県で拉致されたイラン人が巡礼者だというイラン側の「話は根拠が薄い」と非難した。

レバノンの動き

ミシェル・サマーハ元情報大臣が逃走先のレバノン山地県マトン郡ジュワール・ヒンシャーラ村で、ボディーガード2人、運転手1人とともに内務治安総軍に身柄を拘束された。

ボディーガード2人、運転手1人はその後釈放された。

内務治安総軍によると、身柄拘束の理由は「治安上の理由」。

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しかし妻のサマーハ氏はLBC(8月9日付)に対して、逮捕は「政治的理由」によると述べた。

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MTV(8月9日付)は、身柄拘束後にサマーハ元大臣が「シリアの命令でレバノン国内でテロ攻撃を計画したと自供した」と報じた。

また内務治安総軍が言及した「治安上の理由」に関して、ハーリド・ダーヒル国民議会議員(ムスタクバル潮流)暗殺計画と関係があると報じた。

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LBC(8月9日付)は、「シリアからレバノンへの爆発物の密輸を自供し」、またドライバーも関与を認めたと報じた。しかしボディーガードの1人は密輸への関与を否定した。

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ジャディード・チャンネル(8月9日付)は、北部県での攻撃計画に元大臣が関与していることを示すビデオテープに基づき身柄拘束されたと報じた。

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ムスタクバル・チャンネル(8月9日付)は、元大臣がスンナ派対アラウィー派、スンナ派対キリスト教徒の対立を煽るための爆破を計画していたと報じた。

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シュカイブ・クルトバーウィー法務大臣はNBN(8月9日付)に対して、サマーハ元情報大臣の逮捕を「受け入れられない」と述べ、非難した。

諸外国の動き

イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣は『ワシントン・ポスト』(8月9日付)で、アサド政権が崩壊すれば、さらなる混乱が生じるとの見方を示した。

サーレヒー外務大臣は、「シリア社会は人種、宗派、文化のるつぼで、アサド大統領が突然いなくなってしまったら散り散りになってしまう」と警鐘を鳴らした。

またイランが近くシリア問題に関する国際会議を主催し、アジア、アフリカなど12~13カ国が参加するだろう、と述べた。

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イランはシリア問題国際会議をテヘランで開催し、イランを含む29カ国および同国駐在の国連機関代表が出席した。

参加したのは、イラク、パキスタン、ジンバブエの外務大臣、ヨルダン、スーダン、オマーン、チュニジア、ロシア、中国、アフガニスタン、インド、キューバ、ヴェネズエラの代表ら。

開会の辞で、イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣は、「シリアの危機の解決は政府と反体制勢力の真剣かつ包括的な対話を通じてのみ可能」と述べるとともに、「いかなる外国の介入、軍事介入をも拒否し、危機解決のための国連の努力を支持する」と強調した。

さらにアサド大統領の退任がシリアで平和的な転換をもたらすとの西側の主張を「幻想」と一蹴した。

なお、レバノンとクウェートはそれぞれ代表を派遣しないと発表した。

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シリアの反体制武装勢力に武器供与などの支援をするトルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、アサド政権がPKKに武器供与を行っている、と批判した。

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トルコの非常事態局によると、シリアからのトルコへの避難民の数は50,000人を越えた。

AFP(8月9日付)が伝えた。

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ジョン・ブレナン米大統領補佐官は、ワシントンでの講演で、シリアへの飛行禁止空域の設定はあるかとの質問に対して、「何かがテーブルの上にないと大統領がこれまでに言ったという覚えはない」と応えた。ロイター通信(8月9日付)が報じた。

しかし、スーザン・ライス米国連代表大使は、シリアへの飛行禁止空域設定の可能性に関して、「この提案は議論されたが、シリアが世界有数の防空能力を持っているなか…容易な選択肢ではないだろう」と述べた。

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フランスのニコラ・サルコジ前大統領はシリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長と7日に電話会談し、リビア暫定国民評議会を支援し、リビアへの軍事介入を行った前大統領の姿勢が、シリアでも同様に正当性を持つという点で見解が一致した、とAFP(8月9日付)が報じた。

AFP, August 9, 2012、Akhbar al-Sharq, August 9, 2012、Al Jadeed August 9,
2012、AKI, August 9, 2012、DPA, August 9, 2012、Future TV August 9, 2012、al-Hayat, August 10, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 9, 2012、LBC, August 9, 2012、MTV, August 9, 2012、Naharnet.com, August 9, 2012、NBN August 9, 2012、Reuters, August 9, 2012、SANA, August 9, 2012、al-Sannara, August 9, 2012、The Washington Post, August 9, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

軍・治安部隊がサラーフッディーン地区に戦車を突入させ掃討作戦が最終段階に、イランの国家安全保障最高会議書記がイラクを電撃訪問しシリア情勢について協議(2012年8月8日)

国内の暴力(アレッポ県)

各紙によると、アレッポ市では、軍・治安部隊がサラーフッディーン地区に戦車を突入させ、掃討作戦の最終段階に入った。

SANA, August 8, 2012
SANA, August 8, 2012

SANA(8月8日付)はサラーフッディーン地区が軍・治安部隊によって制圧されたと発表したが、反体制武装勢力側はこれを否定した。

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ダマスカスの治安筋は、AFP(8月8日付)に対して、「二正面から(サラーフッディーン)地区に軍が進軍し…、反体制武装勢力兵士が若干残ろうとも、その回復にさして時間はかからないだろう」と述べた。

同消息筋によると、総攻撃は早朝7時に始められ、激しい戦闘のち、軍はマルアブ街道とシャルイーヤ街道を制圧し、「激しい戦闘ののち、(反体制武装勢力が)完全崩壊したことに(軍も)驚いている…。(反体制武装勢力)に甚大な損害があった」という。

またサラーフッディーン地区のほかにも、サイフ・ダウラ地区が軍・治安部隊によって制圧された、という。

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SANA(8月8日付)は、「勇敢なる我らが武装部隊は今日、アレッポ市サラーフッディーン地区を完全制圧した」と報じた。

同通信社によると、同地区の戦闘で多数の戦闘員が死亡し、そのなかにはアラブ人、外国人などが含まれていた。

またサラーフッディーン地区でも、軍・治安部隊はサイフ・ダウラ地区、スッカリー地区、ナスル地区、マイサル地区、マサーキン・ハナーヌー地区、ナイラブ地区など、アレッポ市郊外のマーイル地方、フライターン市などで反体制武装勢力の残党追跡および掃討を行い、戦闘員多数を殺傷、甚大な被害を与えた、という。

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シリア・アラブ・テレビ(8月8日付)は、アレッポ市に対する軍・治安部隊の掃討作戦でバーブ・ハディード地区やバーブ・ナイラブ地区で反体制武装勢力の戦闘員7人が死亡した、と報じた。

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自由シリア軍のヌール・ハック大隊の司令官だというワースィル・アイユーブ大尉はAFP(8月8日付)に対して、反体制武装勢力が午後にサラーフッディーン地区を奪還し、軍・治安部隊はサラーフッディーン広場周辺しか制圧していないと述べた。

この「奪還」は、約700人の兵士からなる反体制武装勢力の援軍がスッカリー地区、ブスターン・カスル地区、シャッアール地区、マサーキン・ハナーヌー地区からサラーフッディーン地区に派遣されることで実現した、という。

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自由シリア軍アレッポ軍事評議会のアブドゥルジャッバールアカイディー大佐もAFP(8月8日付)に対して、「攻撃は激しいが、政府は(サラーフッディーン)地区を制圧していない」と述べた。

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自由シリア軍シャフバーの楯大隊の司令官だというフサーム・アブー・ムハンマド大尉もAFP(8月8日付)に対して、7時間にわたる戦闘の末、サラーフッディーン地区を奪還した、と述べた。

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英国を拠点とする反体制組織のシリア人権監視団によると、サラーフッディーン地区での戦闘はこれまで「もっとも激しい」もので、それ以外にもマサーキン・ハナーヌー地区、バーブ街道地区、シャッアール地区、マイサルーン地区、サーフール地区などで激しい交戦があった。

同監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表はAFP(8月8日付)に対して、軍・治安部隊が「サラーフッディーン地区を複数の方向から攻撃した」が、反体制勢力が「展開していなかった第15街道を制圧できただけだった」と語った。

