ダルアー県南部のダーイシュ(イスラーム国)系のヤルムーク殉教者旅団とアル=カーイダ系のヌスラ戦線など武装集団が和解か(2015年5月24日)

シリア人権監視団によると、4月末からダルアー県西部で衝突を繰り返してきたアル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線をはじめとする反体制武装集団と、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓うヤルムーク殉教者旅団が、紛争調停を目的とする暫定司法委員会の設置、兵力引き離し部隊の結成、ハウラーン地方の名士による隊員の任命などを骨子とする和解に合意した。

同監視団によると、この和解合意は、両者の衝突が激化した5月初めに作成され、ヌスラ戦線がまず承認、続いてハウラーン地方の名士がヤルムーク殉教者旅団と会合を開き、旅団側からの承諾を得たのだという。

和解合意では、ヌスラ戦線が本拠地としていたサフム・ジャウラーン村一帯、ハイト村一帯からヤルムーク殉教者旅団が撤退したうえで、同地を非武装中立地帯とし、住民以外は撤退・退去することなども定められている。

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しかし、クッルナー・シュラカー(5月24日付)は、シャーム自由人イスラーム運動が、ヤルムーク殉教者旅団が掌握していたサフム・ジャウラーン村の拠点複数カ所を攻撃し、戦闘員10人を殺害し、制圧・浄化したと伝えた。

これに対して、ヤルムーク殉教者旅団もハイト村のシャーム自由人イスラーム運動の検問所に自爆攻撃を行ったという。

また、シリア人権監視団によると、ヤルムーク殉教者旅団はまた、バッカール村を襲撃、反体制武装集団との戦闘の末、同地を制圧した。

またシャームの民のヌスラ戦線は、タッル・シハーブ町のヤルムーク殉教者旅団戦闘員の家族らの住居に対して強制捜査を行った。

AFP, May 24, 2015、AP, May 24, 2015、ARA News, May 24, 2015、Champress, May 24, 2015、al-Hayat, May 25, 2015、May 26, 2015、Iraqi News, May 24, 2015、Kull-na Shuraka’, May 24, 2015、al-Mada Press, May 24, 2015、Naharnet, May 24, 2015、NNA, May 24, 2015、Reuters, May 24, 2015、SANA, May 24, 2015、UPI, May 24, 2015などをもとに作成。

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