『ハヤート』(7月21日付)などによると、アイン・アラブ市(アレッポ県)に北東約10キロの地点に位置するトルコ領内(シャンウルファ県)のシュリュジュ市で爆発が発生し、トルコ内務省によると、少なくとも27人が死亡、100人が負傷した(その後死者数は32人に)。
ARA News(7月20日付)によると、攻撃は、シュリュジュ市内にある野党国民民主主義党(HDP)の「文化芸術センター」の中庭で発生した。
犠牲者のほとんどが「社会主義青年連盟連合」に所属する若者たちで、彼らはアイン・アラブ市への復興支援のため、シリアに入国するのに先だって祝典を行っていたという。
アフメト・ダウトオール首相は記者会見で「初動捜査により、爆発がダーイシュ(イスラーム国)による自爆攻撃であることが判明した」と述べた。
ダーイシュがトルコ領内で自爆攻撃を行うのはこれが初めて。
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また、ARA News(7月20日付)によると、シュリュジュ市での自爆テロの数時間後、アイン・アラブ市郊外でも爆発が起き、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊の隊員複数が死傷した。
爆発は、アイン・アラブ市南部ルーフィー村の西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊基地で発生した。
複数の目撃者は、爆発が、ダーイシュ戦闘員が爆弾を積んだ車で穀物サイロに突っ込んだことによるものだと証言する一方、人民防衛隊に近い消息筋は、製造中の迫撃砲が爆発したと説明しているという。
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事件発生を受けて、イスタンブールで活動するシリア革命反体制勢力国民連立はただちに声明を出し、「テロ行為」を非難し、「シリアはトルコの無事を改めて願い、シリア人はトルコの国民と政府とともに、こうした行為に対抗する」と表明した。
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一方、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表は、フランス24(7月20日付)に対して、「トルコとコバネ(アイン・アラブ)市での爆発は関連がある。共犯者はダーイシュと、クルドの敵、すなわちトルコ政府だ。なぜなら、トルコ政府はこれまで、シリアにダーイシュが潜入するのを促してきたからだ」と述べた。
アブドゥッラフマーン代表はそのうえで、「国際社会は、シリア領内にジハード主義者数万人が入ってくるのをトルコ政府がどのように許してきたのかを調査しなければならない」と主張した。
AFP, July 20, 2015、AP, July 20, 2015、ARA News, July 20, 2015、Champress, July 20, 2015、France 24, July 20, 2015、al-Hayat, July 21, 2015、Iraqi News, July 20, 2015、Kull-na Shuraka’, July 20, 2015、al-Mada Press, July 20, 2015、Naharnet, July 20, 2015、NNA, July 20, 2015、Reuters, July 20, 2015、SANA, July 20, 2015、UPI, July 20, 2015などをもとに作成。
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