また軍・治安部隊はサラーフッディーン地区を奪還しようとした反体制武装集団の激しい抵抗で甚大な被害を被ったという。

国内の暴力(その他の県)

ヒムス県では、SANA(8月8日付)によると、タッルカラフ地方で、レバノン領内から潜入を試みる反体制武装勢力を国境警備隊が撃退した。

またヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区、クサイル市郊外などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺害した、という。

一方、『クッルナー・シュラカー』(8月8日付)は、虐殺があったとSANA(8月7日付)が報じたヒムス市郊外のジャンダル・リゾートの所有者が、アサド政権に近いヒヤーン・アタースィー氏だと暴露した。

シリア政府の動き

SANA(8月8日付)は、ダマスカス県のラジオ・テレビ機構ビル前で、記者連盟の呼びかけで、メディアに対するテロに反対する集会が行われ、ジャーナリストやメディア機関労働者が参加したと報じた。

SANA, August 8, 2012
SANA, August 8, 2012

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ラタキア県では、SANA(8月8日付)によると、サルマー町で軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトに突入し、戦闘員多数を殺害、逮捕、武器弾薬を押収した。

ヒジャーブ前首相の離反をめぐる動き

ヨルダンのサミーフ・マアーイタ情報問題担当国務大臣はAFP(8月8日付)に対して、「リヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相およびその家族が水曜日(8時)午前1時にヨルダン領内に入った」と述べ、前首相らの入国を初めて公式に認めた。

なお、ユーチューブ(8月7日付)やアラビーヤ(8月8日付)では、ヒジャーブ前首相らがヨルダンに密入国する映像が公開された。

http://www.youtube.com/watch?v=wEL3sjTje0Y
http://www.youtube.com/watch?v=h8k0_V3fjh0&feature=plcp

 

クルド民族主義勢力の動き

PKK系のクルド民族主義政党、民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首はロイター通信(8月9日付)に対して、「シリアのクルド人の問題はトルコとは無関係」の述べ、シリア国内における最近のクルド人の台頭をトルコが恐れる必要はない、と強調した。

ムスリム共同党首(カーミシュリー市)は、「我々の地域、都市を護ることは我々の権利だ。誰もこの権利を否定できない」と付言した。

反体制勢力の動き

シリア・トルクメン国民ブロックなる組織のユースフ・ムッラー議長は、アサド政権がトルクメン人に対して「革命」への参加を放棄すれば、トルクメン人に自治を与えるとの取引を持ちかけてきた、と語った。『クッルナー・シュラカー』(8月8日付)が伝えた。

Kull-na Shuraka', August 8, 2012
Kull-na Shuraka’, August 8, 2012

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『ザマーン・ワスル』(8月8日付)は、イランのアーラム・チャンネルがアレッポ市サラーフッディーン地区での戦闘として報じた映像が、イドリブ県カフルナブル市の戦闘の映像だと暴露した。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長は、サウジアラビアのメッカで開催予定のイスラーム諸国会議機構首脳会議に自身を招待するべき、と『ハヤート』(8月9日付)に語った。

レバノンの動き

北部県アッカール郡にあるアクルーム村(スンナ派)とハウラーニー村(シーア派)の住民が衝突し、前者の村民1人が死亡、複数が負傷した。

衝突は、両村に隣接するシリアのヒムス県クサイル地方からシリア人数名がハウラーニー村に密入国しようとしたことに端を発していた、という。

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アレッポ県で拉致されたレバノン人巡礼者の親戚2人が同県アアザーズ地方で人質と面会し、LBC(8月8日付)がその様子を報じた。

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レバノン軍団のサミール・ジャアジャア代表はアラビーヤ(8月8日付)に対して、アサド政権は「生き残らないだろう。政権は確実に最後の時を迎えている」と述べるとともに、「ヒズブッラーは、シリアの体制が崩壊すれば、対話に対してより開放的になるだろう」との見解を示した。

諸外国の動き

イランのサイード・ジャリーリー国家安全保障最高会議書記はシリア、レバノン訪問後、イラクを電撃訪問し、ホシュヤール・ゼバリ外務大臣と会談した。

会談後にイラク外務省が発表した声明によると、両者は二国間関係、地域情勢、とりわけシリア情勢について協議し、シリア情勢については「暴力の激化と解決に向けた政治的展望の不在ゆえ、地域諸国全体にとって懸念すべき段階に達し…、周辺諸国に波及しようとしている」と認識を共有した。

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イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣は、ダマスカス郊外県で拉致された「イラン人巡礼者のなかに、革命防衛隊、軍などの退職者が多数含まれていた」と述べた。

イラン学生通信(8月8日付)が伝えた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣と会談し、ダマスカス郊外県でのイラン人巡礼者拉致の責任がトルコにあるとしたファイルーズ・アバーディー・イラン参謀長の発言を非難、イラン側に「率直かつ友好的な姿勢」を求めるとともに、「こうした高官が発言前に何度も熟考することを期待する」と述べた。

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ヨルダンのアブドゥッラー国王はCBC(8月8日付)に対して、シリア国内の混乱激化の結果、アサド大統領が「シリア全土を支配できなくなれば、「アラウィー派ポケット」の建設を次に計画するだろう」と推察し、「国の分裂をもたらし、数十年にわたるエスニック紛争の原因となるだろう」と懸念を表明した。

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キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は、クロアチア、マケドニア、アイスランド、セルビア、アルバニア、リヒテンシュタイン、ノルウェー、モルドバ、グルジアがEUの制裁に同調し、武器やその他禁止されている機器のシリア国内への持ち込みが疑わわれる航空機や船舶の臨検調査を決定したことに歓迎の意を示した。

AFP, August 8, 2012、Akhbar al-Sharq, August 8, 2012、Alarabia.net, August 8, 2012、al-Hayat, August 9, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 8, 2012、LBC, August 8, 2012、Naharnet.com,
August 8, 2012、Reuters, August 8, 2012、SANA, August 8, 2012、UPI, August
8, 2012、Zaman al-Wasl, August 8, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アサド大統領がイランのジャリーリー国家安全保障最高会議書記らと会談し両国の戦略的関係を協議、一方イラン当局は同国人巡礼者48人の誘拐の責任を米国に帰する(2012年8月7日)

アサド政権の動き

アサド大統領は、イランのサイード・ジャリーリー国家安全保障最高会議書記を団長とする使節団と会談した。

SANA, August 7, 2012
SANA, August 7, 2012
SANA, August 7, 2012
SANA, August 7, 2012
SANA, August 7, 2012
SANA, August 7, 2012

会談では、シリアとイランの戦略的関係、一部域内諸国などのシリアへの介入への対応などが協議された。

ジャリーリー書記は、シリア情勢に関して、単なる国内問題ではなく、レジスタンス陣営とその敵との紛争だとの見方を示し、同陣営のいかなる崩壊も許されるべきでないと強調した。

一方、アサド大統領は、シリア国民および政府が国内からのテロリストの浄化とテロとの戦いを徹底するとの意思を示す一方、シリアが国民対話の途上にあり、外国の計略を挫折させる能力があると強調した。

イランの使節団は会談後、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣と会談した。

SANA(8月7日付)が報じた。

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SANA(8月7日付)が配信した写真に関して、『クッルナー・シュラカー』(8月7日付)は、シリアの国家安全保障担当者が出席していないのはおかしい、と報じた。

しかし、シリアの国家安全保障担当者が公の場に姿を現すことはほぼ皆無である。

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ウマル・イブラーヒーム・ガラーワンジー暫定内閣が同首相を議長として定例閣議を開催し、国内の学校、公共施設などに非難している市民への支援対策などを審議した。

ヒジャーブ前首相の動き

『ハヤート』(8月8日付)は複数のヨルダン消息筋の話として、リヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相がヨルダンへの政治亡命を申請した、と報じた。

しかし同消息筋によると、ヨルダンは前首相クラスのシリア元高官の残留を望んでいない、という。

国内の暴力

アレッポ県では、SANA(8月7日付)によると、アレッポ市アスィーラ地区で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員約155人を殺傷した。

またサラーフッディーン地区、マサーキン・ハナーヌー地区でも軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、逮捕した。

このほか、アレッポ市郊外のアフタリーン市一帯でも戦闘があり、反体制武装勢力8人が死亡、複数が負傷した、という。

一方、アレッポ市に配置されていたUNSMIS隊員が同市から撤退した。国連が発表した。

アッシリア人権ネットワークなる組織は、アレッポ市スィルヤーン地区が早朝から砲撃に曝されている、と発表した。

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ダマスカス郊外県では、映画監督バッサーム・ムフイーッディーン氏がジュダイダト・アルトゥーズ町で「何者かに暗殺」された。映画公社が発表した。

『クッルナー・シュラカー』(8月7日付)によると、ジュダイダト・アルトゥーズ町で陸運組合のザカリヤー・ヤーギー総裁の息子が暗殺された。

同報道は、シャッビーハと治安当局の犯行と断じている。

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ダマスカス県では、『クッルナー・シュラカー』(8月7日付)は、ルクンッディーン区で第4師団が反体制活動家の青年の家を焼き討ちにした、と報じた。

一方、SANA(8月7日付)によると、旧市街で治安当局が反体制武装勢力のアジトに突入、戦闘員3人を逮捕、大量の武器弾薬を押収した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、自由シリア軍がドゥワイル地方にある油田を襲撃し、同油田を警備する軍・治安部隊兵士少なくとも6人を殺害し、多数を拉致した。

地元調整諸委員会によると、捕捉した兵士の数は大尉1人を含め9人にのぼる、という。

なお、この戦闘では反体制勢力を支援するの戦闘員4人も死亡した。

一方、SANA(8月7日付)によると、マヤーディーン市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員全員を殺害した。

またダイル・ザウル市では、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」の追跡を継続し、戦闘員多数を殺傷、逮捕した。

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ヒムス県では、SANA(8月7日付)が、反体制武装勢力が占拠していたヒムス市郊外のジャンダル・リゾートで虐殺された市民の遺体多数が発見されたと報じた。

また同通信社によると、ヒムス市各地区、ザアフラーナ地方、サルターニーヤ地方などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」の追跡を継続、多数の戦闘員を殺傷、逮捕、大量の武器弾薬を押収した。

さらにタッル・カラフ地方では、レバノン領内から潜入しようとした反体制武装勢力を国境警備隊が撃退し、甚大な被害を与えた、という。

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ハサカ県では、SANA(8月7日付)によると、シダーディー市東方の油田近くで、軍・治安部隊が反体制武装勢力を要撃し、乗っていた2台の車を破壊したが、1台は逃走した。

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ハマー県では、SANA(8月7日付)によると、サラミーヤ市で反体制武装勢力が仕掛けようとしていた爆弾が爆発し、戦闘員1人が死亡した。

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イドリブ県では、SANA(8月7日付)によると、サラーキブ・アレッポ街道、ジスル・シュグール市郊外、対トルコ国境地帯(ヒルバト・ジューズ)で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷した。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のアフマド・ラマダーン氏はロイター通信(8月7日付)に対して、現在15人のシリア政府高官・外交官が離反を望んでおり、彼らの脱出経路、身の安全を保証する準備を行っている、と語った。

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アレッポ市サラーフッディーン地区で反体制武装闘争を行っているというアブー・フラート・ジャバラーブルスィー大佐なる活動家は、ロイター通信(8月7日付)に対して、妻子を外国に出国させようとすることは、当局にとって、離反を計画していることを意味する、と語った。

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フサーム・ハーフィズ氏(元駐アルメニア・シリア領事)は、離反した外交官らとともに「民主的市民国家のための外交官グループ」を発足した、と発表した。

同グループは6~7人の元外交官からなる、という。

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『クッルナー・シュラカー』(8月7日付)は、シリア・アラブ航空の複数のパイロットの話として、7月30日のフィラース・サーフィー氏暗殺が軍・治安部隊の犯行だったと報じた。

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医師組合アレッポ支部のムハンマド・ワジーフ・ジュムア支部長が離反を宣言する映像をフェイスブック(8月7日付)に公開した。

イラン人巡礼者拉致事件をめぐる動き

ホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン外務副大臣はイラン国営通信(8月7日付)に対して、「米国がシリアのテロ集団に行ってきた武器供与といったあからさまな支援を踏まえると、ダマスカス(郊外)でのイラン人巡礼者48人の誘拐の生命は米国がその責任を負っている」と述べた。

また「我々は(シリアの反体制勢力を支援する)国がシリアで起きたことのある種の責任をとってイラン人巡礼者の安全とイランへの帰国を保証するための措置を講じることを期待していた」と付言し、トルコとカタールに人質釈放のために介入するよう求めてきたことを示唆した。

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イランのアリー・ラリージャーニー国会議長は、イラン学生通信(8月7日付)に対して、「米国および一部の国がイラン人巡礼者殺害の責任を負っている…。適切な時期に適切な報復を行う」と述べた。

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イラン外務省はアーラム・チャンネル(8月7日付)に対して、シリア軍・治安部隊の砲撃によって拉致されたイラン人巡礼者のうち3人が死亡した、とのバッラー大隊の発表を拒否し、「シリアの武装テロ集団の主な支援者である米国が巡礼者の生命に関して責任を負っている」と主張した。

レバノンの動き

LBC(8月7日付)は、アレッポ県で拉致されたレバノン人巡礼者(シーア派)の一人アッバース・シュアイブ氏とのインタビューを行った。

インタビューでシュアイブ氏は、レバノン政府が人質釈放のために充分な対応をしていないと批判、「サウジ、カタール、エルドアンにシリアの革命を支持するようアピールしている…。そうすることで我々は家族のもとに帰れる」と述べた。

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ベイルート国際空港への街道で抗議の座り込みを行っていた拉致レバノン人巡礼者の家族は道路封鎖を解除した。

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NNA(8月7日付)によると、シリア軍の迫撃砲が北部県アッカール軍ワーディー・ハーリド地方に着弾、複数の家屋が被害を受けた。

諸外国の動き

WHOは、シリア国内での暴力により、医薬品の不足が深刻化していると警鐘を鳴らした。

同機構報道官によると、アレッポ、ヒムス、ダマスカスの郊外に集中する医薬品製造工場は、暴力の激化や燃料費高騰(西側の制裁)によりそのほとんどが閉鎖、操業停止を余儀なくされている、という。

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『ハヤート』(8月8日付)は信頼できる複数の消息筋の話として、サウジアラビアが来週メッカで開催を予定しているイスラーム諸国会議機構(OIC)の首脳会議にシリア首脳を招待しなかったと報じた。

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ヨルダン通信(8月7日付)は、シリア人避難民への救援物資を積んだサウジアラビアの輸送団の第1陣(貨物車輌43輌)がヨルダンに到着した、と報じた。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は訪問先の南アフリカで「(シリアの)体制崩壊後に起こることに関して、私たちはこれまで以上に話し、準備し始め得る…。こうしたこと(体制崩壊)が起きるだろうということが私には分かる」と述べた。

AFP, August 7, 2012、Akhbar al-Sharq, August 7, 2012、Facebook, August 7, 2012、al-Hayat, August 8, 2012, August 9, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 7, 2012、LBC,
August 7, 2012、Naharnet.com, August 7, 2012、NNA, August 7, 2012、Reuters,
August 7, 2012、SANA, August 7, 2012などをもとに作成。

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ヒジャーブ首相が離反しヨルダンに逃走、ガラーワンジー副首相が暫定首相に任命される(2012年8月6日)

ヒジャーブ首相離反、逃走

ムハンマド・アトリー首相付報道官はジャズィーラ(8月6日付)に対して、リヤード・ファリード・ヒジャーブ首相が首相職を辞して離反し、親戚・家族ととも逃走したと発表した。

Akhbar al-Sharq, August 6, 2012
Akhbar al-Sharq, August 6, 2012

同報道官によると、ヒジャーブ前首相とその親戚・家族10世帯は「安全な場所」にかくまわれており、各紙によるとヨルダンに避難した、という。

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同報道官が読み上げた声明によると、ヒジャーブ前首相は「今日、殺人テロ体制と革命への参加を宣言する…。この祝福された革命の一兵卒となる」ことを表明した。

また「多くの高官が体制から離反したいと考えている」と言う。

アトリー報道官によると、ヒジャーブ前首相の離反は、自由シリア軍と「数ヶ月」にわたって調整のうえ行われ、「国内の革命家たちが彼にこの脱出を保証した」という。

またヒジャーブ前首相とともに脱出した親戚・家族世帯のうち、8世帯が前首相の兄弟の家族でいずれも国家の要職についていた、という。

さらにアトリー報道官は、ヒジャーブ前首相が(シリア政府が主張するように)解任されたのではなく、「彼の解任は、彼が姿を消してから1日半後、政府が彼を逮捕・殺害の希望を失った後に発表された」と強調した。

そのうえで「ヒジャーブ氏から得た情報として確かなのは、シリアの体制が腐敗し、崩壊しつつあるにも関わらず、殺戮を続けていることだ…。ヒジャーブ氏は近く貴方たちの前に姿を現し、国民への想いを述べるだろう」と付言した。

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アトリー報道官は『ハヤート』(8月7日付)に対して、「ヨルダン・トルコ国境を越えて6日早朝にヨルダンに入った」と述べた。

また「数日中、数時間中にカタールの首都ドーハに向かうだろう」と述べた。

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ダルアー市の自由シリア軍メンバーのアリー・リファーイーなる活動家は『ハヤート』(8月7日付)に対して、「アサド政権の軍は昨日(5日夜)、ヒジャーブ首相がヨルダンに入るためにダルアーに入ったことを知り、ダルアーの村々の捜索を行った…。第7師団と第8師団がヒジャーブ首相が潜伏していたダルアー県西部を包囲し、迫撃砲や重火器で攻撃した。しかし自由シリア軍の部隊は攻撃に抵抗し、ヒジャーブ首相らの脱出を成功させた」と述べた。

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シリア国民評議会のハーリド・ザインアービディーンは、AFP(8月6日付)に「ヒジャーブ首相と家族のほかに、閣僚2人、軍の士官3人が、自由シリア軍の調整のもと、国境を越えて日曜日(5日)に入った」と嘘の情報を流した。

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シリアの匿名反体制活動家はAFP(8月6日付)に対して、ヒジャーブ前首相とその家族がヨルダンに脱走したことを認めた。

SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012

この活動家によると、自由シリア軍と反体制勢力の調整のもと、近く軍士官や高官が大量に離反し、ヨルダンに脱出する、という。

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ヨルダン国内でシリア人の避難民支援活動を行う聖典スンナ協会のザーイド・ハマード代表は、「ヒジャーブ前首相が目撃され、彼の家族らが昨晩国境を越えたことを確認した」と述べた。

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『ハヤート』(8月7日付)は、複数の活動家の話として、ダイル・ザウル市に対する軍・治安部隊の反体制武装勢力掃討作戦がヒジャーブ首相(ダイル・ザウル県出身)に離反を促した、と報じた。

また6月23日に離反したナウワーフ・ファーリス駐イラク・シリア大使とも関係が強いという。

シリア政府の動き

アサド大統領は政令第294号を発し、リヤード・ファリード・ヒジャーブ首相を解任した。

また政令第295号を発し、ウマル・イブラーヒーム・ガラーワンジー福祉問題担当副首相兼地方自治大臣を暫定首相兼務とした。

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SANA(8月6日付)は、ウマル・イブラーヒーム・ガラーワンジー新暫定首相のもと、「全員出席のもと」特別閣議が開催された、と報じた。

同通信社によると、ガラーワンジー暫定首相は閣議で「祖国の指導者」アサド大統領に対して、国民の福祉向上や現下の危機克服のためあらゆる努力を行うと宣誓した、という。

なおSANAが配信した閣議の写真は、議長席に誰が座っているのか判然としない。

SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012

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ヒジャーブ首相とともに離反、脱走したとジャズィーラなどが伝えた2人の閣僚、ムハンマド・ジュライラーティー財務大臣とムハンマド・ムハンマド・アブドゥッサッタール・サイイド宗教関係大臣は報道内容を否定した、とSANA(8月6日付)が伝えた。

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ウムラーン・ズウビー情報大臣は、ダマスカスのラジオ・テレビ機構に対する爆弾テロに関して、シリア・アラブ・テレビ(8月6日付)に、「同公社の信憑性と透明性」が標的となった理由だと指摘したうえで、「我々はこのようなテロ犯罪の背後に誰がいるか、誰が資金援助をしているのか…、誰が真実が明らかになることを妨害しているのか…を知っている」と述べた。

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『クッルナー・シュラカー』(8月6日付)は7月18日に暗殺されたダーウド・ラージハ国防大臣の妻サミーラ・バルキール氏がヒジャーブ首相の離反に関して「(離反声明を読み上げた)アトリー氏は埋葬された(ラージハ)一等中将を体制に従属している犯罪者の一人のように描いているが、それは誤りです。一方で、アトリー氏はほとんどの閣僚が離反を望んでいるが、殺されると脅迫され、監視されていると言っています…。これこそが暗殺されるまでの約1年間、家にもほとんど帰らず姿を消し、家族にもほとんど連絡をとらなかった夫であるラージハ大臣の実態です。あたかも行動を制限され、拉致されているようでした」と述べた。

国内の暴力

ダマスカス県では、市内中心に位置するラジオ・テレビ機構ビルに仕掛けられた爆弾が爆発し、若干名が軽傷を負い、施設が破損した。

SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012z
SANA, August 6, 2012z
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012

SANA(8月6日付)によると、爆弾は4階(アラビア語では3階)のコントロール室脇の廊下に仕掛けられ、各部屋には、イフバーリーヤやヌール・シャームといったテレビ局の設備が置かれていた、という。

またマッザ区旧市街で治安部隊が大規模な逮捕・摘発を行った、と報じた。

一方、SANA(8月6日付)によると、ルクンッディーン区で軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトに踏み込み、多数の戦闘員を殺害、逮捕した。

これに対して、『クッルナー・シュラカー』(8月6日付)は、ルクンッディーン区で激しい銃撃戦が発生し、少なくとも9人が死亡した、と報じた。

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アレッポ県では、SANA(8月6日付)によると、アレッポ市のマールティーニー地区、理学部地区近郊、バーブ・ハディード地区、マサーキン・ハナーヌー地区、ダウワール・アグユール地区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷した。

またアレッポ市郊外のカブターン・ジャバル地方でも、軍・治安部隊は反体制武装勢力と交戦した。

『ハヤート』(8月7日付)によると、アレッポ市は、反体制武装勢力が占拠する地域への軍・治安部隊の砲撃継続により、反体制勢力の装備などの備蓄状況が悪化している、と報じた。

ロイター通信(8月6日付)によると、アレッポ市サラーフッディーン地区で軍・治安部隊による激しい砲撃が続いた。

また、ある戦闘員によると、軍・治安部隊の狙撃兵の進入により、一部の街区などからの撤退を余儀なくされている、という。

SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012z
SANA, August 6, 2012z
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012

ムハンマド・サーリフィーを名のる元公務員によると、「軍は我々の前線を突破した…。それゆえ我々は(アレッポ市内の一部の街区からの)戦略的撤退を余儀なくされた」。

シリア人権監視団によると、アレッポ市サラーフッディーン地区への軍・治安部隊の砲撃で、反体制武装勢力の司令官を含む9人が死亡した。

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ダマスカス郊外県では、『クッルナー・シュラカー』(8月6日付)によると、ジュダイダト・アルトゥーズ町で70回以上も爆発音が聞こえた。

同報道によると、爆発音が聞こえた一体には武器庫が多くある、という。

一方、シリア人権監視団によると、ヒッラーン・アワーミード村での軍・治安部隊の砲撃で反体制活動家3人が死亡した。

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ダルアー県では、SANA(8月6日付)によると、ブスラー・シャーム市、ブスル・ハリール市、スマード村で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス市では、SANA(8月6日付)によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区から逃走を試みた反体制武装勢力と軍・治安部隊が交戦し、戦闘員7人が死亡した。

またタッルカラフ市、クサイル市でも軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

一方、シリア人権監視団によると、ヒルブナフサ村で11人が殺害された。

またハマー市のサーブ-ニーヤ地区で1人が射殺された、という。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市での砲撃で3人が、また軍・治安部隊と反体制武装勢力の戦闘で離反した大尉が死亡した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ニウマーン市での砲撃で1人が死亡した。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長はAFP(8月6日付)に対して、「我々は(ヒジャーブ)首相の離反を歓迎する。また軍人であれ民間人であれすべての離反を歓迎する…。離反は体制が内部から浸食されていることを示すものだ」と述べた。

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シリア国民評議会の執行委員会は声明を出し、ヒジャーブ首相の離反を「犯罪者体制があらゆる限度を越えて行ったことに…いかなるシリア人も沈黙できないことを示している」と評した。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、ヒジャーブ首相の離反を歓迎し、「崇高な愛国心を表明した勇敢な姿勢」と称賛した。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、同胞団が武装部隊を結成したとの『テレグラフ』(8月4日付)の報道を事実無根だと否定した。

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シリア国民評議会は声明を出し、ハマー県ヒルブナフサ村で「宗派主義的(強制)移住政策」の一環として「虐殺」が行われ、約40人が殺害されたと発表した。

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シリア国民評議会のバスマ・カドマーニー報道官はEuro 1(8月6日付)に対して、反体制武装勢力がカタール、サウジ、リビアから「伝統的軽火器」を入手していることを認めた。

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自由シリア軍のタウヒード旅団アムル・ブン・アース大隊は、アレッポ市ザバディーヤ地区にある「ファウワーズ・ダッフー人民議会議員」の自宅で大量の麻薬を発見したとする映像をフェイスブック(8月6日付)を通じて配信した。

ダッフー氏は「シャッビーハのボスの一人」だというが、現人民議会にはファウワーズ・ダッフーなる議員はいない。

https://www.youtube.com/watch?v=i3NpjJqPz9U

イラン人巡礼者拉致事件をめぐる動き

バッラー大隊は、フェイスブックでイラン人巡礼者48人を拉致したと発表、またこのうち3人が軍・治安部隊の砲撃で死亡したことを明らかにした。

また同大隊は、拉致したイラン人が巡礼者ではなく、イラン・イスラーム革命防衛隊のメンバーだと主張した。

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イランのホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン外務副大臣は、アーラム・チャンネル(8月6日付)に対して、ダマスカス郊外県で誘拐されたイラン人48人が軍人ではなく一般の巡礼者だと述べた。

レバノンの動き

アレッポ県で拉致されたレバノン人巡礼者(シーア派)11人の家族が、ベイルート国際空港への街道を封鎖し、当局による人質解放への対応に抗議した。

NNA(8月6日付)のよると、抗議の座り込みは当局高官が何らかの対応をするまで続けられる、という。

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ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長はテレビ演説を行い、シリア情勢に関して、「米国、西欧、イスラエルがシリアの反体制勢力が(アサド政権との)対話を許さない」と非難したうえで、「シリアにおける問題解決は戦闘を終わらせ、前提条件なしの対話に訴えることだ」と述べた。

諸外国の動き

ヒジャーブ首相の離反に関して、ジェイ・カーニー米ホワイト・ハウス報道官は「アサドの権力掌握が緩んでいることを示している」と述べた。

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ヒジャーブ首相の離反に関して、フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、「ほとんどの支持者を失うほどまでに、武力弾圧を選択した体制が弱体化している」と評価した。

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ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣は、対シリア国境に位置する国営のザアタリー・シリア避難民キャンプを視察した。

視察には、米国、英国、フランスなど10カ国の大使が同行した。

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イランのホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン外務副大臣は、イラン国営通信(8月7日付に対して、シリアでの紛争に対して「現実的な姿勢」をとる国々のみを一同に介した国際会議を開き、「現下の危機を脱却し、安定を回復する方法」を案出すると述べた。

AFP, August 6, 2012、Akhbar al-Sharq, August 6, 2012、Facebook, August 6, 2012、al-Hayat, August 7, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 6, 2012、Naharnet.com, August 6, 2012、NNA, August 6, 2012、Reuters, August 6, 2012、SANA, August 6, 2012、Youtube, August 6, 2012などをもとに作成。

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軍がアレッポ市サラーフッディーン地区に戦闘機やヘリコプターを用いた砲撃を加える、ゴラン高原の停戦ラインに近づいたシリア人1人にイスラエル軍が発砲(2012年8月5日)

国内の暴力(アレッポ県)

AFP(8月5日付)は、ムハンマド・ハサンなる活動家の話として、アレッポ市サラーフッディーン地区が早朝、戦闘機やヘリコプターの砲撃を受けた、と報じた。

Kull-na Shuraka', August 5, 2012
Kull-na Shuraka’, August 5, 2012

同活動家によると、「同地区には住民はほとんどいない」が、建物が破壊され「アレッポ版バーバー・アムルー」にといった様相だという。

またこのほか、裁判所地区も軍・治安部隊の激しい砲撃を受けたという。

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シリア人権監視団によると、アレッポ市サイイド・アリー地区で軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦した。

また空軍情報部の施設があるジャムイーヤ・ザフラー地区で軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦し、戦闘員2人が死亡したという。

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一方、SANA(8月5日付)によると、アレッポ市のバーブ・ハディード地区、サイフ・ダウラ地区、サラーフッディーン地区、ハミーディーヤ地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺害した。

また軍・治安部隊はアレッポ大学理学部地区に集結していた反体制武装勢力と交戦し、アフガニスタン人を含む戦闘員複数を殺害した。

またカワーキビー公園地区、マサーキン・ハナーヌー地区では、軍・治安部隊は湾岸アラブ諸国出身者やトルコ人からなる民兵と交戦し、彼らを殺害、逮捕した。

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『ワタン』(8月5日付)は、アレッポ市「東部の一部の大衆地区の部族出身者など、多数の市民が武装勢力と対決するため人民レジスタンス運動に参加し…、軍の戦闘は好転するだろう」と報じた。

また「シリア軍は現地で戦闘の性質や戦況を精査し、武装勢力が集中する地域への包囲を強化する…にはさらなる増援部隊が必要だと判断していることは明白」と続けた。

国内の暴力(イラン人巡礼者誘拐)

ダマスカス郊外県でのイラン人巡礼者48人の誘拐(8月4日)に関して、自由シリア軍バッラー大隊の司令官だというアブドゥンナースィル・シャミール大尉は、アラビーヤ(8月5日付)にイラン人巡礼者を誘拐したことを認めた。

また「自由シリア軍は、イラン人に関する情報を得た。そして約2ヶ月にわたって、彼らを追跡した…。彼ら(人質)への聴取により、イラン・イスラーム革命防衛隊の現役の士官複数がいることが分かった」と付言した。

イラン人巡礼者を乗せたバスは、巡礼地近くではなく、軍・治安部隊と反体制武装勢力の戦闘が行われている地域の途上にいた、と述べた。

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一方、シリアの反体制勢力のある幹部はAFP(8月5日付)に対して、イラン人巡礼者を誘拐したのが「ジュンドッラー」だとしたうえで、人質がイラン・イスラーム革命防衛隊のメンバーではない、と述べた。

同幹部によると、バラー大隊は実行犯ではなく、イラン人シーア派に対するスンナ派過激派の行為を隠するために行動しているに過ぎない、と語った。

また「人質が革命防衛隊であったら、護衛なしに反体制武装勢力が制圧している地域を移動するはずない」と付言した。

「ジュンドッラー」なる組織は、クナイトラ県出身者などシリア人からなる過激派だという。

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「アフバール・シャルク」(8月5日付)は、イラン国営放送の報道として、アリー・アクバル・サーレヒー外務大臣がシリアで誘拐されたイラン人巡礼者48人の釈放のための仲介を行うようトルコとカタールの外務大臣に要請したと報じた。

国内の暴力(その他)

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カーブーン区で大規模な治安部隊による逮捕・摘発活動が行われたほか、ルクンッディーン区などで厳戒態勢が強化された。

またタダームン区で遺体3体が発見された。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザマルカー町への砲撃により1人が死亡した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区での砲撃により1人が死亡した。

またアービル村の軍検問所で1人が射殺された。

一方、SANA(8月5日付)によると、ヒムス市のジャウラト・シヤーフ地区で反体制武装勢力の武器庫が爆発した。

またクサイル市および郊外、ハウラ地方では軍・治安部隊が反体制武装勢力が交戦し、戦闘員多数を殺傷した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ハントゥートィーン村、カフルサジュナ村、ラカーヤー村、マダーヤー町、マアッルディブサ村が砲撃を受け、カフルサジュナ村で1人が死亡した。

またアリーハー市も砲撃を受け、2人が死亡した。

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ハマー県では、SANA(8月5日付)によると、ハマー市のサワーイク地区で反体制武装勢力の戦闘員多数を軍・治安部隊が逮捕した。

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ダルアー県では、SANA(8月5日付)によると、ダルアー市郊外のヤードゥーダ地方で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷、逮捕した。

シリア政府の動き

アラビーヤ(8月5日付)は、7月18日に暗殺されたアースィフ・シャウカト副参謀長の写真(独占入手)を公開した。

Zamān al-Waṣl, August 5, 2012
Zaman al-Wasl, August 5, 2012
Zamān al-Waṣl, August 5, 2012
Zaman al-Wasl, August 5, 2012
Zamān al-Waṣl, August 5, 2012
Zaman al-Wasl, August 5, 2012

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『クッルナー・シュラカー』(8月5日付)は、政治治安部ダマスカス支部情報課のヤアラブ・シャルア課長(大佐)が離反し、身内の士官複数とともにヨルダンに逃走した、と報じた。

同行した士官は、ヤースィル・ハーッジ・アリー大佐、タウフィーク・ハーッジ・アリー中佐、キナーン・シャルア中尉。

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『クッルナー・シュラカー』(8月5日付)は、アレッポ警察の警備課のイブラーヒーム・ハリーリー大佐と、工業地区課のヤザン・ハリーリー課長がそろって離反し、トルコ領内に逃走した、と報じた。

Zamān al-Waṣl, August 5, 2012
Zaman al-Wasl, August 5, 2012

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シリア初の宇宙飛行士のムハンマド・ファーリス少将が離反を宣言した。

ザマーン・ワスル(8月5日付)が報じた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会は、シリア軍・治安部隊がアレッポ市内の歴史的建造物などに砲撃を加えていると非難した。

Zamān al-Waṣl, August 5, 2012
Zaman al-Wasl, August 5, 2012

しかしSANA(8月5日付)は、歴史的建造物や遺跡への砲撃に関する情報が「根拠がない」とただちに否定した。

レバノンの動き

『クッルナー・シュラカー』(8月5日付)は、シリア国内の反体制武装勢力掃討に動員されていたヒズブッラーの戦闘員56人が過去3日間で殺害され、密かにレバノン本国に搬送された、と報じた。真偽は定かでない。

Kull-na Shuraka', August 5, 2012
Kull-na Shuraka’, August 5, 2012

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ナハールネット(8月5日付)は、PFLP在レバノン支部のマルワーン・アブドゥルアール氏の話として、ダマスカス県ヤルムーク区での戦闘激化に伴い、過去3日間でパレスチナ人約600世帯がシリアからレバノンに避難した、と報じた。

イスラエルの動き

『ハヤート』(8月5日付、インターネット版)は、ゴラン高原の停戦ラインにシリア人1人が近づき、イスラエル軍が発砲し、負傷を追わせたと報じた。

イスラエル側の証言によると、このシリア人はシリア国内の戦闘を逃れて停戦ラインに近づき、イスラエル軍の発砲を受けた、という。

al-Hayat, August 6, 2012
al-Hayat, August 6, 2012

諸外国の動き

オーストラリアのシドニーでアサド政権を支持するデモが行われ、数百人が参加した。

AFP, August 5 2012、Akhbar al-Sharq, August 5 2012、Alarabia.net, August 5, 2012、al-Hayat, August 5, 2012、August 6, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 5, 2012、Naharnet.com, August 5, 2012、Reuters, August 5, 2012、SANA, August 5, 2012、al-Watan, August 5, 2012、Zaman al-Wasl, August 5, 2012などをもとに作成。

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アレッポ市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と激しい交戦を繰り広げるなか、ダマスカス郊外県でイラン人巡礼者48人が乗ったバスがハイジャックされる(2012年8月4日のシリア情勢

国内の暴力(アレッポ県)

シリアの治安当局高官はAFP(8月4日付)に対して、「アレッポの戦闘はまだ始まっておらず、現下の砲撃は単なる準備に過ぎない…。「メインディッシュはもうすぐ出てくる」と述べた。

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自由シリア軍アレッポ軍事評議会のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐はアレッポ市の「サラーフッディーン地区への砲撃は戦闘開始以来もっとも激しいが、バッシャールの軍は前進できずにいる」と述べた。

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一方、SANA(8月4日付)によると、アレッポ市のハムダーニーヤ地区、スッカリー地区、サラーフッディーン地区、サーフール地区、バーブ・ナイラブ地区、サイフ・ダウラ地区、フルカーン地区、カッラーサ地区、ハーン・アサル村で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷、逮捕し、武器弾薬を押収した。

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ジャズィーラ(8月4日付)は、自由シリア軍がサアドゥッラー・ジャービリー広場(サアドゥッラー・ジャービリー地区)から2キロの距離にあるラジオ・テレビ機構ビルを攻撃したのを受け、アレッポ市内での地上テレビ放送が一時視聴不能になったと報じた。

これに対して、SANA(8月4日付)は、反体制武装勢力がアレッポ市内のラジオ・テレビ機構を襲撃したが、軍・治安部隊が撃退、多数を殺傷した、と報じた。

またシリア人権監視団によると、反体制武装集団がアレッポのラジオ・テレビ機構ビル周辺への砲撃を避けて撤退する前に、仕掛け爆弾を爆発させた、という。

しかし『シャルク・アウサト』(8月5日付)は、自由シリア軍消息筋の話として、ラジオ・テレビ機構ビル近くにシリア空軍の戦闘機が墜落した、と報じた。

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SANA(8月4日付)によると、アレッポ市郊外のカブターン・ジャバル地方で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員に甚大な被害を与えた。

国内の暴力(その他)

シリアの軍消息筋は、ダマスカス県の「マイダーン地区から、ザーリー、マッザ、カダム、スバイナ、ダッフ・シューク、ヤルダー、バッビーラー、タダームン、ハジャル・アスワドにいたるすべての地区を我々は浄化した」と発表した。

またSANA(8月4日付)によると、軍・治安部隊がタダームン区とズライハ地区の「浄化」を完了した。

一方、SANA(8月4日付)によると、ヤルダー地区で反体制武装勢力が誘拐・殺害した市民の遺体が遺棄された集団墓地が発見された。

これに関して、AFP(8月4日付)は、ヤルダー地区のゴミ処理場で約15体の遺体が発見された、と報じた。

またアッバースィーイーン病院裏に迫撃砲が着弾し、市民1人が犠牲となった。

一方、『クッルナー・シュラカー』(8月4日付)によると、早朝からバーブ・シャルキー地区やジャルマーナー市で軍・治安部隊による激しい砲撃が行われたという。

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SANA, August 4, 2012
SANA, August 4, 2012

ダマスカス郊外県でイラン人巡礼者48人が乗ったバスがハイジャックされた。

アブドゥルマジード・カーンジョー駐シリア・イラン領事によると、巡礼者らは巡礼ツアーを終え、ダマスカス国際空港に向かう途上で「武装集団」に誘拐された。

またシリア・アラブ・テレビ(8月4日付)によると、誘拐された巡礼者がサイイダ・ザイナブ・モスクを巡礼しようとしていた、と報じた。

一方、SANA(8月4日付)によると、アルバイン市で道路を封鎖しようとした反体制武装勢力と軍・治安部隊が交戦した。

このほか、『クッルナー・シュラカー』(8月4日付)は、ダマスカス郊外県での軍・治安部隊と反体制武装勢力の戦闘で、第10師団のウマル・ジャッバーウィー司令官(少将)が戦死した、と報じた。

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ヒムス県では、SANA(8月4日付)によると、タルビーサ地方、ラスタン地方、クサイル地方各所で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(8月4日付)によると、マヤーディーン市やクーリーヤ市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷した。

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イドリブ県では、SANA(8月4日付)によると、ジスル・シュグール地方で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷した。

シリア政府の動き

アラビーヤ(8月4日付)は、シリアのバッシャール・ジャアファリー国連大使とその家族が殺人の脅迫を受けており、米当局に通報したと報じた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長はイラク・クルディスタン自治区のエルビルで記者会見を開き、「自由シリア軍はアレッポから撤退していないし、今後も撤退しないだろう」と述べる一方、「イラクのようにバアス党を根絶するつもりはない」と述べた。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、シリアの現下の紛争を「代理戦争」と評した潘基文国連事務総長の発言(8月3日)に関して、「シリア国民への侮辱」と強く非難した。

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シャームの民のヌスラ戦線は声明を出し、7月19日に誘拐されていたムハンマド・サイード氏(シリア・アラブ・テレビのキャスター)を殺害したと発表した。

声明には「第41号」との連番が振られた。

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ロンドンで活動する反体制組織のシリア人権監視団は、7月の死者数が4,239人に上ったことを明らかにした。

ラーミー・アブドゥッラフマーン会長によると、このうち3,001人が民間人、1,133人が軍・治安部隊兵士、105人が離反兵だという。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長は『シャルク・アウサト』(8月5日付)に対して、「手を血で染めていない政府高官と交渉する用意がある」と述べた。

レバノンの動き

LBC(8月4日付)は、シリア解放党なる組織のシャイフ・イブラーヒーム・ズウビー党首の話として、レバノン人巡礼者(シーア派)11人をアレッポ県で誘拐した誘拐犯のアジトが砲撃を受け、人質2人が脱走した、と報じた。

マヤーディーン(8月4日付)はこの砲撃により、誘拐犯の一人「アブー・イブラーヒーム」が負傷した、と報じた。

ズウビー党首は、誘拐犯グループは残る人質とともに別の場所に移動した、という。

またズウビー党首は、脱走した人質と、砲撃で負傷した人質の氏名を近く明らかにすると付言した。

諸外国の動き

中国外交部の王克倹西アジア北アフリカ局副局長は記者会見で、シリア情勢に関して「政治的解決の扉を性急に閉さず、ましては軍事介入を開始しない」よう呼びかけた。

また「シリアに対する中国の姿勢をめぐる一部の国の批判は根拠がない…。これらの国は自国の地政学的国益を擁護し、紛争の政治的解決を妨害、ないしは反故にしようとさえしている。しかも他国に事態が困難であることの責任を押しつけようとしている」と非難した。

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ロイター通信は声明を出し、ハッカーが同通信社のウェブサイトに侵入し、自由シリア軍のリヤード・アスアド大佐との会談に関する偽のニュースを配信した、と発表した。

AFP, August 4, 2012、Akhbar al-Sharq, August 4, 2012、Alarabia.net, August 4, 2012、Aljazeera.net, August 4, 2012、al-Hayat, August 5, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 4, 2012、Naharnet.com, August
4, 2012、Reuters, August 4, 2012、SANA, August 4, 2012、al-Sharq al-Awsat, August 5, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリアの軍・治安部隊とヨルダン軍が両国国境地帯で衝突するなか、アナン特使が8月31日をもって辞任する意向を表明(2012年8月2日)

国内の暴力(アレッポ県)

シリア人権監視団によると、アレッポ市郊外のマンナグ航空基地を反体制武装勢力が砲撃、制圧を試みた。

同監視団によると、砲撃には軍・治安部隊から奪った戦車が使用された、という。

アブー・アリーを名のる反体制武装勢力戦闘員はロイター通信(8月2日付)に対して、「我々は空港を…戦車で砲撃した。数回攻撃したが、今回は退却を決断した」と述べた。

監視団によると、反体制武装勢力の攻撃に対して、航空基地に駐留していた軍部隊はアレッポ市と飛行場の間に位置するタッル・リフアト市に砲撃を加え、対抗した。

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シリア人権監視団によると、イッビーン村での砲撃で、女性3人と子供2人が死亡した。

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SANA(8月2日付)によると、カナーティル村近郊およびハージブ町で軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃、複数の戦闘員を殺傷した。

殺害した戦闘員のなかには外国人が多数含まれていた、という。

またサフィーラ市では、反体制武装勢力が占拠した学校で製造していた爆弾が爆発し、戦闘員多数が死亡した、という。

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シリア革命総合委員会によると、アレッポ市のサラーフッディーン地区、サーフール地区に対して、軍・治安部隊が激しい砲撃を加えた。

またシリア人権監視団によると、マイサル地区では軍のヘリコプターによる砲撃があり、ザバディーヤ地区では軍・治安部隊が反体制武装勢力と激しく交戦した。

なお同監視団によると、市内は電話やインターネットが不通となっている、という。

国内の暴力(そのほか)

ダルアー県では、『ハヤート』(8月3日付)が複数の消息筋の話として、国境地帯でシリア、ヨルダン両軍が交戦した、と報じた。

Kull-na Shuraka', August 2, 2012
Kull-na Shuraka’, August 2, 2012

交戦は、ダルアー県タッル・シハーブ地方とヨルダンのイルビド県ラムサー市郊外のタッラ村間で、ヨルダン兵士1人とシリア人避難民2人が負傷した、という。

この交戦に関して、自由シリア軍は『ハヤート』(8月3日付)に、ヨルダン軍がシリアの軍・治安部隊の拠点を攻撃し、シリア軍兵士が多数負傷した」と証言した。

しかし、ヨルダンのサミーフ・マアーイタ内閣報道官は、「ヨルダンの部隊が行ったのは交戦ではなく、標的となっていた避難民を保護することだった」と自由シリア軍の主張を否定した。

このほか、シリア人権監視団によると、ダルアー市で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、3人が死亡、数十人が負傷した。

一方、SANA(8月1日付)によると、軍・治安部隊が反体制武装勢力とダルアー市ダルアー・バラド地区で交戦し、戦闘員多数を殺傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、大統領公邸があるムハージリーン区で、治安部隊が「初の」大規模な摘発を行い、反体制活動家約20人が逮捕された。

またタダームン区、ダッフ・シューフ地区で軍・治安部隊と反体制武装勢力の交戦があった。

一方、SANA(8月2日付)によると、タダームン区、ダッフ・シューク地区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追撃し、多数の戦闘員を逮捕、武器弾薬、爆発物を押収した。

またシリア・アラブ・テレビ(8月2日付)は、在シリア・イラン大使館のアリー・ホセイン・ザーダ軍事顧問が7月31日にカフル・スーサ区で暗殺されたと報じた。

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ダマスカス郊外県では、SANA(8月2日付)によると、ハラスター市郊外の農場で軍・治安部隊が反体制武装勢力を要撃し、多数の戦闘員を殺害した。

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ヒムス県では、SANA(8月2日付)によると、クサイル市で軍・治安部隊が反体制武装勢力を要撃し、多数の戦闘員を殺害した。

またヒムス・タルトゥース街道では、武器弾薬を密輸送していた車2台を軍・治安部隊が取り押さえた。

タルビーサ市では、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追撃し、多数の戦闘員を殺害した。

シリア政府の動き

シリアの外務在外居住者省は国連の潘基文事務総長と安保理議長宛に書簡を提出し、一部の国がシリア領内でのテロ活動を支援しているのは安保理の諸決議に違反すると抗議、安保理に対してこれらの国に圧力をかけるよう求めた。

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シリアの外務在外居住者省は、アナン特使の辞意表明に関して声明を出し、「遺憾の意」を示すとともに、UNSMISに引き続き協力すると表明した。

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インテルファクス(8月2日付)などによると、ジャミール・カドリー経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣がロシアを訪問し、ロシアの副首相らと会談した。

訪問には、ムハンマド・ジュライラーティー財務大臣、サイード・ムウズィー・フナイディー石油鉱物資源大臣、マフムード・イブラーヒーム・サイード運輸大臣、アディーブ・マイヤーラ・シリア中央銀行総裁も同行し、シリア・ロシア間の流通、農業、石油・ガス、衛生、教育などの分野での協力深化について協議した。

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『クッルナー・シュラカー』(8月2日付)は、と政治治安部の元高官が、キリスト教徒地区への武器配給に協力したキリスト教徒の氏名を暴露したと報じた。

しかしギリシャ正教会は先週声明を出し、武器供与疑惑を強く否定している。

反体制勢力の動き

自由シリア軍国内合同司令部は、アレッポ市での政府協力者の処刑に関して声明を出し、「無責任な行為」と強く非難し、「現地で活動するすべての革命勢力および大隊にこうした行為を非難し、拒否する」よう呼びかけた。

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シリア革命評議会のハイサム・マーリフ暫定政府首班は『ハヤート』(8月3日付)に対して、評議会結成と暫定政府首班指名に対する反体制勢力の批判を「反体制勢力の病気の一部」と評した。

マーリフ暫定政府首班によると、評議会結成にあたっては、シリア・ムスリム同胞団のムハンマド・リヤード・シャカファ最高監督者、リヤード・サイフ元人民議会議員などと連絡をとり、協議済みだったという。

発足した評議会は、45人から構成され、そのほとんどが国内の活動家で、自由シリア軍の士官(アブー・ハーリド大佐)も含まれている、という。

またこの45人が事務局と、自身を含む6人からなる首班府(首班、副首班、および3人)を選出した、という。

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地元調整諸委員会は声明を出し、暫定政府に関して、「避けられない運命に向かって進む体制の支配からさらなる地域を解放するために自らを向かわせる愛国的暫定政府が必要」との立場を示し、在外の反体制勢力(ハイサム・マーリフ氏の暫定政府首班就任宣言)の動きを暗に批判した。

また暫定政府が「解放された地域の生活を調整し、国民レベルでの革命勢力の活動調整、世界の各国政府へのメッセージ発信」のために必要だと述べた。

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シリア民主世俗主義諸勢力連立は声明を出し、事務局の定員を拡大(25人)するとともに、技術局、地理局を新設したと発表した。

なお声明によると、シリア民主世俗主義諸勢力連立の構成組織は以下の通り:

1. フィラース・カッサース(シリア近代民主主義党)
2. ハーシム・スルターン(インフィターフ党)
3. アフマド・ジャッブーリー(国民民主合意党)
4. ジョルジュ・シャーシャーン(アッシリア民主機構)
5. ジャーン・アンタル(シリア正教運動)
6. アブドゥルカリーム・アーガー(シリア・トルクマーン民主運動)
7. アブドゥルアズィーズ・ターラーニー(クルディスタン・イェキーティー党)
8. マフムード・ファイサル(アラブ民族主義者潮流)
9. マフムード・ムスラト(国民民主ナフダ党)
10. ハージー・スライマーン(サワー運動)
11. ハッサーン・ジャマーリー(シリア国家建設潮流)
12. ジャンキーズ・ハッスー(無所属連合)
13. ムハンマド・ハニーフ・ムハンマド(シリア自由民主党)
14. アイハム・ドゥユーブ(啓蒙運動)
15. ジーファール・ナビー(友愛調整)
16. ムアイイド・アスキーフ(新シリア運動)
17. そのほか愛国的無所属活動家多数

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シリア人権監視団は、ダイル・ザウル市での戦闘に関して、7月だけで300人以上が殺害され、住民の70%以上(50万人)が県外に避難、同市での被害額は110億シリア・ポンド(1億5500万ドル)にのぼると発表した。

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アブドゥルハリーム・ハッダーム前副大統領は、軍創設記念日に合わせて声明を出し、「腐敗した専制が闘う国民に勝利した歴史はない」としたうえで、軍の将兵に離反して国民とともに戦うよう呼びかけた。

AKI(8月2日付)が報じた。

イラクの動き

イラク・クルディスタン地域を訪問中のトルコのアフメト・ダウトール外務大臣は、エルビルで同地域のマスウード・バールザーニー大統領と会談し、「アサド体制後のシリアの将来」について協議した。

会談後の共同声明では、シリア情勢を「危険で悲惨」と評したうえで、「宗派・エスニック紛争を断続的にエスカレートさせる政府の行為と政策」への非難の意が表明された。

また「シリアでの平和的政治的転換」の必要を強調、「シリアの未来はシリア国民の自由意思によって決せられない」とする一方、「あらゆる集団・組織が権力の真空を利用するあらゆる試み」を脅威とみなし、「共同して対処すべき」との立場を明示し、「新生シリアに過激なテロ集団や組織があってはならない」と主張した。

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エルビルでの会談を終えたダウトオール外務大臣はペシュメルガによって護衛され、キルクーク市を電撃訪問した。

同市での記者会見で、ダウトオール外務大臣は、自らの訪問を「歴史的」と自賛する一方、キルクーク市が「イラク統合の脊髄であり、同国のすべての集団の共存の象徴」だと述べた。

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ダウトオール外務大臣のキルクーク市訪問を受け、イラクのアリー・ムーサウィー首相付広報顧問は、「イラクの主権への侵害…、一国の外務大臣にふさわしくない潜入」と厳しく非難し、訪問が「キルクークに否定的な影響をもたらす」だろうと述べた。

ムーサウィー顧問は「何らの正当性もない奇妙な振る舞いだ…。我々はトルコと外交関係を結んでおり、大使を交換しているのに、なぜ主権を侵害するのか?」と述べた。

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またイラクのホシュヤール・ゼバリ外務大臣も「トルコのような重要な隣国の外務大臣にふさわしくない振る舞い」と述べ、「イラク内政へのあからさまな干渉」と非難した。

レバノンの動き

モーラ・コネリー駐レバノン米大使は、自由国民潮流代表のミシェル・アウン元国軍司令官と会談し、内務省総合治安局によるシリア人14人のシリアへの身柄引き渡しに「深く動揺している」との不満を表明した。

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進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は声明を出し、内務省総合治安局によるシリア人14人のシリアへの身柄引き渡しに関して、アッバース・イブラーヒーム局長の決定を批判、「平時においても司法の独立という概念を欠くシリアで…有罪を宣告されるまでもなく粛清される」と述べた。

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ナジーブ・ミーカーティー内閣は、シリア人避難民のニーズに応えるためUNHCRへの融資を承認した。

国際社会の動き

コフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使はジュネーブで記者会見を開き、任期が終了する2012年8月31日をもって特使を辞任すると発表した。

アナン特使は自身の「ミッションが必要とする支援を受けることできなかった…。国際社会にさまざまな対立があり、それらが私の任務を複雑なものとしてしまった」と辞任の理由を明らかにした。

またアナン特使は、流血が続く現状の「一部はシリア政府の非協力と6項目停戦案の実施拒否にあり、また一部は反体制派の軍事活動の増加による」と批判した。

さらにアナン特使は、「国際社会の一致団結した真摯な圧力なくして、私、そして私以外のいかなる人物も、まずシリア政府に、次に反体制勢力に政治プロセスを開始するのに必要な措置を講じることを強いることはできないだろう」と述べた。

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潘基文国連事務総長はアナン特使の辞意表明に関して、停戦イニシアチブへの「勇敢な努力への深い感謝の意」を示しつつ「深い遺憾の意」を示した。

潘事務総長は、「(国連は)外交努力を通じて暴力停止をめざす」との意思を示しつつ、「安保理内で続く分裂が外交を妨げ、いかなる行動・仲介もより困難なものとなっている」との懸念を表明した。

また「(シリア)政府と反体制勢力は依然として暴力をエスカレートしようとしているようだ」と批判した。

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国連安保理では、UNSMISの今後の処遇を協議するための非公式会合を行われた。

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ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が英国を訪問、デヴィッド・キャメロン首相と会談した。

シリア問題をめぐって、プーチン大統領は「実行可能な解決策」を案出することで合意したと述べた。

一方、キャメロン首相は、「我々の間に依然としていくつかの意見の相違がある」としたうえで、紛争を終わらせるための「行程を前進させるために外相どうしが話し合うだろう」と述べた。

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アルジェリアの複数の公式筋が明らかにしたところによると、西部の港町スィーディー・ファラジュ市に在留シリア人(避難民)を受け入れるためのセンターが開設された。

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FAOは報告書を発表し、食糧および農産物の支援を必要とするシリア人の数が300万人に達するだろうと推計した。

またシリア国内の危機により、2011年にシリアの農業部門は18億ドル相当の損害を被ったと発表した。

AFP, August 2, 2012、Akhbar al-Sharq, August 2, 2012、AKI, August 2, 2012、al-Hayat, August 3, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 2, 2012、Naharnet.com, August 2, 2012、Reuters, August 2, 2012、SANA, August 2, 2012などをもとに作成。

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